2009-03-28
■[小説]吉田修一『あの空の下で』
- 作者: 吉田修一
- 出版社/メーカー: 木楽舎
- 発売日: 2008/10/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ANAの機内誌で連載された小説とエッセイをまとめた一冊。機内誌ということもあって、内容は外国の話や飛行機の話が中心。装丁も空を写した綺麗なもので、これは単行本(ソフトカバー)で買って正解だったと思う。
吉田修一はほかにも、女性ファッション誌で連載していた小説や軽い恋愛小説なんかもあって、およそ芥川賞作家というイメージにはそぐわない人物でもある。まさに仲俣暁生の造語である「ポップ文学」という言葉に(仲俣の意味しようとしていたところというよりはその言葉自体の響きに)ふさわしい作家であるのかもしれない(今は知らないが、かつては仲俣が最も期待していた作家であった)。
題材は軽薄で、プロットはわかりやすい? しかし、さすが芥川賞作家というべきか、人間を描く力量は凄まじい。『悪人』で証明されているその力は本作では「自転車泥棒」などにおけるさりげない心理描写なんかで確かに見ることができる(手紙を盗むまでの場面、盗んだあとの後悔など)。もともとわかりやすいプロットが好きだけど薄く穴の多い描写は好きではない自分にとっては、吉田修一のような作家の本書のような作品はベストフィットであったというわけだ。
上記「自転車泥棒」のほか、数年来の「親友」との間柄を描いた作品(「モダンタイムス」だったかな?)や、「踊る大紐育(ニューヨーク)」、大学に入学したばかりの息子のもとへ訪問する母の話(たぶん「東京画」)なんかがお気に入り。
特に後者は、アニメ・クラナドでほかのどのキャラクターよりも主人公の祖母に感情移入して泣きそうになった(正直に告白して泣きそうになった)ように、最近の自分自身の趣味嗜好の変化を印象づけさせられる作品だった。クラナドの原作は渚の卒業式イベントが一番感動したというのに……。たぶんいま『青の炎』を初めて読んだとしたら、かつて読んだほどにはハマることがないだろう。
とはいえ、正直な話1番のお気に入りはやっぱり吉田修一先生が執事喫茶とメイド喫茶に連れて行かれて戸惑うお話。制服が店員の自由コスプレなメイド喫茶なんて初めて知った。吉田修一先生が覚えられないくらいに長い名前のキャラクターって何だろう。執事喫茶行きたい誰か連れてって。メイド喫茶の店員やってる娘を彼女に欲しい。もっといい娘を彼女にできたのでもういりません。

