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2010/04/19/Mon

[]『アリス・イン・ワンダーランド』監督:ティム・バートン(2010年)

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 ティム・バートン監督の3D映画。『不思議の国のアリス』をモチーフに、19歳のアリスが「不思議の国」に迷い込む物語。ティム・バートンらしさが随所に出ている佳作だが、3Dの特性を活かしきれていない。2Dで観ればより楽しめるはず。

 イケてない男の求婚から逃げ出した19歳のアリス(ミア・ワシコウスカ)は、うさぎの穴に落ちてしまう。そこは「アンダーランド」と呼ばれる不思議の国だった。不思議の国は赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)に支配されており、マッドハッター(ジョニー・デップ)は、預言の書に書かれた救世主としてアリスを待っていた。そして、マッドハッターはアリスを連れて白の女王(アン・ハサウェイ)のところへ向かうが……。

 ティム・バートンらしい奇妙な世界観を3Dで体験できるということで、やはり期待は大きかった。が、すごく中途半端な出来になっている。それは、そもそもは予定されていなかった3D映画にしてしまったことが最大の原因だ。

 3Dとしての失敗とは、あの頻繁なカット割りだ。会話のシーンなどでは、登場人物が相互に映される。2Dであれば通常のカット割りだが、3Dで観ている観賞者は意識を散らされてしまう。カットが替わるたびに、画面の奥行き感覚がリセットされ、観賞者は新たな奥行きに眼を慣らすことを要されるからだ。カットが替わっても、被写界深度(奥行きのボケ具合)が一定ならば違和感がなかったはずだが、カット割りで画角も奥行きも違うので、カットが替わるたびに脳内リセットがかかる。

 ストーリーも、こうしたカット割りに集中力を奪われ、なかなか頭に入ってこない。物語は決して複雑ではなく、『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』をモチーフとしているので、わかりにくくはない。しかし、映像に気を取られて物語に集中できないのだ。結論的に言えば、この作品は3Dで観ないほうがいい。2Dで十分、というよりも2D向きだ。

 物語構成は、完全に不要なキャラクターがひとりいる。白の女王だ。邪魔ではないが、いなくても物語は成立する。あるいはアリスが白の女王のポジションに収まるようなシナリオにもできたはずだ。もちろんそれは、アリスをジャンヌ・ダルクとして描きたかったバートンの意図には適合しないのだが、白の女王の存在がやはり唐突なのである。

 ティム・バートン独特の世界観は、十分に堪能できる。チェシャ猫や双子の兄弟などのCGで創られたの生き物だけでなく、マッドハッターやアン・ハサウェイ演じた白の女王の衣装やメイク、そしてなによりも顔だけが大きい赤の女王の珍妙さなどたまらない。クライマックスに登場する兵士たちの造型も非常に良い。が、しかし、残念なのはラスボスのデザインだ。これがまるでバートンらしくなく、凡庸なモンスターなのだ(あの階段落ちのイヤらしさは面白いのだけど)。

 かように、この作品は3Dとしてはイマイチだけれども、ティム・バートン作品としてはそれなりの佳作となっている。周囲には「2Dで観たほうがいい。と言っても、どうせ3Dで観るだろうけど」と薦めているが。

 最後に、このこの作品が反面教師的に教えてくれたのは、『アバター』(→レビュー)が、いかに3Dに特化した創りをしていたかということだ。カット割りや被写界深度と画角の一定化など、『アリス〜』が見せた3D表現の課題はとても多い。

監督:ティム・バートン/製作:リチャード・D・ザナック、ジョー・ロス、スザンヌ・トッド、ジェニファー・トッド/製作総指揮:クリス・レベンゾン/原作:ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』/『鏡の国のアリス』/脚本:リンダ・ウールヴァートン/撮影:ダリウス・ウォルスキー/衣装デザイン:コリーン・アトウッド/編集:クリス・レベンゾン/音楽:ダニー・エルフマン/シニア視覚効果監修:ケン・ラルストン/出演:ミア・ワシコウスカ、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アン・ハサウェイ、クリスピン・グローヴァー、マット・ルーカス/声の出演:アラン・リックマンマイケル・シーン、スティーヴン・フライ、ティモシー・スポール、ポール・ホワイトハウス、バーバラ・ウィンザー、マイケル・ガフ、クリストファー・リー/制作プロダクション:Roth Films、The Zanuck Company、Team Todd/日米配給:ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ/原題:"Alice in Wonderland"/2010年4月17日公開/108分

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