こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

英語教育系の本、一般知名度ランキング

爆弾的英語教育改革論

最近、複数の図書館の830番代のコーナーで、マークス寿子著『爆弾的英語教育改革論』という本をたてつづけに目にする機会があった。


基本的に、へらへら笑いながら読む本で ――著者のいう「爆弾的」というのは「SF的」という意味だろう―― 、英語教育関係者の間ではほとんど評価されていない本のはずだ。しかし、色々な図書館でこの本を見つけるにつけ、もしかしたら関係者以外にはかなり浸透している本なのかと思ってしまった。


というわけで、所蔵館数が一目でわかる CiNii Books というデータベースを使って、ランキングを調べてみた。
もちろん、このデータベースは「大学」図書館のデータベースなので、一般知名度とはだいぶ距離があるが、まあ、指標としてはいいんじゃないでしょうか。(もっと良い指標をご存知でしたらご教示下さい)


検索式は以下。書名あるいは書名注記に「英語教育」を含むもの。
http://ci.nii.ac.jp/books/search?title=%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E6%95%99%E8%82%B2


なお、雑誌、および、明らかに関係ない書籍は除外しています。

ベスト10

ただ並べるだけでも芸がないと思ったので、「一般書」の代表である「新書」には色をつけてみた。

https://dl.dropboxusercontent.com/u/4689919/BLOG_Pict/ELTbook10.png

トップは、岩波新書の『日本の英語教育』(山田雄一郎)で、497館。


分母にあたる大学図書館の総数がどれくらいあるのか知らないけれど、研究社の『新英和大辞典』は1,075館らしいので、たぶんおよそ半数の大学図書館には、この本が収められているんだろう。まあ、新書コーナーが常備されているなら、たとえ英語とは無関係のキャンパスでも、置いてありそうなのは想像に難くない。

ベスト50

これだけ見ると、「新書はやっぱり影響力高いー!」となりそうだが、11位以降をみるとそうでもない。

https://dl.dropboxusercontent.com/u/4689919/BLOG_Pict/ELTbook50.png

もう新書は登場しない。ちなみに、100位まで見ても、86位の山田雄一郎『英語教育はなぜ間違うのか』(ちくま新書226館に所蔵)のみ。

ちなみに、冒頭に掲げたマークス本は「138館」で、ランキング圏外だった。