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この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

森見登美彦日誌RSS

2017年01月04日

[] 「四畳半神話大系」「有頂天家族」の再放送について


 劇場アニメ夜は短し歩けよ乙女」とTVアニメ有頂天家族2」の制作決定に合わせて、「四畳半神話大系」「有頂天家族」がそれぞれ再放送される模様である。

 この機会に御覧いただければ幸い。

 

 アニメ四畳半神話大系

 TOKYO MX2017年1月8日より 毎週日曜24:30〜

 BSフジ2017年1月13日より 毎週金曜24:30〜


 アニメ有頂天家族

 KBS京都2017年1月6日より 毎週金曜 深夜1:00〜

 BS112017年1月7日より 毎週土曜 夜11:00〜

 AT-X2017年1月9日より 毎週月曜 深夜0:30〜


 

四畳半神話大系 Blu-ray BOX

四畳半神話大系 Blu-ray BOX


 

有頂天家族 Blu-ray Box

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2017年01月03日

[] 年頭之感




謹賀新年



 「ともかく十周年は終わりましたよ」

 筋骨隆々の2016年氏はそう言った。

 「ともあれ、これで前へ進めるわけですな」

 2016年氏は肩の荷を下ろしたようにホッとした顔つきで去っていった。


 「年末年始に立て籠もりたい」

 森見登美彦氏はつねづねこのように思っている。

 思えば立て籠もってばかりの人生であった。

 学生時代は四畳半に立て籠もり、小説家としてデビューしてからは妄想の京都に立て籠もり、仕事に破綻をきたした2011年以降は奈良盆地に立て籠もってきた。そんな登美彦氏にとって「年末年始」という時空はひどくステキなものである。時間の流れがゆるやかに感じられ、みんなが優しくなり、慌ただしい日常から日本全国が切り離されたようになる。クリスマスから仕事納め、大晦日を経て、お正月の三が日。ずっと年末年始を繰り返すだけで生きていけるなら、どんなに素晴らしいことだろうか。

 しかしそういうわけにはいかないのである。


 登美彦氏は妻と一緒に2017年氏を迎えた。

 「明けましておめでとうございます」

 2017年氏は髪をキチンと撫でつけた背広姿で、いかにも仕事ができそうな佇まいであった。昨年、2016年氏はその腕力で登美彦氏を恫喝することによって呪われた十周年の幕を引いたが、2017年氏からは2016年氏にはない狡猾さのようなものが感じられた。

 「これから私の述べることはあくまで参考意見であります」

 2017年氏は森見家の居間でお雑煮を食べながら言うのであった。

 「あなたは毎年こう思いませんか。六月が来たとき、『え!もう一年の半分が終わったの?』と……」

 「思います思います」

 「それはなぜだか分かりますか?」

 「歳を取るにつれて月日の経つのが早く感じられるから……」

 「ちがいます!」

 「ちがうの?」

 「あなたは一月から三月を新年だと思っていないからです。いわば旧年のオマケだと思っている。そして四月がくるとようやく頭が新年に切り替わり始める。だから六月が来たときに、決まって時の流れの速さに驚くのです。そんなのアタリマエではないですか。一月から三月を旧年のオマケとしてボンヤリ過ごすことによって、タップリ三ヶ月分、あなたは世間に遅れを取っているのだから!」

 「一理あるな」

 登美彦氏が言うと、妻も「一理ある」と言った。

 「しかしねえ、エンジンが暖まるには時間がかかるものだから」

 登美彦氏が言うと、妻は「そうですねえ」と言った。


 やがて2017年氏は大きく「先手必勝」と書いた半紙を取りだし、居間の壁にぺたぺたと貼り始めた。やる気に充ち満ちた暑苦しい字体で、森見家の居間にはまったく似合わない。しかし年始早々2017年氏と喧嘩したくないので登美彦氏は黙っていた。

 2017年氏は壁に貼った半紙を見上げて言った。

 「あなたに必要なのはこれです」

 「そうかなあ」

 「すでに新年は始まっている。この確固たる事実を受け容れることです。そして、これまでないがしろにしていた『一月から三月』にこそ、いっそ燃え尽きる覚悟で努力しなさい。なにごともスタートダッシュが肝心。やらねばならぬこと一切を春までに終わらせればビッグな男になれます」

 「うへえ。年末年始に立て籠もりたい」

 登美彦氏は呻いた。

 「わがまま言っちゃいけません」

 2017年氏は厳しい口調で言い渡した。

 「今日のところはこれにて失礼。春日大社にもまわらねばなりませんから」


 玄関先まで2017年氏を見送った登美彦氏が居間へ戻ってみると、妻が「先手必勝」の半紙をいそいそと壁から剥がしていた。妻は正座して丁寧に半紙を折りたたむと、台所のゴミ箱にポイと捨て、登美彦氏に向かって敬礼した。「片付け完了いたしました」

 「それでよし」

 登美彦氏はそう言うと、新しい半紙に次の文言を書いて壁に貼った。

 「読者の期待にこたえない」

 それが新年にあたっての登美彦氏の抱負である。

 

 本年も宜しくお願いいたします。

2016年12月30日

[] 「太陽の塔潜入記」(「本の旅人」)


 太陽の塔 (新潮文庫)


 「本の旅人」(2017.1)において、万城目学氏と森見登美彦氏があの「太陽の塔」内部へもぐりこんだ記録が掲載されている。

 太陽の塔の内部公開には恐ろしい数の応募者が殺到している、ということだったので、登美彦氏は「これは無理だナ」と早々に諦めて奈良盆地にてボーッとしていたのであるが、その一方で現実家にして暗躍家の万城目氏は決して諦めず、さまざまな伝手を頼ってこの企画を実現させた。ということで登美彦氏はなんの努力もしていないのに、ただ万城目氏の誘いに乗るだけで、太陽の塔の謎に充ちた腹の中へもぐりこむことができたのである。

 その顛末については万城目氏と登美彦氏の対談をご一読いただきたい。

2016年12月28日

[] 『夜行』を読み解くための「10」の疑問


 夜行


 小学館の『夜行』紹介サイトに、

 『夜行』を読み解くための「10」の疑問

 という新しいコーナーができた。


 こちら→ http://www.shogakukan.co.jp/pr/morimi/10Q.html


 これらの疑問に答えられなければならぬ、ということではありませぬ。

 答えられなくても全然かまわない。

 唯一の答えがあるともかぎらないのである。

2016年12月25日

[] 小説新潮(2017.1)

 

小説新潮 2017年 01月号 [雑誌]

小説新潮 2017年 01月号 [雑誌]


 小説新潮1月号に「日本ファンタジーノベル大賞2017 選考委員座談会」と題して、恩田陸さん、萩尾望都さんとの座談会が掲載される。

 森見登美彦氏は13年前の2003年、『太陽の塔』という小説で日本ファンタジーノベル大賞を受賞して世に出た。あたりまえのことだが、そのときはまさか自分が選考委員になる日がくるとは思っていなかった。

 自分が選考委員であるという事実が登美彦氏にとってはすでにファンタジーである。そして恩田さん萩尾さんと、新潮社の重厚な会議室の長いテーブルをはさんで座談会をするという経験もファンタジーっぽい。そんなことがあり得るのだろうか。あの座談会マボロシだったのかもしれないと登美彦氏が思い始めたとき、掲載誌が送られてきたのでマボロシではなかったと判明した。

 2003年、日本ファンタジーノベル大賞が登美彦氏の運命を決めた。

 「君は妄想しててよし」

 登美彦氏はそのような「お墨付き」をもらったと思いこんだわけである。


 日本ファンタジーノベル大賞2017

 http://www.shinchosha.co.jp/prizes/fantasy/