メザニン号漂流記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2013-09-14

湯元 長座 (岐阜県・福地温泉)

奥飛騨温泉スタイルの典型を示す、というより、この宿がその典型を生み出したといってもいい福地温泉の名宿。近年ここのスタイルを参考にした宿が増えたので選択肢が増え、以前より長座に客が集中しにくくなったせいか、ハイシーズン、休前日でなければ、一人泊も簡単にできるようになりました。


f:id:TOOFAR2:20130519141603j:image


■ 湯元 長座

■ 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷福地786

■ 0578-89-0099

■ http://www.cyouza.com

■ 源泉掛け流し

■ 一人泊:可能(週末等は困難)


東京から奥飛騨は正直、遠い。新宿から松本まで特急で約3時間、松本からバスで平湯温泉まで約1.5時間。平湯から福地温泉までは近いのですがバス便が少ないのでタクシー約10分。公共交通機関を使った場合、乗り換え時間も考えると5,6時間かかります。それでも年に一度は泊まりにいきたくなる魅力の温泉地。


越後の豪農の住まいを移築したという「長座」。どっしりとした重厚感がありますが、不思議と周囲に溶け込んでいて威圧感はまったくありません。エントランスは民芸調を基本としつつ大きな窓から緑をとりこみすっきりした軽妙さをとりこむ。一方で囲炉裏に熊の毛皮敷と野趣も満点。


今回の部屋は小さな囲炉裏つきの、この宿としては比較的こじまんりとしたタイプ。一人なら十分な広さ。窓の外には水車や池が間近にみえ涼しい空気が漂っています。


この宿の最大のお目当ては大浴場内風呂。見事にウッディーな品格のある浴室。近年、形はそのままに木を新しくいれかえてリニューアル。清々しさも兼備しています。いろいろな浴槽浴室をみてきましたが、長座大浴場内風呂の完成度に匹敵するレベルとなると滅多にありません。浴槽は木の板で仕切られ温度に差がつけられています。適温の掛け流し。天皇泉と自称するだけの気品に満ちた湯質。


風呂がたくさんあります。大浴場内風呂の横には奥飛騨名物の巨大な露天。館内には三カ所の貸切風呂があり、空いていればいつでも入浴可能。貸切エリアはやや離れたところにありますが、そこに迎う通路の入り口に使用中だと点灯するランプが設置されているのでわざわざ貸切エリアに向かわなくても確認できます。


貸切風呂はいずれも内風呂と露天を併設。微妙に大きさが異なりますが、どれも基本は同じ雰囲気。湯口からは大量の源泉が投入されていて鮮度は抜群です。


これだけでも手一杯なのにこの宿、さらに贅沢にも「別風呂」が宿から離れたところに設けられています。川原の湯と名付けられ、文字通り眼下に川と緑を従える半露天。湯質も本館の湯とは違うのでぜひにも入浴ということになります。こちらは時間制限もあるので忙しい。


食事は専用の囲炉裏端個室で。飛騨牛はじめ地元の食材がたっぷり供されます。変に新しさを追求するわけでもなく田舎料理とひらきなおることもない。奥飛騨独特の率直な料理。温泉ともども定期的に口にしたくなる魅力があります。宿のご主人によるご挨拶も健在。一人客にもわけへだてありません(正直、ちょっと恥ずかしいのですが)。


贅沢な風呂三昧と囲炉裏料理、そしてプライベートをさりげなく大事にしてくれるもてなしと宿の設え。これが奥飛騨スタイル。いずれも長座はいつも万全に保って迎えてくれます。ここは大事にしたい宿。

f:id:TOOFAR2:20130519171644j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519171748j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519135900j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519135922j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519140949j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519141829j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519142023j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519142244j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519145321j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519145411j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519150820j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519171619j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519164819j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519164837j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519165317j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519180542j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519180952j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519180959j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130519183018j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130520052712j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130520084747j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130520085333j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130520100908j:image:medium:left

D

2013-09-06

仙仁温泉 岩の湯 (長野県・仙仁温泉)

予約至難の人気宿として有名なこの旅館。たしかに非日常的な快楽を約束してくれますが、「もう一度行くか」と問われると、答えは微妙。ぶらり一人旅派なので予約の面倒がなによりその理由ですが、「きちんと温泉に入った」という実感がわかないのです。


f:id:TOOFAR2:20130324143952j:image



■ 仙仁(せに)温泉 岩の湯 

■ 長野県須坂市仁礼 仙仁温泉

■ 026-245-2453

■ 一人泊: 確認したことはありませんが多分不可




須坂駅から仙仁温泉行きのバスが出ていますが本数が少なく不便。タクシーで向かいました。20分くらい。


草庵風のエントランスを入るとアンティーク調のロビー。とってつけたようなところがなく過度に高級感を演出してもいないので好感がもてます。丁寧につくられたお菓子などでチェックイン時からもてなし感も万全。


今回は離れ風の広々とした部屋。専用の中庭や風呂もついていてゆったりくつろげました。もちろん安くはありません。3万円代前半。休前日料金。


風呂がたくさんあります。パブリック風呂として内風呂と露天、それに大名物「洞窟風呂」。さらに貸切風呂が3つ。予約は不要。


洞窟風呂は自然の地形を活かした複雑な造り。奥から湯の川が滝のようにながれこむ。34度と泉温が低いのでいくらでも入っていられます。最奥までは岩を登ってたどり着く。光はほとんどなくちょっとしたアドベンチャー。混浴なので簡易水着をつけて入浴します。無色透明の単純温泉。やさしい肌触りです。


ぬるめの新鮮湯はもともと大好物。だから本来はとても気に入るはずなのです。しかし、どうも落ち着かない。ザーザーと響く湯滝の音。ほのぐらいカラー照明の演出。シンプルな四角い浴槽にこの大量な源泉をしずかにそして大胆に流し込んでくれていたらどんなに素晴らしい湯になるか。


洞窟風呂の手前にある内風呂、露天。これはシンプルで格調高いデザイン。落ち着きます。しかし掛け流しとはいえ、加温されているため湯量はほどほど。貸切風呂も同様です。惜しい。これらの浴槽のどれか一つでも新鮮ぬる湯のみを大量に掛け流すものがあればどんなに落ち着くか。


夕食は専用のエリアの個室で供されます。地元の食材を丁寧に新鮮に調理した皿が一品一品運ばれてくる。しかし料理を目当てにするほどの美味はありません。ややゆっくりすぎる配膳。2時間くらいかかります。むしろ和洋おりまぜた朝食の方に感銘を受けました。


「日本秘湯を守る会」の宿。スタンプも当然に押してくれます。スタンプ帳が完成したらここも無料宿泊候補。しかし、この宿と、例えば北海道のこじんまりとした安宿が同列に扱われてしまうのはかなり無理を感じます。岩の湯に一回泊まり、残りは1万円前後の安宿でスタンプを集め、無料宿泊は岩の湯へ。そんな仕組みだから予約もとりにくくなる。


盆暮正月を休みにしてESに配慮している宿としても有名。さらにここはこまめにメンテナンス、リニューアルを繰り返すため休業日が多くなります。そんなことも予約をとりにくくさせている原因。


記念に一度は泊まっても良いかも。しかしリピーターになるほどの魅力を感じません。もっともシンプルに34℃の源泉をドバドバ掛け流す浴槽をつくってくれたら、おおいに再訪を検討したくなる宿ではあります。


f:id:TOOFAR2:20130325090905j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130324144335j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130324144559j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130324144701j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130324151330j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130324183323j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130324190948j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130324143727j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130324141503j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130324140154j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130324140038j:image:medium:left

2013-04-20

ホテル 花小宿 (兵庫県・有馬温泉)

割高ながら有馬の中では一人泊しやすい宿として気に入っていました。しかし、宿泊するたびにだんだん不満がつのり...


f:id:TOOFAR2:20121109143915j:image


■ ホテル 花小宿

■ 神戸市北区有馬町1007

■ http://hanakoyado.com

■ 源泉掛け流し(とはいえ湯使いには疑問)

■ 一人泊:可




経営は老舗御所坊。古くなって廃業した宿を御所坊の経営者が買い取りお洒落なアンティーク古民家風ホテルに再生させたことで開業当時、話題になりました。ユニークなのはルームチャージ制を採用したことで、一人でも多人数でも部屋料金は不変。結果、通年一人泊がしやすく、有馬にしては使い勝手の良い宿となりました。開業から間もない頃は予約時内金前払制をとっていましたが現在は普通に予約できます。


近くにある御所坊の浴場を15時から20時まで花小宿の客も使うことができます。御所坊の浴場は半混浴。どことなく官能的。赤茶けた濃厚な湯が満ちていてお気に入り。花小宿に泊まる愉しみの一つでした。


花小宿には浴室が二つあります。いずれも貸切方式。金泉と普通湯の浴槽がくみあわされている。


今回、この宿に愛想をつかす原因となったのはこの貸切風呂、金泉浴槽の扱い。以前は追加源泉投入方式でそれなりに鮮度が保たれていたのですが、今回はどうしたことか、湯がまったく溢れません。チェックインした直後は良かったのですが、次第に表面には脂汚れによる泡が浮かび、深夜にはとても入れたものではない状態になっていました。


風呂が駄目になったら、他に価値があまりない宿ということに気がつきます。


もう何度も泊まっているのに、まったく客のデータベースが整備されていない。泊まるたびにきっちり宿帳をかかされ、丁寧に各種注意事項の説明がはじまる。途中で「何度も宿泊したことがあります」と説明をさえぎってようやく面倒な時間を短縮。半年前にも泊まりましたが、そのときも同じ対応。どうやら旅行代理店が違うと客データの名寄せができなくなるようです。ということでチェックイン時の対応がまず気に入らない。


部屋はアンティーク調に整備されていて広々。ツインのベッドタイプの部屋が多いようです。しかし置かれているテレビは年代物の小型液晶で画面はとても暗い。リモコンも作動せず画質の調整すらできません。まあテレビは不可欠なものではないので消しておけば良いと今まで割り切っていました。


しかし、防音がとにかく弱い。これはダメージありです。隣室の話し声が始終通奏低音のように聞こえます。防音の悪さは本館御所坊も同じ。木造建築の良さを残すにしてもあまりにもうるさい。一応、静かにすごすように注意書きがあるのですが、地声の大きい人には効き目なし。今回の隣室客はバカでかい音声のオヤジ。困りました。一方、空調はメンテナンスがほとんどされていないのか、作動音が盛大に響きます。


アメニティーについてわたしはあまり拘らないのですが、カミソリすらオプションというのは2万円台後半の宿としてどうしたものかなあといつも感じていました。この宿にくるときはシェーバーをわすれずに持ってこないといけない。


食事はつけようとおもえばつけられます。カウンター割烹風の食事処で供される。一見おいしそうな雰囲気なのですが、別段おどろくような美味はなく、むしろ割高感が強い。無愛想な調理場の人たち。いかにも目の前でつくっているようにみえますが、刺身と焼き物以外は基本的にタッパーにつくりおかれたものをならべているだけです。いろんなコースがあってメインが客によって違います。一度、丁寧に肉料理の調味料を準備され、料理の説明を受けた後に「お客さまは別コースなので肉はつきません」と調味セットをさげられたことがありました。うーん、気持ちのよいものではあきらかにありません。


有馬では貴重な金泉掛け流しの一人泊許容宿として重宝してきましたが、一旦温泉自体の扱いに疑問がわくと他の不満をカバーできなくなります。温泉が温泉宿の核心。これが揺らぐとなにもかも「許せた」ものが「許しがたい」と変容します。


この宿、もう、行くことはありません。残念。


f:id:TOOFAR2:20121109162603j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20121109144305j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20121109162207j:image:medium:left

2013-03-05

別邸 仙寿庵 (群馬県 水上温泉郷 谷川温泉)

温泉の扱い方では近隣の水上山荘や金盛館せせらぎにやや劣りますが、値段相応の快適さが約束されているという点で、やはり、水上エリア随一の高級宿。平日なら一人泊可能です。それなりに高くはつきますけれど。

f:id:TOOFAR2:20130304144615j:image


■ 別邸 仙寿庵

■ 群馬県利根郡みなかみ町谷川西平614 (JR水上駅から送迎あり。要予約。)

■ 0278-20-4141

■ http://www.senjyuan.jp/index.html

■ 部屋付き風呂のみ源泉掛け流し (加温有り・加水なし)

■ 一人泊可能(休前日は困難)


別邸 仙寿庵

食べログ 別邸 仙寿庵

水上温泉郷の中でも谷川温泉は個性的な上質宿が数軒点在。谷川岳が壮麗に迫る雰囲気も素晴らしく定期的に訪れたくなる温泉地です。「別邸 仙寿庵」は水上を代表するハイクラスな名宿。しかし、スタッフは若手主体で意外と敷居が低く、一人客でも全く問題なくくつろげます。値段は平日4万円台覚悟ですが、とんでもないプライシングで驚かす伊香保あたりの高級大人宿より納得感があります。


水上駅まで送迎車が来てくれます。事前に電話で駅に着く時間を伝えておけばOK。この宿、13時にチェックインできます。チェックアウトは11時なので22時間ステイが可能。せっかくですから、なるべく早く到着し、ゆっくり出る。これがこの宿の楽しみ方の基本ではないかと。


到着するとお茶とお菓子で一服。部屋まで案内されるまでちょっと時間がかかります。なんとしても一刻も早く風呂に入りたいわたくしとしてはややまどろっこしい感じも。さっさと入浴したい場合はチェックイン時の儀式を省略したい旨、つたえておくのが良いかもしれません。


部屋は一人泊にはもうもったいないくらいの広さ。広すぎてとまどってしまうくらいです。はめごろしの大きいガラス窓から谷川岳が身近に開放的に感得できる設え。モダンなパブリックスペースに比べ、部屋は和風の典型を基本としていて構えたデザイン性がない。それが逆に落ち着く。部屋に入ってからも温めたお饅頭が供されたりとなかなか入浴タイムに至らないので困りましたが、精一杯のもてなしの誠実さが伝わります。


さて、風呂です。


全室に専用の露天がついています。今回の部屋は谷川岳を借景として存分に味わえる絶好の位置に風呂が設けられていました。極楽の孤独湯を堪能。何度も入りすぎて最終的に完全に湯疲れ。pH8.4の弱アルカリ性単純温泉。源泉温度は42℃あまり。寒い時季は加温が必要。この日も湯口付近では45℃くらいに調整され、全体として熱めの適温になっていました。フロントに好みを伝えれば温度を変えてくれるそうです。


谷川温泉は無色透明の単純温泉が主流。仙寿庵の奥にある金盛館せせらぎや水上山荘も同様です。湯質の点でみると仙寿庵は残念ながらこのエリアの宿の中ではやや物足りない。異なる温度の源泉を巧みにブレンドして適温化をはかっている「せせらぎ」や「山荘」にくらべると湯の香り、肌触り、いずれも加温のダメージがほんのわずかですが影響しているようです。


さらに残念なのがパブリック風呂。男女交代制で二種類。それぞれ内風呂と露天をそなえています。いずれも格調高いデザイン。谷川に向かって作られた露天は底が深い。玉石が敷き詰められ、風情もまずまずです。しかし、循環装置が活躍。オゾン殺菌なので塩素害はなく、もともとさほど混み合う風呂でもないので一定の湯質は保たれています。でも、湯口から出る湯はやはり生源泉そのものであってほしい。追加源泉の量は見た目ではわかりませんが、大量といえるものではく、湯尻からほとんど湯が溢れません。部屋付きの風呂は掛け流しで、そちらに湯量の大半を割いているのかもしれませんが、浴室自体が高水準だけに惜しい。


夕、朝とも食事は専用の個室で供されます。この宿は修善寺の「あさば」や「強羅花壇」と同様にルレ・エ・シャトーに加盟しているほどの美食を看板とした宿。ただ、たとえば「あさば」等に比べると、カジュアルさが良い部分もありますが、やや向上の余地ありといったレベル。今回はきんきの煮付けが美味でしたが、他のお皿は3万円台の宿の平均水準にとどまりました。


弥生の献立は以下の通り。


■ 食前酒: 冷やし梅酒

■ 前菜: 伊勢海老チリソース掛け、大徳寺麩オランダ煮、鮃コノワタ和へ その他

■ お造里: 本鮪トロ、真鯛、カンパチ、帆立貝

■ 土瓶蒸し

■ 煮物: 生キンキ煮付け

■ 焼物: 本鰆ケンチン焼き きな粉麩

■ 小鍋: 上州黒毛和牛しゃぶしゃぶ

■ 酢の物代わり: アロエベラと鮫コラーゲンのヘルシーサラダ 塩麹ドレッシング

■ 食事: 「ギンヒカリ」利尻昆布〆箱寿司

■ 香の物、上州ちぎりっこ汁

■ デザート:  自家製胡麻アイス、スイカ、苺 その他


上州の宿らしく大変な量です。食べきることを前提としていないのでお腹の具合をみて適度に整理しながら食すことになります。でもでも夜中になると腹が減る。そんな温泉宿特有の困った事態にこの宿はしっかり対応していて、夜食のちまきが用意されています。部屋にそなえつけられたIH加熱器で蒸したての味を楽しむことができる。このあたりは出来すぎたホスピタリティを感じます。


中庭の雪道を歩くと離れの読書室があり、暖炉の煙の香ばしさを楽しむことも。谷川岳の空気を感じながら実にゆったりとした時間を過ごすことができます。コストパフォーマンスを追求する向きには納得感が乏しい宿かもしれませんが、谷川岳を独り占めできる孤独部屋温泉の愉悦は得難い価値。


f:id:TOOFAR2:20130305111012j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130305083648j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130305083356j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130305080308j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130305080231j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304190313j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304184225j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304182646j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304181900j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304180151j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304162808j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304144031j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304141623j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304133031j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304132731j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304132602j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304131808j:image:medium:left

f:id:TOOFAR2:20130304130109j:image:medium:left

D

2013-01-05

カラヤン&BPO ブラームス交響曲第2番、第3番 SACD(1977,78 DG)

真空のガラスケースにとじこめられた絶美のブラームス。驚異的な合奏力が生み出した「箱庭の美」に戸惑いつつも、耳が響きから離れられなくなってしまう。70年代後半におけるカラヤンの典型的な録音美意識が凝縮された一枚です。



 ■ ブラームス: 交響曲第2番 ニ長調 作品73

 ■ ブラームス: 交響曲第3番 ヘ長調 作品90


   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

   指揮: ヘルベルト・フォン・カラヤン

   ユニバーサル クラシックス&ジャズ (DG)  UCGG-9058




再生が難しいディスクです。SACDシングルレイヤー化によって、ダイナミックレンジが大きく広がり、楽器の定位がクリアーに決まる良さがある反面、最強音の再生レベルを勘案してボリュームを設定すると平常時の音感に物足りなさを感じてしまう。例えば第2交響曲は最終楽章のコーダに最も強い合奏が現れます。カラヤンも存分にそれを開放。それまでの楽章を普段より少しボリュームを高めにして聴いていると最後に近所迷惑になるくらい豪華なサウンドが出現し、慌ててしまうことになります。CDではレンジを再生しやすいように、いくばくかの調整が行われていたのでしょう。


定位が抜群によくなり情報量が増えたために、第3交響曲第3楽章の途中で物を落とすような音がはっきり拾われてしまっていて、案外無頓着にテイクを採用していたことがわかります。つぎはぎのテープ編集で録音をしあげているのではないかと誹られたカラヤン。本当に編集作業で修正を徹底していたならばこのようなあきらかな瑕疵雑音を残すはずがありません。


それはともかく、呆れるばかりの合奏力です。BPOの弦はパート単位で、まるで一つの楽器に収斂。雑味がほとんど感じられません。弦群の残響があまりとられていないために旋律の稜線が際立って前面に展開。木管群をやや抑えめに響かせつつ全体をレガートで整い尽くすカラヤンの秘術があからさまに捉えられています。SACDによってそれがあまりにもあからさますぎるために不思議と響きの枠組みが以前より小さくまとまってしまうような錯覚を覚えるほど。「箱庭の美」と冒頭に申し上げたのはそういう印象から。


第2交響曲は4つの交響曲の中で最もカラヤンの特性が活きる作品。ただこの曲については60年代、最初にDGで完成させた全集の方が十全にグラマラス。バチがあたりそうなくらい艶やかで豊かなブラームスでした。70年代、二度目の全集では前述したようにBPOの性能を想像を絶するくらい高め活かしつつ、よくいわれるように「室内楽的」なサウンドとスタイリッシュな造形が意識されています。自然で質実な美をこの作曲家に求めるとするならば、その対極にある工芸品的演奏。


77年から78年、指揮者が70歳代を迎える直前の録音。この時点からあと10年、カラヤンには時間が残されていたわけですが、いくら指揮者という職業が長寿傾向であるとはいえ、人としての寿命を意識せざるをえない70歳代に至った段階で独自の美意識による成果を徹底的に完成度を高めて記録しておきたかったのではないかと想像しています。80年代、最後のブラームス全集ではライヴの勢いと雑さをあえてそのままとしたカラヤン。それができたのも70年代のこの録音において一つの到達点をすでに記録してしまっていたからなのかもしれません。

2011 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2012 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2013 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |