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この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

森見登美彦日誌RSS

2017年11月02日

[] 『太陽と乙女』(新潮社


 太陽と乙女


 森見登美彦氏は「エッセイ」をあまり書かない。

 そもそもエッセイに何を書けばいいのか分からないのである。

 自分の主張を書くべきだろうか。

 しかし、わざわざ書くべき主張がない。

 ならば体験を書けばいいのか。

 しかし、わざわざ書くべき体験がない。

 ならば妄想を書けばいいのか。

 しかし、それでは小説になってしまう。


 そういうわけで「エッセイって何?」と登美彦氏は毎度毎度苦悩しつつ、自分や世間を欺きながら「エッセイ風」のものを書いてきた。できるだけ書かないようにしているものの、2003年にデビューして早14年、塵も積もれば山となる。集めてみたら以外にある。

 「一冊にまとめたら『エッセイ』の書き方が分かるかも」

 さらに登美彦氏は軽い気持ちで言った。

 「せっかくだから小説以外の文章をぜんぶ集めよう」

 「承知しました」

 そう言って担当編集者は魔法の杖を振った。

 すると400頁を超える巨大闇鍋みたいな本ができてしまった。

 本書は読切エッセイや文庫解説のみならず、舞台版パンフレットに書いた挨拶文、マンガ版『夜は短し歩けよ乙女』のあとがき、『有頂天家族』第二部刊行遅延に関する弁明、大学生時代の日記、台湾文芸誌に連載したコラムまで、ありとあらゆる小説以外の文章が放りこまれた「森見登美彦氏エッセイ(?)大全集」というべきものである。あまりにも味つけが濃いために、登美彦氏自身、半分読み返したあたりで胸焼けした。したがって読者の皆さんは本書を頭からぜんぶ読んだりする必要は全くない。ふわふわとイイカゲンに読むことを強く推奨するものである。

 本書のタイトルは『太陽と乙女』。

 新潮社から十一月二十二日に発売予定である。

 なお、本書をまとめた後も登美彦氏の悩みは解決していない。

 エッセイを書くことはやはりムズカシイ。


 エッセイ集の発売に合わせ、次のようなイベントがある。

 森見登美彦×吉田大助「登美彦氏、おずおずと自作を語る」

 http://www.shinchosha.co.jp/news/article/776/

 お時間のある方は宜しくお願いします。