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2008-04-13

[]『マスターピース・オブ・オールナイトライブ 1【特攻取材】』

マスターピース・オブ・オールナイトライブ1 特攻取材 (BEAM COMIX)

マスターピース・オブ・オールナイトライブ1 特攻取材 (BEAM COMIX)

 鈴木みそ『マスターピース・オブ・オールナイトライブ 1【特攻取材】』を読んだ。現在コミックビーム誌上で『銭』を好評連載中の鈴木氏が、過去に連載していたリポート漫画を改めてまとめたシリーズで、本巻はタイトル通り取材をテーマにした作品がまとめられている。その対象は「カップヌードル」「ドン・キホーテ」などの身近なものや、「海洋堂」「本の倉庫」「大日本印刷」といったマニアックなものまで、幅が広い。

 その中でも強烈なインパクトを持った回が、「ゲーム専門学校」の内情について講師たちにインタビューを行った『ゲーム専門学校から見た風景』だ。話は、その講師たちが勤めるゲーム専門学校では、ここ4年間(2000年当時)に600人〜700人の卒業生を出しているが、そこから業界に入った人間は実質ゼロだという衝撃の事実から始まっている。

 講師たちは語る。「ゲーム専門学校はムシるためにあるんですよ。商売ですから」「「うちを卒業しても就職はできません」と説明してます」「はっきり言っちゃえば、ゲーム科は行き場をなくしたふきだまりです」と。一瞬、専門学校の怠慢が原因なのではないかとさえ思えるほどの不貞不貞しい発言だが、講師はその原因は「やりたいことがない」「理解力がない」「集中力や根気がない」生徒たちにあるように語る。

 事実、講師たちが語る生徒たちの地力の弱さは、その分野に詳しくない人間でも衝撃的なものだ。「ほとんどが学校入って初めてパソコンをさわる」「数ヶ月たってもまだキーの場所を人差し指で指してる」「2年間毎日必死にやればできるかもしれないけど、まるっきり勉強する気がない」「ひどいのは九九ができない」。

 そんな彼らについて、講師たちは「基本的に存在が希薄なんですよ」「ただ生きてる、なんとなく」、更に、そんな状態の生徒たちが年々悪化・増幅していると語る。それに絡めるカタチで、取材に同行していたコミックビーム編集長・奥村勝彦氏は同様の状態がマンガ専門学校でも起こっている、と繋げる。

 そんな現状を、鈴木氏は「それってほら、オレの世代もシラケ世代とか新人類とか言われて若いモンはダメって言われただけで、よくあるジェネレーションギャップなんじゃないの」と問うが、その意見を講師たちは完全に否定している。「いえ、確実に考える力が低下してます。今(2000年当時)の25〜26歳を先頭にして、全然考え方からして違う」と(この後、その原因についても講師たちは語っているが、そこまで抜粋すると流石にネタバレが過ぎるので自重する)。

 この回について、現在の鈴木氏は以下の様にコメントしている。

この時に語られている「やりたいことが無い、理解力がない、集中力や根気がない」生徒像、というのがネットなどで“ゆとり”と揶揄される世代のハシリという印象があるんですが、このあたりから日本人が変わってきたと思えてならないですね。日本はどこにいくんだろう、と大きく出てみました。

 つまり、この状態は当時から七年以上経過した現在に至るも、大きく変化していない、ということだ。確かに今、ネット上にも“ゆとり”と呼ばれる人間は少なくなく、また、そう感じさせられる言動を取っている人間も多い印象がある(無論、その中にはネット上で雑文を公開している僕も含まれる)。鈴木氏が「日本はどこにいくんだろう」と書く気持ちも、少なからず分かる。

 そんなわけで、読後ダウナーな気持ちになっていた僕なのだが、ネットをふらふらしていて、こんなニュースを見つけて、なんだか一気にアッパーな気持ちになってしまった。もちろん、これはまだまだ珍しい例だし、そもそも、彼がその分野で成功するとも限らない。でも、これは一つの光明なのではないだろうか。ニコ動でのリアクションを楽しむことで、結果、クリエイターとしての手腕も磨かれる……そんな流れが一般的になることを、僕は祈ってみたりする。同人作家のプロ進出や2ちゃんログの書籍化とかの例もあるんだから、ありえない話じゃないんだよなあ……考えてみれば。

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