ドリームキャスト(その1)


【出典】…ゲーム ハード SEGA ドリームキャスト(1998.11.27発売)
 
【説明】…セガ・エンタープライゼス(現:セガ)が発売したコンシューマ用ビデオゲーム
一般にはDCやドリキャスの略称で呼ばれる。全世界累計出荷台数は約1045万台、うち日本での出荷台数は約245万台である。
ソニープレイステーションに劣勢を強いられていたセガサターンに代わる社運を賭けた次世代機として投入された。同世代のゲーム機は「NINTENDO64」と、本機より後に発売された「プレイステーション2」などが挙げられる。
本機の販売終了と同時にセガは家庭用ゲーム機の開発・販売から撤退しており、ドリームキャストは事実上セガ最後のゲーム機となった。
 
 
【独断】…ドリームキャストいつの間にやら発売10周年突破していた記念エントリー
友人のブログにドリームキャスト(以下DC)関連の動画が貼っ付けてあって、懐かしついでになんとなくエントリーを書き始める。
「懐かしい」と言ってもDCはPS2とほぼ同世代。私の近辺ではわりと最近まで現役だったので、『こち亀』の160巻台の時代から130巻台の時代を振り返るという程度の懐かしさである(野暮ったい例えだ)。
 
早速「ドリームキャスト」でテキトーに検索してみたところ、このハード、今では結構高い評価を受けているようで驚いた。
単純に「あのソフト・あのシリーズが面白かった」という意見や、「格ゲーやアクション、シューティングは頑張っていた」という強かったジャンル・サードへの評価、「当時としては画期的なくらい絵がキレイだった」というスペックの賞賛、「接続がカンタンだったからこれでネットデビューした」なんて思い出話、…総じて言って好意的な意見が多い。
私もDC(ディバイン・クルセイダーズ)が大好きなため、これは結構嬉しい誤算だった。未だに「ドリカス」呼ばわりされているのではないかと心配していたのだが…。
ダメ男も結婚して身を固めればわりといい男に見えたりするのと一緒で、満身創痍だったゲームハードも、第一線から退けば「名機」に見えたりするもんなんだろうか。
確かに比較対象なしでDC単体を見れば、かなり良いハードだったことは間違いないのだと思う。

 
…が、イイ思い出先行で、ちょっと褒められすぎの感もある。
「DCは時代を先取りしすぎていた」とか「初回出荷の大転倒がなければ天下を獲っていた」とまで言われると、DCファンの私でも、「いや、それはないんじゃ…」と言いたくなる。
よ〜く当時を思い出して欲しい。“あの”ドリームキャストだぞ。ドリドリキャス子さんだぞ。良いゲーム機だけど天下を獲る獲らないの話とはまた全然違うだろう。
というか、DCに対して好意的な書き込みも、よくよく見れば「たら」「れば」が多く、純粋に褒めているものは実はあまりない。
具体的な「たら」「れば」は以下のような感じ。

・ ブロードバンド環境が整っていたら
・ グラフィックスチップの開発に手間取っていなければ(ソフト開発の遅れや初回出荷不足がなかったら)
・ DVD対応していたら
・ セガサターンとの互換性があれば
・ ビジュアルメモリの性能がもっと高かったら
・ 稼働音がうるさくなければ&排熱性能が高ければ&ふたが壊れやすくなければ&トリガーが壊れやすくなければ
・ 広告戦略がもっと上手かったら

って、これらの半分でも改善されていたら、もはやそれは全くの別物ではないだろうか。
特に上の4つの項目は、どれ一つとして、ちょっとやそっとの労力と金で改善できるものではない。というか実際に「やりたくても無理」だった部分だ。
漠然とした“ハイスペック”と、なんとなく大プッシュのインターネット機能を武器に、時期も無理矢理に発売された、結構やけっぱちのハードである。一つたりとて「たら」「れば」をカバーする余裕なんぞなかったはずだ。
…そもそも、ネタ抜きの大作ソフトって最後までなかったし、マスに売れる要素は初めから…。

 
発売当時、ゲーム評論家的な人達はからは勿論、コアなセガファンからも「何がしたいのか解らないハード」と言われた代物である。
なんとなくみんなが「インターネットを活用しなきゃ!」という焦燥感に駆られていた世紀末…。ぶっちゃけ、時代を先行していたというより、時代に流されまくったハードという印象が強かった。
…なんせ『ユー・ガット・メール』(1998)が流行っていたあの頃だ。そりゃインターネッツロマンスの神様が7人くらいいらっしゃるような気がするわな。
 
変な話、今になってDCを評価してくれている人というのは、セガファンというより、理解ある純粋なゲームファンという感じがする。
というのも、ソフト自体はツボを突いた良作が多かったし、オンラインも、当時のDCでしか味わえない強烈な面白味があった。こういうところを身を乗り出して直に体感している人ならば、確かにDCに対して良い評価を下してくれる。
ゲーム全般が好きな人からすれば、DCは凄まじくお買い得な良ハードだったのだ。
…もちろんセガファンにとってもゲームプレイ自体は良い思い出なのだろうが、マジメにセガの未来を案じていた分、自虐と怨嗟が噴き出てしまうことは必至である。
なにせ、当時のセガとDCの迷走ぶりたるや、もう笑うしかないという勢いだったのだ。品薄、キラーソフト不在、自称「128ビット級」、NAOMI(VM対応アーケード基盤)とチートプレイ以外に役に立たないビジュアルメモリ、カンタン過ぎて異常な電話料金が発生するネット接続、スーパー値崩れ、結局キャラゲー押し、大負債、大リストラ、独禁法違反…。
私は別にセガファンではなかったが、あの頃、セガに関しては、まぁヤバい話しか聞かなかった。サムシング吉松先生のセガ漫画『セガのゲームは世界一ぃぃぃ!』も、“ああいった”内容になるのは仕方がなかったと言える。
セガファンにとっては、苦汁をナメながらのお祭り騒ぎだったのではないだろうか。
  
 
…そんなわけで、買った人は120%満足するが、PS2を押しのけるパワーは特になかった哀しきぐるぐる。それがドリームキャストだったのである。
 
このままだと例によって悪口しか書いていないことになるので、次回のエントリーで「DCのここが凄かった!」というのを書きたいと思います。
イヤな予感しかしないという方、正解です。何を書くのか決めていませんが、私もイヤな予感しかしません。
 
つづく

ドリームキャスト本体

ドリームキャスト本体