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映画評論家町山智浩アメリカ日記


音声ファイルの有料ダウンロード「町山智浩の映画ムダ話」。
今回はジョージ・A・ロメロ監督『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』を解説します。

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映画秘宝連載中の「男の子映画道場」が単行本になりました。
「狼たちは天使の匂い 我が偏愛のアクション映画」です。


町山智浩の映画解説リストです。
現在約800本の映画が50音順に整理され、解説へのリンクが貼られています。
お探しの映画解説はたいていここで見つかると思います。


週刊文春の連載「言霊USA」はオンラインで読めます。

もうじき連載100回になるサイゾーのコラム『映画がわかるアメリカがわかる』はここで読めます。


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町山智浩の映画塾2(101〜200)

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集英社WEB連載「町山智浩の深読みシネガイド」



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ポッドキャスト「町山智浩のアメリカ映画特電」は復活しました!
特電ポッドキャストVol.1〜67
Vol.68〜80
Vol.81〜95

ロフトプラスワンでタランティーノと公開飲み会(無修正)

2004-05-19 「ハッピー・バースデー」はもう歌えない

TomoMachi2004-05-19

ヘラルドと大映も傘下におさめた角川は

「NPO」という言葉を商標登録した会社である。

しかも「ボランティア」という言葉をも登録しようとしていた。

「非営利」「無償の奉仕」という言葉を金で買って、しかもそれを商売にしようという会社である。

角川はボランティアのミニコミなどに使用料を請求する意図はないというが、

たとえば「ボランティアしよう」とかいう名前のゲームや歌や漫画やアニメや映画や小説を発表すると使用料を請求される可能性がある。


あらゆるものの権利が企業に金で独占されつつある。


映画『ヴァン・ヘルシング』はユニヴァーサル映画の製作でユニヴァーサル怪奇映画のスターであるドラキュラ、狼男、フランケンシュタインが勢ぞろいするのが売り。

日本での配給はGAGAだが、宣伝でモンスターの写真が使えなくて困っている。

映画の権利はGAGAでも、モンスターの権利はユニヴァーサルにあるからだ。

『怪物くん』はどうなるんだ?

ユニヴァーサルは70年代はまずABCテレビを中心にするメディア・コングロマリットMCAに買われ、その後、日本の松下に売り飛ばされ、次にシーグラム(フランス&カナダ国籍の酒のメーカー)が買収したが、最近は長い間ヒットがないのでここ数年売りに出されていたが、ちっとも買い手がつかなかった。

ところが今年に入って『ドーン・オブ・ザ・デッド』『ヴァン・ヘルシング』が続けてヒットしたら、すぐさまNBCがユニヴァーサル買収を発表した。NBCはアメリカ最古にして最大のテレビ局で、アメリカ最大の電器メーカーGEジェネラル・エレクトリック社の子会社である。

ドラキュラも狼男もフランケンも今はGEのものなのだ。



日清のカップやきそば「UFO」のフタに小さく「東北新社」と入っていたのは有名な話。

東北新社は『謎の円盤UFO』を商標登録しているからだ。

法的には「UFO」という言葉を使う度に東北新社に幾分かの使用料を払わねばならないのだ。


そして『誕生日の歌』。

お誕生会で子供が歌うアレだ。


ハッピー・バースデー・トゥ・ユー

ハッピー・バースデー・トゥ・ユー

ハッピー・バースデー・ディア(子供の名前が入る)

ハッピー・バースデー・トゥ・ユー


この歌詞はAOLタイムワーナーが著作権を所有している。

この歌はもともと、「グッモーニング・トゥ・ユー」という歌で、

1893年に南部のヒル姉妹という幼稚園の経営者兼先生が、

幼稚園の朝の挨拶のために作った歌だ。


グッモーニング・トゥ・ユー

グッモーニング・トゥ・ユー

グッモーニング・ディア・チルレン

グッモーニング・トゥ・ユー


百年以上前に書かれたこの歌は現在パブリック・ドメインで自由に使用できる。

しかしヒル姉妹は誕生会用に「ハッピー・バースデー」と歌っていた歌詞を著作権申請し、1935年に登録している。

http://www.infoanarchy.org/story/2003/5/31/16042/4219

http://www.snopes.com/music/songs/birthday.htm


その権利は何度か転売されて現在はワーナー映画を含むコングロマリット、AOLワーナーが所有している。

だから曲は自由に歌えても、歌詞は商業的に使用する際はワーナーに使用料を払わねばならない。

ワーナーが「誕生日の歌」から得ている使用料は年間2億円を超えるそうだ。


しかし、この歌詞、見てみろよ。ハッピー・バースデーって言ってるだけだ。

曲ではなくて歌詞が問題なので、映画やレコードや漫画や本で、「ハッピー・バースデー」を何回か唱えるともうそれで著作権に抵触してしまうのだ。

著作権は本来、力の弱い表現者の権益を守るために作られたものと思ったが

現在は力の弱い表現者を大資本が抑圧するために使われているのだ。


「ボランティア」も「ハッピー・バースデー」も「UFO」もごく普通の言葉である。

今、こうしている間にも、「“愛”って言葉、ウチの会社で商標登録できないか? いや、“萌え”とか“オタク”のほうが儲かるかも」とか言ってる企業があるような気がする。