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この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

森見登美彦日誌RSS

2016年09月20日

[] 「有頂天家族2」制作決定

 

 

有頂天家族 二代目の帰朝

有頂天家族 二代目の帰朝


 


 「京都国際マンガ・アニメフェア 2016」において発表されたように、森見登美彦氏の『有頂天家族 二代目の帰朝』を原作とするアニメ有頂天家族2」の制作が決定した。これは2013年に放送されたアニメ有頂天家族」の続編となる。


 アニメ有頂天家族」公式ページ

 http://uchoten-anime.com/


 制作発表にあたり、登美彦氏は次のようなコメントを寄せた。


 「また映像化しにくいものを書いてしまった」

 それが続編を書き上げたときに思ったことです。不器用な原作者である私は制作陣への適切な配慮を忘れ、おのれの荒ぶる妄想をおさえることができませんでした。これから制作陣の皆様が立ち向かわねばならぬ幾多の困難を想うにつけ、慚愧の念に耐えません。暴れん坊な原作者をお許しください。略儀ではありますが当コメントにて謝罪の意を表するとともに、第一期を凌駕する傑作の誕生をお祈り申し上げます。


 そもそも『有頂天家族 二代目の帰朝』は2013年に出版される予定であったが、執筆が暗礁に乗り上げて遅れに遅れ、アニメ放送終了後の打ち上げ会場で制作陣と出演者の皆様から「第二部はまだ完成しないんですか?」と吊し上げられるという事態を惹起してもなお完成せず、アニメ化の記憶も薄らいできた2015年になってようやく出版されたものである。

 そのような体たらくでありながら、このたびの続編制作へと至ったのは、ひとえに制作にたずさわる皆様のたいへんな熱意と、作品を愛してくださる皆様のおかげである。登美彦氏自身は正直なところ、よくぞこの企画が成立したものだと今もなお不思議で、とにかく皆様に感謝するほかない。


 コメントにおいて、登美彦氏はつい調子にのって「第一期を凌駕する傑作の誕生を」などと書いたが、冷静になって考えてみれば、原作はあくまで登美彦氏の原作なのであり、その言葉はそっくり自分自身に跳ね返ってくる。そもそも「よっしゃ、ここは一つ傑作を」などという了見で作品を作ることはできない。「貴君はそれに足る原作を書いたのか?」と問われればどうするのか。「よけいなこと書いた!」と思ったが、今となっては手遅れである。

 登美彦氏は調子に乗ってしまったことを深く反省しつつ、今はただ静かに「有頂天家族」続編制作決定のヨロコビを噛みしめている。


 なお、第二期の制作決定に合わせて、第一期のblu-ray BOXも発売されることになった。この機会にお買い上げいただければ、きっと制作陣の方々も二期へ向けて勇気百倍であろう。

 登美彦氏も購入するつもりである。

 「一家に一箱、有頂天家族

2016年09月15日

[] 森見登美彦氏、アフタートークへ出かける。


 ヨーロッパ企画の人たちからお誘いがあったので、森見登美彦氏は出かける模様である。

 10月6日の大阪公演のあと、上田誠氏やミシマ社の人と話をする。

 

 http://www.europe-kikaku.com/


 

ヨーロッパ企画の本 我々、こういうものです。

ヨーロッパ企画の本 我々、こういうものです。


 収録された登美彦氏の文章「ヘンテコなシステムと遊ぶ人たち」はともかくとして、この本はたいへん面白い本である。そして上田誠氏の書き下ろし短編戯曲「小さな出版社」にはビックリである。

 「ん?」

 「え?」

 「え!」

 「あ!」

 というふうになる。

 登美彦氏は翻弄されるのみであった。

2016年09月08日

[] 『ヨーロッパ企画の本 我々、こういうものです。』(ミシマ社)

 

 f:id:Tomio:20160908233641j:image


 森見登美彦氏が「ヘンテコなシステムと遊ぶ人たち」という文章を書いている。ヨーロッパ企画の面白いと思うところについて。また、上田誠氏と登美彦氏の似ているところ、似てないところについて。



 先日、小説家万城目学氏が新刊『バベル九朔』のプロモーション京都へ来るというので、万城目氏と上田誠氏と角川書店の編集者と四人でお酒を飲んだのである。高倉通から細い路地を入ったところにある古風な「おばんざい」のお店であった。

 上田氏と仕事以外で会うときは二人だけで話をすることが多く、万城目氏をまじえて会ったのは初めてのことだった。

 そもそも私には京都在住の知り合いが少ない。少し前までは綿矢りささんがいて、私は上田誠氏と綿矢さんを引き合わせて「京都沈殿党」を結成し、東京在住の万城目氏を仲間はずれにしてやろうと手ぐすね引いていたのだが、そんな目論見も綿矢さんが結婚して関東へ引っ越すという祝福すべき事件によって水泡に帰し、むしろ精神的痛手を受けたのは私であった。

 しかし、そんな話はどうでもよろしい。

 面白いのは万城目氏がまじると、想像もしていなかった話題が膨らむことである。私と上田氏が二人で顔をつきあわせて「恋愛談義」になるようなことはまずない。万城目氏による呵責ない追及あらばこそ、私は上田氏の恋愛方面の思想について新知識を得ることができたのである。

 「万城目さんが加わると下世話な話になりますなあ」

 「それはどういう意味や、トミー」

 「上田さんと二人で会っているときなんか、抽象的な議論ばっかりしてますよ。竹林の清談ですよ。上田さんと会うときには、二人ともなんだかはにかんでますからね」

 「今さら何をはにかむ?」

 万城目氏は呆れたように言った。

 「ふたりとも、ええオッサンやないか」



 なぜか万城目学氏が登場しているが、万城目氏は本題にまったく関係がないのである。

 さらにまったく関係のない話であるが、登美彦氏が『聖なる怠け者の冒険』文庫版のかわいい勇姿を探して書店へ出かけてみると、なんと万城目氏の新刊『とっぴんぱらりの風太郎』がドドンと書店の店先にならんでおり、上・下巻であるという純然たる物理的理由によって『聖なる怠け者の冒険』よりも目立っているのであった。おそらく忍者が「ニンニン!」言ったりする小説であることは明らかだというのに――。

 「どうして同時に出るのか。なげかわしいことなり!」

 と登美彦氏としては言わざるを得ない。

 しかし、そんな話はどうでもよろしい。

 登美彦氏はヨーロッパ企画上田誠氏をこそ応援するものである。


 ヨーロッパ企画第三十五回公演

 「来てけつかるべき新世界

 http://www.europe-kikaku.com/projects/e35/

 

 

 

 

2016年09月06日

[] 森見登美彦氏、『夜行』を書き終える。


 森見登美彦氏は、ようやく『夜行』を書き終えた。


 『夜行』は「旅先の夜」にまつわる物語で、『きつねのはなし』から十年ぶりの怪談連作となる。「夜行」とは夜行列車の夜行であるかもしれず、百鬼夜行の夜行であるかもしれぬ。

 この作品を書き上げるまで、登美彦氏は終わりのない夜の世界へ閉じこめられていたようなものであった。それはじつに身体に悪い経験であった。もう当分、『夜行』のような世界には迷いこみたくないと登美彦氏は思っている。

 「本当に夜明けはくるのであろうか――」

 書きながら、登美彦氏は幾度不安に思ったか知れない。 


 ともあれ、長い夜の旅は終わって夜明けがきた。

 『夜行』は十月下旬に小学館から発売予定である。

 同時に、これまでに登美彦氏がおこなってきた対談をまとめた『ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集』も刊行予定である。


 なお、本作『夜行』の刊行をもって、2013年に始まって以来、アクロバティックというかデタラメというか厚顔無恥というか、時空をねじ曲げて闇雲に延長を重ねてきた「作家生活十周年」は終わる。

 『聖なる怠け者の冒険』および『有頂天家族 二代目の帰朝』の単行本(文庫本ではありません!)をお持ちの方は、本の帯についている「応募券」にご注目ください。ようやく、その応募券が実力を発揮する時がきたのであります。(十周年記念企画については、秋に刊行される『夜行』において、また当日誌において、いずれ詳細を告知いたします。)


 十周年を延長し続けるという前代未聞の事態に立ち至ったのは、ひとえに登美彦氏の小説家としてのチカラ不足が原因である。あの頃の登美彦氏はおのれに対して高望みがすぎた。なにか小説家として派手なことをしなければと焦っていたのである。

 「関係者の皆様、読者の皆様にお詫びいたします」

 登美彦氏はそう述べて頭を下げるしかない。


 この三年の情けない経験から、登美彦氏は己の力量というものが、織田作之助言うところの「耳かきですくうほどもない」ということを思い知った。まったくパワフルなところがなかった。なんのあてにもならなかった。火事場の馬鹿力なんてどこからも湧いてこなかった。

 今後、森見登美彦氏はおのれに対する一切の高望みを捨て、できもしない約束をせず、大言壮語を慎み、耳かきですくうほどもない才能を妻と同じぐらい大事にしながら生きていくことをお約束する。たとえ十五周年がきても二十周年がきても三十周年がきても、世界の片隅で「今日も良いお天気だナア」と呟きながらやりすごすことであろう。


 ともあれ、十周年の幕が引かれるまで、もう少しお付き合いいただけるなら幸いである。

2016年08月30日

[] 『聖なる怠け者の冒険』(朝日文庫


 


 森見登美彦氏が散歩していると涼しい風が吹いてきた。

 「空は夏、風は秋」

 登美彦氏はなんとなく詩人風の顔つきをした。

 そして風に吹かれながらボンヤリと空を眺めた。


 この「2016年の夏」は何だったのであろうか。

 それは机上を通りすぎた一瞬のマボロシであった。

 奈良盆地でポカンとしがちな登美彦氏にとって、この夏はあまりにも忙しすぎたのである。じつはまだもう一つ終わらせるべき仕事が残っているのだが、もう登美彦氏の脳味噌はすりきれている。なかなか前へ進まない。


 ところで九月七日、『聖なる怠け者の冒険』が小型化される。


【初版限定】

 「リバーシブルカバー」&「著者のメッセージカード」付き!

 メッセージカードは全部で3種類!

 どれが当たるかはお楽しみ!!


 とのことである。

 なお、物語の内容は変わらないが、全体的にシェイプアップされている。

 新聞連載版→単行本版→文庫版と化け続ける狸的な本ということでお許しください。


 『聖なる怠け者の冒険』は「十周年記念作品」である。

 十周年記念の最後を飾る作品『夜行』が出版されるのを待つことなく、十周年記念第一作が文庫化されるのは奇妙なことではなかろうか――そう言う人もあるだろう。

 たしかにそうである!

 正論である!

 しかし正論どおりにいかないのが登美彦氏である。 

 「あと少し早く『夜行』が完成していれば、文庫化に追いつかれることもなかったのに――」

 登美彦氏は無念そうに呟く。

 「じつにややこしいことになってしまった。これはもう、やむを得ぬ!」