人間関係

  善は急げと言うけれど、それは本当だなと思う。
うかうかしていると時間はどんどん流れ、
誰かが私の欲しかった物を手に入れ、
結局いつまで経っても私は何も変わらないまま、ただ取り残される。
急いだ所で、誰かの代わりに私がそれを手に入れていたのかどうかはわからない。
でも、挑戦することはできた。
恋愛もそう。
仕事もそう。
いいものはいつも、誰かがさらっていく。


  昨日は月末の締め日で帰りがいつにも増して遅かった。
会社を出たのが11時過ぎだった。
ジャッキーから電話があったのに、出られなかった。
確か、先々週くらいにも同じような時間に彼女から電話があった。
普段は何も連絡してこない物だから、
珍しくこう立て続けに連絡があると、心配になる。
メールを送ると、こんな返事が来た。
ちょっと声が聞きたかっただけ、と。
まるで恋人のようなこと言う。
自分は思ったよりも弱くて、私にそのことを笑ってほしかったのだと、
彼女は言った。
こんなことを話せるのは、私だけだと。


  友達がいないと、ずっと思っていた。
様々な人と知り合う機会に恵まれ、出会いなら多い方だと思う。
でも増えていくのは知人だけで、友人は一向に増えない。
それはきっと、ジャッキーに知り合ってしまったせいなのだと思う。
彼女と知り合ってしまったから、もう、他の人では物足りないのだ。


  小原君に言われた。
「吉田は結構えり好みするから、今だけはそれをやめて、
 もっと幅広く人と付き合った方がいいよ。」
と。
そうかもなぁと思った。
友人も増えない。
恋人も一向にできる気配がない。
今まではそのことをあまり気にせずにいたのだけど、
最近、何だか、無性に寂しくて仕方ない。