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ひみつシリーズ等 学習漫画大全(仮) このページをアンテナに追加 RSSフィード

学習漫画レビュー置き場。(あんま頻繁に更新できそうにない)

2010-12-31

2009-05-14

[][]恐竜のひみつ(旧版)

恐竜のひみつ(旧版)

  • 作成:2002/8/19 最終更新:2003/08/21
  • 著者:川崎てつお
  • 初版:昭和47年11月25日

ストーリー、構成

一、恐竜はかいじゅうのなかまか

 神田はかせの家(研究所?)で怪獣映画を見ている だいすけ(主人公?)、よしぼう (だいすけの弟)、ルミ子(神田はかせの孫)、ニャーゴ(はかせのうちのネコ)達。 怪獣の話から恐竜に話題が移り、(ここで爬虫類の性質等の説明が入る)だいすけ 達は恐竜に興味を持つ。

 神田はかせ「よし、それじゃみんなを恐竜の世界へつれていってあげよう。」

 だいすけ「そんなことできるわけないよ。今、いないんだから。」

 はかせ「いやいやそのためのきかいを作ってあるんじゃ。」

「タイムマシン」で過去に行けると言うはかせ。子ども達は はしゃぐが、

 はかせ「きょうはもうおそい。出かけるのは、あしたじゃ。」

翌日過去にむかうことにする。しかし、待ちきれないよしぼうがタイムマシンに しのび込み、誤ってタイムマシンを動かしてしまい、ニャーゴとともに過去に行ってしまう。  だいすけ、ルミ子は案内役のロボット エースマンとともに過去に向かう。

二、恐竜の世界を探検

 ジュラ紀に行ったよしぼうとニャーゴを探すだいすけ、ルミ子、エースマン。(なぜか 最初 ジュラ紀よりも更に過去のペルム紀にタイムワープしている)はかせからの連絡で ジュラ紀に向かい、アロザウルスに襲われていたよしぼう達を助ける。合流した5人は ジュラ紀、白亜紀を探検し、様々な種類の恐竜の姿や生態に驚いたり感心したりする。

三、恐竜とそのなかま

 よしぼうの「恐竜っていままで見てきただけ。」という疑問に答えて、エースマンが 他の恐竜(および始祖鳥などの鳥類の先祖や、爬虫類など)を子ども達に見せる。 この章は漫画ではなく図鑑のような形式。

四、恐竜はなぜほろびた

 火山の噴石に当たったエースマンが故障し慌てる子ども達。(原因ははかせが背中の ねじを閉め忘れたため……w)

とりあえずエースマンを修理し(←背中を縛っただけですが) 白亜紀の終わりに向かう一行。気候の変化やえさの不足により滅び行く恐竜と、 恐竜の変わりに台頭していく哺乳類の先祖(デルタデリジウム)を見る。エースマンに 促され、子ども達は現在に戻る。

五、恐竜があらわれるまで

 現在に戻った子ども達は、はかせから地球の誕生の歴史や生命の進化について 学ぶ。(海に現れた魚類の先祖→魚類→両生類→爬虫類→恐竜・・・ってやつですね)

六、なぜ恐竜のことがわかったか

 更にはかせから恐竜の化石について学ぶ子ども達。(化石の中で最初に研究された、 イグアノドンの歯の化石のエピソードが紹介されている)

七、恐竜なんでも質問箱

 恐竜に関するさまざまな質問(一番大きい恐竜はなんですか?など)に、はかせ達が 答える。

特徴

黄金の三角形

 ひみつシリーズの人物構成でよくあるパターンとして,以下のようなものがあります。

  • 「教師役(*1)」 ・・・・ 子ども達に色々な知識を教えたり助言したりする。「〇〇博士」が多い。
  • 「男の子」 ・・・・ どちらかというと直情傾向。ギャグメーカーになることも多い。
  • 「女の子」 ・・・・ 頭がよく、博士に的確な質問・ツッコミを入れたり、男の子のボケに突っ込んだりする役目。

 基本的にこの3人で*1、作者によってはこれに「博士の助手・ロボット等」(この本では エースマンが該当する)や、男の子又は女の子のペット(ニャーゴ)を加えた構成で 話が展開されることが多いのですが、この作品もその一つ*2です。なお、上の「教師役・男の子・女の子」と いうフォーマットについては、この本の前に発行された「宇宙のひみつ」で既に確立されて いますが、「宇宙のひみつ」では教師役が博士ではなく宇宙人のピコとスーパーテレビ でしたので、教師役を 博士にしたのはこの本が初めてでしょう。 (そう言う意味では記念すべき作品と言えます)

 この本も昔読んだのである程度内容は記憶していましたが、 改めて読み返してみて(最近Bookoffで見つけた)懐かしさがこみ上げてきました。  ただ、子どものころは気づかなかったんですが、今読み返して気になったところが ありました。「恐竜がかなり擬人化されている」という所です。

ツッコミどころ

擬人化されまくりの恐竜たち

 第2章「恐竜の世界を探検」の初頭で、ジュラ紀にワープしたよしぼう達の前で アロサウルスとステゴザウルスが戦うんですが、アロサウルスが登場する時 "<「あらっこんなところにごちそうがいたわ。」>"

喋るな!しかも日本語を!  おそらく、あまりリアルに描くと読者が怖がると思って、擬人化して愛嬌を出そうと したのでしょうが、でもやっぱ恐竜が喋っちゃイカンと思うんですが。

(しかもこのアロザウルス、ステゴザウルスに攻撃されて、

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(「恐竜のひみつ」(旧版)、 学習研究社、川崎てつお、25ページ)

あんたが先にステゴザウルスに攻撃したんだって。)

 さらに、上のコマの直後で、ステゴザウルスが後ろ足だけで立ってガッツポーズ してるし・・・ステゴザウルスは二足歩行なんてできたのか? この後のエースマンとアロサウルスの戦いも、非常に牧歌的というか、ほのぼの しているというか、(血とかも全然出ません)ジュラシックパークと比較するとイマイチ 迫力に欠けているのは仕方ないのかもしれません。

 なお,新訂版の「恐竜のひみつ」(たかや健二作画)では,恐竜の戦いの描写がめっさ写実化してて 子供が見たらトラウマになりそうな感じなのですが,それは別の機会にレビューしまふ

*1:わしはこの3人のことを「ひみつシリーズ黄金の三角形」)と 勝手に呼んでいます

*2:厳密に言うと男の子キャラが 二人いるから多少違うのかもしれませんが

2009-05-12

[][]宇宙のひみつ(旧版)

  • 作成:2001/06/16 最終更新:2009/5/12
  • 著者:あいかわ一誠
  • 初版:昭和47年11月25日

ストーリー、構成

(1)宇宙人への手紙

 宇宙の果てをさがしてアンドロメダ星雲から地球の近辺にやってきた 宇宙人ピコの 乗っている光子ロケットと、地球の子どもたち(星一、ジュリの二人)が乗っていたサターン型ロケットが (なぜこの二人がサターン型ロケットに乗っていたのかは後述)衝突。 二人はピコに救出される。

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(「宇宙のひみつ」旧版、学習研究社、あいかわ一誠、5ページ)

光子ロケットが気に入った二人はピコとともに宇宙を見学することに。

(2)もえる星・太陽

 太陽の近くを通った星一・ジュリ・ピコは、太陽の性質等をスーパーテレビ(光子ロケットに 搭載されている<のう波を感じて、見たいもの、知りたいこと、なんでもうつしてくれるテレビ>)に聞く。

 その後、星一たちは電波通信で地球に連絡をとって、月を見学してから地球に帰ると告げる。

(3)月世界への旅

 月へ向かう途中で宇宙遊泳などを体験したり、アポロ計画での月面着陸の様子を スーパーテレビで勉強する星一たち。  自分達も実際に着陸船で月面着陸を体験する。

(4)月世界のふしぎ

 月面で”月の石”の採取やアポロ計画で月面に残された機材等の見学の後、光子ロケットに戻り 月面見学に向かう星一たち。(月面のクレーター等を見学する)

(5)地球のきょうだい星

 宇宙旅行が気に入った星一たち。  他の星も見たいと言い出す星一とジュリの希望に答えて地球のきょうだい星(太陽系の惑星)の 見学に行くことに。星一はほかの惑星に宇宙人がいることを期待する。  水星、金星、火星、木星、土星の順番で太陽系をまわるが、どの星も 生物が住める環境ではないことに落胆する星一。 (天王星以降はスーパーテレビで確認するのみ) 途中で すい星についても学ぶ。その後、星一たちは地球への帰還の道に。

(6)かがやく星ざ

 地球に帰還する途中、北斗七星やカシオペヤ座などの星座や、恒星の性質などを勉強する。

(7)銀河と宇宙

 銀河系の大きさ、恒星の一生などについてスーパーテレビに聞く星一たち。 (ピコの出身のアンドロメダ星雲についても少し触れられている) 更に宇宙の膨張についてもスーパーテレビで勉強する。

(8)人のすむ星・地球

 月食・日食やいん石、潮の満ち引きといった地球で観測される宇宙現象について習った後、 地球に帰還する星一とジュリ。ピコはふたたび宇宙の果てを目指す旅に戻る。

特徴

ひみつシリーズ第一作

 この「宇宙のひみつ」がひみつシリーズの記念すべき第一作です。 いつの時代も子ども達の興味を引く事柄の 一つであろう「宇宙」について扱っているだけあって、 おそらく人気の高い作品の一つでしょう。私も子どもの頃何度も読み返した記憶があります。 なお、本作は1993年に新訂版に変わるまで、20年以上再販が出つづけていたようで、 自分の持っている版の一つを確認してみると 昭和59年の時点で第53刷です。 本作の人気の高さが伺えます。

本作品の魅力 - キャラ(ジュリたんハァハァ)

 本作の魅力のひとつは登場キャラの良さにあります。 宇宙人のピコ、 地球人の子供 星一・ジュリ、 そして助言役のスーパーテレビと、 どのキャラも容姿・性格・話し方など、通常の少年漫画に比肩しうるレベルまで 個性化(キャラ立ち)がしっかりとされています。

 なかでも、本作のキャラの中で最も印象的なのは何と言ってもジュリでしょう。

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(上: 「宇宙のひみつ」旧版、学習研究社、あいかわ一誠、8ページ) (下: 「宇宙のひみつ」旧版、学習研究社、あいかわ一誠、18ページ)

 上記引用コマをご覧になると分かると思いますが、 (今風の萌えアニメ系の絵柄ではありませんけれど) ひみつシリーズ登場の女の子キャラの中でも屈指の美少女といってよい容姿と、 作中で「さすが天才少女…」と誉められるほどの賢さと、 星一におちょくられたときのリアクション(笑…(下の引用コマ参照) オレが子供の頃一番ときめいていたキャラでした。

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(「宇宙のひみつ」旧版、学習研究社、あいかわ一誠、29ページ)

 ただ、いま再びこうして読み返してみると、良く理解できない状況等が あるのに気づいてしまったので、一応ツッコんでみたいと思います。

ツッコミどころ

光子ロケットとサターン型ロケットの衝突…

 なぜ星一&ジュリがピコと出会ったのかというと、星一&ジュリが中に入って見学していた サターン型ロケットが まちがってスイッチが入って宇宙に飛び出し、そのサターン型ロケットが たまたま地球近辺を飛んでいたピコの光子ロケットと衝突したためなのです。 (なお、衝突したところは冒頭で描かれているが、星一&ジュリがサターン型ロケットを見学していた 様子などは具体的に漫画の中で描写されていないため、いまいちこのヘンわかりづらいです)

 しかし、「光子ロケット」ってことは光速に近いスピードで飛んでいるわけですから、 それと衝突なんかしたら一体どうなるんでしょうか。

 漫画ではサターン型ロケットがばらばらになって 宇宙服着用の星一とジュリが放り出されていましたが、 その程度じゃすまないと思うんですが…

(たまたま衝突した時は光子ロケットが減速していたという解釈も可能ですが)

なぜピコは宇宙のはてを目指しているのか?

 ピコが宇宙のはてを目指して旅をしている理由がいまいち理解しづらい…というか、 恒星間飛行ができるくらいの科学力を持っているんだったら、わざわざ実際に行って見なくとも 「宇宙のはて」について調査する手段はいくらでもあるんじゃないでしょうか。

また、冒頭と最後でピコは(たった一人での旅のせいか)退屈がってますが、 スーパーテレビがあるのならば それこそアニメでも娯楽作品でもAV(←おい)でも いくらでも見れるはずだから「退屈」することもないのでは… (それとも旅をしている時間が長すぎるため既にあらゆる物を見飽きてしまったのか?)

 この他にも、「なぜピコと星一たちは普通に日本語で会話できるのか」 「パイオニア十号などの、地球についての知識をいろいろ知っているピコが なぜ単なる地球の一生物であるクモを怖がるのか」 「そもそも星一たちが地球外生命体に遭遇した時点で、それこそ全世界で 超特大々々々ニュースになるはずなのに なぜ『大ニュース』程度で済んでいるのか」 など、あらためて読みなおすと ガキのころ気づかなかった疑問が噴出してちょっと困りましたが(笑 、 全体としては話の展開等も上手くまとめられ、また宇宙に関する知識の紹介についても 資料を的確に用いてあって、子ども達が宇宙に対する興味や感心を抱いてくれるような 構成となっています。

補足:時代による内容の変化

 これは「宇宙のひみつ」だけでなく、ひみつシリーズの作品のうち長い間再販されていたものに 共通しているのですが、刷によって特定のコマなどの内容が書き換えられていることに 最近気づきました。

 例として、本作の第5章 「地球のきょうだい星」中の、火星の説明のコマの一つを以下に引用します。

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(「宇宙のひみつ」旧版(発行年月日・刷数不明)、学習研究社、あいかわ一誠、72ページ)

 これは、1973〜1976年辺りに出版されたらしい刷(自分の持っているこの刷はカバーがないので正確な 発行年月日・第何刷かは不明。141ページの星一のセリフから年月日を判断した)の72ページのコマです。 しかし、昭和55年(1980年)の第37刷では、このコマは以下のようになっています。

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(「宇宙のひみつ」旧版(1980年 第37刷)、学習研究社、あいかわ一誠、72ページ)

 コマの中の「知的生物のそんざいが考えられる。」というところが、 何かで塗りつぶされたように消されています。 なぜこのような処置がされたのかは分かりませんが、おそらく最初のほうの刷が 出版されていたころにはまだ「火星には知的生命体がいるかも知れない」と考えられていたからでしょうか? しかし第37刷が出た頃には、火星に知的生命が存在する可能性は否定されたため、 科学的にそぐわない記述として 消されたのかもしれません。

(; -_-) < それにしても、第37刷のコマは背景は灰色なのに当該部分が不自然に白く 塗りつぶされていたので、最初見たとき違和感を覚えとった

2009-05-10

[][]からだのひみつ

  • 作成:2001/8/12 最終更新:2009/05/14
  • 著者:藤木輝美
  • 初版:昭和47年11月25日(旧版)
  • 1992年4月23日(新訂版)

◆ストーリー、構成

 この本は各章ごとに、人間のからだの臓器や器官について紹介する 短編の漫画(出演するキャラは共通)となっています。

○ほねと筋肉

 ヒトちゃん、ダイちゃん、ロングさん、ノンチ、ミミちゃん、ボロ(ミミちゃんの飼い犬)の6人は キャンプに出かける。キャンプの準備中に人間の骨の一部を掘り起こしてしまい驚くロングさん達。 そこへ幽霊の声が…  "たのむ たのむ おれのほねをさがして集めてくれ〜〜〜"

 幽霊の頼みを聞いて、皆であたりを掘り返して骨をさがす一行。全ての骨が集まる。 幽霊は集まった骨を見て さらに「骨をとうげの一本松の根元に人間の形にして埋めてほしい」と頼む。 ヒトちゃん達は言われたとおりにするが、幽霊は「骨が足りないぞお〜」と言う。 (ヒトちゃんが骨の一部をこっそり貰っていこうとしていたのだ)

 骨を元通りに再現して埋めなおす一行。そこに幽霊が現れ、自分の正体を明かす。 "「わしはゆうれいじゃない!」"

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(「からだのひみつ」(旧版)、学習研究社、藤木輝美、29ページ)

じいさんが幽霊に化けていたのであった。ヒトちゃん達はじいさんを許してあげた。

(なお、この章のみ新訂版ではそっくり別の話に変わっている。詳しくは「旧版と新訂版の相違点」参照)

○消化器

 巨人と小人たちとが戦っているテレビ(特撮番組か?)を見ているヒトちゃん。その小人達が なぜかヒトちゃんの前に現れ、ヒトちゃんを巨人と勘違いして襲ってくる。ダイちゃんの家に逃げる ヒトちゃんを追ってきた小人達は、ダイちゃんに目標を変更し、時限爆弾をかかえて口から ダイちゃんのおなかに入ってしまう。

 病院に行くが、小人が入ったことを信じてもらえず、医者に追い返されるダイちゃん達。 ダイちゃんの家に戻ったところ、ダイちゃんの口から小人達が現れ、 「とんだまちがいをしました。あなたは、きょ人ではありませんでした。」 「いまごろなんだコノオ〜〜」 小人達はダイちゃんの体内に再び入り、時限爆弾を探す。食道,胃,小腸,……と見ていくが爆弾は見つからない。そして直腸のあたりでようやく爆弾を発見するが*1,時間切れで爆発……と思いきや,ヒトちゃんの夢だったというオチ(夢オチかい)

○ こきゅう器

 いたずらっ子大好きのオールゴはかせがヒトちゃんたちを研究所に招待し、人間の肺を 再現した人工呼吸器官を人間型ロボットに取りつけて見せようとした矢先、お客さんが来る。はかせはお客さんを迎えにいくためその場を離れる。

「さわるなといわれると、かえってさわりたくなるね。」

「そうね!!」(←↑悪ガキ)

 博士のいないすきにロボットをいじっているうちに、人工呼吸器官を破裂させてしまうという話。

○じゅんかん器

 野球のグランドの場所取りをめぐって、横暴なガキ大将の たけしと争うヒトちゃん達。 ヒトちゃんは たけしに決闘を申し込む。意気込むヒトちゃん。このときヒトちゃんの体内では、 血液中の赤血球(赤君)、白血球(白君)、血しょう(水君)、血小板(チビ君)の4人(?)が はりきっていた。(赤君らは,いずれも擬人化されている)

 ヒトちゃんは決闘に向かうが、たけしは卑怯にも仲間を連れており、ヒトちゃんは逃げるが 捕まってフクロに…(この過程で、ヒトちゃんの体内で呼吸した酸素を全身に運び、かわりに 二酸化炭素を肺に運ぶ赤君や、汗を出したりする水君の様子が描かれる)

 ヒトちゃんはロングさんに助けられ、いったん家で休んだ後(ここでは、腸から吸収された栄養が 水君によって全身に運ばれる様子が同時進行で紹介される)たけしを探しに町へ。  一人でいるたけしを見つけ、戦った末に足に怪我しながらも勝利するヒトちゃん。 (この後、怪我の出血をチビ君が止める様子と、後に傷口から入ってきたばい菌を 白君たちが自分の身を犠牲にして倒す様子が描かれる。チビ君と白血球君らの戦いに涙……)

○じんぞう

 こきゅう器の章と同様、オールゴはかせのいない隙にヒトちゃんたちが、人工の腎臓や膀胱を搭載した ロボットをいじり倒して(水を多量に飲ませたりする…)また爆発させてしまう。

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(「からだのひみつ」(新訂版)、学習研究社、藤木輝美、96ページ)

 この章の最後では、ロボットにむりやり水を飲ませた結果、ロボットの膀胱が破裂して ヒトちゃんらが小便まみれに…(藤木先生、学習まんがでス○ト○は…(w)

○のうと神経

 オールゴはかせ作の、人工の脳や神経を持ったロボットをまたもや勝手にいじって…(上の章と殆ど同じ結末に)

○目と耳

 近所に出たどろぼうを追い掛け回す最中に、ヒトちゃんらは目や耳の働きについて学ぶ。

○鼻

 動物園(?)から脱走したゴリラを、ゴリラと同じ匂いのする ぼろきれで探そうとする話。

○皮ふ

 海水浴場で、皮膚の感覚の違い(あたたかいプールから中くらいの温度のプールに入った場合と その逆の場合ではどう感じるかなど)から、他人と喧嘩するヒトちゃん達。

○毛とつめ

 外人が落したダイヤモンドを拾ったヒトちゃんが、その外人の髪の毛や爪の特徴から ダイヤモンドを落した本物の外人を探す。

特徴

 雑誌「COMIC GON!!」2号掲載のひみつシリーズ特集記事で、旧版ひみつシリーズ売上の トップだったのがこの「からだのひみつ」でした。今読みなおすと、確かにそれもうなずけます。

 この漫画の上手い点は、

  • ヒトちゃん達一人一人のキャラが立っていること、
  • 各章の漫画(特に前半の「ほねと筋肉」「じゅんかん器」等)が それぞれ独立したストーリー構成で、どの話もオリジナリティがあり、起承転結も しっかりしていて「読める」こと(ただ、オールゴはかせの研究所で ヒトちゃんたちが博士のいない隙にロボットをいじくる際に、どの章も必ず お客さんが来て博士が席をはずすんですが、 いくらなんでもそんなに都合のよいタイミングで何度もお客さんが 来るのはヘンだ…と 子どもの頃から思ってました)
  • からだの中の細胞などを擬人化していて,親しみやすいこと

などでしょうか。 この本も、子どもの頃何度も読み返してました。

旧版と新訂版の相違点(らしいもの)

 前述の通り、「ほねと筋肉」の章のみ、新訂版では内容が以下のように変わっています。

 夏休みの宿題でほねと筋肉のつながりを調べるのに苦労しているヒトちゃんたちを、 自分の田舎に連れていってハイキングするロングさん。しかし帰る途中道に迷い、 (実は道に迷ったのはロングさんの策略)荒れた山寺に泊まる一行。 そこでグニャグニャ魔人(ミイラ男のような容貌)に出会い、バラバラの自分の骨を元通りにするように 脅される。その後、いろいろゴタゴタがあるが、なんとか明け方までに骨を元通りに。 そして、グニャグニャ魔人が自分の正体を明かす。 (実はロングさんの友人のお坊さんが変装していて、ほねや筋肉のつながりについて勉強させるために ヒトちゃんたちをわざと脅していた…そんな大掛かりなことしなくても普通に教えたれや、ロングさん)

 この他にも、まめちしき等がいくつか変更されています。

*1:つまり,けつの穴から入っていけばすぐ見つかったんだよなこれ(下品)

2009-05-08

[][]できる・できないのひみつ

  • 作成:2000/11/27 最終更新:2009/05/14
  • 著者:内山安二 初版:旧版・1976年3月10日 新訂版・1993年1月27日

ストーリー、構成

 全巻を通じた一貫したストーリーはありません。この本は、以下の2部構成となっています。

できる?できない?

やっ太、デキッコナイス、けつろんおしょう達が、「日本に百階建てのビルを 建てられるか?」「新幹線より速くてそう音の出ない列車はできるか?」などの 様々なテーマについて、話し合ったり試行錯誤したり殴り合ったりながら(ww) 考察・実験する。

げんかいにちょう戦した人々!

モンゴルフィエ、リンドバーグ、ライト兄弟などの「今までできないと思われていた 事柄に挑戦した発明家・探検家等」の略歴を紹介する。

できる?できない?のストーリー展開

 前述のうちの “できる?できない?”のストーリー展開は 概ね以下のように進みます。

1. 何らかの事件をきっかけに、実現不可能そうな事柄に興味を持つやっ太「よーし!やったる!」

2. 即座に否定するデキッコナイス 「〜なんて できっこないす!」

3. フルコンタクトで本気(マジ)に殴り合う二人

4. 怒るブウドン 「ヤメレ食っちまうぞふたりとも!」

5. アイデアを出すアララちゃん(orデキッコナイス、ニャン太等)

6. そのアイデアを元に、挑戦するやっ太

7. 失敗するやっ太を諭す けつろんおしょう

8. 更に別の方法で挑戦するやっ太 ・・・・ 以下繰り返し

 各節によって多少の違いはありますが、だいたいこのような展開です。

特徴

やっ太の壮絶なバイタリティ

 子どものころ、やっ太の強烈なバイタリティと、どんなことでもとにかくやってみようとする その意思に、半ば呆れつつ感心していました。(たいていは失敗に終わるんですが)

 もっとも、そのバイタリティが無茶苦茶な方向に向かうこともあります。 「天気を変えることができるか?」の章で、台風にダイナマイトを投げ込んで消滅させようとして "そんなかんたんに消えてなくなるもんか。できっこないす。"と指摘されると、

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(「できる・できないのひみつ(旧版)」、学習研究社、内山安二、34ページ)


(; -_-)< や め ん か っ !

 台風の被害よりも、原爆の放射能とかの影響のほうがよっぽど危険って事が 理解できてないんですね。(このまま止めなかったら本気で原爆ぶち込みそうで怖い...) かなり無茶な性格です。結局けつろんおしょうに止められるんですが。

名キャラ デキッコナイス

 で、そのやっ太の意見に常に反対しまくり、ドツき合うのがデキッコナイスです。 (それにしても、この「デキッコナイス」って名前、すごく上手いネーミングだと思うんですが)

 やっ太の対極に位置するキャラで、とにかく何でもかんでも反対し、やっ太と殴り合います。 (でも時々「たしか、一気圧で、水を十メートル、もちあげるんだ。」と、助言したりもする) この、対照的な二人の掛け合いが私はすごく好きでした。

地球の裏側まで…

 できる?できない? の中で 最も笑えるのが 「地球のうらがわまであなをほって荷物を送れるか?」の章です。  アルゼンチンのおばさんに荷物を送りたいが、飛行機=送料が高い、船=時間が かかる・・・もっと速くて安い方法は無いかとデキッコナイスが悩んでいるところに、 アララちゃんが「地球のうらがわまであなをほって落とせばいいのよ。」と、物凄く無責任なアイデアを 出します。

 真に受けたやっ太がジェットモグラみたいな機械でマジに地球のうらがわまで 穴を掘り、荷物を落とそうとするが結局「トンネル内の気圧が高すぎて物が送れない」 と けつろんおしょうに指摘されて計画はオジャン・・・と言う話です。

 子どもの頃アホだった私は「本当に穴を掘って地球の裏にただで荷物を運べたら いいなぁ」と思ってましたが、今見なおしてみると むちゃくちゃですよね。 (地球の裏まで穴を掘れるだけの費用があるなら 普通に飛行機で送るべきですね) 第一、漫画の中でやっ太が使ったような機械が本当にあったとしても、 マントル層にぶち当たった時点で機械も人間も確実にオダブツだと思うんですが。

科学の限界について

 この本を読んでて思ったんですが、この本の隠しテーマの一つは、 「科学の力を持ってしても不可能なことがこの世にはある」 すなわち、 「科学にも限界がある」という事を、子ども達に教えることなのではないかと思います。 (この作品までのひみつシリーズは「〇〇はできる」「〇〇はすごい」と言うような感じで、 あまり「不可能」について語られたことはなかったんですが)

旧版と新訂版の相違点(らしい)

 新訂版は基本的に殆ど旧版と変わっていませんが、幾つか描きかえられている個所があります。

  1. 6ページ…平成5年完成の横浜ランドマークタワーについて記述したコマが入っている。
  2. 9、10ページ…「霞ヶ関ビル」が「東京都庁第一庁舎ビル」に変わっている。
  3. 34ページ…まるまる1ページ描きかえられている。(以下に各コマの台詞を記載)

(旧版)「すばらしい、つくるぞ!」「ぼくが、やったる。」 「欠点は、材料費がかかることだ。じしゃくの鉄やコイルの銅線が高くて、なかなかできん。」 「ブクらもやっ太の手伝いをしよう。」「まず、じしゃく集めだ。」 「ブワッ?」(背負っていた磁石がトラックにくっついてしまうブウドン) (九州行きのトラックにくっついたまま運ばれてしまうブウドン) 「わあい、ブウドンがじしゃくで九州に行っちゃったあ。」(にゃん太) 「えっ! もう、リニア・モーターカーができたのかい。」(おしょう)

(新訂版)「現在各国がリニアモーターカーの実用化に向けて研究を進めている。」 「しかし、実用化するとなると、解決しなければならない問題がたくさんある。まず、材料費がかかることだ。」 「それに、完全な浮上式となると、ものすごい電力が必要となる。」 「磁石から発生する電磁波が人体に与える影響も無視できない。」 「こうした問題を解決し、実用化するための実験線が、山梨県にあり、時速五百五十キロメートルを記録している。」 「二十一世紀には、時速五百キロメートル、東京、大阪間を一時間で結ぶ 夢の列車が走っているかもしれない。」(おしょう) 「すばらしい。早く乗ってみたいな。」(やっ太達)

参考までに旧版、新訂版の34ページの最後のコマを以下に引用します。

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〔旧版34ページの最後のコマ。〕

(「できる・できないのひみつ(旧版)」、学習研究社、内山安二、34ページ)

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〔新訂版34ページの最後のコマ。〕

(「できる・できないのひみつ(新訂版)」、学習研究社、内山安二、34ページ)

この他にもいくつか台詞、コマの絵が変わっているところがあります。

2009-05-02

[][]世界の国ぐにびっくり旅行

  • 作成:2003/2/11 最終更新:2003/08/21
  • 著者: 内山安二
  • 初版: 昭和52年10月20日

ふしぎな飛行機と気球で世界旅行に出発。みなさんが知りたい、 いろんな国のおもしろいことが、つぎつぎにわかります。

(「世界の国ぐにびっくり旅行」、学習研究社、内山安二、1ページ)

ストーリー、構成

●アメリカ合衆国

"おじさんが、何か発明したそうよ。"

"うん、行ってみよう。楽しみだね。"

 大ちゃん、しょうこちゃん、ニャンゴ(猫)、物知りネズミのチュー、ブル(犬)、 トン(ブタ)の5人(?)が、発明はかせのおじさんに会いに行く。 おじさんが見せたのはなぞの旅行カバン。

突然カバンがポンと音を立てて開き、飛行機に変化する。

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(「世界の国ぐにびっくり旅行」、学習研究社、内山安二、7ページより)

 大ちゃんたちは好奇心旺盛で飛行機に乗り込んで触りまくる。そのうちに、何かのスイッチが 入って飛行機が飛び立ってしまう。 さらにニャンゴとチュー(この2匹はいつもケンカしまくる)のケンカのせいで ブルとトンが振り落とされ、飛行機は大ちゃん他4名(?)を乗せてはるか遠くへ。おじさんは急いで気球に変化するバッグを取り出す。

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(「世界の国ぐにびっくり旅行」、学習研究社、内山安二、10ページより)

 おじさん、ブル、トンは気球に乗り込んで大ちゃん達を追うことに。 これ以後、飛行機で旅する大ちゃん達(大ちゃん、しょうこちゃん、ニャンゴ、チュー)と、 後を追いかけるおじさん達(おじさん、ブル、トン)の2チームで話は進行していく。

 大ちゃん達はアメリカ西海岸に到着。物知りのチューがアメリカ合衆国の成立の過程 (コロンブスの到着、イギリスからの移民、アメリカ先住民との交流、独立戦争)等を説明する。

"教えてやろう。まず歴史からひもとくと、アメリカはまだ、わかい国なんだ。"

"本格的に、移民がはじまったのは、一六二〇年以後のことだよ。"

"それから、アメリカもひらけ力もついてきたが、イギリス本国がなんだかんだと" "自分かってのことを決めるので、アメリカはおこった。そして…"

"そこで、とうとうイギリス本国と、戦争になったのです。" "この戦争を、どくりつ戦争といいます。数年続いて、やっとどくりつができました。"

 説明の途中、ニャンゴは得意げなチューにいらついて、機上でケンカを始める。 暴れた影響で飛行機はハイウェイに不時着、はずみでチューがボタンを押したため 飛行機はカバンに戻ってしまう。飛行機が使えないので、たまたま車で通りがかった アメリカ人男性(カウボーイのパイポさん,デキッコナイスに似てる容貌)に、車に乗せてもらうことにする大ちゃん達。

 大ちゃん達は車上でパイポさんからカウボーイやハイウェイ、アメリカの自動車産業の 話を聞かせてもらう。…しかし話の途中で車のガソリンが切れる。 パイポさんは一緒に車に乗せていた馬のウマ(まぎらわしいが本当にこういう名前)に 車を引かせて移動を続ける。道すがら、パイポさんのアメリカの農業や鉄道の話もあり。

"農業は、ほとんど機械化されているよ。たねまきも、刈り取りも、全部機械さ。"

"鉄道のキロ数は約三十六万キロ。全世界の鉄道の三十パーセントにあたるよ。"

 その頃、気球のおじさん達はアメリカ東海岸に接近し、ハリケーンに巻き込まれながらも何とか ニューヨークに到着。自由の女神、マンハッタンやホワイトハウスなどの名所の説明などの後、 ホットドッグで腹ごしらえしながら大ちゃん達を探すが、ちょうど大ちゃん達とすれ違う辺りで 腹がいっぱいになったせいで眠くなり、居眠りしてしまう。大ちゃん達もおじさん達もお互いに 気づかず、通り過ぎてしまう。おじさん達の気球はそのままアメリカを通り過ぎてイギリスに。

 そして大ちゃん達の車を引いていたウマが、辛くてついにキレて車からカバンを蹴落としてしまい… すると、カバンがまた飛行機にチェンジする。大ちゃんたちはパイポさんらにお礼をいい、 元に戻った飛行機でアメリカを後にし、大西洋を横断してイギリスに向かう。

●イギリス

 おじさん達はイギリスにつく。 キルト(スコットランドの民族衣装)を来た男性を「おばさん」と呼んでしまい カルチャーショックを受けるトン。おじさん達はイギリスの名所を旅しながら、 その歴史や文化について説明する。

"イギリスは、歴史の古い国だよ。"

"どういうわけかイギリスは、女王の時代に栄えるといわれている。"

おじさん達とは別にイギリスについた大ちゃん達は、おじさん達とすれ違い、スモッグ漂うロンドンに 着地しようとするが、ニャンゴが誤っておりたたみのボタンを押してしまい、空中で飛行機がカバンに戻り 4人は閉じ込められる。 カバンは英国紳士風男性に拾われる。男性が移動するその経路でチューが、ロンドンの地下鉄や 蒸気機関車について説明。男性が「どうすりゃいいんだ、このラジオは…」といらついて カバンを殴り、カバンは再び飛行機に戻る。

 その後、ロンドン上空でグリニッジ標準時の説明をするチュー。威張るチューに怒って (またもや飛行機の上で)暴れまわるニャンゴが振り回した棍棒が誤って大ちゃんに当たり、 大ちゃんが目を回し操縦不能になる。墜落寸前にしょうこちゃんが押したボタンの働きで 飛行機はカバンに変化し、海に落ちる。

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〔高橋註:別のボタンで潜水艦にもなるカバン…すげー〕

(「世界の国ぐにびっくり旅行」、学習研究社、内山安二、65ページより)

●フランス

ドーバー海峡に落ちた大ちゃん達のカバン潜水艦はフランスを目指す…が、方向を誤ったのか フランスにはつかず、地中海に流れていく。一方おじさん達は大ちゃん達を探しにフランスへ。 (この章では活躍するのは,

ほとんど おじさん達のみ) この章ではエッフェル塔、凱旋門などの名所や、エスカルゴ、ぶどう酒、フランスパン等の フランス名物の食べ物などが紹介される。

●イタリア、スイス、ドイツ、オランダ

 大ちゃんらの潜水艦はイタリアに上陸。海中でチューとけんかしていたニャンゴが 逃げるチューを追い掛け回す過程で、ピサの斜塔やポンペイの町等の紹介がなされる。 (以後、ヨーロッパ大陸の国の紹介は ほとんどこの2人のみで行われる) 2人が追いかけたり 逃げ回ったりなんだりしながら、各国の名物・名所の説明がある。

●ギリシャ、スウェーデン

 大ちゃん、しょうこちゃんはニャンゴらを探すため、カバン飛行機でギリシャ、スウェーデンを回り、 北ヨーロッパ海上にいたニャンゴらを救出。ギリシャ名物のオリンピック、スウェーデンの鉄鋼や ノーベル賞の説明がある。

●アフリカ、インド、マレーシア、フィリピン

 大ちゃん達がヨーロッパで色々やっていた頃、おじさん達はアフリカ上空。アフリカの 気候とキリマンジャロ山の説明があった後、(なぜかアフリカの各国についての説明はない) 一気にアフリカを過ぎて東南アジアに着くおじさん達。 (以下、紹介される各国の名所・名物等はリストで箇条書きにします)

  • インド…タージマハル寺院、牛、カレー
  • マレーシア…ゴムの木
  • フィリピン…段々畑(これだけかぃ…)
●ソビエト連邦、モンゴル、中華人民共和国

 大ちゃん達のほうはヨーロッパからソビエト連邦へ。ここでもニャンゴとチューの争いで 飛行機が空中でカバン化したり、カバンが飛行機に戻りそこなって自動車もどきになったりと 色々なゴタゴタがありつつ、大ちゃんらが各国(ソ連・モンゴル・中華人民共和国)を回り、 その名所・気候の紹介がされる。

  • ソ連…国旗、ベルホヤンスク(世界一寒い町)、永久凍土、白夜など
  • モンゴル…パオ、遊牧民
  • 中国…黄河、揚子江、紙の発明など
●カナダ、南アメリカ

 中国の台風にあおられて一気にカナダまで(?)流される大ちゃん達の飛行機。 そして、物凄い勢いでアメリカも通り過ぎ(ちょっと強引だと思った)、南アメリカに到着。 ここでもアフリカの章と同様、南アメリカの国の紹介等はなく、気候の説明のみ。 南アメリカ上空でコンドルに衝突し、迷走した飛行機が何かに衝突!!… …それが何とおじさん達の気球で、ようやく会えた大ちゃん達とおじさん達。

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(「世界の国ぐにびっくり旅行」、学習研究社、内山安二、132ページより)

衝突で気球に穴があき、落っこちたのはオーストラリア。オーストラリア及び ニュージーランドを回った後、帰ろうとするおじさん達。

"さて、日本へ帰るか。"

と言っておじさんは飛行機カバンを 蹴っ飛ばす…が、(酷使しすぎたせいか?)ばらばらに壊れてしまう。 大ちゃんの案で、気球にばんそうこうを貼り付けて直し、みんなは気球に乗って 日本へ帰るのであった。

  • オーストラリア…ヒツジ
  • ニュージーランド…キーウィ、ムカシトカゲ、マオリ族など

特徴

 本作品は「ひみつシリーズ」の中でも人気作の一つです。 (当サイトの掲示板のご感想の書き込みや、2ちゃんねるの学研まんが関係の スレッド等で 本作品が話題に上ることが多い) 自分はひみつシリーズの作品は小さい頃何度も読み返しましたが、 本作品は幼少の頃1、2回読んだだけでした。(本をなくした為) しかし、本作品が与えてくれた各国の名物や印象は今も残っており、 今回読み返してみて 本作品の面白さを再確認しました。

「飛行機カバン」の魅力

本作品の魅力の一つは何と言ってもこの「飛行機カバン」(勝手に命名)でしょう。 冒頭で引用したコマを見たときの驚きは今も忘れられません。 旅行カバンの両側が開いて それが飛行機に変化するという発想の斬新さ。 しかもこの他にも、潜水艦になったり、自動車もどきになったりと、 このカバンは本作品中で縦横無尽の働きをします。 このようなギミックを考え出す内山安二の発想力の凄さには本当に驚きます。

行動するチームを二つに分けたこと

もう一つ印象に残ったことは、行動するチームを二つに分けたことです。 通常、ひみつシリーズでは博士役、男の子等が1団体で行動することがほとんどで、 平坦な展開が多いのですが、本作品では冒頭で大ちゃん達とおじさん達が離れ、 おじさん達が追いかける形で2チームが別々に行動します。 そして、ここも内山安二のストーリー展開の上手い所なのですが、 何回かこの2チームがすれ違うのですが、あと少しのところでお互いに気づかず 結局会えずじまいでまた離れていく…という風に話が展開するため、 「一体いつおじさん達と大ちゃん達は再会できるんだろう?」と、子供心に 心配しながら読んでました。先が気になるようなストーリー展開をするという意味で、 この方式は非常に有効だったと考えられます。 (ただ、以降のひみつシリーズではあまりこういう形式がとられたことがない)

各国の名物や風習等

また、本作品で紹介される各国の名所・名物や風習も、本作品の面白さの一つです。 特に印象的なのは、「フランスでは小学校に落第がある」ということです。 〔註:本作品の初版がでた当時のことで、もしかしたら現在は制度が変わっているかも〕

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(「世界の国ぐにびっくり旅行」、学習研究社、内山安二、76ページより)

(追記:webでの検索では,学びの場.comなどが見つかった)

 他にも、イタリアの「ピサの斜塔」、インドの「タージマハル寺院」などの建物や、 フランスのエスカルゴ・フランスパン、ドイツのソーセージやビール等の食べ物、 また「インドのカレーには牛肉が入ってない」「オーストラリア等では12月あたりが暑い」 「イギリスの正式名称は グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国」といった 知識についても、本作品で始めて知りました。 各国の 日本とは違った習慣等を分かりやすい形で学べることが、 本作品の学習まんがとしての特色です。

ツッコミどころ

 もっとも、本作品にも いま見直すと結構不思議な点があるので まとめてツッコみます。

1. 飛行機で飛んでいった大ちゃん達を「気球」で追いかけようとしたおじさんの発想 (飛行機と気球じゃスピードが違いすぎないか?)

2. アメリカやイギリスはかなりページ数をとって紹介されているのに、後のほうの国々は 結構紹介がそっけないこと(フィリピンなんて約1ページのみですよ、1ページ)

3. 更に、アフリカや南アメリカに至っては国の紹介すらないこと(笑)

 おそらく、ページ数の都合でかなりの国を省略したのだと思いますが、 (もし当時のすべての国をアメリカと同程度のページ数(約40ページ)で紹介したら、 …4000 ページぐらい必要になる) アフリカ大陸や南アメリカにも、エジプト、アルゼンチン、ブラジル等、 紹介すべき国は結構あると思うのですが… *1 じっさい本作品の後半(ヨーロッパ以降)は、1〜3項前後の少ないページ数で、 物凄い勢いで各国が簡潔に紹介されるのが笑えます。

*1:実を言うと わしは本作品のために、中学生になるまでアフリカ大陸には“アフリカ”っていう 国が一つだけあるのかと勘違いしていました

2009-04-30

[][]ロボットのひみつ

  • 作成:2002/08/19 最終更新:2003/08/21
  • 著者:藤木てるみ
  • 初版:昭和60年8月1日

   −ロボット三原則−

  第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、人間に危害が及ぶのを見過ごしてはならない。

  第二条 ロボットは人間の命令に服従しなければならない。ただし、第一条に反する命令についてはこの限りではない。

  第三条 第一条、第二条に反しない範囲で、ロボットは自分自身を守らなければならない。

   (アイザック・アシモフ)

◆ストーリー、構成

●はじめに ロボットって何だろう?

 学くん(主人公)の元に、パン屋のおじさんからはがきが届く。

"学くん、おじさんの工場ではロボットがパンを作っているんだよ。ぜひ見においで!"

 このはがきを読んで、いわゆる「人間に似た形のロボット」がパンを作っている姿を 想像する学くん。 学くんは妹(ヒカルちゃん)といっしょに見に行くことに。 しかし実際は、いわゆる工業型の、人間とは似ても似つかないタイプのロボットだった。

"「人間の形をしたロボットがパンを作ってるんじゃないの?」"

"「それはまんがに出てくるロボットだよ。」"

 帰り道、ロボットについての疑問が浮かんでくる二人。

"「でもロボットってどこの国のことばかしら…」   「日本語じゃないよなあ。」   「それに、どんな意味なのかしら…」   「うん、それは、あの…、その…。」"

そこに(唐突に)、カレル・チャペックが登場する。

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(「ロボットのひみつ」、学習研究社、藤木てるみ、7ページ)

 チャペック "「ロボットとは、チェコのことばで「労働する」という意味のロボータから作ったんだよ。"

 学くんらはチャペックとともにロボットの歴史等を学ぶことに。

●第1章 ロボットの歴史

 ここでは、以下に示したような、古代から現代までのロボットの歴史が語られる。

(1)「神話や伝説、小説や映画に出てくる空想のロボット」

 - ギリシャ神話のターロス、ぜんまい仕掛けのニワトリの人形、ユダヤの伝説のゴーレム、西行法師の反魂の術による人造人間、フランケンシュタイン

(2)「いろいろなしかけで自動的に動く自動人形の登場」

 - 1738年に作られた『ヴォーカンソンのアヒル』や、スイスのドロス父子の自動人形、日本の茶運び人形などの紹介。(『ヴォーカンソンのアヒル』については以下の引用参照)

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(「ロボットのひみつ」、学習研究社、藤木てるみ、32ページ)

(3)「いよいよ科学の時代がやってきて、金属のロボットが登場。」

 - 1920年代から30年代にかけて作られた金属製の人間型ロボットが紹介される。

(この(3)で、あの「先行者」をも超越しうる壮絶なロボットが 紹介されるのですが、それについては後ほど紹介します)

(4)「ロボット三原則」   - 有名なSF作家 アイザック・アシモフが登場。「ロボットが守るべき法律」=「ロボット三原則」が    紹介される。(このページの冒頭に引用したものです)

(5)シーケンス型ロボット

(6)プレイバック型ロボット

(7)数値制御型ロボット

(8)知能型ロボット

 - 現在(註:この本が出版された当時)の、様々な産業型ロボットが紹介される。

●第2章 ロボットのしくみ

 学くん、妹、チャペックはロボット展に行き、合流した漫画家のおじさんと、 ロボットの構造について勉強を始める。

(1)歩くしくみ(足)   歩くときの重心のバランスのコントロールなど、ロボットの歩くしくみについて説明される。

 "<現在作られている二本足ロボットは、人間でいえば、三才の幼児みたいによちよち歩きしかできないんだ。>"*1

(2)持つしくみ(手のひみつ)  人間の手のしくみや、物をつかむ際の力加減等について語られる。 アメリカの産業用ロボット『バーサトラン』や、電子オルガンを演奏するロボットの紹介もあり。

(3)見る、聞く、触る、嗅ぐしくみ  人間の目、鼻、手足等の役割と、ロボットにそれらの知覚を実現させるための センサー(超音波センサー、視覚センサー、音声入力センサー、圧覚センサー、 力覚センサー、バイオセンサーなど)の紹介。

(4)考えるしくみ(頭脳のひみつ)  学くんと、「毎秒一億回の計算ができるスーパーコンピュータに動かされている」 ロボットが知恵比べで対決する。

 学くんは問題に簡単に答えられたが、ロボットは答えられない。

"「じつはね、こういうわけがあるんだ。」 「コンピュータは算数のようにはっきりと解き方の手順が 決まっている問題ならすぐ解けるけど…」 「自分で考えながら解かなければいけない問題は苦手なんだ。」"

 このように、人間とロボットを対比する形式で、人間の推論や直感・連想能力と、 それをロボットに実現させることの困難さが示される。 また、ロボットの頭脳にあたるコンピュータの構造(いわゆるCPUやメモリや2進法)に ついての説明もある。

●第3章 未来のロボット

 科学が発達した未来で、登場することが予想されるロボット (バイオロボットや特殊環境ロボット)についての説明。

特徴

「ひみつシリーズ」後期の良作

 私事になりますが、筆者がひみつシリーズや事典シリーズを 読んでいたのは中2から中3のころまでで、特に中学生になってからは ひみつシリーズは殆ど読まなくなりました。このころ、ひみつシリーズは NHKのクイズ面白ゼミナールとかのタイアップ本が多くなって、あまり興味が もてなかったのと、内容が幼稚っぽく感じられてしまったためです。 (実際、ひみつシリーズの対象年齢は小学校中〜高学年くらいで、中学になるとちょっとキツい)

 したがって ひみつシリーズの後半(番号で言うと50番代半から60番代)は リアルタイムでは読んでおらず、最近になって再度集め始めてから初めて読んだものが ほとんどです。この「ロボットのひみつ」もその一つです。

 さて、まず結論からですが、この本は非常によくできてます。 身近な話題からロボットについて 読者に興味をもたせている導入部分が巧妙で、 また各キャラも親しみやすく、それにロボットの構造やコンピュータの仕組みといった 比較的難しい話題についても、まんがの中で分かりやすくうまく説明されています。 (この辺は藤木てるみの力量が非常によく出ている)

 さすがに内容については、現在と比べると古くなってしまった部分もありますが、 ロボットの歴史や近年のロボットの発展についての理解の助けになり、お勧めです。 (写真や図版も多く資料としても役立ちます)  未読の方はご一読をおすすめします。比較的新しく発行されたので、古本屋等でも 見つけやすいと思います。

ツッコミどころ

(自称)電動ロボット第1号の悲哀

 さて、第1章(3)での「壮絶なロボット」っていったい何だ、とお思いの方も おられると思いますので、ここで紹介します。 この節で、チャペックが

さて、一九七二年のことだ。アメリカのニューヨークで電気をつかったロボットが現れた。

〔高橋註:「一九七二年」というのは「一九二七年」の誤植だと思われる〕

(「ロボットのひみつ」、学習研究社、藤木てるみ、36ページ)

と言って紹介している、人間型の電動ロボットがそうです。 まず37ページ最初のコマの、その電動ロボットの説明文から引用しましょう。

一九二七年、アメリカで作られた電動ロボット第一号の『テレボックス』。 体の中に電信装置と録音装置が入っている。 テレボックスとは『電話の箱』の意味。

(「ロボットのひみつ」、学習研究社、藤木てるみ、37ページ)

 つまり、電動ロボットの記念すべき第一号ということです。 それまでの、ロボットの親戚たち(自動人形等)は、蒸気やぜんまい仕掛けの動力で 稼動していたわけでしたが、現在の最先端のロボットのように主に電力で稼動するタイプの ロボットは、このテレボックスが世界で最初というわけです。 この37ページの最初のコマを読んだとき、私は、 最初のロボットってどんなものなんだろう……という期待でいっぱいになりました。

 それでは、記念すべき電動ロボット第一号テレボックスをご覧頂きます。

■テレボックス■

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(「ロボットのひみつ」、学習研究社、藤木てるみ、37ページ)



          ,;r'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ、
         ,r'";;;;:::::;彡-=―-=:、;;;;;;ヽ、
        /;;ィ''"´  _,,,,....ニ、 ,.,_ `ヾ;;;;〉
         `i!:: ,rニ彡三=、' ゙''ニ≧=、!´  屋上へ行こうぜ・・・・・・
        r'ニヽ,   ( ・ソ,; (、・')  i'
         ll' '゙ ,;:'''"´~~,f_,,j  ヾ~`''ヾ.  久しぶりに・・・・・・
        ヽ) , :    ''" `ー''^ヘ   i!
        ll`7´    _,r''二ニヽ.     l  キレちまったよ・・・・・・
        !:::     ^''"''ー-=゙ゝ    リ
        l;:::      ヾ゙゙`^''フ    /
        人、      `゙’゙::.   イ

 これが記念すべき電動ロボットの第一号らしい。(……

 なんか板に電話みたいな機械をくっつけたようにしかみえないんですが。 (学くんも37ページで<なんだ、板ぎれの人形じゃないか。>って突っ込んでます……)  これをロボットと呼んで良いのなら、よく町に立ってるあのお巡りさんの看板も ロボットって呼んでよいような気がするんですが。 (それに 前に置いてある扇風機みたいなのは一体なに?)

 もう 指摘すべきところが多すぎて指摘しきれませんが、一つだけツッコみます。

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(「ロボットのひみつ」、学習研究社、藤木てるみ、37ページ)

なんでこれほどまでに歯をむきだしにするのでしょうか。

 また、この(自称)電動ロボットの説明のコマが傑作ですので、以下に引用します。

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(「ロボットのひみつ」、学習研究社、藤木てるみ、37ページ)

動けないってのもポイント高いですが、なによりこのコマで ただでさえ適当な テレボックスの顔がさらに適当に書き直されているのが素晴らしいです。

 最初にここを読んだ時、マジで呼吸困難になるほど笑いました。

*1:註:この本の出版当時は、まだ本格的な二足歩行ロボットは開発されてませんでした。 現在はご存知のとおり、ホンダのASIMO等の二足歩行ロボットが日本の研究で開発されている

2009-04-28

[][]コロ助の科学質問箱

  • 作成:2001/8/12 最終更新:2009/05/14
  • 著者:内山安二
  • 初版:1972年11月25日

ストーリー、構成

 本全体に一貫するストーリーはありません。  この本の構成は、

1. 生活などのこと

2. 乗り物や機械のこと

3. 地球や宇宙のこと

4. 動物や植物のこと

5. 空気のこと

6. 天気や気象のこと

の6章に分かれています。 ただしこれは旧版の章立てです。新訂版の章立てについては後述。

 1章、3〜6章には長いもので6ページ、短いもので1ページ単位で、色々な疑問について 検証しているまんがが平均10数本ずつ載っています。  2章は見開きでホバークラフトなどの乗り物の断面図とその機能等の説明。  各まんがの内容はというと、コロ助、ニャーゴ、チュー助の3人(?)が、 科学に関する様々な疑問について考え、大学の教授や専門家に質問しに行き、 答えを見つけ出す…というもの。

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〔このように、「○○(場所)のXX先生に聞こう」と言って質問に向かう。〕

(「コロ助の科学質問箱(旧版)」、学習研究社、内山安二、35ページ)

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(「コロ助の科学質問箱(旧版)」、学習研究社、内山安二、36ページ)

特徴

ひみつシリーズ最高傑作の一つ

 結論から申し上げますが、この本こそ ひみつシリーズの最高傑作の一つと私は考えます。  子どものみならず 大人が読んでも新鮮で面白い作品となっています。

 一つの文章にしようとするとどうしても うまくいかないので、この作品の長所を箇条書きで 挙げますと…

  • 「子どもにもわかりやすく、かつ内容の要点を的確に押さえた説明」
  • 「キャラの親しみやすさ」
  • 「台詞回しの巧妙さ」

などです。特に,コロ助たちが大学教授などの人たちに さまざまな事象についての話を聞きに行くまんがは、どれも見事で 読んでいて引きつけられます。

作品内での議論

 なかでも良かったものの一つは1章(生活などのこと)の「まさつはないほうがいいの」です。 以下にかいつまんで紹介します。

 ニャーゴ「まさつってニャンだ?」

 コロ助「まさつってのはな、ほら、あれだ。」

(まさつについて紹介するコロ助。その後,まさつがあるほうがよいか否かについてモメる二人)

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(「コロ助の科学質問箱(旧版)」、学習研究社、内山安二、33ページ)

(ここで,古代エジプトでの、丸太やころを使って石を運ぶ方法や、車輪の発達の歴史について教えるコロ助)

 コロ助「どうだ、ニャーゴ、人間はこんなに苦労しているんだぞ。 交通の発達は、まさに、まさつとの戦いだ。」

 ニャーゴ「うーん そういえばそうだけど……」

(ニャーゴは「逆に、まさつがなければ滑ってしまうので車も人も走れない」と主張)

 コロ助たち「うーん、わからなくなったぞ。」

(そしてコロ助達は、

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(「コロ助の科学質問箱(旧版)」、学習研究社、内山安二、35ページ)

という結論にたどり着く。)

 で、国立科学博物館の青木氏に まさつについて質問しに行く…といった具合になっています。

 ここでは,コロ助達に議論(ディベート?)をさせています。「まさつ賛成派」のニャーゴと「まさつ反対派」のコロ助との間で意見を戦わせ、 そして、議論の最終地点において、「まさつがありすぎれば物は運べない→しかし まさつがなくとも物は動かせない→ つまり、まさつを減らすだけでなく上手に利用することが必要だ」という、二人のもともとの意見を止揚した結論を導き出すことによって、作者が読者に理解させたい内容を 読者に感情移入させながら上手に伝えているわけです。

 それも、決して難しい表現には走ることなく、子ども達にわかりやすい形で議論を進めているところは、読んでいて本当にすごいと感じます。*1本作は内山安二の漫画家としての力量が、十分に発揮されているまんがと言えます。

旧版と新訂版の相違点(らしい)

  • 新訂版では、旧版の最後の章(天気や気象のこと)がカットされており、 また5章(空気のこと)も幾つかカットされている。
  • 2章の内容が、 旧版:「風力発電」「原子力船むつ」「ジャンボジェット」「ホバークラフト」「電気自動車」のしくみの紹介 新訂版:「スペースシャトル」「ボーイング767」「ソーラーカー」「超伝導電磁推進船」 「リニアモーターカー」のしくみの紹介 というふうに変更され、見開きの絵も書きかえられている。
  • 先頭のカラー資料が幾つか変わっている。

などの相違点があります。また、他にも台詞・まめちしき等において書き換えがありました。

*1:簡単そうに見えて,なかなかこうゆうのは書けない……

2009-04-26

[][]植物のひみつ

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  • 作成:2009/05/14
  • 著者:藤木輝美
  • 初版:昭和49年6月30日

キャラクタ

  • ツルナ博士,ホップ君,メロンちゃん,ことりのピー,犬(名前不明(w))
  • ミニドリップ号

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(ツルナはかせじゃなくてツルナはくしなのね……「えらあーい大先生」という説明がいい)

〔植物のひみつ,昭和49年6月30日,藤木輝美,P1〕

ストーリー、構成

植物のなかまわけ

ツルナ博士の研究所(?)にホップ君らがかけこんでくる。

「はかせたいへんです〜〜」「どうしたね」

「となり町にコレラがでたの!!」

恐れるホップ君たち。「だれかが外国から菌をもちこんだのじゃな。」

「キン」がなんだかわからないホップ君。博士が伝染病の菌の説明をし,「細菌つまりバクテリアという植物がおこすのじゃ」という。バクテリアが植物の一種と知って驚くホップ君たち。はかせは,植物の定義を説明する。シダ植物やきのこ,海草などの性質の説明によって植物に興味をもつ子供ら。その後,はかせの提案で世界の植物を見に行く旅行にでることに。

世界のびっくり植物

ホップ君らは はかせの部屋の机の上の鉛筆大の機械に驚く。

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〔植物のひみつ,昭和49年6月30日,藤木輝美,P18〕

この「空はもちろん陸も地中も水中も自由じざいじゃ。ハハ…」と博士が自慢するマシン・ミニドリップ号で旅立つことに。博士らは,ミクロナイザーという薬(さわると大きさが千分の一になる)で縮小化してミニドリップ号に乗り,沖縄のマングローブ,マライ群島のラフレシア,ウツボカヅラなどのふしぎな植物を見に行く。*1

根のしくみとはたらき

ミクロナイザーを利用してさらに小さいサイズになった博士らは,ミニドリップ号で何かの木(作品中では種類が明示されていない)の根の近辺の地中にもぐり,根毛から根の中に入り込む。根の特徴がいろいろ説明される。導管*2から茎のほうに向かって進む博士たち。

茎のしくみとはたらき

根から葉に向かう途中で,茎の導管や師管*3の特徴のうんちくが披露される。途中で師管の細胞のあなにミニドリップ号のドリルがはまり,ピンチになったりしながらもなんとか切り抜け,葉に向かう。

葉のしくみとはたらき

葉の仕事である光合成の仕組みが説明される。メロンちゃんたちは植物の働きに感心する。ほかにも,葉が水蒸気を放出する様子なども説明される。

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(この,すばらしい工場 というのが伏線です)

〔植物のひみつ,昭和49年6月30日,藤木輝美,P56〕

花と花粉のひみつ

博士が読んだ本の「花は葉が変身したものである(by ゲーテ)」という言葉が信じられないホップ君たち。ムキになった博士は,ミニドリップ号のタイムマシンで過去に行き,ゲーテに会いに行く。*4

なぜか日本語をバリバリ話すゲーテに諭されたホップ君らは,スイセンの花の花びらなどを調べる。

たねのひみつ

たねに興味をもったホップ君は,まめを水栽培して発芽の様子を調べる。まめが発芽し葉を出していく様子が語られる。「まめ君がんばれ!!」

植物の呼吸と動物

「はかせ!!たいへんでえす!!」

泣きながら研究所に駆け込むホップ君とそれを追うメロンちゃん。

「うちのキンギョが毎日二、三びきずつ死んでいくんです!!」

博士と原因を考えていくうちに,せまい水槽に22匹も金魚を入れていたことが判明。博士たちは,ミクロナイザーで金魚と同程度のサイズになり,博士が飼っている金魚に酸素についてインタビューする(金魚語の通訳機があるらしい……)。水草が光合成で放出した酸素を金魚が吸い,金魚がはきだした二酸化炭素を水草がすって光合成につかうというサイクルが説明される。

ホップ君の金魚が死んだのはせまい水槽にたくさん金魚をいれて酸欠になったことが判明……動物は,植物の酸素が必要と理解するホップ君ら。

「動物は植物がなくては生きていけないかんけいにあるのじゃ。」

植物と人間の関係

(後述)

植物なんでも質問箱

植物に関するいろいろな質問とその答えが,各1ページ程度で説明される。

特徴

本書の特徴は,ツルナ博士の発明品の数々です。ミニドリップ号やミクロナイザーなど,奇想天外なアイテムが次々と登場します。これらのアイテムによって,動物などと比較して地味(?)なテーマである植物についても,飽きさせずに漫画中でうまく説明しているのがポイントです。(それにしても,タイムマシンで過去に行くわ,金魚と話すわで,なんでもありですねこの作品)

また,最後の章である「植物と人間の関係」では,「植物がなくなったらどうなるか?」という架空の状況が説明されています。これが子供のころ 結構トラウマだったので紹介します。

「植物と人間の関係」の荒廃世界

前の章で,人間も含めた動物が植物と関係があるとわかったものの,ややぴんと来ないホップ君たち。そこで博士たちはミニドリップ号で百五十年後の世界に旅立つ。

「ただし過去の世界とちがって、ほんとの世界になるか、うその世界になるかは、人間しだいでかわる世界なんだよ。」

百五十年後の世界に入り込んだ博士たち。なんと,真っ暗で寒いおそろしい世界であった。スモッグが地球をとりまいて日光をさえぎっている。

「太陽の光が地上にとどかないから、光合成ができなくて…………」「草も木も全部死んじゃったんだ。」

博士はミニドリップ号を地上に降ろす。枯れ木や動物の骨がちらばる死の世界。人間たちは酸素ボンベをしょって歩いている。

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(この一連のコマがトラウマ)

〔植物のひみつ,昭和49年6月30日,藤木輝美,P109〕

「公害をまきちらす工場がめちゃくちゃ地球上にふえたから、こういうことになったのだ。」「人間の工場は、緑の葉っぱの工場にはぜったいかなわないのだ。」

ホップ君たちは,荒廃した世界で苦しむ人々の「酸素よこせデモ」や怪しげな工場(酸素などを生産しているらしい)を見ておそろしくなる。しかし,もとの世界にもどるとき,博士はこういう。

「ハハハ…いま見てきた世界はきみたちの力で、うその世界になるかもしれないのだ!」「さあ、ぼくたちのいた地球にもどろう。そして、みんなで植物や動物をまもる努力をするのだ。」

このような感じで,公害問題への批判や植物の大事さなどを説明しています。この章が子供のころえらいトラウマでした。

ツッコミどころ

ホップ君が直情径行すぐる件

本書の主人公っぽいホップ君ですが,小さくなった状態でウツボカヅラの消化液に入ってものんきに泳いでたり,けっこうアレな性格です。さらに,えらい早急な性格でもあります。

「植物の呼吸と動物」の章の最初のほうで,金魚が死んだ原因がわからず,悩んでいるうちに「だれかが毒を入れたのかもしれない」と,なんの根拠もなしに思いつくホップ君。その後,「ぼくのうちへキンギョを見にきたのはメロンちゃんだけだ」「ひょっとして、きみが毒を入れたんじゃない?」といきなり決め付ける(当然怒るメロンちゃん)……お前,もうちょっと考えて行動せいといいたくなります。その後,メロンちゃんの冤罪が証明され 謝るのですが。

ツルナ博士の小学生チックな言語感覚

また,ツルナ博士もけっこうお茶目(?)感じのキャラです。冒頭のコレラ騒ぎのところで,菌が増殖する様子に驚くホップ君たちに対して,

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〔植物のひみつ,昭和49年6月30日,藤木輝美,P109〕

博士,あなた一応教育者(?)なんだから「うんこ」などという小学生テイストの強い言葉を使うのはどうかと……「便」とか「糞」とか(百歩譲って)うんちとかいろいろあるでしょ(でも上の引用コマで一番問題なのは「やだあ うんこなんて食べないじゃない」などと口走っているメロンちゃんなのだが)。

こんな感じで 笑える点もけっこうあります。

*1:この過程でホップ君がいろいろピンチに立たされたりします

*2:根から葉のほうに水分を送り込む血管のような管

*3:葉で作った栄養分を根に送る管

*4:それにしても,ミニドリップ号だけでもすごいアイデアなのに,これだけいろいろ発明してる博士って…

2009-04-24

[][]宇宙生活・スペースシャトルのひみつ

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  • 作成:2009/05/22
  • 著者:楠高治
  • 初版:昭和56年9月25日

キャラクタ

  • 宇宙博士,ドン太君(太めキャラ),みっちゃん,博士の部下(?)の飛行士など
  • 博士自前のスペースシャトルX号

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〔宇宙生活・スペースシャトルのひみつ,昭和56年9月25日,楠高治,P1〕

ストーリー、構成

新しい宇宙時代のまく開け

「みなさん、おはようございます。こちらはアメリカ……。ただ今より特別番組をお送りしまあす。」

 スペースシャトルコロンビア号*1の打ち上げの様子を報道しているTV番組。その様子に見入っている博士,ドン太君,みっちゃん。「わあっ発射だ!」「すてき。」「うむ……。新しい宇宙時代のまく開けだ。」

 コロンビア号は激しくジェットを噴き上げて宇宙へ旅立っていく。「スペースシャトルって今までのロケットとは形がずいぶんちがうのね。」というみっちゃんに答えて,博士はスペースシャトルのオービター*2のしくみなどを説明する。見開きカラーイラストでオービターや解剖図や打ち上げの様子が説明される。その他に,従来のロケット(スカイラブ)などとスペースシャトルとの打ち上げ方法の比較や,オービターの宇宙での活動などの説明も。

 その後,地球に無事帰還したコロンビア号。「すごい!!ぼくも行きたいよ。」というドン太君に答えて,なんと「これから宇宙に行ってみよう」と言い出す博士。

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(自前のスペースシャトルをもってる博士って一体……)

〔宇宙生活・スペースシャトルのひみつ,昭和56年9月25日,楠高治,P21〕

スペースシャトルX号出発!

博士所有のスペースシャトルX号に乗り込む博士たち。ドン太君らは 発射のショックの話*3にびびるが,スペースシャトルのショックはさほどでもなく安心。固体燃料ロケットや燃料タンクを分離し高度300キロの電離圏の軌道に乗ったX号は無重力状態に。

無重力状態のふしぎなできごと

無重力状態で体がふわふわするのに驚くみっちゃん。「まあ、わたしたち重さがないの?」「さよう、このX号の中は地球と違って無重力状態なんだ。」

「地球上の物はみんな地球の引力のために地球の中心に向かって引っぱられている。」「ところが地球を回る軌道にのった宇宙船の中では引力と反対方向の遠心力も働くので引力が消されてしまうのだ。これを無重力状態というのだよ。」

 ドン太君らは博士と一緒にいろいろな実験をする。せんをしたビンを激しく振ると,無重力状態では泡が……

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(おいどんが小学生のころ,この本を最初に読んだとき最も印象に残った話の一つ)

〔宇宙生活・スペースシャトルのひみつ,昭和56年9月25日,楠高治,P31〕

 他にも,牛乳を注ごうとしてもコップにつげない(無重力だから)とか,ろうそくに火をつけると炎が丸くなるとか(無重力だから),アイスキャンデーを溶かすと水がたれずに棒に付着して丸くまとまるは(無重力だから),ボールペンは使えないは(無重ry(ry)といった実験の数々が披露される。また,無重力の世界に長くいると筋肉が弱ることや,背が伸びることなどの説明もあり。

宇宙船の中の変わった生活

 「こんどは無重力状態の日常生活を体験しようね。必要なことはたくさんあるんだよ。」

 ドン太君やみっちゃんは(主にドン太君が)スカイラブ式シャワー*4やトイレやらを体験。ドン太君はトイレで見つけた穴におしっこをしようとして失敗,尿の玉が船内にちらばったりする……。さらに,大のほうを催したドン太君はスカイラブの横穴式トイレでウソコをすることに(……)

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(これまでのひみつシリーズでは こーゆーシーンってあんま描かれなかった)

〔宇宙生活・スペースシャトルのひみつ,昭和56年9月25日,楠高治,P51〕

 さらに,宇宙船内でおならをする場合の問題点の紹介も。セクハラっぽい質問に照れるみっちゃん(後述)。また,博士の部下らしき男性宇宙飛行士や女性飛行士(美人)が紹介され,宇宙船内での散髪や髭剃り・化粧などの説明も。

宇宙食のうつりかわり

 「ドン太君、おまちどうさま。今度は、宇宙食のコーナーだよ。」喜ぶドン太君。

 ジェミニ宇宙船やアポロ計画などの昔の宇宙食(チューブ入り,プラスチックパック食品)から,スペースシャトルの最新式宇宙食までが紹介される。また,食後の水を使わないはみがき(歯磨き粉はそのままのみこむ……)にトライするドン太君*5。その後,壁に留める形式の寝袋で眠ることに。

スペースシャトルのいろいろな設備

 翌日,X号の操縦室に案内されるドン太君ら。景気などの説明を受けている最中,尾翼に隕石が接近(?)したとの警報が。念のため男性飛行士に調べてもらうことに。宇宙服や宇宙究明ボール*6の説明も。

 その後,故障した人工衛星を回収して,地球に帰還するX号。大気圏突入時の摩擦熱や耐熱タイルの説明。「今、このX号のまわりの温度は千二百度。」「たいへん、燃えちゃうわよおっ!!」「千八百度までの熱にだいじょうぶなたい熱タイルが何万まいもびっしりはりつけてあるから安全だよ。」

 無事地球に帰還したX号。ドン太君やみっちゃんはこれまでの無重力状態から地球の重力の世界に帰ったので 体が重くてヘトヘトに。*7

スペースシャトル大活やく!!

 スペースシャトルの活躍をもっと知りたいドン太君らは,博士の自宅(?)をたずねる。アストロスコープ(宇宙大望遠鏡)やガリレオ木星探査機など,スペースシャトルと関係が深い宇宙計画の説明や,宇宙飛行士になる資格の解説。「やせすぎふとりすぎもだめ…とかいてある。」「た、たいへん、げんりょうしなくっちゃ。」

実現する夢 新しい21世紀へ
人間が宇宙に住む計画
宇宙島の楽しい宇宙生活

 未来において実現が予想される宇宙ステーション,月の資源計画,宇宙コロニーや宇宙島などの見開きイラストが示され,その詳細の解説が漫画で行われる(後述,特徴参照)

宇宙旅行・宇宙生活・クイズコーナー

 宇宙博士のともだち(らしい)クイズ博士が,宇宙生活に関するいろんな質問をクイズ形式で出題。(初期ひみつシリーズの質問箱のようなコーナー)

特徴

 本書はひみつシリーズ中期の名作の一つです。楠氏の描くキャラの面白さ,ロケットや設備などを擬人化したキャラたちの親しみやすさなど,まんが自体が優れていることはもちろんですが,宇宙生活やスペースシャトルなどの本書の題材自体が,小学生〜中学生あたりの科学や宇宙が好きな子供たちの心をグッとつかんで離しません。

自分も宇宙に行きたい!と思わせる

 特に,宇宙食や無重力空間での実験の様子など,これまでの宇宙に関する既刊(宇宙のひみつ)では説明されなかった事項が非常に興味深く,科学教育の題材としても十分に利用できそうです。また,この本を読んでると,「自分も宇宙に行きたい!」とつい思うようになります(実は,この本の影響で 消防のころ 一時真剣に宇宙飛行士になりたいと思ってた……)

宇宙博士のリッチ振りに驚愕

 本書の教師役キャラである宇宙博士ですが,容貌や性格などは他のひみつシリーズと比較してさほど変哲はない*8反面,そのリッチ振りや人望がけっこうすごいです。なにしろ,前述引用の通り,自前のスペースシャトルを持ってますから。(スペースシャトルだけでも相当な金額だが,周辺の設備や着陸用の滑走路などの用地なども含めると……)。しかも,宇宙飛行士を何名か部下(?)に持ってますし。歴代の博士キャラの中でも最高レベルのリッチ振りです。

宇宙島計画の描写

 本書の中でもっとも子供たちへの「科学への希望」を抱かせる章は,「人間が宇宙に住む計画」と「宇宙島の楽しい宇宙生活」です。「人間が宇宙に住む計画」の章では,トーラス型のスタンフォードの宇宙コロニー(スペースコロニー - Wikipediaのスタンフォード・トーラスの項参照)の概観や内部の想像図が漫画で説明されます。

「どうしてこんな大きなものを作るのかしら?」と疑問におもうみっちゃんに,「それなんじゃ、今、地球の人口はどんどんふえ続けておる。地球に住む人間の限界は百億といわれる。西暦二〇〇〇年には七十億に達するという計算もある。」「だが,広い宇宙なら住む場所は無限にあるからね」と,宇宙コロニーの意義を説明する博士。さらに,百万人用の〔コロニー〕もあるという博士。驚くみっちゃんやドン太君。オニール博士の宇宙島計画*9が紹介される(以下の引用コマとスペースコロニー - Wikipediaの想像図と比較してみて下さい)。

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〔宇宙生活・スペースシャトルのひみつ,昭和56年9月25日,楠高治,P114〕

 そして,「宇宙島の楽しい宇宙生活」の章では,オニールの宇宙島の生活(当然,本書執筆時は実現できてないため,想像上のもの)が示されるのですが,この生活が古きよき時代のSFで描かれる「進歩した未来世界」のようで,読んでて本当に楽しくなります。以下,いくつかその様子を紹介します。

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(この他,人力飛行機などもあるらしい)

〔宇宙生活・スペースシャトルのひみつ,昭和56年9月25日,楠高治,P118〕

 宇宙島では気象もコントロールでき,乗り物などもあり,シリンダーの中心では重力が少ないためスポーツで新記録が出せるといった話題が紹介されます。

 また,宇宙島にはイヌや猫やかわいい生き物(カナリヤ,リス,トンボ,モンシロチョウとか)*10や有益な生物(ミツバチ,牛など)をつれてくることや,人間の居住区の周辺の農業地区で野菜などを栽培する様子も描かれます。

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〔宇宙生活・スペースシャトルのひみつ,昭和56年9月25日,楠高治,P122〕

 自分は消防のころ,この宇宙島計画がいずれ必ず実現すると,無邪気に信じていました……

バラ色の希望と灰色の現実

 しかし,実際にはこれらの計画が実現する可能性は薄いのではないかと,思い始めております。

地球全体での人口の爆発的増加・資源枯渇などに対する解の一つとして注目されたが、冷戦構造が終結し各国の宇宙開発投資が抑制されていること、特に先進国においては出生率低下傾向が続いていることなどから、今のところ現実のプロジェクトとして具体化してはいない。また、仮に百万人収容できるスペースコロニーを建造できたとしても、世界の人口は一年に8000万人前後増加しているため、一年に80基ものスペースコロニーを建造してやっと人口増加分を吸収できる計算である。さらに、建築材料は月や小惑星から持ってくるとしても、居住する人間は地球から衛星軌道まで運ばねばならない。人数と費用を考慮すると軌道エレベータのような新規の輸送手段が必要である可能性もある。以上のような理由より、費用対効果の面から考えると、人口爆発の解決策として有効であると単純には言えない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%83%BC

 上記の通り,宇宙コロニーとかを建造するゼニもそうですが,どうやって人達を地球から宇宙の軌道まで運ぶのかと(現在のスペースシャトルでは1回の打ち上げでせいぜい数名ほど)。軌道エレベータでも開発しない限り無理です。また,宇宙に棲みたがる人々 - シートン俗物記で指摘されているような問題点もあるし,お探しのページは見つかりませんでした。 - Yahoo!知恵袋のように,地球上の砂漠などを改良して人が住めるようにしたほうがずっとコストが低くてすむという問題もあるわけで,宇宙コロニーの実現はかなり難しいといわざるを得ない。

 「宇宙島の楽しい宇宙生活」の章の最終ページで,博士は「宇宙開発はめざましいスピードで進みはじめた。」「地球上の人々が力を合わせれば、(宇宙コロニーなどは)実現することばかりなんだよ」と言っているのですが,いま読み返すとこの希望に満ちた言葉がかなり空しく感じます。子供のころ宇宙生活や宇宙コロニーについて抱いていたバラ色の希望が,灰色の現実に変わったような感触を,いま読み直して感じています。

ツッコミどころ

下品な話題(セクハラ…)

 本書には大きな破綻とかはないのですが,一部ツッコミどころがあります。それは,前述の「宇宙船の中の変わった生活」の章で,宇宙船内でのおならの話題に触れている時の博士の質問。

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〔宇宙生活・スペースシャトルのひみつ,昭和56年9月25日,楠高治,P53〕

 赤面するみっちゃんがかわいい(ほんとは「しない」とか言いたかったのだろうが,そういうわけにもいかんのでできるだけ少ない回数にしたいという恥じらいの気持ちが感じられる)。それにしても,この後のページで「アメリカの航空宇宙局でまじめに調べた結果、一人一日に平均三回はおならをし…」とか教えているのだが,答えがわかってるんなら別にドン太君ら聞かんでもええやないかと。

 さらに,博士はこんな質問を。

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〔宇宙生活・スペースシャトルのひみつ,昭和56年9月25日,楠高治,P53〕

(絶対わざと聞いとるな,このじじい)こんな感じのセクハラぽいネタが結構あるのがツッコミポイントです。

*1:1981年4月12日の,実際の打ち上げの様子の写真が用いられていた

*2:軌道船

*3:ジェミニ宇宙船打ち上げでは宇宙飛行士に10Gものショックがかかった件

*4:なぜスペースシャトルなのに数年前のスカイラブ計画のシャワーがあるのかなぞだが

*5:一見トロそうにみえて,なにげにいろいろなことに挑戦するドン太君はけっこうすごい

*6:シャトルから脱出せざるを得なくなった場合,人員が宇宙空間に逃れて救援を待つためのもの

*7:「宇宙のひみつ」ではこういう要素は描かれなかったので,妙にリアリティを感じた

*8:変哲があるのは鳥のひみつのトッチャンドリやトンチンカン科学教室のおじさんとかの種

*9http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%83%BC の「シリンダー型」の項参照

*10:モンシロチョウはいいのか?キャベツ食い荒らすと思うが