
レインタウン-rain town | |
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2010年度京都精華大学マンガ学部アニメーション学科第二期生卒業制作作品「rain town」公開します
その街はいつからか雨がやまなくなって
人々は郊外や高台に移り住んでいった
「rain town」
人々の記憶の底に沈む
忘れられた“雨の街”へ
時折、誰かが迷い込むという…
In this town, since who knows when, rain has never stopped.
Residents moved out to suburbs and high ground around
"rain town."
People's memories are now deeply submerged.
But into this forgotten rainy town
sometimes, someone wanders.
作品についての記事や資料はこれから何日かに分けて少しづつ記していきたいと思います
京都精華大学マンガ学部卒業
http://www.seika-mangaworks.jp/2010/
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11/3/23
卒業式も終わり、落ち着きを取り戻しつつある今
一度放っていた事の整理にメモ替わりの意味も込めつつ書き留めていきます
時間はある程度かかると思いますが
■卒業制作「rain town」を作るにあたって
この作品は僕の通う京都精華大学のマンガ学部アニメーション科の2010年度卒業制作として制作した作品です。
大学一回生の頃から描いていたイメージを四回生になり卒業制作としてアニメーション化しました。
「行きたくても行けなかった場所」
雨の街「rain town」には自分の過去の記憶がまるで“雨水枡”のように底に溜まっています。
幼い頃に隣町へと足を踏み入れた時の足の浮く感覚、恐怖、好奇心。
見知らぬ場所で一人ぼっちになった時の得も言われぬような淋しさと焦りと不安な気持ち。
ふと見上げた空に幾筋もの電線が巡って、それを従える電柱だらけのごちゃごちゃの日本の原風景。
自分の小さな身体をスッポリと包みこむ全てが広大で巨大に思える世界のスケール感。
そして、雨の日の薄暗くて肌寒い独特のしなやかでひんやりとした空気感、ツンとするいい匂い。
水たまりに映るひっくり返しの世界、狂う平衡感覚、濡れる身体、流れ落ちる心地よい水の肌触り、滴る水滴、わけもなく静まる心…。
言葉では言い難い過去の感覚的な記憶がこの街にはたくさんあって、それらは日々の生活の中で現在進行形で損なわれています。
誰しもが経験したことのある普遍的で感覚的な記憶を掘り起こすこと。これを機に映像を通して大切に持ち続けたいのです。
この暗く冷たい雨の街にも、何かしらの温もりや愛おしさや
ほんのささやかだけれども希望を感じられる、そんな作品にしたいなと思います。
■イントロダクション
そこは、いつかに忘れられた淋しくておぼろげな、よく分からないくらい大きな街
のべつ雨が降っていて、辺りに聞こえてくるのは密やかな雨音だけ
どんよりと淀んだ空から降り注ぐ雨粒は遠くの景色をぼんやり滲ませて
すっかり全部を仄暗く物静かな碧色で覆っている
無数の電信柱から幾重にも伸びた電線が雨中の空を幾つにもさき
途方もなくたくさんの大きな建物は皆、主を失って立ち尽くしている
そうして淫雨で水浸しになった地面が鏡みたいに街をひっくり返す
ここは不思議な街
四方を山に囲まれた水溜りの街
何かをいつかに置いてきてしまって、そうしてそのままで止まってしまった街
過去に何があってどうしてこうなったのか、もう誰にも分からない
この街は多分もう動かない
止まない雨に抱かれて、記憶のずっと奥のほうで翳っているから
だから淋しくて、どこか悲しくて、愁いに沈んだ街
でもほんの少しだけ、どこか優しい街
そんな街、雨の街、そこが「rain town」
■ストーリー
雨が止まなくなって人がいなくなった街に、ある時一人の女の子が迷い込む。
女の子が街の奥深くまで行くと、ベンチで静かに佇む一体のロボットと出会う。
女の子とロボットは雨の街中で次第に距離を縮めていくが…。
■「rain town」という街
四方を山に囲まれた「rain town」と呼ばれる街がある。
その昔、街は活気に充ち溢れ多くの人々がここで暮らしていたけれど、いつの頃からか雨が一切やまなくなり
街はいつも水浸しでずっと陽が射さず、次第に人々はこの街から出ていって山の高台や遠くの街に移り住んでいく。
そうして誰もいなくなった街はどんよりと淀んだ薄暗いゴーストタウンとなってしまい、それ以降人々はまったくここに近寄らなくなる。
なぜこの街にずっと雨が降り続くのか。理由はもう誰にも分からない。
ただ人々はいつからかそんなこの雨の街を「rain town」と呼ぶようになった。
■ロボット
「rain town」では昔、多くのロボットが人々の日常生活に溶け込んでいた。女の子が出会ったロボットもその中の一体。
rain townがrain townになる前の昔、「old town」の頃、女の子の祖母がまだ幼かった頃にこのロボットは祖母のお世話役ロボットとして家族の一員だった。
けれども街が雨に包まれて住めなくなった時にその家族はたくさんの家具や粗大ごみと一緒に面倒がみきれないという理由でロボットを置いて街を出て行く。
他にも多くのロボットがそうやって街に捨てられて以後何十年もの間、街中でさ迷うかあるいは朽ち果てるか。
祖母のお世話役だったこのロボットは、孫である女の子が帰ってくるまでの間ずっとベンチに腰掛けて祖母の帰りを待ち続けていた。
■女の子とおばあさん
「old town」に住んでいたおばあさんは郊外の山の高台に引っ越す。
そこでできた娘がrain townの反対の郊外に家を持ち、またそこで生まれた子どもがおばあさんの孫の女の子。「赤ずきんちゃん」の構図に近い。
女の子はrain townという“深い森”を抜けておばあさんの家まで遠出することになる。
そしてその道中で女の子はおばあさんが“過去に置き忘れてきた記憶”=ロボットに出会う。
■街の雨
大気中の水蒸気が冷えて雲ができ、雲の中で成長した水滴が地上に落ちてくる現象。
天井の水、豊穣・浄化の雨、など雨には様々な言い伝えがある。
雨の状態はそのまま感情や愛情を表すとも言われている。
rain townはその昔、天気にいくつもの表情があったが、いつからか一年中雨しか降らなくなってしまった。理由は分からない。
この街に降る雨は本来の街が持っていた喧騒な雑音や雰囲気を消し去り、わけもなく人の心をどこか物悲しく静かに静止させる。
■作品情報
■メイキング/プリプロダクション
最初の発想は入学したての2007年夏に描いた絵でした。
ロボットが雨の中、水浸しの街のベンチでぽつんと一人、何かを待っているという漠然なイメージがありました。
それに続いていくつか落描き程度に描いたのですが。
しばらくは大学の授業に集中していました。
大学一回生、二回生は基本的に基礎的な「知る・調べる」を基軸に学んでいきましたが
漫研サークルと合わせてそれだけで手一杯だったように思い起こします。
特にあの頃はサークルで阿呆な漫画を描くことが本当に楽しかった…。
それでも空いた時間を見つけては「雨の街」のイメージを少しずつふくらませていきました。
鉛筆に水彩にデジタルと使って
先生の塾の課題を利用してポスター風のキービジュアルを絵の具で描いたり。
また、軽くこういう実験もしてみたり
他の授業の課題や漫画制作と並行しつつ、少しづつ少しづつ、何らかの形を見せていきました。
最初の発想から一年後の二回生の夏期休暇あたりに、今までに抱いてきたイメージを総括して
CGの授業の課題をいい機会に「パイロットフィルム」なるものを制作しました
詳細記事⇢http://d.hatena.ne.jp/Tete/20080804
この時はアライグマがいたのですが、後に物語の中に必要性が感じられなかったためいなくなりました。
PVを制作したことで一旦区切りがつき、そこからしばらくは他の創作に夢中になっていきました。
「rain town」はしばらくお蔵入り。
しかし、あくまでこれはPVであって、いづれ本編を作りたいとぼんやり考えていました…。
そして半年後、三回生に入りそれまでの技術的挑戦と総括の意味合いを込めた自主制作アニメ「フミコの告白」を制作しました。
http://d.hatena.ne.jp/Tete/20091108
この作品は初の共同制作、基本を学んだ上でのセルアニメーションに挑戦してみる
という点においてその時点での自分の回答です。
結果、全方位で得るものがあり、これが無ければ今の卒制はなかったと確信しています。
無論自分も「フミコの告白」制作中で慌ただしい中、今まで溜めてきたイメージを整理しつつ企画書作りをしていきました。
フミコの告白終了時、間髪入れずに企画練りこみです。でもこの時はやたらに漠然としています。
そこからどんどんシノプシスを構成していき
マックによく通ってハンバーガーを食べつつノートに文字で書きなぐっていきました
物語の骨組みが出来上がりつつあるときにまた、ストーリーボードとして流れを絵に起こします
女の子が雨の街に迷い込み、ロボットと出会い交流するが、ロボットは最後壊れて頭だけになり、それが冒頭に登場する
という流れはPVを作り終わったあたり、2008年の夏頃には既にあった考えなのですが
何故そうなるのか、ロボットの存在意義は、女の子の行動の意味は、物語のテーマは…
等々の物語としての骨組みは何もありませんでした。
この「プリプロダクション」の時期は基本的に「言語」を中心にものを考える必要のある工程です。
今までイメージに頼ってぼんやりと空想していた掴みどころのない映像に、一つの作品としての必然性と物語性を確かにするために行います。
特に自分の頭はいわば“映像的思考”でものを考えるために、言葉足らずで感覚的にものを作ってしまう傾向がどうしてもあります。
感覚やセンスのようなものは確かに必要だとは思いますが、自分にはどうも“言語的思考”が足らず、それがなければこの先で行き詰まる予感がふつふつしています。
今回はそうではなく、プリプロの工程で出来うる限り作品の構成を詰めようと考えていきました。
そこで考えた物語の骨格が上記のイントロダクションからストーリー、各設定です。
また、物語や各要素に込めた意味や具体的な象徴もあります。
しかし多くは語らず、また自分から話してはつまらないことかもしれません。そういうものは見る側の裁量に委ねるべきです。
キャラクターを詰めていきます。また、作品のカラー、タッチも模索。
シナリオ、キャラクター、世界観等が決まり次第、絵コンテを描いていきます
絵コンテは二・三稿を重ねて完成です。
途中追加、修正はありますが、何しろ作品の設計図です。慎重に丁寧に考えあぐねて描きました。
ただ、ごく限られたスケジュールとマンパワーのバランスを見て、この時点で無駄なものは省いて極力シンプルに。
真新しいことをせず、今できる“基本”を徹底して今回は取り組むと決めていたので
それを絵コンテの演出に反映させました。
ですから映像としては地味ですが、この作品の語り方にはそれに必然性があると考えました。
絵コンテを描いていく際に、今回は最初から曲が決まっていたので
タイミングを合致させつつ構成していきました。
楽曲を提供してくださったのは、同じ京都精華大学の人文学部教授、小松正史先生です。
小松正史webサイト 猫松カワラ版 ⇢http://www.nekomatsu.net/
先生の奏でるナチュラルでシンプルでいて繊細な音とメロディが最初に聴いた時から忘れられず
いつかこの人の楽曲で映像を作ってみたいと期待に胸をふくらませていました。
「rain town」という作品になくてはならないものだと感じ、先生にお願いししたところ快く了承していただきました。
使用させていただいたのは、「Old Capital」「Candle」の二曲です。
前者は冒頭の印象的なピアノの単音が静かな物語の始まりを予感させ
後者は雨の街という仄暗く閑寂とした空間にひっそりと心地良く染み渡るようなそんな印象を持ち、これら二曲を選びました。
小松先生、本当にありがとうございました。
■メイキング/ポストプロダクション
ポストプロダクション。制作に入ります。2010年の3月頃です。
…と、いきなりその前に、絵コンテが出来上がったあとにロケハンも含めてイタリア二週間の旅に行ってきました。
本当のところはたまたま誘われた旅行だったのですが、丁度良かったので迷わず。
http://d.hatena.ne.jp/Tete/20100304
イタリア旅行から帰り、絵コンテを見直してレイアウトに入りました。
イタリアで目にしてきたものを前にすると、街のディティールは変わらざるを得ませんでした。
建ち並ぶ家々、整然と敷かれた石畳、広く寛大な空間。イタリアのそれらの風景はraintownに確実に影響を与えました。
イタリアで撮りためた写真も含めて、raintown用にまとめたたくさんの資料を参考にしつつ、街の細部を考えながらレイアウトを決めていきます。
レイアウトを上げた後すぐさま下描きです。
下描きはBのシャーペンでレイアウトをトレースしつつアドリブで描いていきます。
影に青鉛筆を使うのが好みです。
そして背景画のフィニッシュ。Photoshopで彩色です。
アシスタントの子に何枚かを手伝ってもらいながら、最低一日一枚を目標に描いていきました。
枚数は50〜60枚ほど。スケジュールに間に合わせるので必死でした。
鉛筆の下描きの後、Photoshopで彩色する手順は「フミコ」で手慣れた描き方だったため
今回も特に変える必要性はなく、その手法を踏襲してさらにレベルを上げるよう努力しました。
ブラシ作りからテクスチャの多用まで、前回では満足にいかなかったテクニックに挑戦しています。
レイヤー構造は至極シンプルで鉛筆の線画レイヤーに上下に挟みこむような形で彩色レイヤーが数枚あるのみです。
要は背景のパーツごとにレイヤーを分けるのでなく、単純にアナログのように鉛筆の上に塗っていくだけです。
自分にはそのシンプルな描き方がしっくりします。アナログに対する引け目のようなものもあるのかもしれません。
今回の背景の基本色は青緑。それがこの雨の街のイメージカラーです。
設定では「Old town」時、街の様相は暖かな色合いでした。
そこから淫雨に覆われた街はその色を失い、やがて寒々とした碧色の街「rain town」になった…ということです。
背景を3〜4ヶ月で済ませ、次はキャラクターの作画に移りました。
メインキャラクターの造形の決定稿です。
ロボットは頭身や身長が変わったのみですが、女の子はかなりの紆余曲折を経て最終的にこう落ち着きました。
極力シンプルで描きやすく親しみやすいデザインを目指したのですが、どうなんでしょう…。
実際の作画作業に移ります。
作画にはこれも前回の「フミコ」同様、フルデジタルの液晶ペンタブレットでの作画に徹しました。
前回のそれで得た資金で作画用にCintiq21を購入しました。
そして今回も新たなソフトを導入しました。「TVPaint animation」というフランスの2Dアニメーションソフトです。
http://www.tvpaint.com/v2/content/article/home/
このソフトはまるで「Painter」と「Flash」とをかけ合わせたような作りのソフトで
“タッチのある絵を動かすことの出来る”非常に面白く珍しいソフトです。
ただ、前回使ったRETASに比べ日本アニメの作画法との親和性はそこまで高くなく、くせがありまた日本語が何かおかしいです(笑
それらを割りきって使う必要がありまが、それを抜きにして使えば、これ程楽しいアニメーションソフトは他にないと思います。
またも最初は探り探りこの作品での使い方を模索しつつ、時間がないために実際に描きながら覚えていきました。
今回、作画は完全に一人で行いまたキャラクターの芝居もゆっくりと尺の長い日常芝居だったためにこなした枚数が前回の二・三倍はあったはずで、これはなかなかの労力でした。
でもこうなることはなんとなしに予想していたので、キャラクターは極力シンプルに、絵コンテでも極力引いた視点の描きやすいアングルにしました。
一カット一カット、原画と動画をまとめて一つずつじっくり仕上げていきました。
この時の残りスケジュールを換算すると、一カットを三日で仕上げなければならず、一応それを目標に毎日毎日描きましたが
結局終盤で難しいカットのために一週間以上かけたりしていたら、スケジュールを一ヶ月作画でオーバーしてしまいました。
背景と違って、作画は描けないときはとことん描けないんですね…。集中力を保つのが非常に難しいです。
また作画で、諸々の非力さを思い知りました。
これは作中に登場する他のキャラクターの設定画です。
女の子以外に、母親、祖母、曾祖母がここには描かれています。
作画と並行しつつ、彩色も同時進行で進めていきました。
この作品にセル塗りのキャラクターは馴染まない、というのは最初から分かっていたので
苦労することを覚悟で始めた結果がこうなったわけなのですが、この油彩風タッチの最大の功労者が
同じ大学の別学科に在籍する一つ下の後輩のkokiこと吉田将吾君の仕事にあります。
同じアパートの後輩の友達という経緯で二年程前に知り合い、そのあまりの絵の上手さと本人の素直な好奇心に感心しっ放しでした。
そして今回の制作で彩色を自分でこなすことがスケジュール的に無謀だと分かった際に考えた挙句この子しか出来ない、という結論に至りお願いしました。
基本的にはメールでの指示とデータのやり取りをしつつ、作画が出来上がったカットを随時送ってTVPで彩色してもらいました。(TVPを二台購入しました)
この彼の彩色作業が大変しんどいことは想像に難くないと思うのですが…数百枚数千枚の線画に、ただひたすらに一枚一枚厚塗りで色を乗せていく。
彼はこれを全部一人でこなしました。無論自分は作画作業で手一杯です。もう…この苦行を頼むしかなかったのです。
しかし、吉田君が只者ではないことを分かって頼んだのです。質、量ともに申し分のない立派な仕事をしてくれました。
線だけでもセル塗りだけでも成し得ない生きたキャラクターを描き出してもらえました。感謝です。
ちなみにこれは、本人が作業の合間に描いてくれた絵です。可愛らしい。
4ヶ月程で作画・彩色作業は完了です。
次に3DCGについてです。
「フミコ」で覚えた3DCGの使い方は徹底して立体的な絵の背景を動かすことにありました。
この「カメラプロジェクションマップ」の手法を使って、雨の街をリアルに描き出したいと考えていたのですが、ここにも“仕分けの波”が押し寄せました。
絵コンテの時点で一切の無駄の省いたため、カメラマップを使うカットを1カットに限定しました。
作画同様に「フミコ」の時とは違いこれを一人でこなさなければならなかったために、きっぱりと妥協したのです。
このラストカットはPVの時からイメージしていた最後で、それを自分オマージュ?という形で再構成しました。
絵コンテに色をつけ、old townのイメージを固め、ブロッキングをしてこのカットのレイアウトと尺をとります。
使用したソフトは学科標準のMAYAです。これとも随分お世話になりました。
モデリングの授業はサボってたのでよく分かりませんが、探り探りで路地を完成させ、実際に色を置いていきます
オブジェクトは共有しつつold townとrain townの二種類のテクスチャを用意します。
基本的には、old townを描いた後、色を変えて汚したり剥がしたりしてrain townの壁を作っていきます。
小物も含めて何十枚あるテクスチャを描いては貼ってレンダリングして確認して、を繰り返し
これだけでも何か月分には相当する時間を無駄にかけてしまいました。
この3DCGの作業は背景、作画の合間を見つけて少しずつ少しずつ行い、他の作業に比べて期間を設定しなかったために
見えないところを含めてダラダラと描きこみ過ぎてしまい、ここで多くの時間をロスしました。
前回と違い、カメラがじっくりゆっくりと動いていくので、丁寧にテクスチャを描かなければという心理も働いています。
確かに望んだ密度は出せたものの暗い画面ではほとんど見えず良かったのかどうか…ここでまたひとつ学びました。
実はこの路地、絵コンテではこれの倍以上の路地の長さがあって、もっと様々なガラクタやオブジェクトが散りばめられていましたが
これもスケジュール的な仕分けの対象になり、涙を飲んで削減しました。
それが実現していればもっとどんなによかったか…。
まとめの編集、コンポジットについてです。
After EffectsのCS4をメインに、後半CS5を使っています。
今回はBlu-rayを作ることも一つの課題にしていたため、HD以上のサイズで制作することになりました。
サイズは1440×612の横長シネスコです。1440は地デジサイズです。
コンポジットで最もこだわったのは、水の表現です。
それが本作のひとつのテーマでもあり、欠かすことのできないモチーフです。
街の絵は水面とその上の建物で大きく二つのレイヤーに分けており、水面をエフェクト処理で揺らしています。
まず基本となる正円の波紋を12枚程で作画し、それを複製して一つの平面に散りばめます。
それを背景のパースにそって倒した後、その平面をタイミングと位置をずらしてカットの尺の分並べていきます。
そのループする波紋素材を最後に水面の絵とエフェクトで合成して完成です。
このカットは専用のパースに沿った波紋を24枚程で作画し、それを単純にスケール調整で並べています。
奥の方はレンズブラーでぼかし奥行きを持たせています。
そして最後のカットのコンポジットは、予想を大きく超えるほど時間がかかりました。
このカットは3DCG、作画、彩色、コンポジット全ての面において間違いなく最も多くの労力と時間と複雑さを要し、疑いようのない「ラスボス」カットでした…。
またレンダリングミスが最も発生したカットでありレンダリング時間もやたらに長いためにエラー時のショックは一塩です。
そして一ヵ月半を要し、全61カットとそれらをまとめるコンポジットはなんとか完了しました。
最後に音響についてです。
「フミコ」で初めて、音についての基礎的なことを学びましたが
四回生から音響の授業が始まったのもあり、今回はさらに踏み込んで音についてこだわりました。
使用したのは映像業界で標準ツールとなっている「Pro tools」です。
Pro toolsのドングルとなるMbox Proは見た目はごつい機械ですが、なんてことはなく基本が分かれば簡単です。
これが作業画面です。これまた複雑に見えますが、慣れてくればこの感触がたまらなく面白くなってきます。
本編を観ていただければすぐに分かるように、rain townの音の中心は兎にも角にも“雨の音”にあります。
僕は雨の音にいつも癒されます。しめやかな雨の音には何か幼い頃の微かな記憶がそこここに感じ取れます。
この作品を包み込む雨音には特別な意味や感情を持たせなければならないと考え
技術的にどうこうというよりも演出的な意味合いでの音付に注力するようにしました。
前回の「フミコ」は単純に全ての面においてど派手に音付をしていったのに対し
rain townには静かに染み渡るような儚いイメージを持って音を慎重に選んでいきました。
静謐な雨音と水に微かに響き渡るような小松先生の楽曲が重なり、雨の街の不思議で幻想的な様子を表現し
また回想にはおぼろげな記憶を喚起するようなノイズ混じりのモノラル音で、過去と今の隔たり、繋がりを持たせました。
音はある部分でイメージ以上に記憶を喚起する性質があると思います。
幼い頃に聴きなれた曲を聞くとその時の諸々の記憶が蘇ってくるように、この作品においての雨音もそういう役割を持たせたかったのです。
日常のせわしない事事を少し忘れて、この雨音に聴き入ってもらえればいいな、と思います。
音響は二週間ほどで完了し、映像と合わせてレンダリングして、完パケです。
■あとがき
制作は約10ヶ月間。俗にいう“構想何年”という言い方なら3年になります。
制作中はこの進行表を△○◎で一つづつ埋めていくことが、完成への長く険しい山道を登っていくことを示していました。
「rain town」は文字通り大学生でのアニメーション制作の総括になりました。
技術的にも、思索的にも今まで学んできたことを最大限に生かせる場が学生にとっての“卒業制作”です。
技術面では前回のフミコで学んだ技術をさらに伸ばす形で、自分の身の丈に収まるぎりぎりのハードルを常に最優先で意識しつつ、基本的なことをしっかりやろうと努力し
その作品の一番の骨、土台となるテーマや構造をいかに構築するか、という点においては不慣れな思索に耽りました。
そうして出来上がったのがこの卒業制作「rain town」です。
それにかける思いは誰よりも強く持ちたいと願い、この一年身を粉にして頑張りました。
…なんていう臭いことをたくさん言っても、今となってはそれが本当だったのか、その成否がどうなったのか、疑心暗鬼になりかけています。
こうやって自分がアニメーションを作ることに何の意味があるのか、これでどうやって飯を食っていくのか…
この作品をネット上で掲載するかどうか、最初はすごく悩みました。
一生懸命につくった作品をいつまでもタダで流すわけにはいきません。
今年から学校のWEBサイトで生徒の卒制作品を公開しています。
それで踏ん切りがつきネット上での公開を今回きりにしようと思った上で、youtubeとニコニコ動画にアップしました。(ただし、画質は作品の性質上かなり劣化していますが…)
でも、多くの人に観ていただきたい気持ちは変わりません。
この記事の資料と共に、より多くの方にご覧になっていただければ幸いに思います。
これを最後にするために、出来うる限りのものを余すことなく掲載します、どうぞ御覧ください。
rain townの全資料です。http://f.hatena.ne.jp/Tete/rain%20town/
*全資料を非公開にしました
僕は京都精華大学を無事卒業したものの、一年間研究生として残り、この作品の事に想いを残しつつも一旦映像制作からは離れ、影も形も分からないぼんやりとしたものを探っていきます。
その成否もまた、今のところさっぱり皆目見当もつきません。
今まで以上に、不安で一杯です。
もし次に、作品を作れる機会があるのであれば、その時は商業制作を前提として行いたいと思っています。
僕は作ることばかりで商いや業界の仕組みに当たり前の社会人に必要な知識なんてからっきしわからない能天気な学生です。本当に作るだけの人間です。
ですが、前述のようにいつまでもただ作るだけではいられないことは分かっています。
だから次からは、売りたい。
もし何かのご縁でそうできるのであれば、その際によろしければ、何卒よろしくお願いします。
改めて、この作品をご覧になっていただいた方々に感謝の意を込めて、お礼の言葉とかえさせていただきます。
これからも頑張ってください。応援してます。
将来きっと新海誠さんのよう劇場アニメを撮られるのでしょうね。アニメーション好きな者としてすごく楽しみにしています。
rain town見させていただきました。
とてもじんわりして胸に残りました。
ふみこの告白の方も見させていただきましたが
とても素晴らしいアニメを作られるのですね。
これからも勝手ながら応援させていただきます。
ありがとうございました。大好きです。
この10分の中に注がれた愛情が、観ているうちに心に「グサッ」「グサッ」っと突き刺さって来ました!
ごちそうさまでした。
今後teteさんがどんなフィールドで活躍されるのか楽しみにしています。応援しています。
少しトラブルもありましたけどそれも尖閣と比べれば……。
早速見させて頂きましたがやはり良いアニメでした。
今回はフミコと違ってツッコミどころのない作品でしたが、
それでもニコニコのコメ数は凄そうです。
今回も製作過程の公開を楽しみにしています。
YouTubeのテスト投稿にも苦戦されてたようでしたが、
もしよければ高画質にする方法を教えて頂ければと思います。
今後の活動の方も気になるところですが、
卒業制作ということはやはり今後の自主制作は難しいでしょうか。
長年、陰ながら応援していた身として「rain town」が完成し、公開されたことを大変嬉しく思います。
感動的で優しい時間が流れる作品でとても充実した気持ちになれました。
これからも陰ながら応援して行きます。本当にとても素敵な作品をありがとうございました。
しかも、想像以上に、音も、画質も、ストーリーも世界観も全部が全部素晴らしかったです。
ただただ、じーんとアニメーションの世界に浸っていました。Teteさんの人柄がにじみ出てるようなやさしい作品でした。大好きです。
こんなにも人を感動させられるあなたは、やっぱりすごい人です。
実は、私自身、Teteさんのような人になりたくて春から大学の映像学科に進む者です。
私の青春に大きな影響を与えてくれて本当にありがとうございました。
そして、これからのアニメーション界をもっともっと盛り上げていってください。
私も、いつかTeteさんの元で働けるような人になりたいです。ずっと、応援してます。
こんな素晴らしい作品を公開して頂きありがとうございます!お疲れ様です!!
今回も脱帽の連続でしたが、街の雰囲気が最高ですね。
高画質でもっとこの世界を味わいたい!と思ってる人も多いと思います。
DVDなど販売する予定ないですかね?
本当に尊敬します。
素晴らしく感動的な物語で、多くの人に観てもらいたい作品だと思いました。
二周目を見るといろいろと気がつくところがありとても感動しました。
自分もteteさんのように素晴らしい作品を作ってみたいです!
アニメのことは・・・専門的なことはわからないんですが
心に染み入る作品だなと思いました。
雨の音や効果的な音楽とともに、キャラクターにセリフは無いのですが
わかりやすくキャラクターの行動をおっていけたと思います。
もう、絵もすばらしくて!!
街の風景もそうですし水溜りもとても綺麗で感動しましたし
キャラクターも愛嬌があってかわいらしかったです。
とても素敵な作品を見ることが出来て嬉しいです。
これからも素敵な作品を待ってます!(*^ω^*)
応援しています!!
とても気持ちのよい作品でした。あとかわいいのツボの抑え方がすごく素敵でした。
これから良い作品を作って下さいね。
ひとつひとつのアニメーションが丁寧でとても惹かれるものがあります。
今後も大変期待しております。
作品についての詳細な記事はもうしばらくお待ちください…。
ホッとする優しさとドコか儚くて寂しいような感じで感動しました。
特に女の子が建物の間を通り抜け、ロボットの居る道路に出た場面が好きになりました。
やりたいことが沢山有るかとは思いますが、今後も心を揺さぶるような作品を提供してくれたら嬉しいです。
今後のご活躍を祈念しております。
感動しました teteさんのアニメーションの色使いが素敵です。
これからも楽しみにしております^^
セリフがないながらもストーリーを感じさせられ
現実世界にいながらにしてrain townの世界に引きずり込まれている。
なんとも不思議な気分に浸らせてもらいました。
ブログにて紹介させていただきます!
NHKのMAGネットの総集編を見て、全部見たいと思い、拝見させていただきました。
Teteさんの絵、色遣いに凄く温かい物を感じ、ふしぎな気分になり、何故か涙が出そうになりました。
とても可愛らしく、素晴らしい作品だったと思います。
これからも頑張って下さい!応援をさせていただきます!
最近、ジブリの特集みたいな番組とマグネットを観て
自分がTeteさんのブログを初めて見た時の事を思い出していました。
丁度、ジブリの愛知スタジオの試験に絵を提出されておられた頃でした。
懐かしいようで時の速さに驚きです。
rain town についての感想はいっぱいあるので割愛しますが、
これからも、「親子で観れるような」アニメーション、映像を
楽しみにしています。
素晴らしい作品をありがとうございました。
このアニメに出会えてホントに幸せです。
素敵なアニメをありがとう!
Teteさんの絵が綺麗すぎていくらでも見てられます!私もこんな才能が欲しかったですw
メイキングも見ました。いやぁフミコの時もここまでするか…?と驚いたのですが、今回のrain townはさらに深く詰めてあり大変な作品になっていますね。
ますますもって今後生み出されていく作品に凄く期待をして待っております。
自分はアニメーションでなく、3DCGでの映像制作を勉強しているのですが、
構想やレイアウトなどひとつの作品を作る手順が具体的でわかりやすかったです。
ありがとうございます。今後の御活躍も陰ながら応援しています。
技術の方も色々と盗ませて頂きます.自分は独学ですが映像関係の道に本気で進もうと決めたので,こういう風に少人数で制作したアニメーションの裏話などは参考になります.
しばらくは研究生として残るそうですが,いずれTeteさんがプロになってもストーキングしてるので振り向かないで下さいw 健闘を祈ります.
凄く美しく、心に残る映像でした!!
http://blog.livedoor.jp/anime_trans/archives/3031831.html
今の率直な気持ちも吐露されていて、今後はいろいろな意味での制約のある商業的な作品へ
向かってどのように個人的に取り組んでいくべきなのか、一旦制作が終わった段階で漠然な不安にかられるというのも
納得させられました。
今後の一年間、業界含め、様々な先輩方ともいろいろと話されて、今後の方向性をじっくり考えられることを望んでいます。
素晴らしい作品だけに、作品が一人歩きして、未来の自分を押しつぶさないように
じっくり進んでいっていただければと応援しております。
絵と音楽が見事に調和していて、観るほどに惹き込まれて行きました。
この作品にはただ漠然と見せるのではなく、観る者に「考えさせる」力があると感じました。
次にアニメーションを制作するのであれば商業で、とありますが
商業主義によりteteさんの世界観が制限されてしまうのではないかと若干の不安を覚えます。
故にもし制作するのであれば、出来れば妥協をしないで欲しい。
今ここにコメントしている人は皆、「teteさんの世界」に感動を覚えたんです。
どうかそれだけは忘れないで下さい。
最後にもう一度、このような素晴らしい作品を生み出してくれてありがとう。
teteさんの次回作、勝手ながら期待しています。
コメントありがたく頂戴しております。
ありがとうございます。
それでも、お婆さんがロボットに会いに来てくれた場面では既に涙が止まりませんでした。
向こうは忘れているかもしれないけど、こちらはいつまでも生きてしまっている記憶。
そういった思い出が少しでも報われたように感じました。
あなたが、これから一層に活躍していくことを望みます。
私があなたの作品に出合う機会を、これからの人生の楽しみの一つとしたいです。
雰囲気がとても好みであっという間に作品に引き込まれてしまいました。
切なくてお話でしたが、「よかったね。」とロボットと女の子、おばあさんに言ってあげたいです。
感動しました。ありがとうございます。
ニコ動の「動画アワード2011(春)最終ノミネート作品」タグで作品を知り、
映像、制作に関する記事、資料と拝見させていただきました。
全くをもってアニメーションに関する知識が無いので、『こんな事ができるなんて』と
絵の素晴らしさとアプリケーションの操作テクニックには漠然と驚いているのですが…
全ての行程に対して、Teteさんの作品作りに対する情熱と努力を尊敬せずにいられません。
今まで、まあ自分はこんなものだろうと中途半端な生き方をしてきた自分が情けなくなりました。
まずは目の前の目標を無事達成できるよう精一杯頑張ろうと思います。
各メディアでTeteさんの世界に触れられる日を楽しみにしております。
勝手ながら応援させて下さい。
本当にお疲れ様です。素晴らしい作品を公開して下さりありがとうございました。
でも凄く面白かったです。
フミコもテットさんが作られていたというのは驚きました。
楽しみにしていたrain townが公開されているという話を聞きましてやってきました。
見終わってから嬉しいような切ないような余韻が今も続いています。本当に素敵な作品です。
個人的に女の子が穴のようなところに落ちたシーンが好きです。
これからも楽しみにしておりますので色々な作品を作り続けてください!
きっと誰かに影響を与えられるすばらしいクリエイターになれると信じています。
ありがとうございました。
株式会社PlanDの小幡と申します。
デジタル絵本の作家を探しております。
絵本をデジタル化するだけではなく、人間味をプラスした唯一無二のあるサービスを企画しています。
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私は、京都駅の近くのイオンモールにも導入されたシネコンシステムや、KINEZOを作った者です。
インターネットがはからずも破壊してしまったビジネスを、デジタルの力で再構築する仕事をしています。
関西には、週末から月曜日まで滞在しています。
この書込みに返信いただければ、嬉しく思います。お待ちしています。
どこからかこのsiteに迷んだのですが、それが「rain town」の世界と同調しました。
これからのご活躍期待しています。
初めまして。大変素晴らしい作品を公開して頂き有り難うございます。
ここ最近でこんなに心を豊かにしてくれた作品は他にないです。
言葉のない世界に存在する声が、細く深く身体に染み込んでいく感覚を覚えました。
私も分野は違いますがクリエイターを目指し日々勉強に励んでおります。
いつか共に何か創る事ができたら、そう思わずにはいられない程私に影響を与えてくれました。
[rain town]きっとこれからも何度も見返します。
今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
僕は中国人です、この短編が大好き!
本当にありがとうございます。
作品を拝見させていただきあまりの素晴らしさに感動しました。
私自身デザインを中心に学んでいる学生ですが、表現したいものが溢れるほどあるのに
上手く表すことができずいっそのこと創ることをやめられればとすら思っていました。
ですが「rain town」という作品に出会うことができ、創ることの素晴らしさと人に与える感動の大きさに
改めて気付かされました。
もう自分に甘えるようなことはせずまっすぐに作品と向き合っていきたいと思います。
大切なことを思い出させてくれてありがとうございます。
今後も更なるご活躍をお祈りしています。