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映画評論家町山智浩アメリカ日記


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2005-02-15 「ミリオンダラー・ベイビー」がアカデミー賞を取りにくい理由

TomoMachi2005-02-15

クリント・イーストウッドの『ミリオンダラー・ベイビー』は文字通りの「問題作」だった。


トレイラーハウス育ちのホワイト・トラッシュの30過ぎのウェイトレス(ヒラリー・スワンク)が老トレイナー(クリント・イーストウッド)のコーチを受けて女子プロボクサーとしてチャンピオンを目指す。


そういう映画だと思ったら、映画の中盤で、突然、ボクシング版「許されざる者」だと判明する。モーガン・フリーマンイーストウッドとコンビ再結成した段階で気づくべきだった。


しかし、何が「許されざる」なのかを書くと映画の結末を明かすことになってしまうので、できない。

これが今、アメリカで大論争を呼んでいる。

すでに「当事者」の人たちはこの映画に対して抗議運動を起こしている。

アメリカの各新聞も、報道機関としては、この映画が起こした論議を報道するのが義務なのだが、ショッキングな展開を明かすことになるので、非常に困っている。


★以下の文章は「ネタバレ」にならないよう細心の注意を払って書いたつもりですが、不安な人はここで読むのをやめてください。







この映画は映画としては傑作だ。

キャラクターの背景を丹念に描くことで主人公たちの選択を納得できるものにしている。

また主人公たちがカソリックであることで彼らの選択がより重いものになっている。

それにその選択を「正しかった」と断じてはいない。

主人公は「許されざる者」として十字架を背負う。

そして観客に議論の余地を残している。

イーストウッドは「ストーリー展開は原作の小説に従っただけだ」とだけコメントしている。


しかし、それでもなお、この映画は、同じ状況に置かれている人たちにとっては「死んだ方がまし」と言われているような気もするだろう。


これと同じ結末の映画は過去にもいくつかあるし、原作が書かれた時代には問題はなかった。

しかし、当時と現在では科学の進歩によって状況が大きく変わっている。

今、なんとか耐え忍べば、何年か後には解決法が発見される可能性が出てきたのだ。


特にアカデミー賞はハリウッドの俳優や職員たちの投票による「内輪の賞」だ。

この映画は、去年亡くなったハリウッド俳優の長年にわたる死闘を無にするような主張だとも考えられるので、ハリウッドの人たちは投票しにくいだろう。


★論点をどうしても知りたい人はCNNの英語版の記事を読んでください。

http://www.cnn.com/2005/SHOWBIZ/Movies/02/07/film.million.dollar.backlash.ap/