日本のメディアが作る国内外の情報デバイド


dj19さんからトラックバックをいただいたエントリ『デモに対する報道が明らかにフェアーじゃないよね。』(dj19の日記 - 2008年7月8日)を読んでいて、記事に出てくる7月5日付けの読売新聞の記事について、ふと、読売新聞の英字版"The Daily Yomiuri"では、このニュースをどう伝えているかが気になった。「これがそうじゃないか?」という記事を見つけたので、比較してみた。


 ■日本語記事
 札幌で「ピースウオーク」、機動隊ともみ合いで4人逮捕 (読売新聞 - 2008年7月5日)
 ■英語記事(以下の青字で記す)
 2,500 rally in Sapporo to protest G-8 summit (The Daily Yomiuri - Jul 6, 2008)

7日からの北海道洞爺湖サミットを前に、札幌市では5日午後、内外のNGO(民間活動団体)や、サミットに反対する団体による大規模行進「ピースウオーク」が開催された。


SAPPORO--Nongovernmental organizations marched in central Sapporo on Saturday to protest against the upcoming Group of Eight summit meeting in Toyakocho, Hokkaido.
(Stiffmuscle訳:以下イタリックで記す)
札幌--土曜日、複数のNGOが札幌の中心部を行進し、北海道洞爺湖町でまもなく開催されるG8サミットに抗議した。


若干、表現が違うが、ここは問題ないであろう(追記:『ピースウォーク』が英語版で外れている理由は不明。大規模行進のことを"peace walk"とは言わない。というか規模は関係ない)。次行ってみよう(以下、下線は引用者による)。

 主催者側は当初、北海道警に参加者を「8000人」と申請していたが、この日集まったのは約2500人。

 欧州各国やアフリカ諸国、東南アジアなどからも多くのグループが参加し、同市中央区大通公園「8丁目広場」から中島公園までの約2・5キロを、「ストップ温暖化」「クラッシュG8」といった看板を掲げながら、約1時間半に渡って行進した。


About 2,500 activists from Japan and European, Southeast Asian and African countries participated in the rally. The rally's organizer had informed the police when applying for a permit to hold the rally that it expected up to 8,000 people would take part.

The protesters marched about 2.5 kilometers carrying signs emblazoned with slogans such as "Stop global warming!" and "Crush G-8."

(下線部のStiffmuscle訳)
この行進には、日本、ヨーロッパ各国、東南アジア各国、アフリカ各国から約2,500名の活動家たちが参加した。


この記事は発行時間から見て、日本語の原文が英語版に翻訳されたものと見られるが、変更点は以下の通り。

    1. 「日本」と「アフリカ各国」という表現は日本語原文にはない。
    2. 日本語原文は「グループ」と書いているが、英語版では"activists(活動家)"に変わっている。

これだけを取り出せば、大きな問題ではないように思えるが、これが次の段落の伏線になっているのかもしれない。

 途中、日本人の若者や黒ずくめの外国人のグループらが騒ぎ出し、止めようとした機動隊ともみ合いになったほか、ロイター通信の日本人男性カメラマン(48)ら4人が公務執行妨害容疑などで現行犯逮捕された。


During the march, some activists clashed with riot police, who arrested four people, including a 48-year-old Japanese Reuters photographer, on suspicion of obstructing police officers from performing their duties.

(下線部のStiffmuscle訳)
途中、幾人かの活動家たちと機動隊がもみ合いになった


日本語原文にあった『日本人の若者や黒ずくめの外国人のグループらが騒ぎ出し、止めようとした』が、英語版ではバッサリと切り捨てられている。また、ここでも日本語原文の『グループ』が英語版では"activists(活動家たち)"に書き換えられている。日本語原版で「集団」ではなくて『グループ』という表現があえて使われていることも考え合わせると、日本語原版と英語版から読者が読み取る内容がかなり違うものになってしまう。

これらの表現の違いは、記者の英語力の不足によるものではなかろう。一つの時事を伝える記事が日本語と英語でこれだけ違う理由はなんだろうか?いずれにせよ、こういう恣意的とも言える報道の差異によって、日本と他国の情報デバイドが広がっていく。

In front of Sapporo Central Police Station, where the four were detained, about 100 people gathered to protest against the arrests and clashed with police officers again at about 5:50 p.m. on the day.


 逮捕者が拘置された札幌中央署前では、同日午後5時50分ごろから、逮捕に抗議する約100人と同署員らが押し問答になる騒ぎもあった。

チベット国旗をマントにする愛国オヤジ

7・6札幌デモのお知らせ(在日特権を許さない市民の会 - ニュース)

洞爺湖サミット(G8)はチベット問題を議題に取り上げよ!
洞爺湖サミットはシナのチベット侵略を無視するな!
ロシア大統領は北方四島を直ちに返還せよ!

【主な参加予定者】
西村修平桜井誠八木康洋在特会副会長)、泉裕友(在特会北海道支部会計)ほか

【主催】
主権回復を目指す会チベット自由協議会

てな感じでデモやったらしい。その動画が↓

内容は暇があったら見てもらえばいいが、一点だけ


チベット国旗をマントにしていいのか?
じゃあ、日の丸や旭日旗もマントにしてもいいってことだな!
みんな、今度こいつらの集会があったら、日の丸や旭日旗をマントにして颯爽と駆け抜けようぜ!
きっと拍手喝采されるぜ!「非国民は日本から出て行け!」なんて絶対言われないぜ!


↓にもチベット国旗をマントにする愛国オヤジの画像あり。
サミット気合いれデモ (『この国は少し変だ!よーめんのブログ』2008年 07月 08日 のエントリ)
  


  それにしても警察は静かだな(謎)