2012-01-14
El Sur
この間Shakespeareさんに褒められたので、調子に乗ってビクトル・エリセの監督第2作 El Sur (1983) を再見した。はじめて観たときは水脈を見つける特殊能力(いわゆるダウジング=dowsing)というものが物珍しくて強く印象された記憶がある(DVDの写真がまさにそれ)。今回は初聖体拝領後の祝宴で父と娘が踊るシーンと、その二人が最後の昼食を摂るグランド・ホテルでのシーンに惹きつけられた。この2つ、「エン・エル・ムンド」という曲で結ばれてるのね。小津映画の父娘関係をチラッと思った。最後の昼食のときに娘が着ていた服の暗い赤(ブラッドレッドかオックスブラッドかな)がとても好い。テーブルの赤いバラ(ウエイターさんが“よろしかったらどうぞ”といってくれる)とのグラデーションが決まっていた(お母さんとの糸巻きシーンでの毛糸の赤も響いている)。お父さん役のオメロ・アントヌッティはタヴィアーニ兄弟のPadre Padrone でもお父さんを演じていたイタリアの人。昔の恋人を映画館のスクリーンで観たあとにカフェで手紙を書いていると、娘がコツコツ窓を叩く。そのときの表情。味わい深い演技だった。しかし手紙(それからこの映画では絵葉書も)の使い方(画面と文の内容・朗読のかぶせ方)が実に巧み。とっても詩的でドラマチックだ。距離と孤独、突然吹き込んでくる風のような運命。映画女優が、役と芸名と本名の自分という多層的な自己を意識して書き送った返信もステキだった。画は前作にも増して完璧。ググッたら、本来は父親の自殺後に“南”へ旅立った娘のその後の展開も撮られるはずだった(だからこういうタイトルがつけられている)のに、予算の関係で“半分”の北側のエピソードだけで制作打ち切りになったとか。うーん、観てみたかった。![エル・スール [DVD] エル・スール [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/512HVK6BW6L._SL160_.jpg)


