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2010/05/16/Sun

[]『(500)日のサマー』監督:マーク・ウェブ(2009年)

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 ずいぶん前に公開されたが、素晴らしい恋愛青春映画。ここ数年の恋愛映画のなかでも出色の出来だ。観るひとのや世代によって、さまざまな観方ができる。

 運命の恋を信じるロマンティストのトム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。彼が勤める会社に、サマー(ゾーイ・デシャネル)という美人女性が入社してくる。スミスの音楽をきっかけに会話を交わしたふたりは、コピー室のいきなりのキスで深い関係となる。とは言え、サマーはその関係を「恋愛」とはせず、ふたりは「友達」の関係のまま続く。

 こうしたふたりの500日間に渡るエピソードが、ランダムに構成され、トムの視点から描写される。サマーは、当初からその関係が「友達」であると言明し、トムはデートやエッチをしていても恋人になれないことへ苛立つ。その結末は、映画の冒頭でトムがサマーにフラれたと明示されている。この映画で描かれるのは、その関係が始まって終わるまでのプロセスである。

 ふたりは、日本でも非常に親しみの持てるキャラクターだ。トムはロマンチストで、いつもチョッキを着た軟弱な雰囲気。いわゆる草食系男子だ。対してサマーは、可愛いファッションではあるが、けっこう普通の子でリアリスト。

 恋愛物語としては、よくある話だ。しかし、よくある話だからこそ、観るひとの感情移入を誘う。観賞者は、やはり過去の自らの恋愛に重ねてこの作品を観てしまう。

 たとえば、IKEAでいちゃつくシーン。あそこまでイチャイチャするかはともかく、恋人と無印良品に行きベッドやソファーに座って、結婚や同棲の淡い夢想をしたひとはたくさんいるはずだ。恥ずかしくも懐かしいそうした記憶をあのシーンは鮮明に思い起こさせる。

 映画としては、時間軸をランダムに構成したところがポイントだ。500日の長期間で、両者の関係性がどのように変わったか、そのコントラストを巧みに見せていく。物語自体はよくある話なので、構成で観せていると言ってもいい。実は、けっこう技巧派の映画だ。

 個人的には、トムの視線を通して描かれるサマーの気持ちがよりわかってしまった。それは、まだあまり古くなっていない記憶に近いからだろう。サマーは気まぐれではなくリアリストで、だからこそロマンティストとは付き合い続けることができない。結果、ハッキリと決断をする。きっとトムがそれを優しさだと気づくには、あと二段階ほどの経験が必要だろう。もちろん、そう思うのは、トムにとてもむかしの自分の姿を重ねてしまうからだ。

 かように、この映画は観るひとの恋愛経験によって、見え方が異なるはずだ。ただ、若い頃にこの映画があるということは、とても幸せだろうなと、ちょっと切なく思った。いろいろ反省させられ、そして気づかされることも多かっただろうな、と。

 なお、映画館からの帰りのエレベーターで、かなり綺麗な20代後半の女性と二人きりになった。「キタコレ!!!」と高まったが、ドアが閉まりかけたときに、小太りのオバサンがドアを開けて入ってきやがった。これが現実である(笑)。

監督:マーク・ウェブ/製作:マーク・ウォーターズ、ジェエシカ・タッキンスキー、メイソン・ノヴィック、スティーヴン・J・ウルフ/脚本:スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー/撮影:エリック・スティールバーグ/衣装デザイン:ホープ・ハナフィン/編集:アラン・エドワード・ベル/音楽:マイケル・ダナ、ロブ・シモンセン/音楽監修:アンドレア・フォン・フォースター/出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ゾーイ・デシャネル、ジェフリー・エアンド、マシュー・グレイ・ガブラー、クロエ・グレース・モレッツ、クラーク・グレッグ、レイチェル・ボストン、ミンカ・ケリー、パトリシア・ベルチャー、イアン・リード・ケスラー、オリヴィア・ハワード・バッグ、イヴェット・ニコール・ブラウン/日本配給:20世紀フォックス/北米配給:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ/原題:"(500) Days of Summer"/2010年1月9日公開/96分

500 Days of Summer

500 Days of Summer