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この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

森見登美彦日誌RSS

2009年11月05日

[] 『奇想と微笑 太宰治傑作選』(光文社)


 十一月十日、登美彦氏の甥が書店に登場するという。

 太宰治生誕百年の二○○九年がそろそろ終わりに差し掛かる頃、

 なんとか間に合ったのである。

 

奇想と微笑―太宰治傑作選 (光文社文庫)


 森見登美彦氏は、はじめて「アンソロジー」というものを作った。

 作品を選ぶのはじつに楽しいけれども、またムツカシイお仕事であった。

 そして登美彦氏は長い「解説」というものも書いた。

 これはもう「難儀」というほかない、お仕事であった。


 登美彦氏は太宰治氏のヘンテコで愉快な面に着目し、

 忍び寄る『人間失格』の烙印や、

 「うまれてきてすいません」的な人生の暗さから、

 あの手この手で逃れる作品を選んだという。


 そして本ができあがってきたとき、

 「太宰治」という名前と、自分の名前が並んでいることに、

 ただただビックリしたという。

 「思えば遠くへ来たものだ…」と呟いた。

 

 「これは面白い本ですよ!」

 自分の書いたものではないので、

 登美彦氏はいつになく強気で薦めることができるのである。

 「どうか、『解説』なんてものは、どうかお気になさらず!」


 この本の最後には「走れメロス」という短編がある。


 ここだけの話だが、じつはこのメロスを現代に置き換えた小説がある。

 「誰が書いたか」ということは大した問題ではない。

 「面白いのか?」ということも大した問題ではない。

 ともかくそういう本があり、

 文庫化されて今もまだ店頭に並び立てほやほやであり、

 二冊とも買うと洩れなく「登美彦氏が私腹を肥やすぞ!」

 という有意義な情報を提供して本日の更新を終わる。

 

新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)