2017年、「小学校英語論争」はもはや存在しない。
「賛成派」が消えたからだ。
小学校英語を推進する人たちが一番輝いていたのは90年代だと思う。
当時の世間は児童英語に冷たく、「小学校で英語なんか教えられるはずがない」と思っていた。
中学高校大学の英語教員のなかにも「小さい頃から学ぶなんてもってのほか」と考える人も多かった。
逆境の中、賛成派は団結しなければならなかった。いくつかの団体・学会は「小学校に英語を入れろー!」という声明すら出したほどだ。
関係者はみな、理論や自身の経験をもとに、子どもに英語を学ばせればこんな素晴らしい成果が得られると熱く語っていた。
それから20年、状況は完全に変わった。
政府の既定路線はいまや「小学校から英語を始める」だ。
声高に「英語を入れろー!」と叫ぶ者はどこにもいない。
「子どもたちは英語学習を通じてこんなにも成長する」と熱く語る者もいない。
攻略すべき「目標」がなくなったからだ。
その代わり、行政から与えられた仕事をきちんとこなす役割の人が大量に生まれてきた。
こうなると、小学校英語に反対の人、不安に感じている人は困ってしまう。
誰に文句を言ったらわからなくなってしまうからだ。
誰も「小学校英語の有効性」を語らない。
文科省ですら語らない。
だから、「有効性なんてないんだ!」と批判もできない。
無責任体制のきわみである。
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