『プンサンケ』

キム・ギドク作品に衝撃を受けて飛び込みで助監督を務めた経緯を持つチョン・ジェンホン監督による長編2作目。製作総指揮と脚本はキム・ギドク
南北分断国家だからこそ描ける、その切実で悲痛な願いと希望で満ちた想いを言葉語らぬ主人公の身体ひとつに託しながら、彼が出会う“愛情”のゆくえに胸をかきむしられるような苦しさを覚える傑作。製作者たちのひたむきで純粋な祈りを背負って具現化する主人公プンサンケと彼と恋に落ちるイノクの想いを阻む、南北両サイドそれぞれの立場に立つ人々のなんと愚かなことか。思想に盲目とも言える彼らの行動はあまりに滑稽で、その滑稽さがこの問題の根深さを浮き彫りにさせてもいる。
そんな重いテーマをアクション・エンタテイメントというオブラートに包んでみせるチョン・ジェホン監督の手腕に感嘆する。おそらく低予算で製作されていて撮影期間は昼夜を問わず25日間、しかもキャスト・スタッフともほぼノーギャラで製作されているとのこと。ちなみにオダギリジョーカメオ出演している。しっかし、よくもこんなストーリーを考えつくものだと、改めて韓国映画界の懐の深さをまざまざと見せつけられる思いがした。


8月18日 公開
原題:豊山犬 / 英語題:Poongsan
監督:チェン・ジェホン
出演:ユン・ゲサン/キム・ギュリ/キム・ジョンス
製作総指揮・脚本:キム・ギドク 撮影:イ・ジョンイン 美術:イ・ジョンゴン 編集:シン・チョル 音楽:キム・サンウ

【ストーリー】
38度線を飛び越えてソウルとピョンヤンを行き来し、3時間以内に何でも配達する正体不明の男、通称“プンサンケ”。北朝鮮製の煙草・豊山犬(プンサンケ)を吸うことから、男はそう呼ばれていた。彼が運ぶのは、離散家族の最期の手紙やビデオメッセージだ。ある時、亡命した北朝鮮元高官の愛人イノクをソウルに連れてくるという依頼が舞い込む。境界線で何度も命の危機にさらされるうち、プンサンケとイノクは互いに言い知れぬ感情を抱くようになる。無事イノクを引き渡したプンサンケだったが、依頼者の韓国情報員に拘束され、卑劣な拷問を受ける。さらに、元高官を殺すためソウルに潜伏していた北朝鮮工作員までもが介入し、先の見えない衝撃の結末へ突入していく。

配給:太秦
2011年/韓国/121分/カラー/ビスタ/ドルビー/HD/
(C)2011 KIM Ki-duk Films. All Rights Reserved.

公式サイト http://www.u-picc.com/poongsan/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2012-3rd/poongsan/

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