Hatena::ブログ(Diary)

この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

森見登美彦日誌RSS

2016年12月30日

[] 「太陽の塔潜入記」(「本の旅人」)


 太陽の塔 (新潮文庫)


 「本の旅人」(2017.1)において、万城目学氏と森見登美彦氏があの「太陽の塔」内部へもぐりこんだ記録が掲載されている。

 太陽の塔の内部公開には恐ろしい数の応募者が殺到している、ということだったので、登美彦氏は「これは無理だナ」と早々に諦めて奈良盆地にてボーッとしていたのであるが、その一方で現実家にして暗躍家の万城目氏は決して諦めず、さまざまな伝手を頼ってこの企画を実現させた。ということで登美彦氏はなんの努力もしていないのに、ただ万城目氏の誘いに乗るだけで、太陽の塔の謎に充ちた腹の中へもぐりこむことができたのである。

 その顛末については万城目氏と登美彦氏の対談をご一読いただきたい。

2016年12月25日

[] 小説新潮(2017.1)

 

小説新潮 2017年 01 月号 [雑誌]

小説新潮 2017年 01 月号 [雑誌]


 小説新潮1月号に「日本ファンタジーノベル大賞2017 選考委員座談会」と題して、恩田陸さん、萩尾望都さんとの座談会が掲載される。

 森見登美彦氏は13年前の2003年、『太陽の塔』という小説で日本ファンタジーノベル大賞を受賞して世に出た。あたりまえのことだが、そのときはまさか自分が選考委員になる日がくるとは思っていなかった。

 自分が選考委員であるという事実が登美彦氏にとってはすでにファンタジーである。そして恩田さん萩尾さんと、新潮社の重厚な会議室の長いテーブルをはさんで座談会をするという経験もファンタジーっぽい。そんなことがあり得るのだろうか。あの座談会マボロシだったのかもしれないと登美彦氏が思い始めたとき、掲載誌が送られてきたのでマボロシではなかったと判明した。

 2003年、日本ファンタジーノベル大賞が登美彦氏の運命を決めた。

 「君は妄想しててよし」

 登美彦氏はそのような「お墨付き」をもらったと思いこんだわけである。


 日本ファンタジーノベル大賞2017

 http://www.shinchosha.co.jp/prizes/fantasy/

2015年06月18日

[] 小説トリッパー2015/6/30号(朝日新聞出版


 小説 TRIPPER (トリッパー) 2015年6/30号 創刊20周年記念号 [雑誌]


 森見登美彦氏の短編「廿世紀ホテル」が掲載されている。

 大正時代京都を舞台にした短いお話である。


 奈良の天を覆う梅雨空のもと、登美彦氏は鬱々とした日々を送っている。

 そもそも「梅雨大好き!超愛してる!」という人物は多くないかもしれないが、登美彦氏も梅雨のことはあまり好ましく思っていない。彼が梅雨をきらう最大の理由は、大気に充満した湿気にそそのかされた毛髪が反乱をくわだてることである。登美彦氏も三十路半ばとなって、毛髪の戦略的撤退は着実に進行中であるが、それでもなお若かりし日の栄光を忘れられない一群の暴れん坊たちが梅雨空に向かって立ち上がり、天然巻き毛の本領を発揮する。

 「じつにウザイ。おとなしくしろ!」

 登美彦氏はそんなことを呟きつつ、髪をぐいぐい引っ張る。

 引っ張っても毛髪の性根が治るわけもなく、彼らの頭皮からの離脱を早めるというのに――。