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竹内研究室の日記 RSSフィード Twitter

2014-05-01

日本が負けつつあるのはロボットだけではない。競争する土俵が変わってしまった。

オバマ大統領が来日した際、日本未来館で東大発のロボットを開発するベンチャー、シャフトの創業者たちと彼らの製品のロボットと会ったそうですね。

ロボットと言えば、日本のお家芸。今でも産業用のロボットは非常に日本企業が強いです。

その一方、二足歩行のようなヒューマノイドのロボットはおもちゃとしては面白いけど、なかなか産業として離陸することが難しい。

介護ロボットとして有望と言われていますが、実用化はまだ遠そうです。

産業が広がらないために、シャフトもなかなか日本では資金を集められなかったと言われています。

結局、グーグルに買収された(してもらった)。

投資対象としてロボットを評価する時に、おそらく日本のメーカーは、ハードウエアとしてロボット単体の商売を考えたのでしょう。

そうすると、最近のロボットは、高度なセンサを搭載し、AIなどを使って賢いアルゴリズムを実装して高機能化してきたと言っても、まだロボットができることは限られている。

日本メーカーは掃除用ロボット(ルンバ)では(技術はありながら)実用化に後れを取ったので、ロボットだけでもビジネスはないことはないでしょうが、そう大きな市場がすぐに開けるわけではないでしょう。

では、なぜ、グーグルはロボット開発を手掛けるか。

グーグルがロボットを開発する理由は明確にはわかりませんが、おそらく、彼らのサービスの1つのパーツとしてロボットを利用するのでしょう。

つまり、サービスを強化するためのロボットであって、ロボット単体のビジネスだけで収益を考えていない。

無人飛行機ドローンを手掛けるTitan Aerospacをグーグルが買収した理由も同様でしょう。

将来事業化する時も、ロボット事業は赤字でも、他のサービスに活かしてそちらで利益を得られれば良いと考えているのではないでしょうか。

つまり、ロボットというハードウエアだけで事業を考えているメーカーとはそもそも、投資を考える事業の土俵が違うのです。

似たような例として、Kindleを安価で販売するアマゾンやAndroidを無料で提供するグーグルのケースも、サービスで儲ける手段として、ハードやソフトを手掛けている。

これでは、携帯端末のハードウエアやOSというソフトだけで収益を上げようとしている企業はたまったものではありません。

絶対に勝てません。

私の研究はデータセンターなどで使われる高速なストレージですが、とても似たケースが多く、シャフトは身につまされる話でした。

グーグルやフェイスブック、アマゾンなどは巨大なデータセンターを抱えており、彼らのサービスを実現手段として、ストレージを考えている。

つまり、ストレージの開発自体にコストがかかっても、高速な検索などのサービス(の広告収入)で利益を回収できればよいのです。

最近、私の研究に興味を持って下さるのは、メーカーというよりも、こうしたサービスベンダに移りつつあります。

はっきり言ってしまうと、ストレージを本業とするITベンダよりも、巨大なネットサービス企業は圧倒的に資金があるのです。

その資金の源はストレージというハードウエアの事業ではなく、サービス、広告収入です。

これはロボットのケースと酷似していると感じています。

ストレージの分野でのもう一つの顕著な動きは、半導体メーカーがIT分野へ進出している。

半導体は数千億円レベルの投資を毎年のようにしなければいけない分野です。ITに比べれば桁違いの研究開発投資なわけです。

まだIT分野では能力が劣っていても、半導体の投資の例えば一割をストレージの投資に振り向けたら、かなりの脅威になるのではないでしょうか。

既に半導体メモリを手掛ける会社は、IT分野に動き始めています。

このように、強い事業領域を持っている企業が本業での高い利益をテコに隣の領域に進出する。

IT分野の企業は、グーグルなどのサービス企業、半導体などの巨大なハード企業の両方から攻められ、挟み撃ちになろうとしているのかもしれません。

自分がある事業のトップであると思っていたら、隣の分野から巨人が入ってくるということが、様々な分野でこれからも続くでしょう。

メーカーにとってはやるべきことは明確です。

自分の狭い事業領域に閉じこもっていたら、いつか、他の領域から来た巨人に市場を奪われてしまうかもしれない。

「やられるまえに、やれ」のビジネスの鉄則の通り、自ら領域を広げていくしかないのでしょうね。

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