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この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

森見登美彦日誌RSS

2016年02月12日

[] 『まいにち有頂天! 日替わり31のことば』 (幻冬舎文庫)


 


 暢気な狸たちの絵に、『有頂天家族』シリーズから選んだ31の言葉を添えた本である。

 ポストカードブック、というもの。


 昨年、『有頂天家族 二代目の帰朝』が出版された頃のことである。

 毛玉小説担当の編集者の人が、

 「こんな本があるならステキ、まあステキ」

 ぷつぷつ言いながら妄想を膨らませていたのであった。


 登美彦氏にとってもそれはステキな話であった。

 なにしろ登美彦氏がしなければならない仕事はそんなになかったから。

 「ステキな本なら作ればよいのではないでしょうか」

 登美彦氏が言うと、編集者の人は腕まくりをした。

 「では作ります」

 どんな本であっても、それが書店にならぶまでにはさまざまな障害を乗り越えなければならぬものだが、この単純素朴な発想から始まった本も例外ではなかった。実際に悪戦苦闘したのは編集者の人なので紆余曲折を述べるのは登美彦氏の手にあまるが、「ぺりっと剥がれる絵はがき」を文庫本のかたちで実現するのは簡単ではないと聞いた。どうやら一冊一冊、手作業しなければならないらしい。

 あまりにもたいへんそうなので、「無理しなくていいですよ」と登美彦氏は言ったのだが、編集者の人は決して諦めなかった。

 この本が実現したのは、ひとえに編集者の毛玉愛ゆえである。


 というわけで、多くの読者の方々にご活用いただければ幸いである。

 ぺりっと剥がして使える手軽さ。

 サラサラと文字が書ける良い紙質。

 書かれている言葉は阿呆であり、描かれている狸たちは可愛い。

 仲良き人に不要不急の用件を伝える際に重宝することウケアイである。