本棚の食卓

進化の存在証明

進化の存在証明

 事の始まりは、NATROM先生の所で紹介されていたお猿のダンス一冊の本でした。→「進化の存在証明」 - NATROMの日記
 あまり積極的に取り扱ってはきませんでしたが、進化論には以前より興味を抱いていまして。

想定読者は反進化論者ではなく、別に進化を否定はしていないがもうちょっと詳しく知りたいと思っているような人たちなのだろう。他の科学の分野と同じく、進化生物学は驚きに満ちており、知的好奇心を刺激してくれる。
(中略)
生物進化は100年以上も前に科学者の間では受け入れられていたわけで、いまさら新しい証拠は必要ない。だけれども、より詳しく知りたいという科学者の欲求によって、進化生物学に関する知見は現在も更新され続けてきている。「進化の存在証明」では、最新の知見も取り入れている。


「進化の存在証明」 - NATROMの日記

 こう言う書評を読むと欲しくなる訳ですよ。本は良いね、頭を満たしてくれる。
 ただし問題が二つ。

T-3don [本],[ニセ科学対策]  面白そう。でも殴り殺せそうな分厚さ…。/そして近所に売ってない罠。 2010/01/04

 最近、むしろ人生がシッチャカメッチャカになっていまして、こんな鈍器みたいな本読了する時間的精神的な余裕がない、と言うのが一点。
 もう一つが、入手難。そう科学技術立国ニッポンの本棚問題です。
 で。↑の様なブクマをした所たちまち

Temper [き/気になる],[ほ/本] T-3donさん 池袋のジュンク堂にでも来て頂ければコーヒーお出ししますよw 東上線埼京線沿いにチャリで…?
chochonmage [進化],[科学],[買いたい本] 「進化を信じない人」は、たぶん鼻も引っ掛けないでしょ。で、IDの連中がやってることはどっちかと言うと「政治運動」だから、アラ探しに読む奴もいるでしょう。T-3donさん、曇天号でGo!

 ありがたい事にこのように後押ししてくれる人がいて。なんか今更アマゾンに乗り換えられない空気を感じます。
ところで、当時ワタクシ年末のスキー旅行にてスキー板に関節決められ、右足が赤黒く腫れている状態でした。池袋まで推定往復4時間弱。

T-3don [メタブクマ],[連休前にチェック] Temperさん chochonmageさん まとめると、「次の連休に曇天号でロックブーケまで買い出し紀行」、と言う事ですな?/……サイクリングとしては手頃な距離なんだけど、スキーで足痛めてんだよなぁ。と言い訳から入る。


chochonmage [メタブクマ] 「次の連休に曇天号でロックブーケまで買い出し紀行&書評」のがうれしいが、読了できないプレッシャーでキレて数人殴り殺してもまずい(ドーキンスの執筆意図ともちがうし)ので、そこまでは言いますまい。

 ……かあさん、ごらん? これがはてな村論理マッチョの容赦ない追い込みだよ?

ohira-y 南千住研究所メンバーとしては北千住で買うべきでは?

 ああっ、ohira-yさん良い事言った! いまいいことゆったよ!

 ということで。
 北千住は紀伊國屋書店に行く事にしました曇天号で*1
 そうときまれば前準備。大した距離ではないとはいえ往復30キロはある旅路ですし、何か最近曇天号のギアがすっぽ抜ける事がままあったので、出発前にメンテナンスする事にしました。


 そう、


 このときは、まさかあんな事になるとは、思いもせずに。

曇天号よ、永久に。

「……持ち主の方ですか」
「え?あ、はい、そうですが。なにか不都合で」
「落ち着いて聞いて下さい。――こちら、ちょっと長くお預かりさせて頂くかもしれません。」
「…………え? それは、その……入院、ということですか? いや、私はちょっと診てもらいたいだけで…」
「おそらく、後輪の構造部分を交換する事が必要でしょう」
「交換って、そんな! あんた、そんな、ちょっと人を機械みたいに!
「落ち着いて。……部品がメーカーに無ければ、在庫の新品から融通する事になります」
臓器移植……。そんな大がかりな……」
「……それで、治療費ですが」
お金なんてどうでもいい! 治るんでしょうね、コイツは!? アンタ、治るって言えよ!! で、いくら位でしょうか?
「落ち着いてください。全力を尽くします。一週間は見てください。――最悪の事態も、考えておいて下さい(購入価格以上します的意味で)」
「あ、あああっ……」


曇天号。


曇天号……


君と出かける時は、何故かいつも曇り空だった*2


覚えてるかい? 
何時ものように川沿いを走っていたら、突然この流れの先を見届けたくなって、結局海まで走ったあの日の事を。
  
ラーメンチェーン制覇の時は、十三軒目で日が暮れたっけ。
  


佐野まで片道7時間、2回くらい死ぬかと思ったよ。
  
思えば、無茶ばかり、させてきたね。


曇天号……。



 名前付けてネットで公開しちゃったからなんかもう買い換えられないじゃないか!
 曇「お前、最低
 

北千住買い出し紀行

 と言う訳で、予想外の出費に泣く泣く愛車を預け、代車を借りて行ってきました。
 
 外装ギアに慣れてないこともあってほとんど3速固定でしたが、タイヤが小さかったので問題無くなかなか軽快に走ります。個人的には、26インチだと5段外装ギアは持て余し気味ですね(内装3段27インチの曇天号だと、一番重いギアの前にもう1・2段欲しい。)。
 サクサク飛ばして、4号線を南へ。東京に入ったら大きな川を二つ越え
 
 千住新橋を越えたらもうそこは北千住。目指すは丸井は全部駅の前、って言うか駅と繋がってる北千住マルイ8F「紀伊國屋書店*3
 以前、奇跡の良書『おかしな科学』買いに行ったのは松戸駅前でしたが、アップダウンが激しく駐輪に困った松戸に比べ北千住は天国みたいに快適です。なんかでっかいビルの中に広々と駐輪場が*4。しかも一日止めて100円とか。
 早速駐輪。代車だから忘れないようにハンカチをリアに挟んで、念のため写真。

 イザ紀伊國屋書店へ。
 ぶっちゃけ、前回の経験より書店の科学棚に信用置けなくなっているワタクシ。
 今回もどうせ空振りだろうと思っていたのですが

 何か平積みになってる*5
 拍子抜けして余勢を駆って、昨年末より探している『ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想』*6と『食のリスク学―氾濫する「安全・安心」をよみとく視点』をサーチしたんですが、コッチはおおきく振りかぶって豪快に空振り
 しかし、改めて気付いたんですが食品関連の棚はちょっと酷い有様になってますね。ダイエット本と特定の病気治療に絡めた益体もない本(これで○○が治った!系の)が氾濫しているのは、まあ想定内でしたが*7、思った以上に食の安心を揺るがす本が増えています。食の安全やリスクの正しい理解の手助けになる良書がほとんど置いていない状況で、あべしや安保徹売るほど置いてあるのは何事か!
 以前、科学棚の充実は科学技術立国の浮沈に関わると書きましたが(科学技術立国ニッポンの本棚)、食の安全棚がリスク概念無視の偏った情報で埋め尽くされているのは、よりゆゆしい問題です。事は胃袋に関わりますからね。
 「安全な食品」と「安心な食品」が違うことは重々承知しています。が、その差を埋める為に行われる投資は本来必要ない消費、浪費、です。
 もっとも効率の良い方法は、それが安全であると周知する事でしょうが、本棚ではそれと真逆の行為が行われています。安全な食品を、科学的・合理的な根拠なく危険だと見なすことで、安全と安心の境目は今日も無駄に広げられてしまっています。
 日本の場合、先人と現場の皆さんの御陰でかなり安全な食品を容易く手に入れることが出来ます。今必要なのは、危険を見分ける臭覚よりむしろ正しく怯える知識であると、私は思います。
 

食の安全と安心関連リンク

安心と安全の垣根を下げる為に。参考リンクをご紹介しますね。


食の安全情報blog
 今回色々とお世話になったohira-yさんのブログ。読みやすくてタメになります。


食品安全情報blog
 国立医薬品食品衛生研究所安全情報部の畝山智香子さんのブログ。世界各国の食の安全に関する情報がいち早く。言ってみれば食品界隈の「忘却からの帰還」様。本が手に入らないいい。


Do you know MSG?: 黒猫亭日乗
 ご存じ黒猫亭さんの旨み調味料エントリー。コメント欄、特にひえたろうさんのコメントは必見!
 なお、ひえたろうさんのブログ『digital ひえたろう』編集長の日記★雑記★備忘録も超お薦め。ニセ科学とラーメンと時々みせるネタの鋭さがハンパないです。



J. Nakanisi Home Page
 探していた『食のリスク学―氾濫する「安全・安心」をよみとく視点』*8の著者、リスク管理の専門家中西準子さんのホームページ。読むだけで勉強になります。


どらねこ日誌
とらねこ日誌
 言わずとしれた、どらねこさんのとこ。読むのは国民の義務ですが、特にマクロビ系ならここは絶対に外せません。



 オマケに、上で名前を出したあべし(安部司)と安保徹がどういうお方なのか、参考までに批判エントリーから引用します。詳しくはリンク先を読んで下さい。


あべしの裏側
 自称「添加物の神様」安部司氏批判サイト。

安部のことを私は「添加物のゲッベルス」と評したことがあるが、そのゲッベルスが言ったといわれている(実際は違うらしいが)のが、次の言葉である。

「嘘も百回言えば真実になる」

 これは放っておけない。

なぜ、安部司を問題にするのか

 
癌性疼痛の除痛すら否定する安保徹と上野紘郁
  NATROM先生の安保徹批判エントリー、のなかでも一番ショッキングなモノ。

癌の除痛に対するモルヒネの使用は、安全性が高く効果のある治療法として国際的にも推奨されている。末期に限らず、癌性疼痛の際には積極的に使用してよい。疼痛対策で使用する限りにおいては、精神依存は形成されない。自分でも認めておられるようだが、安保徹氏および上野紘郁氏は世界標準の医療を否定していることをまず確認しておきたい。

追記

 翌日、病院自転車屋から電話が。
 わななきながら「……はい、もしもし。」
  自転車屋さん「あ、昨日お預かりした自転車ですけど、チェーンが伸びてました。詰めたら治ったので、すぐ引き取りお願いします。手数料込み500円です」


 …………、と言う訳で、現在『進化の存在証明』絶賛読書中です。まだ一章です。いやぁ、語り口がユーモラスで凄く読みやすいですね!(説得力ゼロ)

食のリスク学―氾濫する「安全・安心」をよみとく視点

食のリスク学―氾濫する「安全・安心」をよみとく視点

ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)

ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)

珍来総本店 松原団地駅前店

食べログ 珍来総本店 松原団地駅前店

*1:電車で行けばモノの20分

*2:自転車旅行的には、冬・夏共にまあまあなコンディション。ただし、夏場湿度も高くて無風だったりすると死ねる。

*3:因みに今確認したら、「きいくにやしょてん」でもググれました。もしかして:紀伊國屋書店

*4:北千住駅前駐輪場※ミルディスII番館に有り

*5:一月ほど経った今でも、この『進化の存在証明』は何故か(というのも変ですが)書店で特別な地位を授かっているように思います。それ自体は大変喜ばしい事ですが、科学棚が脳科学と進化論で占められている現状は、やはり歪んでいるでしょう

*6:簡単に説明すると、「食品安全情報blog」様の畝山さんの著書を「食の安全情報blog」様が冬休みに読みたい。食の安心・安全について考える10冊で紹介され、以降二年越しで探しててお正月に「食の安全情報blog」ohira-yさん達とお会いした時も秋葉で探したんですが見つからずいやああの時は面白かったですコピー食品ネタ落ち着いたら必ずやりましょうね。と言う事です。

*7:だからこそ「危ないダイエット」を書いたんだし

*8:先日手に入れました。御徒町の駅ビルです。店名忘れちった。