新しいTERRAZINE

The new TERRAZINE

「自然相手だから」って諦めたら、そこで試合終了ですよ

戦後最強級の台風でも死者・行方不明者4名

時季はずれの台風としては最強級だった台風第4号。予想よりも雨風ともに弱かったが、それでも梅雨とのWパンチで多くの災害が発生した。が、人的被害、特に死者・行方不明者は4名と少なかった。亡くなったのは水道の修理をしていて側溝に転落した76歳の男性と、川に落ちたボールを拾おうとして転落した11歳の男の子の2名だ。どちらも本人の不注意で、災害に巻き込まれたわけではない。防ぐことができた死亡事故である。
鹿児島県ではこの梅雨で多いところでは平年の3倍の雨が降り、甚大な災害が起きてもおかしくなかった。実際、土砂崩れは県内の70箇所で発生している。それなのになぜ死者が出なかったのか。それは、土砂崩れが起きても、そこに人が居なかった、つまり「運がよかった」からである。ではなぜ人が居る場所で土砂崩れが起きなかったのか。それは人が居る場所で土砂崩れが起きないように、行政が防災対策を行い、土砂崩れが起きそうな場所の住人は、自主的に避難したからである。つまりこの運は「天から降ってきた」のではなく、「人間の努力で掴んだ」ものなのだ。

死者9名の新潟県中越沖地震

新潟県中越沖地震でも、67名が亡くなった3年前の新潟県中越地震と同じ最大震度6強という大きな地震にも関わらず、死者9名ですんでいる。これも休日の朝という「運」もあっただろうが、やはり行政の地震対策や、住民の防災意識の向上が功を奏したに違いない。

減災が期待される「緊急地震速報

大きな揺れが到着する直前に予想震度を知らせる気象庁緊急地震速報。16日の新潟県中越沖地震でもシステムは稼働し、震度6強だった長野県飯綱町では揺れが来る16秒前に、速報を出すことに成功した。
しかし、今春から始まる予定だった、放送などを通じた一般市民への情報提供は「周知が不十分」として10月に延期。今回の地震で速報は、被災者には届けられなかった。

産経ニュース

10月からの一般提供を前に気象庁が盛んにPRしているのが「緊急地震速報」。中学校の理科で習った「P波・S波」の違いを利用し、本格的な揺れが来る前に知らせようというものだ。今回の場合震源から100km離れた長野県飯綱町に16秒前に速報できた。

わずか16秒では避難などはできない。しかし料理をしていたなら火を止めることができるし、倒れそうなタンスのそばから離れるくらいはできる。何より「来る」とわかっているのと、そうでないのでは大きな差があるだろう。だが、パニックを起こしてはどうにもならない。そのために周知徹底を図ることが重要なのだ。メディアの協力が必要だろう。

自然災害は防ぐことはできない。でも被害を減らすことはできる

この国に住んでいる以上、台風や地震などの自然災害から逃れることはできない。どんなに科学技術が進んでも、自然をコントロールすることなど絶対できないだろう。しかし、災害から身を守り、被害を最小限に食い止めることならできるはずだ。もし、日本以外の国でこれだけの災害が発生したら、被災者の数は何倍にもなることだろう。しかし、我々日本人は諦めない。必ずできると信じ、日夜努力している日本人がいるのだから。

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