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この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

森見登美彦日誌RSS

2016年08月03日

[] 前野ひろみち氏『ランボー怒りの改新』(星海社FICTIONS)


 

ランボー怒りの改新 (星海社FICTIONS)

ランボー怒りの改新 (星海社FICTIONS)

 

 


 万城目学氏の『鹿男あをによし』という小説がある。奈良を舞台にした小説でテレビドラマ化もされた。このドラマによって、「近鉄電車がテレビに映ると妙に嬉しい」ということを登美彦氏は学んだ。


 『鹿男あをによし』は登美彦氏を「京都」へ封じ込めた作品でもある。


 かつて万城目氏は「森見登美彦氏は京都焼け野原にした」と述べたが、登美彦氏が左京区を中心に暴れまわる内弁慶ゴジラのような立場へ追いやられたのも、万城目氏が『鹿男あをによし』の奈良を皮切りに、『偉大なるしゅららぼん』では滋賀を、『プリンセス・トヨトミ』においては大阪を、先手を打って封じたからである。

 みごとな戦略というべきであった。


 しかし「奈良」は登美彦氏の出身地でもある。

 万城目氏に生国を盗られたままにしておいてよいのか。それはあまりにも不甲斐ないというものではないか。

 「だが今は雌伏のときだ」

 登美彦氏はそう思った。

 「『鹿男あをによし』のほとぼりがさめたら奈良金字塔を打ち建てよう」

 そんな夢を見ながら登美彦氏はのんびりしていた。何も慌てることはない、と思っていた。なにしろ奈良なのだから。古事記的時間が流れているのだから――。

 そこへ『ランボー怒りの改新』がやってきた。


 「ベトナム帰りのランボー大化の改新を暴力的に促進する」

 その常軌を逸したコンセプトを聞いたとき、

 「前野ひろみち氏に先手を打たれた」

 と登美彦氏は悟った。

 表題作「ランボー怒りの改新」ほか、「佐伯さんと男子たち」「ナラビアン・ナイト」「満月近鉄」という短編群によって、前野氏は「奈良の本質」を描き切ったのである。『ランボー怒りの改新』が存在する今、登美彦氏が奈良について書くべきことは何もない。打ち建てるつもりだった金字塔は夢と消えた。『ランボー怒りの改新』こそ金字塔である。


 「……まことに遺憾だが傑作と認めざるを得ない」

 登美彦氏は呟いて映画館へ出かけた。

 映画館ではゴジラ東京を焼き払っていた。

2016年06月01日

[] 森見登美彦氏、北野勇作氏『カメリ』文庫解説を書く

 

 

カメリ (河出文庫)

カメリ (河出文庫)


 

アメリ [Blu-ray]

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 そのむかし『アメリ』という不思議な気配を漂わせる映画があった。登美彦氏は噂に聞くばかりで観たことがなく、「こんな映画でもあろうか?」と妄想を膨らますのみであった。

 で、この小説がどうして『カメリ』かというと、北野さんによれば「亀でアメリだから『カメリ』」というのである。

 「マジか」

 と登美彦氏は呟いたという。

 「そんなんでいいのか」

 これは日本ファンタジーノベル大賞の大先輩に対してたいへん失礼な言い草である。ましてや自分だって「そんなんでいいのか」という小説ばっかり書いているのだから、人のことをとやかく言えないのである。

 しかし読み進めるうちに登美彦氏は別の意味で、

 「マジか」

 と思わざるを得なかった。

 なんと壮大な小説であることか。

 のちのちと歩むカメリは世界の秘密へ迫ったりする。

 なおさらステキなことには、世界の秘密へ迫らなかったりもする。

 「こんなんがいい」

 という感想を登美彦氏は抱いたのである。

 この小説を読んだあとでは『アメリ』よりも『カメリ』のほうが断然存在感を増したようである。そもそも『アメリ』を観ていないのだからしょうがない。「亀でもカメリでもない『アメリ』とは何だね一体?」という気持ちにさえなるという。それはそれでおかしいのであるが。

 カメリの不気味な可愛さについて、森見登美彦氏は解説を書いた。

 「たいへん面白くてヘンテコな小説なので皆さん読みましょう」

 と登美彦氏は言っている。

 

2016年05月17日

[] 作家と楽しむ古典 第4回「竹取物語


 森見登美彦氏が東京へ出かけて『竹取物語』について話すという。

 「講師」という響きは何か重々しいものを登美彦氏に感じさせる。登美彦氏が喋るのだからそんな重々しいことになるはずはないのである。だからといって「軽々しい」というと『竹取物語』に対して申し訳ない。重々しくあるべきか軽々しくあるべきか――登美彦氏は悩んだりもしているのだが、あんまり悩んだところでハンサムなことにならないことだけは確実に言える。いつも、つねに、そうなのだ。そういうわけでハンサムな何かを期待しないでご参加いただければ幸甚である。

 詳細は下記をご参照ください。


 http://www.kawade.co.jp/news/2016/05/616130.html

2016年04月13日

[] 舞台『有頂天家族』無料放送


有頂天家族 (幻冬舎文庫)


 舞台「詭弁走れメロス」が再演されるということもあり、こんな放送があるという。というわけでお知らせである。


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森見登美彦原作舞台 

 七変化音楽劇『有頂天家族』(2014年1月本多劇場

 アメーバフレッシュ無料放送!

 舞台 青春音楽活劇「詭弁走れメロス」稽古場レポートもあり!

 

 下記のURLより是非御覧ください。

 https://abemafresh.tv/official2/9853

 日時:4月17日(日)19:00〜22:00(予定)

 原作:森見登美彦(「有頂天家族幻冬舎文庫刊)

 脚本・演出:松村 武

2016年03月30日

[] お知らせ色々


 バベル九朔


 万城目学氏が分厚い新刊を出したりするのを横目で見ながら、森見登美彦氏はえんえんと次作の支度をしているのである。

 登美彦氏はずっと『夜行』の世界で暮らしている。

 夜明けは二度と来ないのではないか――そんな絶望に駆られる。

 主観的には怠けているわけではないのだが、客観的には怠けているのであろう。いやになってしまう。

 あの万城目氏の新刊のお知らせを当日誌に書くなど筆者としても悔しい。

 これはあまりにも新刊が出ない登美彦氏に対する罰である。

 どんどん売れるがよかろう!

 

 ジブリの教科書12 千と千尋の神隠し (文春ジブリ文庫)


 お知らせが遅くなったが、この本に登美彦氏が文章を寄せている。

 映画「千と千尋の神隠し」について述べている。


 ハイタウン2016

 http://www.europe-kikaku.com/projects/hi-town2016/

 それから五月には、ヨーロッパ企画上田誠氏とトークイベントのようなものをする予定である。

 いまでも登美彦氏は、上田氏と京都でときどき秘密の会談をエンジョイする仲だという。そんなときに話しているようなことをフワリと話せればよいが、まだ先のことなので何をお喋りするかは分からないのである。