2010-07-05
■[日々] 登美彦氏、坂本真綾さんと対談する。
森見登美彦氏は仕事が終わると、ふわふわと角川書店に出かけた。
そうして坂本真綾さんと対談した。
坂本さんは『四畳半神話大系』に登場する明石さんのように、「なぜそんなことをあなたに言わなくてはならないの?」と、登美彦氏をピシャリと冷たくやっつけたりはしなかった。
対談であるから。
したがって登美彦氏は落ち着いて喋ることができた模様である。
しかし登美彦氏は、そうやって坂本さんと喋っていても、どうしても彼女が明石さんであるという実感が持てなかった。登美彦氏にとって、明石さんは明石さんであった。さらに言えば、昨年登美彦氏が新宿の映画館で端迷惑にも眼球から血を噴きながら観た「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」に登場する真希波・マリ・イラストリアスという人とも一致しないのであった。真希波・マリ・イラストリアスは、やはり真希波・マリ・イラストリアスであった。
「ふしぎな感じだな!」と登美彦氏は考えた。
だとすれば、坂本真綾さんというのは誰であるか。
対談がたいへん和やかに終わった後、登美彦氏は職場の同僚たちに「必ず貰って来るべし、たとえ命を失うことになろうとも」と言われていたサインを坂本さんからもらうことに成功した。
これで登美彦氏の職場における明文化されていない地位は着実に上がり、彼は未来永劫、彼ら同僚たち(先輩)に上から目線で物を言うであろう。そうとも。
かくして登美彦氏は着実に今日の任務を終え、坂本さんを見送った。
その後、「DVDの付録につけるインタビューをします」と言われたので、登美彦氏は上田誠氏への漠然とした愛を語ったりした。
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2010-07-01
■[日々] 登美彦氏、『四畳半神話大系』最終回を見る。
森見登美彦氏は仕事が終わったあと、角川書店へ出かけて雑誌の取材を受け、『ペンギン・ハイウェイ』300冊にサインをした。
それらの仕事が終わる頃には午前0時を過ぎていた。
登美彦氏は若干焦っていた。
登美彦氏は家路を急ぎ、『四畳半神話大系』が始まるまでにテレビの前に座ることに成功した。
そして最終回を観た。
OPが始まるなり、登美彦氏は仰天した。
それからあとは楽しさと淋しさを味わいながら目をしっかり開いて見続けた。
しっかり見続ける登美彦氏の目の前で、『四畳半神話大系』は四月から続いた放映を終えた。
かくして登美彦氏は楽しみを一つ失った。
活動漫画版『四畳半神話大系』は登美彦氏がかつて書いた『四畳半神話大系』とは違うかたちではあるものの、しかしこれ以上のかたちは今となっては考えられないほどに楽しい映像化であった。
人生で初めて映像化された自分の作品が、湯浅政明監督による『四畳半神話大系』であったという幸運を、登美彦氏は噛み締めるべきである。
深夜の東京の片隅にて、登美彦氏は感謝の意を捧げる。
湯浅監督に。
上田誠氏に。
中村佑介氏に。
浅沼晋太郎氏に。
吉野裕行氏に。
坂本真綾さんに。
甲斐田裕子さんに。
諏訪部順一氏に。
檜山修之氏に。
藤原啓治氏に。
2010-06-29
■[日々] 『四畳半神話大系公式読本』増刷御礼
活動漫画版「四畳半神話大系」が四畳半孤独地獄の回を通り過ぎ、ついに今週木曜日深夜に関東では最終回を迎えるというこの時期、発売四日後で『四畳半神話大系公式読本』が増刷となった。編集者氏の謎めいた入魂ぶりが隅々から匂い立つ無意義で楽しい本が増刷となることはたいへんめでたい。
「購入してくださった読者の方々にはあつく御礼を申し上げる。しかし原作者としては、『登美彦氏の写真はいらねえ!明石さんをよこせ!』と憤懣やるかたなく苦悶する人々がこのたびの増刷によってさらに増えるという悲劇に想いを馳せ、漫然と微笑むのみ」
と、登美彦氏は言っている。
また、ついでと言ってはよろしくないが、活動漫画版のブルーレイ・ディスクも予約できる。
登美彦氏は予約した。
おそらく原作者としての立場を利用して一枚ぐらいはもらうことができるに違いないが、それでもなお、予約した。
繰り返す。
予約した。
登美彦氏は原作者としての立場を利用して放送前にDVDを観るというような悪辣な行為を己に禁じ、放送される時刻にちゃんとテレビの前に座って、現に放送されつつある最終話を観るだろう。
号泣する準備はできている。
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2010-06-24
■[読書] 登美彦氏、マンガを買う。
森見登美彦氏は社会的有為の人材となるための布石として、新宿の某ビルで開催される研修に参加するために、ふらふらと朝から新宿へ出かけた。
登美彦氏はめったに新宿というようなところに行くことはない。
登美彦氏は案の定、広大な新宿駅構内で方角を見失い、怒濤のごとき出勤者たちの流れを前にして、濁流に行く手を阻まれたメロスのように立ちすくんだりしたあげく、新宿西口地下のイベント広場でなぜかこの朝早くから開催されている古本市に吸い寄せられて時間を忘れて古い文庫本を漁っているうちに、危うく「研修に参加する」という当初の目的を忘れ、社会的に無益な人材にまた一歩近づきかけた。
丸一日の長い研修が終わったあと、登美彦氏は同僚といっしょに、かの名高い「新宿ナイアガラの滝」を見物した。そして都庁を見上げて首を痛くした。
「立派なものですな!」
登美彦氏はつい先日都民税を納めたが、魂まで都民になったわけではない。
魂まで都民になる方法はいまだに登美彦氏には分からない。六本木ヒルズ等に行けば見つかるのであろうか。
とはいえ、本日の中心的話題はそんなことではない。
帰宅途中で登美彦氏は『京都中学生日記』というマンガを買った。
「THE修学旅行」という短編がIKKIという雑誌に掲載されたとき、なぜか登美彦氏の心をつかみ、「果たして、ゆげ先生のこの作品が単行本になることはあるのだろうか」と手に汗握っているうちに、すっかり忘れてしまっていたステキな作品なのであった。
そして単行本として読んでみても、これは派手ではないものの、じわじわと面白さが滲み出てくるような、ステキなマンガであったという。











