「カラマーゾフの兄弟」に出演したかった女優
私は『カラマーゾフの兄弟』のようにドラマティックな役がやりたいの。
でも兄弟の役はやりたくない。
グルーシェンカがいいわ。女ですもの。
ハリウッド女優、マリリン・モンローの言葉です。
映画の中でこそ、オツムの弱いブロンド美人を演じていた彼女ですが、実は大の読書好き。
それは三番目の夫が劇作家のアーサー・ミラーであったことからもうかがえるはず。
もし私がただの頭の弱い金髪だったら、結婚なんかしてくれない。そうでしょ?
彼女はフロイトを読み、自分をより官能的に見せるため、口紅を1ミリ唇より大きく塗り、
グロスのなかった当時、ツヤを出すためにワセリンを塗って唇に濡れたような質感を与えていました。
また、ハイヒールの踵を片方だけ少し短くし、歩くと自然にお尻が揺れるようにし、「ナイアガラ」の長いウォーキング・シーンを作りました。
二番目の夫、ジョー・ディマジオ(長嶋監督がリスペクトする野球選手)には「大切なのは眼で見えていることじゃなく、心で見えていること」という『星の王子様』の言葉を贈ったことも。
残念ながらジョーにはその真意は伝わらなかったようですが。
結局、アーサー・ミラーとマリリン・モンローは離婚してしまいますが、
最後に彼はマリリンのために『荒馬と女』という戯曲を書きます。
主役はもちろん、マリリン・モンロー。そして相手役はクラーク・ゲーブル。
この配役にもアーサーのマリリンに対する優しさが感じられます。
それは父親をしらないマリリンが幼い頃、写真で見た父親がゲーブルに似ていたから
「父親がクラーク・ゲーブルだったらいいな」という願望をいつも持っていたからです。
(本当の理想の父親はエイブラハム・リンカーンだそうですが)
しかしこの映画は、マリリン・モンローとクラーク・ゲーブルの遺作となってしまいます。
また、評価もイマイチで、いろいろ残念な映画となりました。