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映画評論家町山智浩アメリカ日記


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2004-07-06 「華氏911」マイケル・ムーア自身がすべての疑問に答えました

TomoMachi2004-07-06

ニューヨークで開かれたマイケル・ムーアの合同インタビューに参加した。

ムーアは世界から集まった記者一人一問づつ、すべての質問に答え、会見は一時間半に及んだが、ムーアも記者も始終ジョークを連発しての笑いの絶えない楽しいインタビューだった。


オイラはムーアには『ボウリング・フォー・コロンバイン』公開前にインタビューしているけど、今回の『華氏911』ではアメリカ以外のどこの国のジャーナリストにもムーアは取材に応じていない(カンヌで合同取材をやっただけ)。

当然、海外の記者陣は「なんでやらせないんだ!」とせっつきまくったわけ。

そこで開かれたのが今回の海外ジャーナリストのための合同インタビューだ。

以下はその記録です。ただし一字一句忠実なテープ起こしではなく、読みやすくわかりやすくするために、必要のない部分を省略し、時には逆に言葉を補い、また質問の順番も話題の関連に従って入れ替えています。また、Time, Entertainment Weekly, Playboy Magazineのムーアのインタビューから同様の質問に対する彼の答えを拾って説明を補っている部分もごくごくごく少しだけあります。

じきにこの記者会見の英語全文はどこかのネットにアップされることと思いますので以上のことを事前に記しておきます。

ただし、発言の主旨を曲げた部分は一切ないことを責任をもって保証します。また、ムーアのジョークや(笑)などの記者のウケ方は忠実に再現しました。ですから、これを記者会見の記録として引用などに利用しても問題は生じません。


また、著作権上の問題がないと思われる町山とムーアの漫才部分のみ7月13日午後2時からTBSで放送される「ストリーム!」で放送しますので、ヘタな英語を笑ってやってください。



さて、始まりはまずムーアからの謝罪だった。

ムーア 本当はここに来てくれた記者のみんな一人一人のインタビューに応じたいし、それぞれの国にも行ってみたい。でも僕は今、アメリカ国内でやらなきゃいけないことがあるんです。外国に行く状況ではありません。それを分かって欲しい。大事な使命が終わるまで待っていてください。ブッシュをホワイトハウスから叩き出すまで。ということでいっぺんに取材をすませることになっちゃってすみません。その代わり、ここでは来てくれたみなさん全員の質問に答えることにします。

メキシコの新聞記者 『華氏911』は公開に関して各方面から激しい妨害を受けましたが、ムーアさん自身を狙う動きもあるんじゃないですか?

ムーア え? 君、何か知ってるの? 知ってるんだったら教えてよ(笑)。まあ、今のところは大丈夫ですよ。でも二週間後にはどっかの川に死体で浮かんでるかもね。で、TVニュースでこう言われるんだ「わずか二週間前、記者会見で『大丈夫』と笑っていたムーアさんが……」(爆笑)。

メキシコの記者 この映画の他に何か政治的な運動を計画していますか?

ムーア いえ。僕の仕事は映画を作ることです。そしてこの映画を観た一人でも多くの人が投票するために登録するようにすることです。アメリカの有権者のうち半分は選挙に行かないんですよ。『華氏911』の劇場によっては出口に登録用の机を置いてます。それで生まれて初めて投票することを決めた人も多いと聞いてうれしかったね。

オーストラリアの記者 わが国はブッシュの要請に応じて派兵してますが、ジョン・ハワード首相についてどうお考えですか?

ムーア オーストラリアからはいっぱい手紙をもらってますよ。みんな怒ってるねえ。何に怒ってるんだろ。どうもオーストラリアなんかに住んでることに怒ってるわけじゃなさそうだ(笑)。ジョン・ハワードがなんでブッシュの言いなりになってるのかさっぱりわかりません。国民の大多数は反対してるんでしょ? オーストラリア以外にもブッシュの戦争に参加してる国がいっぱいありますが、そういう国の人たちに『華氏911』を観てもらって、ブッシュを助けることやこの戦争の意味について考えてもらえるとうれしいです。

スペインの記者 先日の列車爆破テロで、多国籍軍から抜けました。

ムーア ああ、スペインの人たちは『華氏911』観てどう思うんだろうね。きっとこう言うんだろうね。「ほれ、見ろ」「だからオレたちは抜けたんだ」「言わんこっちゃない」(笑)

スペインの記者 「華氏911」はアメリカのマスコミやジャーナリストに対して辛辣ですね。政府の言いなりで、ちゃんと仕事をしてないと。でも、アメリカでは「マスコミはリベラルすぎる」と保守派から批判されてきたじゃないですか。

ムーア いや。『華氏911』を観た観客の反応でいちばん多かったのは「テレビのニュースで観たことのない映像がいっぱいあった。どうして今までアメリカのマスコミはこれを隠してきたんだ?」という疑問だった。アメリカのマスコミはイラク戦争の被害者や傷ついたアメリカ兵を国民に見せないできたんだ。みんなブッシュ政権のチアリーダーになっちまった。政府関係者の記者会見でも誰一人として根本的な質問をぶつけようとしない。政府の発表をそのまま垂れ流すだけだ。でも、ここは自由主義社会だろ? どんな質問でも質問するだけなら罪にならないはずだ。それなのに戦争が始まる前に「で、イラクの大量破壊兵器ってのはどれですか? 証拠を見せてください」と問い詰めるジャーナリストは一人もいなかった。僕は子供の頃、ケネディ大統領が人工衛星から撮った写真をテレビで見せていたのを覚えてるよ。「これがキューバに設置されたソ連の核ミサイルです」って。今回はそういう証拠がなかったのに戦争始めていいのか? マスコミはツッコミ入れなくていいのか? だから僕は嫌がらせで、『華氏911』の中でイラク侵攻時にアメリカのあらゆるTVジャーナリストが「フリーダム作戦です」とか言ってブッシュの旗振りしてた映像を並べたんだ。お前らジャーナリストとしての批判精神はどこやった、ちゃんと仕事しろよ、恥を知れって。だからTVのアナウンサーたちはみんな『華氏911』に関する僕のインタビューで「あの部分は誇張ですよ」「これは観客の意識を操作する映画ですね」って攻撃してきたんだ。『華氏911』で恥をかかされたからだ。NBCのマット・ロウアーとかね。まあNBCは軍需産業GE(ジェネラル・エレクトリックス)の子会社だし、他のマスコミも多かれ少なかれコングロマリットの一部で、大資本と政府の味方だ。でも、すでに860人の若いアメリカ兵が死んでるんだ。アメリカのメディアが戦争の真実をちゃんと報道しないで戦争の応援ばかりしてたからだ。ちゃんとメディアが報道の責任を果たしてれば彼らのうちの何人かは戦争に行かなかったかもしれないし、死なないですんだかもしれないんだ。でも、マスコミの連中はそれを言われるのを嫌がってるんだよ。

アイルランドの記者 NYタイムズの社説読みましたか? アイルランドのTVレポーターのキャロル・コールマンについての記事です(6月末、アイルランドを訪れたブッシュ大統領にキャロル・コールマンは『この国の大多数はあなたが訪れたことを嫌がっていますが、どういう気持ちですか?』などズバズバとブッシュの問題点を問い詰め、ブッシュは憮然とした態度で応じた)。

ムーア ああ、キャロル・コールマンは英雄だ。アメリカのメディアには一人のキャロル・コールマンもいないんだ。聞きにくい質問を権力者にぶつける度胸のある奴が。

アイルランドの記者 そのコールマンを取り上げたNYタイムズの社説に「就任以来、ブッシュ大統領は記者と膝を突き合わせてのちゃんとしたインタビューに応じていない。少なくともNYタイムズは一度もしていない」と書いてあるんですが、アメリカでも最も権威があるはずのNYタイムズですらインタビューできないなんて、いったいどういう事態ですか。

ムーア NYタイムズに限らずアメリカでは中道から左のマスコミと人間はみんなみんなヘナチョコで弱虫で根性なしで度胸のないフヌケ野郎ばっかりだ。みんな「イイ人ぶって」ケンカしようとしないんだ。だから過激なことを言う差別主義や右翼や厚顔無恥で図々しい保守や金持ちに押し切られちゃうんだよ。なかでも根性無しのフヌケ野郎は民主党だ。だってこないだの大統領選でゴアはブッシュに得票数で勝ってたんだよ。実際に勝ってたのにブッシュの投票工作に抵抗せずに勝ちをゆずっちまったんだ。こんなに情けない話はないよ。まあ民主党にもちゃんと戦ってる人もいるにはいるが、大多数はヘナチョコで、ブッシュがイラクと戦争すると言い出しても「ああ、戦争か、いやだなあ。でもテロと戦わなきゃいけないからなあ」と賛成に投票しちゃう。「愛国法」が提出されても「こわい法律だなあ」と思いながら「でも逆らうと愛国者じゃないって言われちゃうからなあ」って賛成に投票しちゃう。ヘドが出るぜ! もうアメリカのリベラルにはヘドが出る! こんなことじゃ何も解決しない、世の中変わらないよ! ヘナチョコで弱虫で根性無しだから数で勝ってるのに右翼に押しの強さで負けちゃうんだよ! リベラルはアメリカの多数派だよ。だってアメリカはリバティの国なんだから。アンケートを取れば大多数が「中絶の権利」や「銃規制」を支持してるんだから。でもリベラルはみんな受動的なんだ。自分で国をリードしようとしない。法案を提出するのはいつも右翼どもだ。リベラルにリーダシップがいないんだ。リベラルに必要なのは度胸なんだよ!

アイルランドの記者 もうひとつ質問ですが、「『華氏911』はドキュメンタリーではなくてプロパガンダだ」という批判が出てますが、どうお考えですか?

ムーア もちろん、これはドキュメンタリー映画ですよ。だから「事実」として提出している部分は100パーセント事実です。そのために事実チェックのプロも雇ったし。もし事実でないと言うなら裁判でも何でもすればいい。ただ、僕は「事実」を提出した後、その「事実」を「事実」と僕なりのやり方で結びつける。「事実」を基にして、僕の「見解」と僕の「理論」を提出する。この映画は「事実を基にした僕の見解」なんだ。「見解」だから僕は信じてるけど、実は間違ってるかもしれない。でもどんな「見解」でも言うのは自由だ。映画や小説に作者のメッセージを込めるのは当たり前だろ。それを観て同意するかどうかは観客の自由だ。ディベートすればいいんだ。

オーストリアの記者 オーストリアでは『華氏911』の公開が延期になりましたが。オーストリアの人々に何かメッセージはありますか?

ムーア うーん。オーストリアには感謝するよ。カリフォルニアに州知事をくれて(笑)。あんな筋肉男はいなかったもんね。もしかしてシュワルツネッガーはアメリカの大統領になるかもね。それもいいよね。ドイツも昔、オーストリア人を国家元首にしたこともあったし(ヒットラーのこと)。

ブラジルの記者 『華氏911』はイラクに対するアメリカ政府とアメリカ企業の犯罪を描いていますが、イラク以外の国に対してアメリカがやっていることについて映画を作る計画はないのですか?

ムーア そういう計画はあります。まだ公式には発表できないけど。アメリカの大企業が現在、世界中の国に大きな影響を与えていることは僕の大きな関心事です。『華氏911』の映像素材は世界各国のカメラマンやジャーナリストから提供してもらったけれど、彼らには、ブラジルやケニアや世界のあちこちの街角で「アメリカのことをどう思うか?」というインタビューを撮ってもらった。みんな「アメリカ人やアメリカの文化は大好きだ」と言ってるよ。ブッシュは演説で「世界中がアメリカを嫌っている」と言ったけれど嫌われてるのはあんたとあんたの黒幕の大企業だけだよ。ブラジル政府にはブッシュの戦争に参加しないでくれたことに感謝します。ブッシュの圧力は大変だったと思うけど、よくぞそれに逆らって自国民の意思を尊重してくれました。

ポーランドの記者 レイ・ブラッドベリは自分のSF小説『華氏451』からタイトルを取ったことに怒っていると報道されましたが、それについてどうお考えですか?

ムーア 僕はブラッドベリのファンなんだけど、彼も少しは僕に感謝してくれてもいいんだけどな。『華氏451』は四十年前の小説だけど、急に売り上げが伸びてるんだから(7月上旬現在AMAZON.COMの売り上げランキング80位)。ブラッドベリが怒っているという報道はあちこちで見たけど、気になるのはマスコミで誰一人として以下のことを指摘しないってことだ。ブラッドベリの小説『何かが道をやってくる』のタイトルはシェイクスピアの『マクベス』の有名なセリフだ。『太陽の黄金の林檎』はイエーツの詩から、『よろこびの機械I Sing the Body Electric』はホイットマンの詩からの引用だ。なぜ世界のマスコミの誰一人として「でもブラッドベリ自身の小説のタイトルも他の作家からの引用だが」ってツッコミを入れないのか? みんな仕事してないね。

ポーランドの記者 「ブッシュを落選させろ」ということは民主党のジョン・ケリーを推薦する、ということですか? 彼は『華氏911』を観てますか?

ムーア ジョン・ケリーのことはわからない。彼とは一切接触していない。この『華氏911』はケリーに勝たせるための映画でもない。だって『華氏911』撮ったのはケリーが民主党の指名候補に決まるより先なんだから。はっきり言いたいのは、僕はケリーには絶対に投票しないということだ。ケリーはイラク戦争に賛成票を入れた。あの戦争に賛成した人間に僕は断じて投票しない。華氏911』は観客に対して誰に投票しろとは言っていない。僕はブッシュをホワイトハウスから引きずり出せと言ってるだけだ。

(記者席から声が飛ぶ) でも、それには具体的にはケリーを当選させるしかないでしょ!

ムーア あああああ、僕は二つのこといっぺんに考えられないんだ(笑)。

ドイツの記者 こんな批判がありますね。「ムーアはブッシュ叩きで大儲けしている」。

ムーア 最初から金儲けが僕の本当の目的さ! そう言って欲しいの?(笑) それは冗談として、おかしな話だよな。だって僕を叩いてた連中は去年の3月に僕がアカデミー授賞式で「恥を知れブッシュ!」と言ったとき「これでムーアもおしまいだ」って書いたんだぜ。「ムーアは自爆した。すぐに消えちゃうだろう」って。実際、その可能性は高かったんだ。あの頃、ブッシュの支持率はものすごく高かったから。『華氏911』は勝てる可能性のない賭けだったんだよ。

町山智浩 トモヒロ・マチヤマ、日本の雑誌の取材です。

ムーア ご来訪、感謝します。

町山 こちらこそ。

ムーア 日本人は礼儀を重んじるんだよね。だから君にも礼儀正しくし応じたのさ。どうよ?(笑)

町山 あのー、質問続けてもいいかな?(笑) 

ムーア あー、言って言って(笑)。

町山 アメリカでは『華氏911』公開への激しい妨害運動はまだ続いています。先日もワイオワやネブラスカに広がる映画館チェーンが『華氏911』の上映を拒否しました。その会社の社長はこう言っています。「この映画は敵に塩を贈るものです。アメリカは我われの生活を破壊し、我われを殺そうとする敵と戦争しているのです」彼女はイラクが911のテロをやったんだと信じているわけです。だから、あなたがいくら映画を作って訴えても無駄なんじゃないですか? だって大勢のアメリカ人がいまだに信じてるんですよ、ブッシュがデッチ上げた牛のクソを!

ムーア おいおい! せっかく日本人は礼儀を重んじるって言ったばかりなのに、汚い言葉使うなよ(笑)。まあ、彼の指摘したことは事実だ。他にもいくつかの映画館が『華氏911』の上映を拒否した。それは民主主義の理念に反する。すべての情報や意見は公開されるべきだ。それを見て国民それぞれが判断を下せばいい。そして、たしかにアメリカ人の4割がいまだにイラクが911のテロに関わってると信じている。でもさ、考えてみろよ。わずか一年前には、そう信じていたアメリカ人は7割もいたんだ。3割も落っこちたんだよ。だから望みを捨てないで欲しい。ベトナム戦争が間違ってると気づくまで戦争が始まってからアメリカは何年もかかったんだ。でも今回は十数ヶ月で気づいたんだ。事態は少しづつでも良くなってる。望みを捨てるな。

(日本の記者) アメリカの多数派はリベラルだというのは本当ですか?

ムーア 本当だよ。4年前の大統領選ではゴアのほうが得票数が多かったんだから、反ブッシュのほうが多数派なんだよ。僕は多数派なんだよ。でも、他の国の人たちはアメリカ人はブッシュの戦争なんかに加担して、みんな頭がおかしくなっちまったに違いないと思ってるだろうね。僕が世界の人に言いたいのは、僕は一人じゃないってこと。そしてまた、昔みたいにアメリカ人を好きになって欲しいってことだ。みんなアメリカ人好きだよね? チャーミングで、単純で。いや、いい意味でね(笑)。「ヘイ、ごきげんよう!」って愛想が良くて、楽観主義でね。「オレにはなんでもできる!」って。

(毎日新聞のアメリカ人記者) 『華氏911』はテロリストのオサマ・ビンラディンへの憎しみをビンラディン家とサウジアラビア王国そのものに拡大していませんか?

ムーア そうならないといいね。僕はサウジの人々には同情してるよ。あんな独裁国家、警察国家で暮らしてるんだからね。サウジの王族を「ロイヤル(王家)」って呼ぶのは嫌だね。だって連中は宮殿で優雅に紅茶飲んでるわけじゃないんだよ。独裁国家で民衆を弾圧してるんだ。何年か前の元旦、サウジは新年のお祝いに三人を公開斬首にした。ゲイだというだけの理由で。なんでそんな独裁国家とつるむんだ? 石油が欲しいからって。ガソリンをわんさか食うSUVに乗りたいからって。僕はサウジの民衆を憎んでないよ。そんな独裁体制に苦しめられてる人々には同情するし応援するよ。オサマは悪いけどビンラディン家には罪はないって? そうかね。9月11日のテロが起こったとき、僕はLAにいて、飛行機がすべて離陸を禁じられたせいで、自動車でアメリカ大陸を横断して何日もかけてNYの自宅に帰らなきゃならなかった。でも、もし僕の苗字がビンラディンだったらアメリカ政府から特別扱い受けることができたんだよ。当時アメリカにいた142人のサウジの金持ちはテロから9日以内に全員国外に逃げた。アメリカ政府の許可をもらって。そのうちたった30人がパスポートに関する簡単な質問を受けただけで、誰一人として身柄を押さえられたり厳しい尋問を受けたものはいない。親戚はオサマの情報を持ってたかもしれないのに。そのいっぽうで多くのアラブ系アメリカ人が肌の色や服装や名前のせいで警察やFBIからマークされ、取調べを受け、拘置されてるんだ。

ここに続きます。

http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040719