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映画評論家町山智浩アメリカ日記


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今回はジョージ・A・ロメロ監督『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』を解説します。

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週刊文春の連載「言霊USA」はオンラインで読めます。

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ロフトプラスワンでタランティーノと公開飲み会(無修正)

2006-04-29 ホワイトハウス晩餐会でS・コルベアがブッシュをホメ殺し!

TomoMachi2006-04-29

4月29日、ホワイトハウスの記者クラブの晩餐会で、コメディアンのスティーヴン・コルベアが、ブッシュ大統領に面と向かってやらかしたホメ殺しスピーチのハイライトを日本語訳で紹介します。

 ビデオはここ。

http://video.google.com/videoplay?docid=-869183917758574879

 

サンキュー、レディス&ジェントルメン。

 スピーチを始める前に業務連絡です。入り口に黒の防弾仕様のSUV14台をとめた人、車を動かしてください。別の防弾SUV14台が動けません。

 わーお、なんという光栄でしょう。私の英雄、尊敬するブッシュ大統領と同じテーブルでこんなに近くに座れるなんて。まるで夢のようだ。

誰かつねってくれないか。わかる? 僕、ちょっと眠たそうでしょ。つねったくらいじゃダメだ。誰か僕の顔をちょっと散弾銃で撃ってくれないか! あれ? なんだ、今日は副大統領は来てないのか。ちぇっ。彼ならばっちりやってくれるのに。

 それはさておき、お話を始める前に、カクテルのお代わりが欲しい人はそれを隣の人に告げてください。すぐにNSA(国家安全保障省)がいつものように盗聴して注文をお持ちします。


 マーク・スミスと記者クラブの皆さん、大統領夫人、大統領閣下、私はスティーブン・コルベアと申します。今宵、大統領を褒め称えさせていただく光栄にあずかりました。

 私も大統領と同じで、コンピュータいじってばかりのガリ勉野郎なんかじゃありません。事実なんてくだらんものは気にしません。私たちは頭よりも肝っ玉で考えるんですよね、大統領? 真実は肝っ玉にあるのです。神経の末端は頭よりも内臓のほうが多いって知ってるかい? 調べてみなさい。「いや、本を調べてみたら、そんなことはないぞ」と反論する奴もいるでしょう。だから本なんてあてにならないんだよ! 今度は本じゃなくて肝っ玉にあたってみなさい。私はそうして、肝っ玉に神経の機能を教えてもらったんだ。

(これはブッシュが本や新聞を読まないことをからかっている)

 私は自分の番組『コルベア・リポート』で、肝っ玉から話しています。いいですか? 視聴者に真実を伝えているんです。論理的な考察というフィルターなしに! 私はこれを「ノー・ファクト・ゾーン」と呼んでます。この名前、FOXニューズは勝手に使わないように。(FOXニューズがいつも事実をブッシュ政権の都合のいいように捻じ曲げて報道していることをからかっている)


 私は単純なオツムの単純な男です。単純な信念に従って生きています。第一の信念。私はアメリカを信じています。信じられないでしょうがアメリカは本当に実在するのです! 私の肝っ玉によると、私はそこに住んでいるらしいのです。アメリカはどうも大西洋から太平洋に広がってるようです。絶対に五十州あると思います。この大スクープに明日のワシントン・ポスト紙が飛びつくのが待ちきれません。

 私は民主主義も信じています。民主主義はアメリカが誇る輸出品です。中国が一個3セントで大量生産する方法を思いつくまではね。

 ようこそ、中国大使閣下。マクドナルドのハッピーミールは中国あってのものです。

 私は、国民をできるだけコントロールしない政府こそがいい政府だと考えます。その意味でアメリカはイラクに素晴らしい政府を作りました。(イラクの無政府状態をからかっている)

 レディス&ジェントルメン、私はこれはヨーグルトだと信じていて、バターじゃないなんて信じられません(マーガリンのCMのパロディ)。何よりも私はブッシュ大統領を信じています。

 最近の世論調査でブッシュ大統領の支持率は史上最低の32パーセントまで落ち込んでいることは知ってます。しかし私も大統領も、世論調査なんか気にしません。世論調査なんてものは「現実的」に考える連中を反映したデータにすぎません。皆さんご存知のように、現実なんてものはリベラルのたわ言です。

 コップに半分水が入ってると「半分しかない」と考えるような悲観論者のことは無視しましょうや、大統領閣下。「グラスの半分は空」と考える連中は無視すべきです。だってもう三分の二は空なんですから。それでも、私からすれば、少しは液体が残っているわけで。でも、そんなの飲まないけどね。Backwash(唾が逆流してる)に決まってるから。(Backwashには「民度の低い僻地」という意味もある)

 私が言いたいのは、ブッシュ大統領はこれで終わりじゃないということです。こんなの大逆転の前の子守唄みたいなもんです。『ロッキー』みたいなもんですよ。今のブッシュ大統領はロッキーで、チャンピオンのアポロは……彼以外の全世界です。今は第十ラウンド。ブッシュは血だらけです。セコンドのミックは副大統領ディック・チェイニーです。ブッシュは「切ってくれ! ディック、切ってくれ」と叫びます(セコンドがボクサーの目の腫れを切って試合を続行させる)。ブッシュがダウンするたびにみんな「よく戦った! そのまま寝てろ!」と叫びます。ブッシュはどうするでしょう? ロッキーのように何度でも立ち上がります! そして最後にロッキーは……あ、結局勝てないんだっけな。

 オッケー、たとえが悪かった。私は殴られっぱなしの男の心温まる話をしたかっただけでね。とにかく、国民の68パーセントがブッシュ大統領の仕事を評価していないという調査は無視すべきです。いいですか? これは論理的には国民の68パーセントが大統領を評価していない事実を意味してるわけじゃないでしょ? よく考えてみてください。私は考えてませんが。

 私はこの大統領を支持します。なぜなら彼は何かのために戦うからです。それだけでなく何かの上に立ちもします。たとえばペルシャ湾の空母とか、911テロの瓦礫とか、最近はハリケーンにやられた街の廃墟に立ちました。彼の姿は、アメリカは何かされれば必ず反撃する、という意志を表明しています。世界で最も強力なヤラセ写真によってね。

 今、石油危機が起こっています。ブッシュ大統領は非常に先進的なエネルギー対策案を持っています。大統領ともあろうものが、この危機に際して、牧場で無意味にヤブを刈ってるだけのはずがありません。大統領は石油に代わる画期的な資源を開発しているのです。2008年には、ヤブ蚊の力で走る自動車が実現するでしょう!

 とにかく私はブッシュ大統領が大好きです。彼は良き隣人です。妻を愛し、生涯の伴侶としています。世論調査も同意しています。大統領夫人は真の淑女で、素晴らしい女性です。ただ私には一つだけ彼女に不満があります。大統領夫人は子どもたちに読書を奨励しています。申し訳ないですが私は本が大嫌いです。本なんか信じません。だって事実しか書いてないんですから。ハートがないね。本を書くような連中は私たちに何が事実で何がウソかを教えてやろうという鼻持ちならないエリート主義者だ。百科事典にはパナマ運河は1914年に開通したと書いてあるって? 私には「それは1941年だ」と言う権利があります。それがアメリカの自由です! 私は大統領の味方ですから、何が事実かは歴史に決めさせます。

(またしてもブッシュが本や新聞を読まず、歴史や外国の事情に無知なことをからかっている)

 ブッシュ大統領の最も素晴らしいところは、決して信念を曲げないことです。月曜日に信じたことを水曜日に変えたりしません。火曜日にどんなことがあったとしてもです。情勢がいくら変化しようと大統領は考えを決して改めません。

 こうして大統領のお側に立てて感動している私ですが、会場を見渡すと、アメリカをダメにするリベラルなマスコミ人だらけで反吐が出ます。いや、FOXニュースは違いますよ。FOXニュースは両サイドの意見を報道しますから。大統領の意見と副大統領の意見を。

 リベラルなマスコミ人は、いったいなぜ、政府による国民の盗聴や、東ヨーロッパの秘密牢獄でアメリカ政府がやってた拷問を暴いたりするんですか? そういうことが秘密なのには重大な理由があるんですよ。すっげームカつく事実だからです。国民を嫌な気分にしたかったのなら、マスコミはよくやったと思いますよ。

 しかし、ブッシュ大統領になってからの五年間、ホワイトハウスの記者の皆さんはずっとイイ子ちゃんでした。ブッシュ大統領の無茶な減税についても、イラクに大量破壊兵器がなかったことについても、野放しの地球温暖化についても、記者会見であまり突っ込みませんでした。それらは私たちアメリカ国民が知りたくないことですからね。あなたがた記者の皆さんは、それを追求しないだけの節度がありますね。本当に記者クラブは大統領と仲良くやってきました。

 もう一度ホワイトハウス記者の決まりをおさらいしましょう。何かを決めるのは大統領。それを記者に伝えるのは報道官。記者は大統領のお言葉をタイプして、編集部に送って、おうちに帰って、カミさんとセックスして寝るだけです。

 頭をひねって本を書いたらどうでしょう。反骨のホワイトハウス記者が権力に立ち向かうって内容の本をね。要するに、作り話をね

 だって、大統領の閣僚が、記者の質問にきちんと答えなきゃならない理由なんかないでしょう? 何を言っても記者は満足しないんだし。閣僚の入れ替えをやれとうるさかったから人事を刷新したのに、マスコミは「そんなことしても無意味だ。沈みゆくタイタニック号の甲板のイスを動かすようなものだ」と書いたでしょ。まったく失礼なたとえです。この内閣は斜めに傾いているかもしれませんが、沈んでいるわけじゃなくて、上昇してるんです。飛行船ヒンデンブルグ号のように!(ヒンデンブルグは上昇して爆発した)

 (中略)

 もちろん、新しい大統領報道官のことを忘れてはなりません。トニー・スノー氏。シークレットサーヴィスからは「スノー・ジョブ」と呼ばれています(スノージョブとは「ごまかし」という意味のスラング。FOXニュースのキャスターだったスノーが政府のおべっか使いだとからかっている)。報道官は困難な仕事です。なんという勇気でしょう。駐イラク大使の次にきつい仕事です。

(中略) 

 実は私も報道官に志願していました。私はきっと素晴らしい報道官になれたはずです。だって報道陣に対する軽蔑心でいっぱいですから。この痴れ者どもの扱いは心得ております。

 実際、私は報道官になるためのオーディション・ビデオを持ってきました。大統領閣下に御笑覧いただければ幸いです。

(以下、オーディション・ビデオ)

大統領報道官になったコルベアが、3月にブッシュ大統領を追い詰めたヘレン・トーマスさんにどこまでも問い詰められる。