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映画評論家町山智浩アメリカ日記

町山智浩の映画解説リストです。
現在約800本の映画が50音順に整理され、解説へのリンクが貼られています。
お探しの映画解説はたいていここで見つかると思います。


週刊文春の連載「言霊USA」はオンラインで読めます。


町山智浩のWOWOW映画塾、YouTubeで観られます!

町山智浩の映画塾2(101〜200)

町山智浩の映画塾3(201〜)


TBSラジオ『たまむすび』に毎週火曜日午後3時から出演中です。


過去のたまむすび

「キラ☆キラ」はYouTubeに残ってます

ロフトプラスワンでタランティーノと公開飲み会(無修正)

2004-11-30 It’s no use to mention this now, but...

Now, I found that my article had been praised by New York Magazine's web long time ago.

http://thekicker.nymetro.com/archives/000078.html

It said "Every interview with Quentin Tarantino (or any celebrity, for that matter) should start like Tomohiro Machiyama's."

Wow, that's really flattering for me.


And Nicholas Rombes, who is an associate professor of English at the University of Detroit Mercy, quotes my line as a preface for his essay.

http://www.webdelsol.com/SolPix/sp-nickkillbill.htm

Cruising The Anime City: An Otaku Guide To Neo Tokyo

2004-11-24 ゴダールの「はなればなれに」

f:id:TomoMachi:20140801011314j:image:w550:left

 ゴダールの『はなればなれに』(64年)は、クエンティン・タランティーノの『パルプ・フィクション』に影響を与えたことで有名だ。ジョン・トラボルタユマ・サーマンがダンス大会に出場する場面を演出する時、タランティーノは俳優たちに『はなればなれに』のビデオを見せた。主演の三人組がカフェでジュークボックスから流れるジャズにあわせて当時流行していたマジソンというダンスを踊るシーンだ。

D

「これはミュージカルじゃないし、演じてる俳優もダンスの訓練を受けてないから、上手なダンスじゃない。でも本当に楽しそうに踊ってる感じがいいんだよ」とタランティーノは言う。彼は自分の会社にまで『はなればなれに』の英語題名からバンド・アパート・プロダクションと名づけている。ちなみにBand Apartとは「はなればなれに」ではなく「はぐれ者集団」という意味なので、DVDの題名はBand of Outsidersになっている。

 『はなればなれに』を観ると『パルプ・フィクション』が受けた影響は単にダンスだけではないことがわかる。まず映画は自動車に乗ったフランツ(サミー・フレイ)とアルチュール(クロード・ブラッスール)のとりとめもない会話から始まる。これは『パルプ・フィクション』でトラボルタとサミュエル・L・ジャクソン扮する殺し屋コンビがヨタ話をしながら車を運転する導入部を思わせる。

 そして『はなればなれに』の二人は英語学校で知り合った美少女オディール(アンナ・カリーナ)の叔母が隠している大金を盗む計画を立てる。このプロットはドロレス・ヒッチェンズというアメリカの女流作家が書いた『愚者の黄金Fool's Gold』という小説を基にしている。ヒッチェンズは1930年代から50年代にアメリカで大量に出版された、三文犯罪小説の作家の一人だった。男女の痴情のもつれと犯罪をテーマにした三面記事的な大衆小説で、安っぽい紙に印刷されたパルプ雑誌に掲載され、安っぽいペーパーバックで出版されたので「パルプ・フィクション」とも呼ばれた。しかしその安物小説から、文学界では「ハードボイルド」という潮流が生まれ、映画界では「フィルム・ノワール」というジャンルが生まれた。

 パルプ・フィクションはGIのポケットに詰め込まれて第二次大戦後のヨーロッパに運ばれた。それは古本屋に流れ、英語を学ぶ若者たちに読まれた。ゴダールもそんな若者の一人だった。彼はハリウッドのフィルム・ノワールを独自のやり方で模倣することで奇妙な映画を生み出していった。それが『勝手にしやがれ』であり『メイドin USA』であり『はなればなれに』だった。たとえば『はなればなれに』でゴダールはヨーロッパ文学の引用を散りばめる。主人公フランツの名前は作家フランツ・カフカ、アルチュールは詩人アルチュール・ランボー、それにオディールがレーモン・クノーの自伝的小説『オディール』のヒロインの名だ。

 しかし、この『はなればなれに』の魅力はなんといっても無意味で子供じみた遊びの数々だ。フランツとアルチュールは西部劇ごっこをして、ビリー・ザ・キッド役のアルチュールが抜群の死にっぷりを見せる(これはラストに現実になる)。アルチュールはオディールとチャップリンの『黄金狂時代』で有名な「コッペパンのダンス」のマネをしてふざける。フランツはアメリカ製アニメ『ルーピー』の話をする。オディールは冷蔵庫の肉をサーカスの虎にあげるシーンはクロード・シャブロル監督が当時製作していたアクション映画『虎は新鮮な肉を好む』へのあてつけ。そして三人はルーブル美術館の中を全速力で駆け抜ける記録を作ろうとし、「話すことがないなら黙ろう」と言うと映画の音声が完全に消えてしまう!

 凡庸なパルプ・フィクションを古今東西の映画の自由奔放な「ごっこ遊び」で解体する、それはタランティーノが『パルプ・フィクション』でやったことと同じだ。『はなればなれに』は『パルプ・フィクション』の生みの親と言って間違いない。なにしろゴダール自身による「これで、私のパルプ・フィクションのようなお話は終わる」というナレーションで幕を閉じるのだから。

 ちなみにエンドマーク寸前にゴダールは「次回作はシネマスコープとテクニカラーによるオディールとフランツのトロピカルな冒険になる」と予告しているが、これは『気狂いピエロ』として実現する。

2004-11-20 飛び越される州の逆襲

TomoMachi2004-11-20

右はPaul Conradの新聞マンガ。

真っ赤なアメリカに「赤字」と書いてあって、その下にはこんなコメント。

「オッケー、じゃあ赤い州(ブッシュに投票した州)にこの財政赤字を払ってもらおうじゃないか」


金持ちと大企業優遇の減税と戦争でアメリカが抱えた巨大な赤字に赤い州が無関心なのはなぜだろう? 

赤い州はもともと税金を払う額よりも受ける額のほうが大きい。赤字を払うなど最初っから赤い州にはできない相談なのだ。


 経済誌『フォーチュン』にマット・ミラーは「赤い州は青い州の施しを受けている」と書いた。http://www.fortune.com/fortune/careers/articles/0,15114,781000,00.html?cnn=yes


 青い州、つまりケリーが勝った東部、五大湖地方、西海岸は、アメリカの産業、経済、文化、それに人口が集中しているので(ペンシルヴェニアを除いて)莫大な連邦税を納めている。91年から2001年にかけてニューヨーク州、およびシカゴのあるイリノイ州が国に払った税金から、国から受け取った福祉や援助金を差し引いた額はそれぞれ2500億ドルに及ぶ。要するに青い州が国税を払う額は受ける額よりも莫大に大きい。

 

 逆に、赤い州、つまりブッシュが勝った南部や西部は(テキサスを除いて)貧しく、人口が少ないので、国から受けた恩恵から払った税金を引いた合計額は1兆ドルを超える。赤い州は税金を払う額よりも、受ける額のほうが莫大に大きい。


 マット・ミラーは、経済的には赤い州は青い州の施しを受けて生きているが、政治的には赤い州が青い州を支配しているという。赤い州が選んだ候補が大統領になり、州の数が多いので議会での議席数も多い。赤い州が国の財政や戦争をコントロールし、その結果増えた莫大な赤字を、青い州が負担させられる。

 しかも、選挙人制度のため、赤い州のほうが一票が「重い」。たとえば人口のまばらなワイオミングの農民のほうが、ロサンジェルスのビジネスマンより四倍も票が重い。


 マット・ミラーは言葉に気をつけているが、要するにアメリカは内部に第三世界を抱え込んでいる。赤い州は牧畜や穀物農業というアメリカの食卓を支えており、赤い州の賃金や年収が安く抑えられていることで、青い州は安く食料を供給されている。この経済的上下関係は国政において逆転する。


 赤い州はFlyover Territoryと呼ばれることもある。NYや西海岸やシカゴに住むビジネスマンたちはアメリカ大陸を飛び回るが、この赤い州の上は飛行機で飛び越すだけでめったに足を踏み入れないからだ。経済や文化をリードする人々たちは、普段、赤い州のことを忘れている。しかし、選挙になると、赤い州の人々の数の多さを思い知らされることになるわけだ。

2004-11-19 Jocks Vs. Geeks

TomoMachi2004-11-19

右は、NYのタウン誌Village Voiceに掲載されたRuben Bollingのマンガ。

ブッシュ再選の朝のNYや西海岸の人々の気持ちを表している。

メガネをかけたひ弱そうな男が鏡を見ると、そこにはクルーカットの逞しい男が「オレのSUVはイラクの石油が好き」と書いたTシャツを着て笑っている。「鯨を踏み潰せ」とか「人殺しは銃ではなく中絶医だ」などのスローガンと共に南部連合の旗。

都会の人間は、今まで気がつかなかったが、「アメリカ人」とは、多数決でいえば、こういう人間だったのだ、という話である。


田舎と都会、保守とリベラルの対立は「レトロ対メトロ」などと言われている。

http://www.retrovsmetro.org/

コラムニストで漫画家のTed Rallは選挙前にJOCKS VS. GEEKS という面白いエッセイを書いている。

http://www.uexpress.com/printable/print.html?uc_full_date=20041012&uc_comic=ru

「アメリカにはJocks(体育会系)とGeeks(オタク系)という二つの種族がいる」と言う彼は、高校時代になぞらえて、二つの種族を説明する。

Jocksは、「陽気で、ペップラリー(フットボールなどの対抗試合の前に全校生徒を体育館に呼んで開かれる応援の予行演習)と聞くと目を輝かせて体育館に駆け込み、応援歌を叫ぶ」。

Geeksは、「陰気で、黒いTシャツを着て、ペップラリーになると、うんざりしたようなため息をついて、タバコを吸いながら隠れる場所を探す」

この二組の対立は「体制派vs反体制、外向vs内向」で、Jocksはトップ40のヒット・ポップしか聴かないが、Geeksはマニアックな通好みバンドが好き。そして「体育会系は大人になると共和党に投票し、Dork(運痴)は民主党寄りになる」

 実際、インターネットの保守系BBSではリベラルの書き込みに対してよく『お前、学校でイジメられっ子だったろ』という書き込みがつく、という。

「もちろん、JocksがGeeksと結婚したり、職場で一緒に働いたり、友達になることだってあるだろう。しかし、両者は根本的な世界観を分かち合うことは決してないのだ」

 

Ted Rallの書き方だと2分割しすぎなので、別の喩えを使おう。ドラえもんだ。

まず、のび太は、都会に住むひ弱なリベラル系アメリカ人。

ジャイアンは今回ブッシュに投票したような南部や西部の素朴な人々。

すると、共和党は金持ちで悪知恵が働くスネ夫で、

しずかちゃんは両者の間で揺れ動く「サッカーママ」とか「セキュリティママ」と呼ばれる生活保守浮動層主婦か?

じゃあ、のび太を助けるドラえもんは?

民主党もマイケル・ムーアドラえもんになれなかったのが問題なのだろう。

2004-11-18 共和党のバービー人形アン・コールター

TomoMachi2004-11-18

本日発売の月刊「サイゾー」の連載には、「共和党のバービー人形」と呼ばれ、本当に人形まで発売されている(写真)保守コラムニスト、アン・コールターのことを書いてます。


 日本でも翻訳されたコールターの『リベラルたちの背信』を読んで彼女をまともな保守系論客だと思ってる人たちに教えたいコールターのバカ発言を集めています。

 たとえば、イスラムと日本について、このバカ女はこんなことを言っているのだ。


「我々はやつらの国に攻め込んで、イスラム教徒を皆殺しにし、残りをキリスト教に改宗させなければならないのよ。

 我々は第二次大戦ではヒットラーとその閣僚だけを懲らしめるのではなく、ドイツ全土を絨毯爆撃して一般市民を殺した。それが戦争ってものよ。今回も戦争なの。だからやるしかないの。

 日本を爆撃して、原爆を落として、いっぱい殺したら日本人は羊みたいに従順になったわ」


 日本の保守論客は勢い余ってアメリカの保守主義まで見習おうとすることが多いが、ブキャナンにしてもハンチントンにしても、その根底にあるのはアングロ・プロテスタント至上主義だってことを忘れないように。


 このバカ女はこんなことも言っている。

「女性に参政権なんて与えるべきじゃなかった。そんなことするから民主党が勝ったりするのよ」

 タリバンみたいな女性差別社会が好きなのか?

2004-11-15

TomoMachi2004-11-15

 やはりピュリッツァー賞を受賞したパット・オリファントの新聞マンガ。


 星の部分がキリスト教の十字架になった星条旗が描かれたTシャツを着た「ブッシュ投票者」がカウボーイ・ハットをかぶったブッシュの後をついて行く。

 「ブッシュ投票者」の体は筋肉モリモリだが、脳味噌も目も耳もない。

 まわりにはこんな言葉が書かれている。


「ブッシュは環境破壊を続けている。

 失業者も増やしている。

 国家社会保障(失業や老齢、傷害保険)を民営化しようとしている。

 この国をバラバラにしようとしている。

 愛国法で国民を監視している。

 我々を戦場に送っている。

 デベートでは三回とも負けた。

 製薬会社とつるんで薬の値段を上げた。

 でも、そんなこと気にしない、

 彼はこの国のリーダーだ!」


彼がブッシュに導かれて、ずんずん突き進むその先は断崖絶壁になっている。


今日、テレビで、ファルージャでアメリカ兵が、負傷して床に倒れて動けない丸腰のイラク人を射殺する映像が放送された。

こんなことがあと4年も続くんだ。

2004-11-14 アンクル・サムも恥じている

TomoMachi2004-11-14

ピュリッツアー賞受賞カートゥニスト(新聞時事マンガ家)ポール・コナードの作品。

アメリカという国家の象徴アンクル・サムが言う。

「ブッシュが大統領になったのは、私の不徳の致すところ

 でも、それを再選するなんて、お前ら、恥を知れ!」


もちろんブッシュがスピーチで言おうとして言い損なった「私を騙す者は恥を知れ。でも二度騙されるなら私の恥だ」が元ネタ。

2004-11-13 新刊「USAカニバケツ」

TomoMachi2004-11-13

というわけで、12月8日頃、太田出版から新しい単行本が出ます。

タイトルは月刊サイゾーの連載と同じ『USAカニバケツ』で、

内容は「サイゾー」を中心に、「Sportiva」や「TVブロス」などの連載に「エスクアイヤ」や「文藝春秋」などに書いた単発原稿を加えた、コラム100本!


テーマは「犯罪、芸能、スポーツ、TVからアメリカを見る」といった感じですが、

下の目次を見るとわかるようにムチャクチャです。


トレイラー・タウンの魔女狩り/自分の両足切断をネット中継/「ウィノナ・ライダーを無罪に!」Tシャツでも儲けた男/『17歳』の人情作家ボブ・グリーンが18歳女子高生とスキャンダル/ホームレス老人バトルロワイヤル・ビデオ/『ファイト・クラブ』原作者パラニュークの呪われた血/ジークフリート&ロイ「神々の黄昏」/「あなたのオッパイ見せてください」ビデオ長者逮捕/「バッド・ガール」十代美少女作家の作り方/右翼のバービー人形アン・コールターを黙らせろ/プロレス界の帝王WWFがNFLに無謀な挑戦/NASCARは密造酒から生まれた/バスケの「将軍」は放送禁止用語だらけ/バリー・ボンズのホームランボール裁判/折れないゴールポストを開発せよ/NFLロッカールームでカムアウトできる日/ダラス・カウボーイズに10ドル近づいたわ!/CMも精子も売るスポーツ・エージェント/カリスマ・スケーターGATORのレイプ殺人/『ロッキー』のモデル、チャック・ウェプナーの人生は映画より奇なり/金髪美女キッカーの処女を犯した名門アメフト部/現役レスラー65人連続死の真相!/NHL暴行事件に見るホッケー凋落/インドア・フットボールが取り戻したもの/ドッジボールはイジメの温床か?/「120キロのシンデレラ」がシューズを脱いだ日/身長231センチの競馬ジョッキー出現/『ゾンビ』とウォーホルは同郷だった/マーク・トゥエインがルポしたチャイナタウン少女奴隷市場/「テキサスの黄色いバラ」は建国の女神だった/ポートランドの地下シャンハイ・トンネルの伝説/NY市庁舎銃撃と飛び降り自殺に遭遇/ハードコアポルノの創始者兄弟の殺し合い/メグ・ライアンの姉が破産/ジェームズ・ボンドの秘密兵器は火吹きだった/一通10万円でどんな処方箋も書くハリウッド・ドクター/ダリル・ハンナは対人恐怖症/「セックス&ザ・シティ」は「ラブ&ザ・シティ」ではない/ミミズ・カクテルにネズミ風呂でアメリカ版「ザ・ガマン」/殺人犯の尋問ビデオを毎週放送!/車椅子チキンラン、さあ、張った張った!/62歳年上の大富豪と結婚した豊胸ストリッパー/脚本料1万5千円から百万ドルへ百倍アップ!/エマニエル坊やとMCハマーの同棲生活/『ビバヒル』の落ちこぼれ娘が女野呂圭介に/ママが裸でアニメでやってくる!/アイドル馬鹿ップルの新婚生活を生中継/ベンちゃん絶叫「ベニファーって呼ぶなー!」/マフィアのお嬢様、子育て奮闘記/ドナルド・トランプの髪の生え際をジロジロ見る奴はクビだ!/二十三年間に三千人の女性とセックスした(毎日三人)チビ・デブ・ハゲ/ミステリーサークルに魅せられた天皇の寿司シェフ/ローマ法王に賛美歌を捧げた日本人ハードコアポルノ女優/などなど……。


本屋さんに注文してね!

表紙もできました。

イラストは金子ナンペイさん。

2004-11-09 福音派ロックとファルージャ総攻撃

TomoMachi2004-11-09

CCM(コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック)の話の続き。

クリスチャン向けアイドル、

クリスチャン向けヘビメタ、

クリスチャン向けハードコアパンク、

クリスチャン向けスカ、

クリスチャン向けデスメタル、

クリスチャン向けテクノ、

クリスチャン向けギャングスタ・ラップなど、

あらゆる音楽ジャンルの福音派版があり、大きな市場、インダストリーを形成している。

たとえばコロラドのCDショップでは、クラシック売り場と同じくらいの面積をCCMの売り場が占めていた。



クリスチャン・ロックといえば、日本でもストライパーがおなじみ。ヘビメタでキリストの教えを歌う「ホワイト・メタル」と呼ばれていた。

もともとクリスチャン向け音楽は毒にも薬ににもならない健康ポップスが主流だった。ジェシカ・シンプソンやシックスペンス・ノン・ザ・リッチャーはそこからのクロスオーバー組。

しかし、それでは若者がセックスやドラッグやバイオレンスや悪魔を歌う恐ろしい流行歌(要するに一般のロック)に魅了されるのを防げないので、その手の音楽のクリスチャン版が生まれていった。

そうして、福音派メタリカや、福音派グリーンデイ、福音派エミネム、福音派デスチャなどが生まれた。

福音派ハードコアは、クライスト・コアと呼ぶのだが、ミュージシャンはモヒカンやタトゥーやピアスでバリバリで、客もライブでポゴにモッシュにダイビングにヘッドバンギングで狂乱し、それだけ見てると普通のメタルやハードコアのライブと変わらないが、よく見るとタトゥーは十字架やマリア様などすべて聖書に関係するものだし、歌詞もすべて信仰についてのものだ。

どんな音楽かはまあ実際に聴いてもらったほうが早い。


クライスト・コアのバンド、アンレスト(写真)の「ワイドスプレッド」という歌。

この曲そのものはめっちゃカッコいいのでクセになって何度も聴きまくってる。

http://dw.com.com/redir?&destUrl=http%3A%2F%2Fmusic-files.download.com%2Fmp3%2F100335319%2F100340522%2F%2FPublic_Unrest-Widespread.mp3&edId=3&siteId=32&oId=3600-8434_32-100335246&ontId=8434&lop=link&tag=link&ltype=dl_192k&astId=2&pid=100335319&mfgId=100335246&merId=100335246

でも歌詞はこんな感じ

「使命だ、使命だ、俺たちは神の使命を帯びている

俺たちはこんなに遠くまでやってきた。

信じられないが、ここまで来たんだ

 そして今、俺たちは暗い汚れた世界に囲まれている

でも、イエス様は我とあり

俺たちは決して挫けない。

GO!

We are on the mission! We are on the mission!

スプリングスティーンやボンジョビやREMたちロック・ミュージシャンは、反ブッシュライブ・ツアーVote For Change(変革のために投票せよ)でオハイオ他接戦州を回り、若者たちにケリーへの投票を呼びかけていた。しかし、実は同じ地域を、クリスチャン・ロックの大物バンドたちもRedeem the Vote(投票で贖罪せよ)というライブ・ツアーで回っていたのだ。

http://www.redeemthevote.com/meet_the_artists.html

参加したバンドはクライスト・メタルのジョナ33など約30バンド。後援はもちろん共和党の御用テレビ局FOXニューズ・チャンネルだ。

18歳から33歳までの福音派は全米2500万人もいるという。その票を掘り起こしてブッシュに投票させるのが目的だが、カソリック原理派のメル・ギブソン監督の『パッション』でキリストを演じたジム・カヴィーゼル(カソリック)もこのキャンペーンに参加し、カソリックやユダヤ教徒に対しても「宗教的価値観を守るためブッシュに投票しよう」と呼びかけた。

このイベントが成果を上げたのか、接戦州では民主党の若年層動員に拮抗する数の若年層がブッシュに投票した。


アメリカは信仰によって母国で差別された人々が宗教の自由を求めて築いた国だ。

だから、信仰の自由と政教分離こそが最も大事な理念なのだ。

その自由さによって、ユダヤ人からアジア、そしてイスラム教徒まで、あらゆる信条の者を受け入れ、その混合によって映画やロックをはじめとする「アメリカ文化」を生み出してきた。

多くの外国人をアメリカが惹きつけて来た最大の魅力はその自由な文化であり、筆者もそれを愛してアメリカに移住したのだ。


ところが、そうではなくなりつつある。

ブッシュ大統領と彼を後押しするキリスト教福音派はOne Nation under Godと公言して一神教とナショナリズムを結び付けている。

これは、アメリカ建国の理念と合衆国憲法に反した「政教一致」である。


多いとはいえ、人口の半分かそれ以下しかいない福音派に支えられた大統領が、それ以外のアメリカ人をも支配してしまうのは問題だが、

それ以上に困るのは、

そんな大統領が、アメリカだけでなく、世界一の軍事力を持ち、世界の運命を握っているという点だ。日本も当然それに巻き込まれている。


原理主義者はアルマゲドンによる世界の破滅を信じており、コアな信者はそれを待ち望んでいる。それによってレーガン時代に核戦争の危機が訪れたことは有名だが、今も中東政策にはブッシュの支持基盤である原理主義者の意向は当然反映されている。ブッシュによる莫大なイスラエル支援が中東戦争をアルマゲドン化させようと望む原理主義の意向と関係しているのもよく伝えられている。

先日の大統領選挙でブッシュの対テロ戦争を支持した国民が多かったのも、純粋な安全保障の問題だけでなく、宗教的ニュアンスもあることに注意すべきだろう。調査を見ると、イラク戦争支持者は熱心なキリスト教徒に多い。

実はテロ以来、福音派の説教師たちは、イスラム教徒をTVなどで堂々と悪の帝国と呼んで悪魔視し続けてきたのである。ブッシュはイラクをEvilと呼んだが、その言葉にはキリスト教原理主義的なニュアンスが強くあるのだ。冷戦時代のソ連に代わる宗教上の敵、文字通りの異教徒を見つけたのだろう。この対テロ戦争は、キリスト教原理派にとっては対イスラム原理派戦争という側面も持っているのだ。

キリスト教原理主義のコラムニスト、アン・コールターは「(対テロ戦争の最終目標は)イスラム教徒を殺し、残った者をキリスト教に改宗させること」とはっきり言っている。

Evangelical は福音派と訳されるが、特定の宗派名ではなく本来は「聖書(福音書)の教えに忠実に従おうとする信仰のあり方」なので、「あなたはEvangelicalですか?」と聞かれるとアメリカ人の半数近くがイエスと答えるという。しかしその大半は穏健な中道保守の人々で、狂信的でもなんでもない、普通の音楽も聴いている普通の人々だ。

しかし、今回の選挙ではブッシュのブレイン、カール・ローブとハードコアな原理主義者が「ゲイ結婚にイエスかノーか?」「イスラム教テロにイエスかノーか?」と二者択一を彼らに突きつけたため、ブッシュに投票せざるを得なかった。実際はケリーはゲイ結婚は州に任せるという立場だし、イラク戦争には反対だがテロとの戦いを否定していない。しかし、それを共和党は「ケリーはゲイの味方」「ケリーはテロ戦争に反対」と歪曲して宣伝した。で、国民は右か左か二つに一つと選ばされて、カソリック右派やユダヤ教保守派などと一緒に右側に囲い込まれてしまったというわけだ。

 

昨日、アメリカはファルージャを総攻撃した。

その前日、ファルージャ突入に備えた海兵隊をルポしたフランスのAFPがこんなニュースを伝えている。

http://www.commondreams.org/headlines04/1107-02.htm


聖戦/蛮族との戦いに備える福音派海兵隊たち

ファルージャ近くに集結したアメリカ軍において、イラク侵攻以来最大の戦いになる戦闘に備えて、35人の海兵隊員がクリスチャン・ロックに熱狂しながら、イエス・キリストに祈りを捧げていた。神の加護を求めて」


「使命だ、使命だ、俺たちは神の使命を帯びている

俺たちはこんなに遠くまでやってきた。

信じられないが、ここまで来たんだ

 そして今、俺たちは暗い汚れた世界に囲まれている

でも、イエス様は我とあり

俺たちは決して挫けない。

GO!」


そして今日、NPR(公共ラジオ)でファルージャ攻撃の実況をしていたのだが、兵士たちは、戦闘車に取り付けられたスピーカーから大音響で鳴り続けるハードコアなロックにアドレナリンをかき立てられながら突撃していったという。

その音楽はラジオからも聴こえたが、クリスチャン・ロックなのか、誰の曲なのかわからなかった。


35年前、数多くのロック・ミュージシャンがベトナム戦争に反対したが戦争を止められなかった。

今年、再びロック・ミュージシャンたちがイラク戦争に反対したがまたしても敗北した。

そして今日、ロックをBGMに総攻撃が行われている。

2004-11-08 福音派サブカルチャーその2

TomoMachi2004-11-08

「トータリー・クリスチャン・ニンジャ・モンキーズ」というクリスチャン・マンガ。

「クン・フー」ではなくて「クライスト・フー」という拳法を使う。

これはパロディではなくて大マジなのだ。

2004-11-07 福音派サブカルチャーその1

TomoMachi2004-11-07

10月15日、週刊プレイボーイ編集部の長谷川さんから原稿依頼のメールが来た。

「アメリカ大統領選直前レポート! ブッシュ落選がハッキリ見えた!」というタイトルで、ブッシュは負けるだろうという原稿を書いてくれというのだ。その前の週までオイラが「ロッカーも俳優も学生もみんな反ブッシュ!」という記事を書いていたのだから彼がそう思ったのも当然だ。しかし……。

オイラはすぐに返事を書いた。

「本当に残念ですが、ブッシュは勝つ可能性が高いです。その理由を書かせてください」

そして翌週の週プレ(井上和香が表紙の号)に掲載されたのが「それでもケリーが勝てないこれだけの理由」という4ページの記事だ。


内容はこの日記の10月27日から6回にわたって掲載した「ブッシュが勝つかもしれない理由」とほとんど同じで、要点は以下の三つ。

1「勝敗を決する接戦州の中西部のブルーカラーを宗教や党派よりも強く動かすのは東部のインテリや西海岸の芸能人への反感だ」

2「ブッシュの支持基盤は国民の4割に達するというキリスト教福音派で、政策と無関係にゲイ結婚や中絶に反対しているブッシュに投票する」

3「たとえブッシュが得票数が少なくても下院や最高裁の決議、もしくは不正によって、どう転んでもブッシュが勝つようになっている」

 この予測は残念ながら的中した。


しかし、なぜ、急にそんなことを言い出したのか言っておこう。

まず一番大きなのは『チーム・アメリカ』を観て、ノンポリを自称するコロラド出身の若者の、政治的なハリウッド・スターに対する「理屈を超えた生理的な」反感を見せつけられたからだ。それは日記にも書いたとおり。

そして、2の福音派キリスト教徒の力を急に思い出したのは、たまたま、12月に太田出版から出る単行本のゲラを読んでいたからだ。三年前に自分がTVブロスに書いた「バイブルマン」についてのエッセイを読み直したのである。


「バイブルマン」は、早い話、クリスチャンの子供のための特撮変身ヒーローだ。

バイブルマンの武器はキックやミサイルではなく、聖書だ。たとえば悪の貴公子プリンス・オブ・プライドの「エゴ肥大光線」を浴びた人々がみんな自身満々で嫌な奴になってしまうと、バイブルマンが登場して聖書を取り出して引用する。「自分の口で自分を誉めるな――箴言27章2節」

ドラッグの売人には「つまづきとなるもの、妨げとなるものを兄弟の前に置くなかれ――ローマ信徒への手紙14章13節」と言い聞かせる。

 そのバイブルマンも、悪役シャドウ・オブ・ダウトに聖書の矛盾点を突っ込まれて進行が揺らいでしまう。でも、バイブルマンは「無意味な不平を漏らすな。ひそかなつぶやきもただでは済まされぬ――知恵の書1章11節」の言葉に目覚めて信仰を取り戻す。

この『バイブルマン』は福音派向けのケーブルTVなどで放送され(筆者は「700クラブ」という福音派向けバラエティ番組の中で初めて見た)、『パワーレンジャー』など子供に見せたくないと思う親たちに大好評で、ビデオも売れてるし、バイブルマン・ショーはいつも満員らしい。


実はこういう特撮変身ものだけでなく、ありとあらゆる大衆文化に、そのクリスチャン版がある。クリスチャン専門ニュース・チャンネル、クリスチャン・アニメ、クリスチャン・コメディ(漫談)、クリスチャンTVゲーム、クリスチャン・アクション映画、クリスチャン・コミック(マンガ)、クリスチャン出逢い系サイト、クリスチャン・ポルノまであるんだ!

アメリカの福音派は現代の大衆文化を汚れたものとして拒否する。しかし、その代わり、まったく同じもののクリスチャン版を作り、それが一つの巨大産業になっている。それは福音派がいかに強大な勢力であるかを証明している。


なかでも層の厚さに驚かされるのがCCM(コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック)である。そこには福音派向けアイドル、福音派向けヘビメタ、福音派向けハードコアパンク、福音派向けスカ、福音派向けデスメタル、福音派向けテクノ、福音派向けギャングスタ・ラップなど、あらゆる音楽ジャンルの福音派版があるのだ(続く)。

2004-11-06 はてなからクレームがきた

こんなクレームが着ました。


はてなスタッフの田中と申します。

平素より弊社サービスをご利用いただきまして、ありがとうございます。


id:TomoMachi様にご利用いただいているはてなダイアリーの2004年10月30日付の日記http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20041030につきま

して、

「死体写真が掲載されており、嫌悪感を感じる」とのご意見が弊社まで参りました。


弊社では、公序良俗に反する書き込みや画像のアップロードは、利用規約(6)禁止事

項の第1項にて禁止させていただいております。

当該画像には一見して人体が激しく傷ついていると判別できるものが掲載されており

ます。

お手数をお掛けして恐縮ですが、当該画像を削除いただけないでしょうか。


そこで以下のような返信をしました。


田中様


あの写真はイラク戦争での戦死者の写真であり、イラク戦争とそれを起こしている人々への嫌悪感を感じてもらうために掲載しました。

いたずらに「公序良俗に反する」ためのものではありません。

「公序良俗に反している」のは、イラク戦争そのものです。

現実に起こっている悲惨な事実を隠すことには疑問を感じます。

「日記見たけど、死体の写真が気持ち悪いから、消すよう言ってください」と言いつけた奴は甘ったれた大バカです。

嫌なら見なければいい、それだけです。

昔、桃井かおりのCMで「最近、バカが多くて疲れるのよね」と言うセリフが不快だとクレームかけて放送を中止させて自らをバカだと表明したバカどもと同じくらいバカです。


と、言いたいことをいいましたので、一両日中に他の写真に取り替えるつもりです。

ご迷惑おかけしました。


町山

2004-11-05 マイケル・ムーア敗戦の辞

TomoMachi2004-11-05

開票後、ムーアの公式サイトhttp://www.michaelmoore.com/

イラクで死んだ兵士の顔で描かれたブッシュの顔をトップに掲げ、

ムーアが「開票後、まず思ったこと」と題して、兵士の名前を列挙し、

「いつの日か彼らが僕らを許してくれることを願う」

とだけ書いていた。


しかし、ついさっき、彼の手紙が上がったのでざっと日本語にしてみた。

(以下の文章はムーアの手紙であって筆者の考えではありません。念のため)


親愛なる友人たちへ


ああ、最低だよ。まったくひどいもんだ。でも、世をはかなむのはちょっと待ってくれ。

モンティ・パイソンの歌にもあるじゃないか。「いつだって人生、前向きに」って。

火曜日の選挙についていくつかいい話を聞かせよう。


手首を切るのを思いとどまる17の理由


1. 法律ではブッシュはもう大統領に立候補できないんだぜ。


2. ブッシュは現職大統領としては、1916年のウィルソン以来の辛勝だったんだ。


3. 投票者を年齢層ごとに分けると、ケリーに投票した者が過半数を占めるのはヤングアダルト層だけだった(若年投票者のうちケリーに入れたのは54%。ブッシュは44%)。パパやママの言うことはいつだって間違ってるから、聞く必要ないってことの証明だね。


4. ブッシュはたしかに勝ったけど、調査によれば過半数のアメリカ人はアメリカは間違った方向に進んでいると思っている(56%)し、イラク戦争は戦う意義がないとも思っている(51%)。それに、ブッシュの仕事ぶりに満足してない人は52%もいるんだ(外国人は『じゃあ、なんでブッシュが勝ったんだ?』と戸惑うだろうけど、これがあんたらには理解できないアメリカ的なところさ。アメリカ人がポップ・タルトみたいな菓子が好きなのと同じでね)。


5. 上院では共和党は過半数とはいえ60議席に達しなかったからフィルバスター戦術はまだ有効だ。民主党がちゃんと戦えば、ブッシュは最高裁判事を右翼だけで固めることはできないだろう。「民主党がちゃんと戦えば」? ふむ。これは無理かもしれないな。


6. ミシガンではケリーが勝った! 我らの民主主義発祥の地、北東部の州も! 五大湖8州のうち6州も民主党が取った。それに西海岸は全部! おまけにハワイもね。オッケー、勝負はこれからだ。水際はほとんどこっちが制した。ブロードウェイのあるニューヨークも、セント・ヘレン火山も。奴らから水を取り上げて、溶岩攻めにしてやれ。ミュージカルだってもう見せてやるもんか!


7. やっぱりオハイオ野郎はバカタレだったな。ただのバカじゃない、ムカつくほどバカ野郎だ。このバカどものせいでブッシュが勝っちまった。今度の土曜日のミシガンとの試合じゃ吠え面かかせてやるぜ。


8. ブッシュに投票した88% は白人だった。でも、白人が多数派でいられるのもせいぜいあと50年さ。いや、50年っていってもそれほど先じゃないぜ。君が10歳なら、黄金の60代は本当に黄金の時代になるさ。幸せな老後が過ごせるはずだよ。


9. ゲイの皆さんは、火曜日に大統領選挙と同時に行われた各州の投票の結果、11の州で結婚が禁じられた。ありがたい。今のところ、結婚のお祝いを心配する必要なくなった。


10. 下院に5人の黒人議員が増えた。ジョージア州のシンシア・マッキニーも帰ってきた。黒人議員は多ければ多いほどいい。白人議員より熱心に貧しい民衆のために戦ってくれるから。


11. コロラド州ではクアーズ・ビールのCEOが上院議員に落選した。乾杯!


12. 正直言うと、ブッシュ・ガールズにはもうちょっといて欲しかったよな?


13. 州の立法府では、民主党が多数派となった議会が少なくとも三つ増えた。選挙前、合計98の立法府のうち民主党が多数派なのは44、共和党は53だった(残り一つは同数)が、これで民主党47の共和党49になった(一つは同数。一つは現在未定)。


14. ブッシュはもう任期を消化するだけになった。この選挙は彼にとって人生の頂点だろう。あとは下り坂だ……。大変な仕事がブッシュを待っているけど、真面目にやる気ないだろうな。今のブッシュは受験が終わった高校三年生みたいなもんだ。やっと終わった!パーティだ! たぶんブッシュは残りの4年間を永遠の金曜日みたいに過ごすだろう。ケネバンクポートの牧場でね。いいじゃないか。あいつはもう再選を果たして、一期で消えた親父の雪辱を果たして、僕らに一矢報いたんだから。


15. でも、ブッシュは本性を出してアメリカを暗黒に導くことだろう。起こるといいなと思うのは、次の二つのどちらかのシナリオだ。

A) 選挙に勝った以上、もうキリスト教右翼に媚を売る必要はないから、残りの4年で大統領としての歴史的な評価を得ようとして、今までのように右翼的なイデオロギーをゴリ押ししなくなる。

B) 逆に再選でイイ気になって傲慢になって……無茶をやる。そしてヘマをやらかして共和党もブッシュを降ろすしかなくなる。


16. アメリカの総人口は約3億人、そのうち選挙権のある年齢は2億人だ。それに引き換え、今回はブッシュ5千8百50万票に対してケリー5千5百万票で票差はたった350万票だぜ! こんなの「ブッシュの大勝利」じゃないよ。こっちの惜敗さ。2千万票差じゃないんだぜ。アメフトにたとえると、タッチダウンまで58ヤードで55ヤード走ったところをタックルで潰されたようなもんだ。あとたった3ヤードだったのに、次は残り3ヤードからスタートできるのに、ボールを拾って泣きながらお家に帰るのかい? 違うだろ! 元気出せ! 望みを捨てるな! スポーツ・ネタならいくらでもできるぞ!!!(ブッシュが中西部のブルーカラー対策でスポーツ用語を演説に多用したことへの揶揄か)


17. 最後にいちばん大事なこと。ケリーに投票したアメリカ人は五千五百万人もいたってこと。共和党から「上院で最もリベラル」と言われた男にだよ。その得票数はレーガンやブッシュ父や(民主党右派の)クリントンやゴアより多いんだ。いいかい、ケリーの得票数はレーガンより多かったんだ。マスコミ的にはこんな風に言ってもいい。「ケネディ以来初めて、こんなにも多くのアメリカ国民が、純然たるリベラルに投票した」。この国は福音派だらけになってしまった……それは耳にタコができるほど聞いたね。でも、こんなに沢山のアメリカ人がマサチューセッツのリベラルに乗り換えたってのは初耳だ。実際、これは大変なニュースだよ。この事実をアメリカのマスコミは報じないだろうけどね。奴らは国民をだましてイラク戦争に駆りたてたから。報じなくて結構さ。2008年の選挙でみんなをびっくりさせるためにね。


少しは気分が良くなったかな? そうだといいな。モートっていう僕の友人が昨日こんな手紙をくれた。「僕のルーマニア生まれのお父さんがいつも言ってた。『息子よ、アメリカって国はいい国だ。大統領さえ要らないくらいな!』」


でも、国民は必要なんだ。明日、また君たちに手紙を書くよ。


マイケル・ムーア

2004-11-04 これは70年代反戦運動挫折の再来だ

TomoMachi2004-11-04

サンフランシスコ・クロニクル紙に全米の各郡ごとの共和・民主分布図が出た。

それはまだネットには上がっていないので、とりあえず参考までに4年前のものが右の図。

細かい部分で違っているので、以下の説明は今年の分布図について。


民主党が圧勝したカリフォルニアですら、青(民主党)はサンフランシスコやロサンジェルスなどの都市部だけで、内陸地はほとんど真っ赤(共和党)である。

ところが共和党が圧勝した州でも、南部ですら都市部では民主党が勝っていたりする。

たとえばブッシュの地元テキサスのオースチン、ネヴァダはラスヴェガス、オハイオならクリーブランドやコロンバス、フロリダではマイアミ、カンザスではカンザス・シティなど大都市は青い(今年の分布図)。

他には人種的な分布もあって、テキサスのメキシコ国境周辺のメキシコ系の多い地域、ミシシッピ川周辺の黒人の多い地域、サウス・ダコタやアリゾナのインディアン・ネイションがある地域でも民主党が勝っている。

しかし、概していえるのは、やはり都市と田舎の対立だ。

アメリカとは大海のような田舎に、ポツンポツンと孤島のように都市があるだけなのだ。

しかし、外国人が旅行で訪れるアメリカは、外国人に見えるアメリカはその孤島の部分だけなのだ。

そして赤い地域に住む人々の大部分にとって、外国は一生に一度行くか行かないかの異世界にすぎない。田舎では労働者のメキシコ人や中華料理屋の中国人以外に外国を感じることはない。

もちろんテロの心配もない。イラクがどこにあるかなんて知らないし、調査ではアメリカ人のほとんどがアフガンは中東にあると思っていた。

そんな人々に「イラクでは十万人殺された」と言ってもピンとくるわけがない。

しかし、大統領の選択に最も大きな力を握っているのは、そういう人々なのだ。


「宗教的価値感こそが大統領にとって最も重要だ」と調査会社ゾグビー社の調査に答えた人の91パーセントがブッシュに投票した。

「我々がアンケートを取る時に選択肢として用意した5つの項目に宗教倫理は最初は入ってなかった」

ゾグビー社の社長ジョン・ゾグビーは、宗教がそんなに重要だとは気づかなかったと驚いている。

ゾグビー自身は今回の選挙でケリー勝利と予測していたのだ。


アメリカ一下品なラジオDJハワード・スターンは、共和党議員が成立させた「放送倫理法」のために、ついにFMラジオを追われる。

まだ検閲の及ばない衛星ラジオに移籍することになったスターンはブッシュ勝利を知った朝の放送で「これでラジオから自由が消える」と宣言した。

「政府の批判をするDJはいなくなる。反体制的な曲も流れなくなる。アメリカのメディアはキリスト教原理主義者の倫理とやらが支配する」

議会でハワード批判の演説をして放送倫理法を成立させた二人の共和党議員は再選された。


今回の選挙はアメリカ文化そのものに大きな痛手を残すだろう。

映画俳優、ミュージシャン、作家、ジャーナリスト、学者たち、それに大学生の多数派はブッシュと戦ったが、

結局、キリスト教右翼と金持ちと田舎の人々に負けた。

この挫折は、今後のアメリカ文化や学生たちに、社会に対する大きな無力感、アパシーを残すだろう。

特に、今まで社会に関心がなかったが、今回始めて市民としての意識に目覚めて選挙に行った若者たちの心の傷は大きいだろう。彼らが再び社会を見るようになるには相当の時間がかかるだろう。

そして民主党への信頼感はとことん失われた。

実はわずか3パーセントで僅差なのだが、その数字は忘れられ、負けたという意識だけが残るだろう。



1960年代後半、ベトナム戦争に反対する学生と文化人や芸術家は激しい闘争を繰り広げた。

大都市にある大学はすべて反戦一色、音楽も出版も反戦主張が圧倒的になった。

日本など海外に伝わるのは、そうした都市とメディアの動きだけだったので、反戦が優勢のように見えた。

しかし、実際の選挙になると、戦争を支持するアメリカ人のほうが多数派だった。ニクソン言うところのサイレント・マジョリティだ。

『イージーライダー』のラストで主人公のヒッピーが田舎の農民に撃ち殺される場面はそれを象徴していると言われた。

「社会は変えられない」という挫折感に打ちひしがれた若者や芸術家たちは、社会の矛盾に目をつぶり、政治から離れた。

それは今回の選挙まで30年も続いた。

今回の傷が癒えるまで、またそれくらいの時を要するのだろうか。


ヒッピーだった学生たちは金儲けに奔走し、ヤッピーになった。

彼らは80年代、レーガン政権の金持ち減税で大いに潤った。

レーガン政権下で多くの工場は閉鎖され、小規模農場は潰れた。貧しい者は失業に苦しんだが、資本は富める者に集中した。貧富の格差は拡大した。

アメリカは巨大な財政赤字を抱え、福祉は削減され、貧困層は犯罪に走り、殺人事件の発生件数は史上最悪になった。

それがまた繰り返されるのだ。


ベイエリアのローカルTV局KRON4では、セントラル・バレーと呼ばれるカリフォルニアの山間の地域にあるダーンヴィルという郊外住宅地を取材していた。

そこは大きなプールつきのお屋敷が並ぶ、金持ちの町である。

彼らはみんな「ブッシュ&チェイニー」の旗を振って大喜び。

「8年もブッシュ政権が続くおかげで、100万ドル(一億円)以上、税金が得するよ。子供にもお金を残してやれる」という。

ちなみにブッシュ政権では金持ちの相続税は大幅に免除されている。


ブッシュ政権下で貧富の差は広がり、5人に一人の子供が極貧家庭に生まれる。

減税と戦争が生み出した赤字のため、アメリカの公立学校は予算不足ですでに崩壊している。

5千億ドルに膨れ上がった財政赤字は、次の4年間で増えはしても、減らす策は一切ブッシュは提出していない。

国民健康保険制度が共和党の反対でいつまでも導入されないので、任意で高額な民間保険しかなく、貧しい子供は病院に行けない。


オークランドの町に出ると、いくつかの工場や家が半旗を掲げていた。

2004-11-03 大統領選挙はこの日記の予測どおり……

TomoMachi2004-11-03

この日記の10月27日から6日間にわたって予測してきたとおりの展開になった。

(実はあの日記は週刊プレイボーイに筆者が書いた「それでもケリーが勝てない理由」の短縮版です)。

物書きとしては予測が当たったが、当たって欲しくない予測だった。



その予測で唯一の不確定要素は、エミネムやREMやマイケル・ムーアの呼びかけに応じた若い投票者がどれだけ増えるか、だったが、結局投票者全体の一割にも満たなかった。


また、11月1日の日記でメリーランド大学の調査を以下のように引用した。

http://www.pipa.org/OnlineReports/Pres_Election_04/html/new_10_21_04.html

この調査によれば、

ブッシュ支持者の72%が「イラクには大量破壊兵器が存在した」と誤解している。

ブッシュ政権が「間違いだった」と公式に認めた現在でもだ。

ブッシュ支持者の75パーセントがブッシュ政権の公式発表を聞いていないことになる。


さらに、ブッシュ支持者の75%が「イラクがアルカイダのテロに関わっていた」と考えている。

アメリカ政府の国家調査委員会が公式に「イラクとテロは無関係」と認定した今でもだ。

しかもブッシュ支持者の55%が「調査委員会はイラクとアルカイダの関係を認めた」と逆に信じている。


このデータによれば事実を理解してない人々によって世界の運命を決める大統領が選ばれたのだ。

しかし、そんなことは彼らにとってどうでもいいのだ。10月29日の日記にも書いたように。

今回、CNN他のアンケートによると、ブッシュに投票した理由で最も多かったのは「モラル政策」がトップだったと報道された。具体的には中絶問題とそれに伴う幹細胞研究、およびゲイ結婚への反対だ。

経済政策への関心は二番目で、対テロ、戦争に関する政策は三番目だった。

このデータは、筆者が日記に書いた「戦争や赤字がどうなろうと彼らは中絶とゲイに反対していさえすればブッシュを支持する」ということを証明している。

たとえばオハイオではブッシュ政権になってからの失業率が最もひどかった地域ですらブッシュが勝っている。

大統領顧問カール・ローブはブッシュが失敗している経済や戦争よりも、中絶とゲイ問題をクローズアップした。つまり福音派はアメリカの人口の半分以上だから、中絶とゲイに反対しさえすれば勝てると見込んだのだ。その戦略は功を奏した。


ブッシュに投票した人たちは信仰と引き換えに、兵士の命とアメリカ経済の将来を放棄した。

なにしろブッシュは5千億ドルに膨れ上がった赤字の解決策を何も出しておらず、

このまま、戦争が続き、年収二億円以上の金持ちへの減税、固定資産税の減税が続けば、

その赤字額は倍増するのだ。


予算不足のため、すでにアメリカの公立学校は崩壊し始めている。音楽美術体育が廃止され、学童保育が親の全額負担、もしくは廃止になり、もともと三ヶ月もある夏休みを教師の給料や維持費削減のためにさらに延長するという。日本並みの教育を子供に受けさせようとしたら年間150万円以上かかる私立学校に入れないとならない。あきらめて荒廃した公立学校に入れても共働きの家庭は学童保育費を負担しないとならない。

さらに医療保険料は高くなる一方だ。

中産階級ですら二人以上の子供を持つと共働きでも生活するのがやっとなのだ。

これが原因で出生率が下がる可能性も高いと言われている。

しかし、ブッシュに投票した人々は、子供の将来を踏みにじるブッシュの教育政策に目をつぶって、宗教的価値観のほうを取ったのだ。

アメリカ人の教養の低下はさらに進むだろう。


今回の選挙はブッシュの具体的な政策を問うべきものだったのが、カール・ローブによって「お前は命がけでキリスト教を信じるのか?」という問いを突きつける方向に捻じ曲げられたと言える。

キリスト教的価値観がブッシュ再選の最大の要因とデータが示している以上、アメリカは敵対しているイスラム原理主義と変わりないキリスト教原理主義政府になってきた。


上の地図で、赤い州がブッシュ支持、青い州がケリー支持で、赤い州の住民は州法でもゲイ結婚禁止を選んだ。

青い州はニューヨーク、ワシントンDC、シカゴのあるイリノイ、カリフォルニア、それにハワイ。日本人観光客が行くアメリカ、テレビや映画で見るアメリカ、自由で最先端で、いろんな人種が暮らす、日本人が見上げる経済と文化の先進国アメリカだ。

筆者もそんなアメリカが好きで住み始めた。

しかし、政治的にアメリカは日本人があまり訪れない赤い州、白人中心で、頑迷で、狭量で、聖書を妄信する田舎の人々にコントロールされている(日本も東京や大阪ではなく、群馬や島根の政治家に国を牛耳られてきた)。

中西部はやはり中間的で今回の結果でも両者に引き裂かれているけどね。


ブッシュが勝ったと言っても現実にはアメリカ人の二人に一人が反ブッシュだ。

今までは選挙が終われば全国民一丸となって大統領を後押ししたが、

タイム誌のデータによると国民の7割以上が、対立候補が勝った場合、それを大統領とは認めない、と言っている。

この二つのアメリカはもうほとんど外国のように分裂してしまった。

士郎正宗が『アップルシード』で、未来のアメリカはリベラルな連邦と、右翼的なアメリカ帝国に分裂すると予言していたが、まさにその通りになりつつある。

南北戦争のように、東部&西海岸VS.南部&西部の思想戦争がすでに進んでいるのだ。

(しかしブッシュが勝った州でも細かく見ると大都市ではケリーが勝っている都市が多い。都会と田舎という対立もまた根深い)。


上院下院両院も最高裁も共和党に牛耳られ、青い州の意見は8年間も国政レベルで通らなくなった。

青い州は州の自治権を最大限に活用して連邦政府から州民を防衛するしかないだろう。

たとえば中絶の権利が国によって否定され、共和党右派が望むように、州によってはたとえレイプされて妊娠した女性が中絶しても殺人として扱われる(レイプ犯はタダの強姦罪なのに)という最悪の事態の可能性もあり、その場合、青い州が逃げ場になるしかない。

サンフランシスコとボストンがゲイの結婚を認め、連邦政府がそれを潰す、という件があったが、同じような対立はさらに激化するだろう。

青い州(東部&西海岸)は経済や文化の中心なのに、政治的には赤い州(南部&西部)に独裁される。もしかすると、これは南北戦争の130年目の復讐なのかもしれない。


このままブッシュの北朝鮮ほったらかし路線が続くと、アジアにとってもいいことじゃないだろうな。

2004-11-02 投票所に行ったよ

TomoMachi2004-11-02

映画秘宝読者にはおなじみ、ボンクラ男パトリック・マシアスを投票所に連れて行ったよ(写真)。

http://www.patrickmacias.comパトリックのサイト

パトリックは今年で32歳。日本のヤクザ映画やアニメについて原稿を書くフリーライター。

オイラはこいつを日本に連れて行ってオタクのルポを書かせた(11月15日にアメリカで発売)

http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/detail/-/1880656884/qid=1099576926/sr=8-1/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl14/002-0880409-9380060?v=glance&s=books&n=507846


高校中退。年収300万円弱。もちろん未婚。

狭いアパートはオモチャとマンガとゴミで足の踏み場もない。

そして、この年まで投票に行ったことなどない。


「誰に投票してもいいから、いっぺんくらい投票に行けよ」と言うとパトリックは

「カリフォルニアはどうせ民主党が勝つに決まってるし、

一票の重さは田舎より軽いから意味ないよ」とやる気なし。

「意味がなくてもいいから、オイラにいっぺん有権者が生まれるところを見せてくれ」

と説得して、有権者登録させたわけ。


で、朝、テレビを見るとサンフランシスコ市庁舎あたりの投票所では長蛇の列。

一時間くらい並ぶことになると言っている。

「一時間も並ぶの嫌だ」と駄々をこねるパトリックを連れて投票所を探す。

それはパトリックの家の隣の老人ホームだった。

投票所の係員もそこに住む老人。みんな70歳以上だ。

投票に来たのはパトリックだけ。

あの行列は何なんだ?


パトリックが有権者登録証を見せると、おばあさんはゆっくりそれを覗き込んで

「パトリシアさん?」

え? と書類を見るとパトリックじゃなくてパトリシアという女の名前になってる。

「これは書類の間違いですよ」とパトリックが言うと、

おばあさんは「ならいいわ」と、身分証明書を見もせずに投票用紙をくれた。いいかげんだ。

投票用紙はマークシート方式だが、それに投票箱にパトリックが入れようとすると

箱についたセンサーがそれを拒否した。

マークシートの埋め方が悪いと検知したのだ。

パトリックは塗りつぶさないで線を引いただけだった。

「やったことないんだ」

彼は高校を中退した後、運転免許証も含めて一切のテストを受けたことがない。

マークシートを初めて見たという。

結局、オイラが塗り潰し方を教えてやった。


投票すると「I VOTED(僕、投票したよ)」というステッカー(シール)をくれた。

「こんなの歯医者以来だ」

アメリカでは子供が医者で注射されたり歯医者に行ったりすると「よくがまんしたね、ごぼうび」

とシールをくれるのだ。

32年の人生で賞に縁のないパトリックにしてみれば何十年ぶりかのごほうびだ。


投票所を出るとパトリックは「なんかおごってよ。投票してあげたんだから」

てめえの国民としての権利の行使として投票したんだろうが!


世界を支配する国アメリカの市民としての自覚のない30男と一緒にバーに入ると

昼間っからビール飲んでビリヤードやってる連中が。

みんな革ジャンにタトゥーにピアス。

要するにこのミッションという場所はバイカーとパンクとGOTHとジャンキーと、フリークばっかりが住む地域なんだよね。

しかし、1ブロック先の投票所はガラガラなのに、バーには人が一杯でいいのかね。


結局、全米での18〜24歳の投票者は全体の10パーセントにもならなかった。

エミネムマイケル・ムーアが若者を引っ張り出そうとした努力は空しい結果に終わった。

チーム・アメリカ」のトレイとマットの主張「19歳の何も知らない若造は投票に行くな」は現実になったのだ。

2004-11-01 ブッシュが勝つかもしれない理由その6

TomoMachi2004-11-01

新聞4コマ『ドーンズベリー』(右図)の10月17日と11月1日は同じようなネタ。


10月17日

「まだ、どっちの候補に投票したらいいのかわからないバカがいるんだって?」

「今回の選挙ほど争点がはっきりした選挙はないのに。

 意志を決定するのに必要なあらゆる情報は既に出揃った。

 これ以上、何がわからないっていうんだ?」


要するにわかろうとしていないだけなのだ。


11月1日

「面白い調査結果が出たよ。ブッシュ支持者の72パーセントはいまだにイラクは大量破壊兵器を持っていると信じていて、75パーセントはフセインがアルカイダの911テロに何らかの関係があったと思い込んでいるんだってさ」


この調査結果とは、メリーランド大学が9月から10月にかけて行った調査のことだ。http://www.pipa.org/OnlineReports/Pres_Election_04/html/new_10_21_04.html

この調査によれば、

ブッシュ支持者の72%が「イラクには大量破壊兵器が存在した」と誤解している。

ブッシュ政権が「間違いだった」と公式に認めた現在でもだ。

ブッシュ支持者の75パーセントがブッシュ政権の公式発表を聞いていないことになる。


さらに、ブッシュ支持者の75%が「イラクがアルカイダのテロに関わっていた」と考えている。

アメリカ政府の国家調査委員会が公式に「イラクとテロは無関係」と認定した今でもだ。

しかもブッシュ支持者の55%が「調査委員会はイラクとアルカイダの関係を認めた」と逆に信じている。

彼らはニュースや新聞を見ないか、見ても理解できないのか、

それとも自分にとって信じたくない事実を歪曲して理解する自己欺瞞なのか。


とにかく、ブッシュが政権を取るとしたら、以上のような無知と欺瞞に基づく政権であり、

その無知と欺瞞で選ばれた男が世界の運命を決し、何万人もの命を奪うのだ。


オジー・オズボーンの名曲『ウォー・ピッグ』

http://www.bushflash.com/warpig.html

政治家どもは戦争を始めるだけで

自分たちは決して戦場に行かない

人間をチェスの駒みたいに弄びやがって

最後の審判が下されるのを待ってろよ




もし、ブッシュとケリーがまったくの同点だったとする。


すると憲法では下院議員の投票で大統領を決めることになっている。

しかし下院では現在、共和党が多数派なのでブッシュが大統領になる。


4年前のように最高裁が決定する事態になっても、

最高裁判事は共和党支持が多数派なので4年前同様、ブッシュを大統領に選ぶ。


ケリーが僅差で勝っても共和党は負けを認めず、下院での投票か最高裁に持ち込もうとするだろう。そうなれば確実にブッシュが勝つ。


ケリーが大統領になるにはブッシュに充分な大差をつけて勝つしかない。


しかし、ブッシュが再選されたらどうなるだろう。

大統領就任式には4年前以上、NYの共和党大会に集まった40万人以上のプロテスターがワシントンに集まるだろう。

彼らはブッシュの乗るリムジンを今度こそは何が何でも阻止するだろう。

ロドニー・キングのロス暴動以上の事態になる可能性がある。

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