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竹内研究室の日記 RSSフィード Twitter

2016-01-17

ネット上の生と死

昨晩、何気なくツイッターを見ていたところ、池田信夫さん(@ikedanob)のツイートで澤昭裕さん(NPO法人国際環境経済研究所 所長)の突然の訃報に接し衝撃を受けました。池田さんはご自身のブログで「澤昭裕さんへの最後の手紙」を書かれています。

私はツイッターやフェイスブック、Linkedinなどのアカウントは持っていますが、SNSを使ってコミュニケーションは行っていません。

元々ずぼらな性格な上に日々自転車操業で、頂いたメールさえきちんと回答できてない(膨大な数のメールを頂くので時々見落としてしまうこともある)のに、より頻繁にやり取りが生じるSNSのコミュニケーションができるとは思えない。

中途半端に始めると失礼になってしまうので、フェイスブックやLinkedinは他のアプリケーションを使う時に必要なのでアカウントは作りましたが、見ていません。

ブログ・ツイッターも情報を発信するためだけに使っています。

さて、そんなSNSには積極的ではない自分ですが、澤さんが亡くなったことには、自分でも意外と思うくらい大きな衝撃を受けました。

澤さんとは直接の面識はなく、ツイッターで数回やり取りした程度でしょうか。SNS上だけの、お付き合いとも言えないような関係でした。

澤さんを知るようになったきっかけは震災です。震災と福島の原発事故の時に、私も「誰の言っていることを信じてよいのか?」と不安に駆られた時、澤さんのご意見はとても参考になりました。

原発は単純に技術だけで白黒つけられるものではなく、経済性、国際関係、環境、政治・・・と様々な要因で決まるもの。

原発事故の時には、白だ、黒だと明確に言い切る意見はわかりやすいですが、そんなに簡単に割り切れるのか。過去の経緯も含めて複雑な状況を丁寧に説明して下さる澤さんのご意見は貴重でした。

膵臓がんで亡くなったとのことで、テレビで澤さんを見られていた方は急激に痩せていかれるのに気付いた方も居たようです。

一方、私はツイッター上での澤さん(@sawaakihiro)しか知りませんので、健康状態について全く知りませんでした。というのも澤さんはツイッターやブログなど、SNSでの情報発信は続けられており、つい一昨日まで呟かれていました。

年末(12/26-28)にはWedgeに「澤昭裕・2016年への提言」を掲載し、原発事故問題の今後について大変力のこもった提言をされていました。

福島のタブーに挑むその1 除染のやり過ぎを改める

福島のタブーに挑むその2 被ばくデマ・風評被害の根絶

福島のタブーに挑むその3 賠償の区切りと広域復興

年末の忙しい時に、何でこれほどまで量の多い記事を掲載しているのだろうか?、と年末に不思議に思ったことを思い出しました。

年始には1/4に「私の提言 ―総集編―」と題して、原発政策の過去と未来について総括されています。

総集編、と書かれていることは、既に覚悟をされていたでしょうね。最後の部分を引用させて頂きます。

「エネルギー問題は公益の最たるものである。筆者がしばしば「インフラ中のインフラ」という言葉を使って表現してきた通り、国民生活や産業の基盤であり、極めて現実的に議論されねばならない。すでに公僕たる立場を離れて長い筆者ではあるが、公益に尽くす情熱は捨てがたく、混乱するエネルギー政策を立て直す議論に貢献すべく心血を注いできたつもりである。理想論や対症療法の積み重ねでなく、わが国のエネルギー政策が広い視野に基づく新たな思想理念を構築することに今後も微力ながら尽くしていきたいと考えている。

しかしながら、自身の健康管理不行き届きにより、しばらくこうした提言活動から身を引き、療養に専念せざるを得ない状態となってしまった。今回のブログは、これまで描いてきた構想の整理をして皆様にお伝えしたいと考えたものである。しばらくこのブログの更新が滞ってしまうであろうことをお詫びするとともに、その間も変わらずこの国際環境経済研究所へのご支援をお願い申し上げます。皆様も健康第一でお過ごしください。」

膵臓がんの治療は大変つらい・痛いと聞いています。そんな中、まさに情熱を傾けて情報発信をされていたことに本当に頭が下がります。

言い方を変えれば、「公益に尽くす情熱」を持ち続け、(おそらく病院で治療を受けながら)ネットを通じて情報を発信し、亡くなる直前まで現役として仕事を続けることができたです。

そして、Wedgeの提言の最後に「未来志向に切り替えるためには、それを阻むもの、例えば、福島内部というより外部の人たちの福島に対する理解度が不足している状況をどう改善するかという問題に真剣に向き合っていかなければならない。本稿はそれに取り組み第一歩としての課題抽出を行ったものである。」と澤さんが書かれているように、澤さんの提言はネット上では生き続けることでしょう。

職業人として、生涯を賭けるテーマを持ち、最後の最後まで情熱を傾けられた、望むらくは自分もそうありたい、と思いました。

澤さんのプロとしての生き様に改めて敬意を表するとともに、ご冥福をお祈りします。

安らかにお眠りください。

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