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2006-07-09
■[政治]東京都公認「このマンガは抜けます」マーク
を作るべきだという話をする。本当か。
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 21:38:15.11 ID:rOeo70tO0
このページから
ttp://www.metro.tokyo.jp/SUB/SEARCH/kensaku.htm
「第8条第1項第1号の規定に基づく不健全な図書類」で検索
厳選エロマンガで抜きまくりんぐwwwwww
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 21:38:42.29 ID:Uw7wsJaN0
逆手に取りすぎwwwwwwwww
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 21:39:11.99 ID:ObHEx01d0
天才wwwwwww
東京都には、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」というアタマの悪い、あー、晦渋な名前の条例がある。まあエロ本の自動販売機やらナイフショップやらエロビデオやらエロマンガやらえろげの悪影響から青少年を守ろうというありがたい条例である。他にも「青少年からパンツ買っちゃだめ」、「青少年とえっちぃことしちゃだめ」とかいろんな規定がある。
さて「第8条第1項」とは、
第8条 知事は、次に掲げるものを青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができる。
一 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの
というもので、太字に該当するのは、
「えろい本やマンガや映画やゲームやビデオ」、「残虐な以下略」(ポスタルとか?)、「裏モノ系やスレスレ系の以下略」(「完全自殺マニュアル」とか?ネットランナーが指定されていないのは謎。)
といったもの。「自殺若しくは犯罪を誘発するもの」といえば「若きウェルテルの悩み」や「異邦人」とか柄谷行人の影響を思いっきり受けていることがバレバレの「希望の国のエクソダス」は規制されるているのかもしれない。調べてないが。
これに指定されると、お店の人は、こういったものを売るコーナーを「コドモは入っちゃだめ!」に置かなくてはいけないし、立ち読みできないようにしなければならず、売っても貸してもいけないことになる。これを行うと警告が発せられ、それにも従わないと三十万円以下の罰金に処せられる。
で、こういう指定を知事やお役人様がやると、まじめな話としては公権力が恣意的に表現の自由を規制することにつながりかねず、また何かあったときには知事やお役人様が責任をとらなくてはいけなくなるということで「青少年健全育成審議会」なるものを設置することになっている。
こうした審議会の諮問を経て、晴れて石原知事が「このマンガは抜ける」「このゲームは抜ける」「この暴力描写マジ格好いい」作品を指定する運びとなる。で、東京都ではそういう栄えある「公認不健全作品」をサイトやら何やらで告示し、それを逆手にとった最初に紹介したリンク先の話があるわけである。
それだけではなくて、審議会の議事録や添付資料などもWebでみられる。例えば、平成18年5月付けで栄えある「第8条第1項第1号の規定に基づく不健全な図書類」として審議会にノミネートされた、桜肉馬太郎という方の作品について。
種類:書籍
図書名等:KEMONOカフェハート桜肉馬太郎作品集 平成18年2月20日発行
指定理由:著しく性的感情を刺激し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある。
桜肉馬太郎氏の作品がノミネートされたのは、第553回青少年健全育成審議会である。
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/index9files/singi.htm
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/index9files/552_menu.htm
資料によれば「全編大部分」が不健全とされているので、なかなかの力作だったのではなかろうか。
文学賞同様、下読みがあるようで、業界関係者からの聞き取り行われている。いくつか抜き出すと、
- 指定該当やむなし。あまりハードとはいえないが、この辺が限界かと思う。
- 可愛い少女っぽい絵で、正規そのものはぼかしてあるが、全編性行為そのもの。少女の首に鎖をさせ、性行為の擬音もひんぱん。値段的にも青少年が買いやすい。
- 表紙がメルヘンチックで青少年が購入したい内容、個所が多い。性器への挿入シーンがリアル。成人マークが必要。
- 絵は可愛らしいタッチであるだけに露骨な性描写は余計問題。
と高評価。お手ごろ価格かどうかも審査の対象になるのだから、なかなか行き届いている。
とはいえ、厳しい批判も聞こえる。
- 前編*1にわたりきちんと修正されており、絵もきれい。全く問題ない。
- 修正もしてあり、擬音も少なく、性交場面の総量も少ない。この程度のものは他にも多い。指定に該当しない
全く反対のことをいって「指定やむなし」という人もいるけれども、なかなか手厳しい。擬音語で言うとクリムゾンの指定は確実だろうなぁ。
聞き取りを見る限り、この作品は「初心者向け」の読みやすいエロマンガなのだろうか。映画賞もそうだが、マニアックな映画ばかり受賞するとわけがわからないことになるので、それなりに順当な措置だろう。
同時にノミネートされた砂(すな)氏の「メスパイゲーム」についても
- ハードコア短編集と銘打つだけあって、激しい描写が多く、強調されたリアルさがあり、指定やむなし。
- 言葉の表現に卑わい感があり、成人マークをつけて販売すべき。
- 全体的に修正もされていて、そんなにひどいとは思わないので指定該当にあたらない。
など賛否両論。
これを見る限り、砂氏の作品は思想的、思弁的なものであるようだから、マンガの「言葉の表現」まで審査している一次審査はずいぶん細かい。
ちょっと脱線するが、砂氏の新作は「フェミニズムセックスマシーン」というもので、内容が激しく気になる。
http://www.dmm.co.jp/digital/book/-/detail/=/cid=mworks_0006/
場所?どこでもいいじゃない。私とセックスしましょう!―愛と資本主義を超えたスーパー・エロティックコミック―
あ、愛と資本主義て...気になる。
論文の審査*2でも論文の功績を述べた後、「...何某の歴史的意義を示した功績は大きい。しかしながら本論文にも問題がないわけではない」という節が必ずつく。そのあとで「とはいえ、こうした点は本論文の価値を損なうものではない」となる。ちゃんと審査しましたよーというわけ。また脱線。
というわけで厳しい審査を通った厳選エロマンガは、有識者や保護者一同が一堂に会する青少年健全育成審議会で最終審査を受ける。その議事録も読めるが、どういうわけか現在は第553回審議会の議事録が読めない。まあ、552回までの議事録を眺める限り、事務方が候補作を持ってきて各委員が「指定でお願いします」「異議なし」でシャンシャンという感じなので見る必要もなさそう。
なお、第553回東京都公認「抜けるエロマンガ」に指定された桜肉馬太郎「KEMONOカフェハート桜肉馬太郎作品集」、砂「メスパイゲーム」の絵柄は以下のリンク先で知ることができる。
受賞されたお二人の、今後のご活躍を期待している。何せ東京都のお墨付きだから、きっとうまくいく。
蛇足だが、第553回東京都青少年健全育成審議会の委員長である石崎富江様は、日本善行会の常務理事でいらっしゃる。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2006/05/40g5g300.htm
善行会は内閣府所管の公益法人なのだが、ものすごい天下り団体っぷりで笑った。それに何で表彰式が明治神宮なの?戦前からあるみたいだから、そういう団体なんだろうか。
まあ鈴木俊一前東京都知事閣下をはじめ東京都関係者が多いので、東京都の植民地のようなものなんだろう。
追記
とっくの昔にカマヤン氏が言及していた。さすが。
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060118#1137526875
追記その2
ところで、議事録では委員の名前の大半が非公開になっている。東京都職員の名前は公開されているが...審議会レベルなら民間人だろうと公務員だろうと、公共的性格を持っているものであり、名前を非公開にする理由がよくわからない。委員名簿では名前が公開されているのに。
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/index9files/21kikenzensinmeibo.pdf
これは表現の自由にかかわる決定を下す議論で、誰が何を言ったかわからないようにするということ?会議はシャンシャンなので、全員一律に責任があるんだけど。個人情報保護法の成立時から危惧されていたことではあるけれども。
■[政治]中露が気の毒なくらい追い込まれているのだが
拒否権使うのかな、使わないのかな。「模型ダイアリー」で論じられているような感じなんだろう。
実際、こんな感じなんだろうなあ。タヴァーリシシ・プーチンといいフーさんといい、今頃たいそう困っていると思う。いや、実際に北朝鮮がつぶれたら、日本海を越えて難民がこっちに来るかもしれないし、そうでなくとも日本も金を出さざるを得ないし、人口四千七百万ぐらいの韓国も、貧困というか飢餓線上の二千万人を抱え込めば確実に沈没*3
ある特定のエスニック・グループををネイションとする国民国家がいくつあるか、という問題でいうと、ヨーロッパには「ドイツ人の国はいくつあったらいいのか」という問題があった。簡単に言うと、
ドイツ諸邦とオーストリア(ドイツ人の国がいっぱい)→諸国民戦争→ドイツ第二帝国とオーストリア(ビスマルクのいたころ、小ドイツ主義)→第一次世界大戦→ワイマール、第三帝国(ドイツは一つ!大ドイツ主義)→第二次世界大戦→東西ドイツとオーストリア(冷戦、墺は中立化)→統一ドイツとオーストリア(現在、小ドイツ主義に落ち着いた)
こんな感じで、平和的に統一した東西ドイツ以外でいうと、戦争のたびにドイツの個数が変わる。統一したドイツはユーゴ内戦でいきなりクロアチアの独立を承認して火に油を注いだので、やっぱりドイツの個数が変わると厄介ごとがおきるのかもしれない(本気にするなよ。)。それだけ重要な場所にドイツがあったということ。
ドイツと同じ条件ではないけど、朝鮮半島もそういう不運な場所にある。ここ200年では朝鮮の数はそんなに頻繁には変わらない。1945年の南北分割占領と50年の朝鮮戦争で南北分断しただけだ。それ以後、50年以上かけて現在の国際秩序が形成されたので、急に北朝鮮がなくなると周辺国にとっては面倒が多くなる。チャーチルっぽく言うと、朝鮮は二つあったほうが良い、というのは、おそらく北朝鮮以外の六カ国協議参加国に共通しているだろう。
■[雑記]
「私はドイツが大好きだ」でぐぐったらまた意図せずして面白い面白い記述を発見。
平成17年1月29日(土)
やれアウシュビッツをソ連が開放しただの、私はアウシュビッツにいただの、
楽器を演奏することで死を免れただの、歴史始まって以来の大虐殺だの、
そういうことばかりを1日中流すな、CNN, BBC!と言いたい。
もう耳だこ。聞き飽きた。他の話はできないの?
イスラエルの肥満じいさんは、パレスチナにもっとすごいことしているのではないの。
瞬間最大殺戮は、アメリカが日本に落とした原爆ではなかったの。
私はそちらの方が、歴史始まって以来の大虐殺だと思っている。
ドイツ人が肩身が狭い思いをするような報道の仕方は許せない。
ドイツが悪いと言い続けることで、ドイツを世界の表舞台に出さない、
非常に政治的な意図を感じる。
私はドイツが大好きだから、絶対にドイツ非難を許せない。
今のドイツを見てほしい。なにか、文句あるか。
ドイツ刑法第130条違反。とか言うと「真実を覆い隠す言論弾圧だ!」とか真っ赤になって喚き始める黄色いナチが居そう。あ、引用したサイトの人は黄色いナチではないので為念。ホロコーストの存在を否定しているわけではないのは文面を見てもわかる。ちょっと冷静じゃないだけ。つーかホロコーストはドイツだけでなく同じ西洋文明のほかの国々にとっても思想上の重要な意味があるのだが。「何であんなことに」という問いは、まだ解決し切れてない。
ホロコーストの話が出るたびに、「でもパレスティナでイスラエルはひどいことしてるから」みたいな事を言うやつを見るたびに、バカだなあと思う。ホロコーストから生還した人たちの作った国が、異民族を弾圧していること自体は実に深刻な問題で、議論するに値する問題だが、Kz*4で殺されたユダヤ人が、パレスティナ紛争に何の責めを負うというの。
結局のところは、腕に番号の刺青がある人たちの映像を見て、人類全体の負の遺産と考えるか、「ドイツの悪口言うな!」と思うかという、ただそれだけの違い。「死の収容所を解放したカッコイイ俺たち」という見方をする英米人もいるだろうけれども。まあ、それより先に日本の戦争を考えろよと言う話ですかそうですかそうですね。
最近のアウシュビッツもの―と言うと言い方が悪い*5ね、どうも―はそういうのではなくて、出来がいいのが多い。犠牲者を描くだけではなくて、アレントが言うところの「悪の凡庸さ」、早い話が絶滅収容所にかかわっていた大量殺人者と、テレビの前にいる人間を隔てる壁は実はそんなに高くないということを示すよい作品がたくさん出ている。被害者に共感するだけではなくて、加害者の立場に立って「俺は殺すだろうか、殺さないだろうか」と考える人にとっては、自分の中の暗ーい井戸を覗くきっかけになると思うので、「アウシュビッツもの」もそんなに悪くないと思う。
脱線したくなったのでいったん終わり。
■[雑記]なぜころ問答に「殺しちゃだめ」と答えられる人がいっぱいいるので、多分はてなダイアラーには高潔な人が多いと思う。
(承前)とはいえ、パレスティナ人に対するイスラエルの圧制を非難して「ホロコーストに遭った民がなぜこんなことを」と批判すると反ユダヤ主義・反セム主義扱いされる状況も確かに存在し、それはそれで是正しなければならない。ユダヤ人とパレスティナ人のどっちに同情するとかそういうことではなくて、倫理的に可能な立場は、どっちが残酷かとか比較しないで「すべての犠牲者と連帯」*6する以外には存在しない。で、それはたいていの人には難しいので二重基準に陥りやすい。
「人を殺すことは悪いこと」と認めるならどんな殺しも悪いことであり、そこに例外は存在しない。だから、死刑制度を認める人間も、戦争における軍人の殺しを認める人間も、この文章を書いている人間も、みんな二重基準を持っているのだ。「良い殺し」という言葉は皮肉以外では倫理的破綻以外のなにものも意味しない。
私は「人を殺すことは悪いことだ」という言葉に同意するし、「人を殺してはいけない」という内なる命令には従わなければならないと思っているのに、国家の自衛権を認め、侵略があれば侵略者を撃退する―つまり彼を殺す―べきだとも思っている。
「なぜ人を殺してはいけないのか」という質問に答えた先から私は、偽善者の嘘つき野郎になってしまう。私の「殺してはいけない」は例外規定が山ほど存在するからだ。
殺人事件で懲役刑が言い渡されるたびに当事者でもないのに「吊るせ吊るせ吊るせ」という人たちを私が嫌うのは、法を無視して感情だけをぶちまける言説に腹が立つだけでなく、二重基準を二重基準と思わず、私が感じているすわりの悪さを感じないでいられる人への嫉妬も混じっている。法律や政治が絡めばその文脈から殺しは論じられるけど。
私が知っている限りで、日本の知識人であらゆる殺しを一貫して批判しているのは辺見庸ぐらいではないか*7。正しくあることは、ことほどさように難しい。そして自分を正しいと思うのは、実に容易い。
追記
「なぜころ問答」は、どちらかというと政治・社会システム上の問題として答えている人が多いので、私のような矛盾は発生しないことの方が多いかも。思考上のゲームならば、いくらでもやっていいだろう。私の場合は「なぜころ問答」への回答が自分のダブスタぶりを露呈するだけで恥ずかしいから論じられない。
*1:ママ
*2:学術誌の投稿論文はともかく、学位論文は、指導教官が学位が取れると判断したら提出させることが多いので、普通は審査されたら通る。したがって公開されるのは学位を授与できる論文ばかり。落とされた論文の審査要旨というのは見たことがない。たまに博士課程満期退学の教授の論文が提出されたりするが、政治的理由の有無は不明だがやはり学位は授与される
*3:友人の韓国からの留学生は、それを理由に「南北統一絶対反対」と言っていた。そりゃそうだ。
*4:カーツェット、"Konzentrationslager"強制収容所の略称。
*5:しかし、以前にも書いた通り『「アウシュビッツもの」「沖縄の米軍基地もの」を消費しているシャカイ派な私』は確実に存在しており、この問題は強く意識する必要がある。
*7:不勉強なだけで、他にももっといるだろうが