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この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

森見登美彦日誌RSS

2018年03月03日

[] 「ペンギン・ハイウェイ」劇場アニメになる

 

 ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)


 公式サイト http://penguin-highway.com/


 森見登美彦氏の『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメになる。

 この小説が刊行されたのは2010年のことで、気がつけばもう八年前である。『ペンギン・ハイウェイ』を書いたとき登美彦氏は三〇代になったばかりだったというのに、すでに不惑が迫っている。「四畳半神話大系」「有頂天家族」「夜は短し歩けよ乙女」に続いて四作品目のアニメ化ということで、それはもうたいへんありがたいことである。振り返れば迷走だらけであった三十代、これら初期作品の映像化によって登美彦氏は支えられてきた。

 2010年はちょうどアニメ四畳半神話大系」が放送された年だった。偏屈四畳半的世界が意外に注目されているという絶好のタイミングに、わざわざ『ペンギン・ハイウェイ』という毛色のちがう作品を出版して世の戸惑いを招いたことは、登美彦氏の経営的才覚のなさを示す。しかしその『ペンギン・ハイウェイ』が八年も経ってから映画になるのだから不思議と帳尻が合っている。ということは、登美彦氏はあんがい「デキる男」かもしれないのである。

 ともあれ、この映画化をきっかけにして『ペンギン・ハイウェイ』が新たな読者を獲得することを登美彦氏は祈っている。


 石田祐康監督とは二年前の春、ヨーロッパ企画の「ヨーロッパハウス」で初めて顔合わせをした。先日三月一日の記者会見で石田監督と久しぶりに会ったら、なんだかもう別人のように顔が変わっていた。丸い顔が長い顔になっていた。しかも髭モジャであった。

 「知らない間に監督が入れ替わった?」

 登美彦氏は一瞬疑った。しかしすぐに理解した。

 この二年間というもの、石田監督は雨の日も風の日も映画「ペンギン・ハイウェイ」実現のために苦闘してきた。ごつごつの岩が荒波に揉まれてすべすべの石になるように、二年間の苦闘が石田監督の顔を削りとってしまったのであろう。それはあたかも厳しい修行の旅から戻ってきた旧友と再会したような驚きだった。「丸い顔が長い顔になるほどの」努力を重ねて、監督は「ペンギン・ハイウェイ」に挑んでいるわけである。

 たいへんありがたく思いながらも、「どうかお身体を大事にしてください」と登美彦氏は監督に繰り返し伝えた。

 映画の完成まではまだ厳しい道のりが続くのだろう。


 記者会見が終わったあと。

 「大丈夫かなあ。無事に完成するかなあ」

 登美彦氏は有楽町を歩きながら言った。

 かたわらの編集者は微妙な顔つきをした。

 つまりそれは「あなたにはもっと危ぶむべきことがあるでしょう!」ということである。たしかに登美彦氏には他人の作品の完成を危ぶむ資格はない。『夜行』が出版されてからずいぶん経つ。その間、テレビアニメ有頂天家族2」や劇場アニメ夜は短し歩けよ乙女」、その他のイベントやエッセイ集『太陽と乙女』の出版によって、「なんとなく活躍している」ように見せかけて世間を欺いてきたが、小説家というものは新作を書かねばしょうがないものである。しかし石田監督のごとく「丸い顔が長い顔になるほどの」努力をしたら登美彦氏はおそらく成仏する。だから成仏しない程度の足取りで、次作『熱帯』完成へと通じる最後の坂を登っている。

 「あとちょっとなんですよ」

 登美彦氏は言い訳するように呟いた。

 『熱帯』の世界から生還したいと願っているのは、誰よりも登美彦氏本人である。 

2017年01月04日

[] 「四畳半神話大系」「有頂天家族」の再放送について


 劇場アニメ夜は短し歩けよ乙女」とTVアニメ有頂天家族2」の制作決定に合わせて、「四畳半神話大系」「有頂天家族」がそれぞれ再放送される模様である。

 この機会に御覧いただければ幸い。

 

 アニメ四畳半神話大系

 TOKYO MX2017年1月8日より 毎週日曜24:30〜

 BSフジ2017年1月13日より 毎週金曜24:30〜


 アニメ有頂天家族

 KBS京都2017年1月6日より 毎週金曜 深夜1:00〜

 BS112017年1月7日より 毎週土曜 夜11:00〜

 AT-X2017年1月9日より 毎週月曜 深夜0:30〜


 

四畳半神話大系 Blu-ray BOX

四畳半神話大系 Blu-ray BOX


 

有頂天家族 Blu-ray Box

有頂天家族 Blu-ray Box

2016年12月15日

[] 「夜は短し歩けよ乙女」劇場アニメ映画化


 夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

 

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 公式サイト http://kurokaminootome.com/ 


 「出世作」と呼ばれるものがある。

 『夜は短し歩けよ乙女』は間違いなく出世作である。

 この作品は薄暗い四畳半世界に天から射しこんできた一条の光というべきであった。もしこの作品が存在しなかったら、登美彦氏は暗い四畳半世界の片隅をぐるぐるし続けて自家中毒を起こしていただろう。「黒髪の乙女」は当時二十代であった登美彦氏を新世界へ連れだしてくれたのである。それから今日にいたるまで、登美彦氏はこの作品の遺産に頼って生き延びてきた。誕生から十年、またしても吉報をもたらしてくれた愛娘に対して登美彦氏は感謝するしかない。なんと親孝行な娘であることか。

 湯浅政明監督をはじめ、アニメ四畳半神話大系」に携わった方々の再集結も嬉しいことである。紆余曲折あって六年後の実現ということになったが、「終わりよければすべてよし」となることを登美彦氏は祈る。

 来年四月の公開までに「四畳半神話大系」も観ていただけると幸いである。

 

四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)


 

四畳半神話大系 Blu-ray BOX

四畳半神話大系 Blu-ray BOX


 来年は「有頂天家族2」と「夜は短し歩けよ乙女」が世に出ることになる。

 「まるで祭りのようだ!」

 と登美彦氏は呟いている。 

2016年09月20日

[] 「有頂天家族2」制作決定

 

 

有頂天家族 二代目の帰朝

有頂天家族 二代目の帰朝


 


 「京都国際マンガ・アニメフェア 2016」において発表されたように、森見登美彦氏の『有頂天家族 二代目の帰朝』を原作とするアニメ有頂天家族2」の制作が決定した。これは2013年に放送されたアニメ有頂天家族」の続編となる。


 アニメ有頂天家族」公式ページ

 http://uchoten-anime.com/


 制作発表にあたり、登美彦氏は次のようなコメントを寄せた。


 「また映像化しにくいものを書いてしまった」

 それが続編を書き上げたときに思ったことです。不器用な原作者である私は制作陣への適切な配慮を忘れ、おのれの荒ぶる妄想をおさえることができませんでした。これから制作陣の皆様が立ち向かわねばならぬ幾多の困難を想うにつけ、慚愧の念に耐えません。暴れん坊な原作者をお許しください。略儀ではありますが当コメントにて謝罪の意を表するとともに、第一期を凌駕する傑作の誕生をお祈り申し上げます。


 そもそも『有頂天家族 二代目の帰朝』は2013年に出版される予定であったが、執筆が暗礁に乗り上げて遅れに遅れ、アニメ放送終了後の打ち上げ会場で制作陣と出演者の皆様から「第二部はまだ完成しないんですか?」と吊し上げられるという事態を惹起してもなお完成せず、アニメ化の記憶も薄らいできた2015年になってようやく出版されたものである。

 そのような体たらくでありながら、このたびの続編制作へと至ったのは、ひとえに制作にたずさわる皆様のたいへんな熱意と、作品を愛してくださる皆様のおかげである。登美彦氏自身は正直なところ、よくぞこの企画が成立したものだと今もなお不思議で、とにかく皆様に感謝するほかない。


 コメントにおいて、登美彦氏はつい調子にのって「第一期を凌駕する傑作の誕生を」などと書いたが、冷静になって考えてみれば、原作はあくまで登美彦氏の原作なのであり、その言葉はそっくり自分自身に跳ね返ってくる。そもそも「よっしゃ、ここは一つ傑作を」などという了見で作品を作ることはできない。「貴君はそれに足る原作を書いたのか?」と問われればどうするのか。「よけいなこと書いた!」と思ったが、今となっては手遅れである。

 登美彦氏は調子に乗ってしまったことを深く反省しつつ、今はただ静かに「有頂天家族」続編制作決定のヨロコビを噛みしめている。


 なお、第二期の制作決定に合わせて、第一期のblu-ray BOXも発売されることになった。この機会にお買い上げいただければ、きっと制作陣の方々も二期へ向けて勇気百倍であろう。

 登美彦氏も購入するつもりである。

 「一家に一箱、有頂天家族

2015年03月17日

[] 「有頂天家族」配信のお知らせ

  

 有頂天家族 (The Eccentric Family) 第一巻 (vol.1) [Blu-ray]


 森見登美彦氏がフロンティア文学賞の選考会や、渋谷や横浜のサイン会でうろちょろしているとき、バンダイビジュアルの方からこんなお知らせが届いた。

 

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有頂天家族」原作第二部刊行記念!

2015年4月1日から3ヶ月間限定で、dアニメストア、auビデオパス、バンダイチャンネルの月額見放題プランで、TVアニメ有頂天家族」全話をご覧いただけます!

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「すでに観た人も、観なかった人も、この機会にご覧いただければ幸いである」

と、登美彦氏は述べている。