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2007/01/08/Mon

[][][]『NANA2』の失敗と日本映画の今後

 mixiの『NANA』コミュを観ていると、映画『NANA2』の評判があんまり良くないようだ。未確認だが、興行もきっと良くないのだろう。

 コミュへの書き込みは、ほとんどがキャスティングの正否の話で、今回は前作から変更となったふたり「シンちゃん○、ハチ×」という評判だ。

 ただそれよりもなによりも、書き込みがさほど多くなく、トピックが盛り上がってないことのほうが問題だ。『1』のときは、なんだかんだ言っても批判も含めて話題になった。しかし今回はあまり話題にならない。これにはいくつか理由があると考えられるが、まとめると以下の3つだろうか。

〈1〉プロモーションの失敗

 試写が始まったのは、公開1週間前とのこと。これじゃプロモーション期間短すぎ。撮影も10月くらいまでやっていたのだとか。

〈2〉前作への不満

 『1』は興行的には大成功したし、CDのセールスもかなり稼いだのだけども、作品としてはやっぱり客が十分満足できる作品ではなかった(大失敗と言えるほどでもないのだが)。これが『2』にも影響を来たしていることが考えられる。とくに男性キャラのキャスティングが大失敗。シンちゃんが登場したとき、劇場でどよめきが起こったという話も耳にした。

〈3〉“話題作”に対する免疫

 一部のマニアを除けば、映画のほとんどは家族や恋人と観に行くものだが、この選択時に消去法で残りやすいのがメジャーの“話題作”だ。たとえば恋人同士で映画を観に行く際に『パイレーツ・オブ・カビリアン』と『木更津キャッツアイ』で意見が分かれた場合、消去法で「じゃあ『NANA』にしようか?」というふうにデート映画は“話題作”に決まったりする。こういうときにマンガなどを原作としたよく知られている“話題作”には非常にアドヴァンテージがあったはずだ。だが、それが機能しなくなっているのではないか。つまり、“話題作”の免疫が客の多くにできたのではないか。

 実際、ほとんどのマンガ原作の映画は、客がマンガとの「答合わせ」をしに行くという感じだ。『NANA』の場合も、キャラクターからストーリーから、さらにはセリフまでも非常に忠実に映像化している。だからこそ、お客さんはキャラの正否の話ばかりしかしないし、そのほとんどが不満を口にする。ただし、ここでのキャスティング批判は「答合わせ映画」では十分に目的を達成しているのだ。劇場映画は作品単体の質を吟味するためだけでなく、デートのためのコミュニケーションツールであるからだ。

 しかし、ひとつの作品で二度も答合わせを楽しみに行く客は、当然多いはずがない。一回で十分だ。『2』が成功しなかったのは、このような理由があると推察できる。

 さて、『NANA2』にかぎらず、マンガ原作の“話題作”は今後いつまで通用し続けるのだろうか。昨年は『DEATH NOTE』もあり、まだまだ有名なマンガ原作映画は十分に稼ぎ頭となっている。再来年には『20世紀少年』と大作も控えている。映画化という話題づくりによってさらに原作がヒットするという相乗効果もあり、出版社にとってはデメリットはまったくない。この傾向は今年も続くであろう。

 だが、そろそろ「答合わせ」のために観に行くよりも、ストーリーを知らない映画を観に行こうという話になるんではないか。カップルが会話ネタを見つけるだけなら、レンタルで十分だからだ。

 もちろん、原作を上手くアレンジしたいい映画もたくさんある。しかし、「製作委員会」システムのために原作者や版元の脚本チェックが厳しくなっているため、大幅なアレンジもしにくくなっているのが実状だ。『ALWAYS』みたいにアレンジしないと映画として成立しないような作品のほうが逆に上手くいったりもしている。たとえば1月公開の『どろろ』などは、若い世代には原作を知らないひとも多く、かなりアレンジを必要とされるから、出来さえ良ければ意外と大ヒットするかもしれない。妻夫木聡と柴咲コウという若手実力派のふたりがメインなので、お芝居は安定しているはずだ。

 ただ、個人的にはオリジナル脚本の作品をもっと観たい。オリジナル脚本は知名度がなくプロモーションしにくいために敬遠される傾向にあるが、それは端的にいえば日本映画界にプロモーション能力がないことの証左でもある。ここは広報部の方々に頑張って欲しいところだ。ただ、それ以前にタイトルがひどい作品も多い。『UDON』(大コケ)なんてタイトルの映画をだれが観たいと思うのか。

 なにはともあれ、今年の日本映画界がどういう“次の一手”を見せてくれるか、見どころである。