大手エロゲブランドのリリース間隔について

・人気メーカーのリリースが停滞
Keyはファンディスクのみで完全新作なし。Navelも『俺たちに翼はない〜Prelude〜』のみで、TYPE-MOONに至っては3年にわたってPCゲームのリリースが止まっている。Leafは、『君が呼ぶ、メギドの丘で』がギリギリ間に合う予定。強いコンテンツを持つ会社ほど、PCゲームの制作から遠ざかる傾向にあるように感じる。大作化によって制作期間が長くなっていることもあるのだろうが、少々心配になる流れ。

先日、「2008年10大エロゲニュース」というエントリのなかで上のように書いたところ、Half Moon Diaryさんからいいツッコミをいただいた。こちらの「4大エロゲメーカーの2008年の動きをまとめてみた」という記事ですね。アリスソフトLeaf、Key、TYPE-MOON、以上4社の今年の動向を挙げた上で、「総合すると、これらのメーカーがPCゲームの制作から遠ざかっているようには感じられませんでした。」と書いてらっしゃいます。
自分の書いたことと照らし合わせながら読み、いろいろ考えさせられるところもあったので、ちょっと書いてみたい。
では、まず反省点。

■特定ブランドのイメージに影響されすぎた
「人気メーカーのリリースが停滞」と書いたとき、頭にあったのはKey、TYPE-MOONLeafNavelオーガストなどなのだけど、正直、KeyとTYPE-MOONの動きに判断を左右されすぎた。
Keyは『AIR』(2000年)と『CLANNAD』(2004年)のあいだにも4年のブランクがある。また、TYPE-MOONは創業以来、『Fate/stay night』の『Fate/hollow ataraxia』の2本しかリリースしていない。一般化して考えるには、特殊すぎる事例だろう。

■リメイク・ファンディスクの制作を軽視しすぎた
ヒットしたコンテンツを持つブランドは、リメイク・ファンディスクの開発に注力する傾向があり、そのぶん新規タイトルは少なくなる。しかしながら、これは「PCゲームの制作から遠ざかる」という話とは別問題。もともとエロゲブランドのリリース間隔は年1本程度であることが多く、リメイクなどの事情が絡めば数年間のあいだ新規タイトルが出ないことは普通にある。Navelなどは、全5作のうち3作がデヴュー作『SHUFFLE!』関連なのだけど、これを「停滞」と見るのは問題があるだろう。
イメージに引きずられて、実際以上に大きく見てしまった嫌いがある。

■数年のスパンで見ると……
しかしながら、大きな流れとしてみると、やはり新作リリースのペースは落ちているように見える。
Leafは、1995年の創業から2006年まで、年1作以上のリリースを続けていた。オーガストも2002年の創業から2005年の『夜明け前より瑠璃色な』までは毎年1作以上。Overflowは1999年創業の2006年(『Summer Days』)まで毎年リリース。
Navelは2004年創業で2006年までは毎年。アージュは1999年創業の2001年の『君が望む永遠』まで毎年。ただし、アージュはファンクラブ限定や別ブランドを数えると、実は2008年まで途切れることなく発表を続けているし、Navelも別ブランドのLimeを含めれば毎年1タイトル以上制作している。

アリスソフトニトロプラス、CIRCUS、戯画(パートナーブランドを除いてもかなりの量)など手数が多いブランドもあるので、上記数社の例を大きく受け取りすぎるのは危険。
……なのだけど、やはり2006年あたりを境目に、リリースタイトルを減らし1タイトルあたりの収益を増大させる戦略をとるブランドが増えてきているように思われる。その戦略のひとつが、Leafアクアプラス)、オーガストARIA)がすすめる自社CS移植版だろう。Key Sounds Labelの音楽CDや、TYPE-MOONの書籍なども含めていいかもしれない。

とはいえ、各社それぞれに事情なり意図なりがあることを、「停滞」と言い切ってしまったのは大ざっぱすぎました。あと、なんというか、これを「2008年のニュース」と言っていいのかどうかは……やっぱ微妙ですね。とにかく、ツッコミありがとうございました!