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映画評論家町山智浩アメリカ日記


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2004-06-25 「華氏911」今、観て来た

TomoMachi2004-06-25

マイケル・ムーアの「華氏911」についての質疑応答も併せてご覧ください。

http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040706


華氏911」今、観てきた。

これから、頭の中にあることをとりあえず吐き出してみる。

これは単なる個人的な覚書です(そうとも、ここはオイラの日記だぜ!)

だからダラダラしてるし、文章も垂れ流しです。

間違ったことを言ってるかもしれません。

矛盾したことも言ってるでしょう。

後から少しづつ修正したいと思いますが、

商売で書いた文章ではないので面白くないですが悪しからず。


オイラは実はこの年になるまで政治なんかこれっぽちも興味がなくて、

怪獣映画とかプロレスとかガンダムとかクンフー映画とかオッパイとかのことだけ考えて生きていたい人だった。

でもブッシュがあまりにもヒドイことばかりするので、嫌でも政治のことを考えさえられるから頭に来る。

とか思いながら、深夜0時きっかりの先行上映会場に行くと、長蛇の列が劇場を取り巻いていた。

深夜0時の回は一週間も前に売り切れてた。

そこでもう一つのスクリーンで0時5分から追加上映されることになったので、それを前売りで買った。

係員が叫んでいる。「0時5分の追加上映も、0時25分の追々加上映も売り切れです! もう一回増やしますので並んでください!」

サンフランシスコはベトナム戦争の時、ヒッピーと反戦運動のメッカだったし、今もその生き残りが多いので、

ニューエイジな左翼がかった中年が集まってるのかと思ったら、

オッサンは自分以外にはほとんどいない。

並んでる客はみんな二十歳そこそこのカップルや兄ちゃんたち。

オタクっぽい人はゼロで、みんなクラブに行くようなファッションで来てました。

女の子は美人が多い。

前に並んだ男の子たちに「政治に興味あるの?」って聞いたら、

「全然。でも今いちばんクールな映画らしいから」

「どういう意味?」

「テレビで見せてくれないものが観れるんだろ?」

他の客もみんな話題になってるから来ただけという感じ。


ここから映画の内容になる。

「ネタバレ」とやらが気になる人は読むのを止めてください。

でも、事実を描いた映画にネタバレもクソもあるか。

そもそもストーリー(事実)は以下のように簡単だ。

ブッシュはテロの危険性を警告されながら何もしなかった。

テロが起こったとき、さっさとアフガンを全力で攻撃し、ビンラディンを拘束すべきだったが、やらなかった。

まず、ビンラディン一族は長年の仲間なので逃がしてしまった。

ハイジャッカーはサウジ人だったが、サウジ王室も仲間なので調査を中止した。

そして無関係なイラクを攻撃した。利権のために前から準備していたことだった。

イラクに勢力を割きすぎたせいで、アフガンではいまだに戦乱は収まっていないし

ビンラディンも捕まっていない。

事実だから意外なオチなんてものはない。

非常に重要な前提なので、あらかじめ言っておく。

マイケル・ムーアは「すべての戦争に反対する左翼」ではない。

この映画に限らずインタビューなどでムーアは、はっきり「テロリストどもをやっつけろ!」と言っているのだ。


つまりこういうことだ。

「とにかく早いうちにタリバンとアルカイダとビンラディンを全力を尽くして徹底的に壊滅させておくべきだった。

ところがブッシュは911の後でもアフガンに“ニューヨークの警察官よりも少ない兵隊しか”送らなかったのだ。

だからビンラディンを逃がし、タリバンもアルカイダも壊滅せず、いまだに人を殺し続けているのだ。

なぜか? ブッシュがイラクのために兵力を温存したからだ。

911と無関係なイラクに」


ちなみにイスラム原理派はフセインにとって反体制分子だったので抑圧されていたが、フセインが排除されたので野放しになった。

今、イラクで暴れているのは、アメリカによって解き放たれたイスラム原理派だ。アメリカは敵に塩を送っただけだったのだ。

それに独裁政権、テロ、破壊兵器をいうなら金正日こそ一刻も早く倒すべきである(フセインは近隣諸国の人を拉致してないよ)。


映画は楽しいバンジョーの響きで始まる。

2000年の大統領選挙で「当選」を祝うゴア候補。

その後にはベン・アフレックやロバート・デニーロやスティービー・ワンダーが見える。

ゴアが得票数で勝ったことを報じるTVニュースの数々。

ところがFOXニューズが「ブッシュの勝ち」と告げる。

FOXはブッシュ政権べったりのニューズ・コープ・グループのチャンネルである。

暗い音楽。

最高裁がブッシュを大統領と承認する。

黒人の下院議員たちが抗議するが聞き入られない。

アメリカの上院議員には一人の黒人もいない。

上院は白人金持ちクラブみたいなものだ。

ブッシュの大統領就任式。

ホワイトハウスに向かうブッシュのリムジンを反対する人々が阻止しようとする。

米国史上、こんな大統領就任式は始めてだ。

ここでゴーゴーズの「バケーション」が楽しく流れて、

ブッシュ新大統領が遊び呆ける姿が続く。

就任から8月間、彼は半分以上の時間をホワイトハウスの外で過ごした。

「サボってばかりですね」と記者に言われて「電話とかファックスで仕事してるよ」と言い訳。

ここでメインタイトル。


華氏911


タイトルが終わると画面暗転。

暗闇の中に悲鳴と爆音。

小学校を訪問中に「本土が攻撃されてます」と耳打ちされたブッシュはすぐに何かしようとせず、

困った顔で絵本を読み続ける。

実は何ヶ月も前からFBIはテロの危険性やアルカイダのメンバーが国内に入ったらしいことを警告していた。

しかしアシュクロフト司法長官は「もうそんな話は聞きたくない」と警告を聞き入れなかった。

ライス大統領補佐官はテロの直前に「テロの可能性はない」とテレビで答えていた。

そればかりか政府はテロの直前にタリバンのリーダーの公式な訪米を許可していた。

テロの後、すべての飛行機が離陸を禁止される。

ところがアメリカに何十人もいるサウジアラビアの大富豪オサマ・ビン・ラディンの一族だけは密かに自家用ジェットで国外に脱出した。

しかし普通、逃亡中の容疑者の家族を何の取り調べもせずに逃がすだろうか?

FBIを引退したアルカイダの専門家ジャック・クルーネンは「信じられない馬鹿げたことだ」と憤る。


ここまでで30分。

やっとマイケル・ムーア登場。

彼はかつてブッシュがベトナム徴兵を逃れて州兵もサボっていた事実を調査する時、

ブッシュの軍歴を調べたが、新しく取り寄せると一人の戦友の名前が消えている。

ジェームズ・バスというその男はブッシュが麻薬検査を逃れる時に「身代わり」になった。

(ここでエリック・クラプトンのギターが一瞬流れる。「コカイン」のイントロだ!)

バスはその後、ビンラディン一族のテキサスの財産管理人になっていた。

なぜか? ブッシュ一族とビンラディン一族は「家族づきあい」をしていたからだ。

ブッシュの父はコングロマリット「カーライル・グループ」の経営者だ。

その系列にはブラッドレー戦闘車を米軍に卸している軍事部門ユナイテッド・ディフェンスがある。

そのカーライル・グループへのビンラディンやサウジの王室からの投資額は税金から支払われる大統領の給料よりもはるかに多い。

普通、人間は自分の得になるほうに味方するものである。

ハイジャックしたテロリストはほとんどサウジアラビア人だったが、ブッシュは独立調査委員会による911テロの調査を途中で打ち切った。

「なんで調査を続けないの?」テロで家族を失った遺族が涙で訴える。

なぜアメリカはサウジに「テロリストを調査させろ」と迫らないのか?


マイケル・ムーアはワシントンDCにあるサウジアラビア大使館に行く。

その向かいにはウォーターゲート・ビルがあった。

ビデオを撮っていると制服の男がやって職質する。

シークレット・サービスだ。

「大統領の警護をすべきシークレット・サービスが外国の大使館を警護することって他にあるんですか」

「いや」相手はそういった。

なぜ国民の血税で「敵国」の大使館を警護するのか?


大統領のテロ対策専門家リチャード・クラークがテレビで911の翌日に大統領たちと何を話したのか告白する。

「イラクを攻撃するんだ」

そう言われたクラークはきょとんとして聞き返した。

「イラクは関係ないですよ。テロリストはサウジ人だし、首謀者のオサマ・ビンラディンはアフガンにいるし」

するとラムズフェルドは答えた。

「アフガンなんか攻撃してもロクなものがないからな」


でもアフガンにも「ロクなもの」があった。

天然ガスのパイプラインを通すのだ。

それを築く会社ハリバートンは、副大統領ディック・チェイニーがCEOをしていた会社である。

アフガンにアメリカは暫定政権を打ち立てたが閣僚はチェイニーのビジネス・パートナーたちである。


(追補)このあたりまでの「陰謀論」は根拠が弱いだけでなく、すでにムーアの著作その他で書かれたもので、面白くないし、インパクトは弱い。「華氏911」に否定的な批評はすべてこの前半部ばかりを攻撃している。しかし、彼らは後半部についてほとんど言及していない。後半、ムーアのアジテーションは極端に少なくなり、ただ「裸の事実」だけが次々とつながれていく。これはすべて事実であり、反論の余地はない。ここから先の映像こそが「華氏911」の本質である。(追補終わり)



アシュクロフト司法長官は国民のプライバシーを政府が監視する「愛国法」を成立させた。

法案は議員の事務所に深夜に送りつけられ、採決はその日のうちに行われた。

法案を読み通すことができた議員はほとんどいない。


愛国法で政府の国民監視が始まった。

フレズノにある「ピース(のんびり)・フレズノ」というおじいさんおばあさんの読書クラブに、ある日突然、30代の男が参加した。彼は政府の調査員だった。「ピース・フレズノ」という名前を反戦団体だと思って内偵していたのだ。

そして筆者の住む町オークランドの風景。ある老人がスポーツジムでの井戸端会議で「ビンラディンもクソだけど、ブッシュはもっとクソだ」と言っただけで、FBIに尾行され、家も捜査された。

(詳しくは http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040703

2003年3月19日、テロと全然関係ないイラクに攻撃開始。

天真爛漫に遊ぶイラクの子供たちを撮ったホームムービー。


爆撃。


頭を砕かれてまだ生きている男の子。

これがさっきの兄ちゃんが期待していた

「テレビで見せてくれないもの」だ。

全身焼け爛れて目も鼻も口もドロドロに溶けた少女。

腕を引き裂かれた赤ん坊。

「ブッシュ大統領がしていることを応援するわ」

ブリットニー・スピアーズ、ガムをくちゃくちゃ噛みながらインタビューに答えて言う。


ブッシュはイラクに進撃したのは「連合軍」「多国籍軍」だという。

そのメンバーは、パレオ、コスタリカ、モロッコ、アイスランド、オランダ……。

軍隊すら持ってない「幽霊連合軍参加国」がほとんど。


ここでマイケルは故郷フリントに帰る。

GMの閉鎖以来、町は立ち直っていない。

スラムのような町を指して住民の一人が叫ぶ。

「戦争だって? ここが戦場だ! ここに来てみろブッシュ!」

仕事がないので軍隊に行くしかない。

海兵隊のリクルーターたちが町でうろうろするプーターローの若者たちに声をかける。


「戦争に反対する人たちは何もわかってないわ」

フリントのライラさんは毎日星条旗を家に飾る。

「娘も息子も軍隊に入ったの。誇りに思うわ」


イラク人を虐待する米兵たち。彼らはみんな若すぎて、戦争の目的も何もわかっていない。

愛国心ではなくて貧乏で他に行くところがなかった若者がほとんどだ。

でも、一人の兵士がつぶやく。

「人を殺す時、自分の中の何かも同時に殺してるんだ」

一人の黒人の海兵隊員が言う。

「もうゴメンだ。なんで貧乏人が貧乏人を殺させられるんだ」

金持ち息子やエリートの政治家たちが始めた戦争で、

貧しい兵隊たちは一生消えない傷を負わされる。


軍人病院。

手や足を失った兵士たち。決してアメリカのメディアには登場させてもらえない兵士たち。

今回の戦争でアメリカのメディアは戦傷兵の姿を一切見せなかった。

これも「テレビで観られないもの」だ。


愛国婦人ライラさんの家に軍から連絡がある。

「ブラックホーク・ダウン」

息子が戦死する前に母に書いた最後の手紙は

「母さん、僕はブッシュにとても怒っています。

彼の再選を絶対に阻止しなければならない」


ハリバートン他、イラク再建を受注した企業のエグゼクティブが集まるパーティ。

高級スーツを着た連中がシャンペン片手に談笑しながら「戦争はいつだって商売になるよ」

War is bad for people, good for business(戦争は人には悪いけど商売にはいいね)。

なんだこいつらは?

911はどこに行っちゃったんだ?

おばあちゃんが一人「こんなに人を殺して我慢できないわ」とつぶやく。


息子を失ったライラさんはムーアと一緒にホワイトハウスに向かう。

ホワイトハウスの前には老婆が一人で「みんな殺されているんです」と戦争反対を訴えている。

そこにライラは近づくと、サングラスの女が割り込んで、「この婆さんは左翼のヤラセですよ」と言う。

するとライラさんは叫ぶ。

「あたしの息子も死んだの! これがヤラセ? ヤラセだって言うの?」

そのサングラスの女は冷たく言い放つ。

「みんな死んでるのよ」

ライラさんはホワイトハウスに向かうが、テロ避けのために巨大なフェンスで覆われて近づけない。

泣き崩れ、息子に謝るライラさん。

「正しい戦争だと信じてた、私はなんてバカだったの」


ムーアは国会に向かい、議員たちに軍隊のリクルートのパンフを配る。

戦争を決めたのは議員だが、自分の息子を戦争に行かせてる議員は一人しかいないのだ。

かくして金持ちたちは戦争で儲けて、貧乏人は貧乏人同士で殺し合いをやらされる。


In the end, Bush says: "There's an old saying in Tennessee -- I know it's in Texas, probably in Tennessee -- that says, fool me once, shame on... shame on you. Fool me -- you can't get fooled again." 17 Sep 2002







華氏911」が終わって劇場を出ると「この映画にだまされないで」と書かれたビラを配っている連中がいた。

そこには「この映画はブッシュ再選を阻止しようとする政治的宣伝映画です」と書いてあった。

その通りだ。

みんな知ってるよ。

知らないで観に来ていると思ってるのか?

テレビや雑誌では見たくもないクソみたいな商品の広告を押し付けているのに、

観客が自分の意思で観に行く映画で自分の主張を訴えてどこがいけないのか?

公共の報道ではないのだから、作品に作り手の主張をこめるのはあったりまえの行為だろ?

これに関してはオイラがマイケル・ムーアに直接会って話したインタビューを読んで欲しい。

http://www.eiga.com/special/bowlingfor/02.shtml


これから重箱の隅をつつくような批判がぞろぞろ出てくることだろう。

「細かい事実誤認がある」「編集で文脈を変えている」

あとは「ドキュメンタリーとしての客観性を問う」とかな。

「フェアじゃない」とかな。

何言ってんだ?

テロの犯人を逃がしておいて、ウソの理由で関係ない国に攻め込んだことはどうなってるんだ?


そもそも反ムーア派が指摘している部分はみんな「周辺事情」にすぎない。


華氏911」が指摘する重要なポイントは、この二点

「ブッシュがテロと関係ないイラクに攻め込んでイラク人とアメリカ人が死傷していること」

「そんな無駄なことをしていたせいで、911を起こしたテロリストどもがやりたい放題しているということ」

この二点は反論のしようがない事実なのだ。

ブッシュ派の連中はこの二つに反論できないから、周辺の瑣末なことに突っ込んで、この二つから目をそらそうとしているのだ。

とりあえず、敵の家族から金もらってるやつが大統領やってていいわけがない。

犯人の家族と友人で、それが原因で犯人を逃した警察官は任務を外されるのが常識。明快である。



そもそも映画としての評価など関係あるかね?

マイケル・ムーアは命を脅迫されながらも、人が意味なく死んでいくのをなんとか止めようとしているんだ。

それを「ドキュメンタリーとして客観的じゃない」とか「フェアじゃない」とか批評してどうなるのか?

当たり前じゃないか。

このままブッシュが居座れば戦争はどんどん拡大していくだろう。

(なぜかビンラディンとは違う方向に)

ムーアはそれを止めるためなら何でもするつもりなんだよ。

人の命を救うためならどんな反則でも使うつもりなんだよ。


これはレジスタンスのゲリラ戦なんだ。

アメリカのメディアはイラク戦争以来、毎日24時間ブッシュ万歳報道をタレ流してきたのだ。そして、『華氏911』に登場するイラクの民間人の被害、米兵の負傷者、息子の戦死に号泣する母親といった「戦争の悪い面」の映像は一切、国民の目から隠されてきたのだ。

(関連記事参照)

http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040725

http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040308

http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040703


こんな、公平さのかけらもない、一方的な情報ファシズム体制の支配に対するたった一人の男のレジスタンスが『華氏911』なのだ。


ナチに抵抗するレジスタンスのパンフレットを「ヒットラーのいい面(そんなものあるとして)も公平に描くべきだ」と批判するのか? 


ムーアの目的はいい映画を作ることでも、

公平なジャーナリズムでもない。

ブッシュを一刻も早く止めさせること、

少しでも無駄な犠牲を減らすことなのだ。


目の前で人が死んでいくのを止めるため、ありとあらゆる手段を尽くしている男を見ながら、したり顔で腕を組んで「映画としては…」なんて「批評」してる場合か?

今も人が無意味な戦争で死んでいるし、

その間に、本当に悪いテロリストどもは民間人を生きたままを首切って遊んでるんだよ。

それをなんとか止めようとしている映画に「うーん、これは映画としてアレですね」なんて偉そうに言ってる場合か?


ゴダールは映画を観もしないで「ムーアは中途半端な知性だ」とか言ってくさしたそうだが、

知性なんてどうでもいいだろ!

ゴダールはベトナム戦争のとき、散々騒いだけど結局戦争を止められなかったじゃないか。

いや、ベトナム戦争の時、世界中であれだけの芸術家や学者がよってたかってアメリカを撤退させようとしたが、結局できなかったじゃないか。


でも、もしかしたら、一人の男が作ったたった一本の映画が大統領の暴挙を止めることができるかもしれないのだ。

一本の映画が、何百何千という人の命を救うかもしれないのだ。

歴史上、多くの宗教家や哲学家や芸術家やロックミュージシャンが戦争に反対してきたが、

実際に止めることに成功した人はどれほどいるのだろうか?

でも、もしかしたらそれが初めて実現するかもしれないのだ。

その証拠に、IMDbのコメント欄の妨害運動をすさまじさを見よ。

これほどまでに恐れられた映画があっただろうか?

一人の映画監督が、世界一の大国の大統領の運命を、つまりは世界の運命を左右しそうなのだ。

このクソみたいに出口のない世の中で、どうせ何やっても無駄なんだと思わせる世の中で、

こんなに生きる元気を与えてくれることがあるだろうか。

権力や財力や武力よりも強いものがこの世にある、あるはずだと純情にも愚鈍にも信じて、いや、もういちど信じてみたいから、

この映画がブッシュに勝つために出来る限りのことをしよう。


でも、アメリカ市民でもなく投票権もない我らに何ができるのか?

すでに日本人も韓国人も充分すぎるほど巻き込まれたのに、

何もできないまま、ただ連中に世界を左右されるだけではくやしすぎる。


とりあえず僕はINDbの星取表に10点満点を入れに行くけど、

そんなカスみたいなことじゃなくてもっと何かできないか。

これから考えていく。

何かアイデアがあれば教えてください。

とりあえず下のサイトをクリックして

日本でも関心があるってことを彼らに伝えてください。

http://www.fahrenheit911.com/ 「華氏911」公式サイト

http://www.michaelmoore.com/index_real.php マイケル・ムーア公式サイト


しかし、選曲を聞いてると、ムーアってロック好きだねえ。

予告編のテン・イヤーズ・アフターにも唸ったけど。

オイラはロックが死ぬほど好きなのに音楽的才能がまるでなくて、せめて雑誌作りや文章でロックみたいに人を元気にできたらいいなと思って働いてるけど、

ムーアはこの映画で、60年代にロックンロールが頑張ったけどできなかったことを実現できるかもしれない。

エンディングに流れるのはニール・ヤングの「キープオン・ロッキン・イン・ザ・フリー・ワールド」だ。

街角にあふれるのは

赤、白、青の星条旗

足を引きずる人々

道端で眠る人々

道の行く手は通行止め

俺たちに「死んじまえ」と罵声を浴びせる奴らがいる

奴らにとっては俺たちは悪魔なんだ

俺たちはそう思わないけど

だから奴らのことなんか忘れよう

Keep on Rockin' in the Free World

ロックし続けるんだ、ここは自由主義社会だろ

Keep on Rockin' in the Free World

ロックし続けるんだ、ここは自由の国なんだから