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映画評論家町山智浩アメリカ日記

町山智浩の映画解説リストです。
現在約800本の映画が50音順に整理され、解説へのリンクが貼られています。
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ロフトプラスワンでタランティーノと公開飲み会(無修正)

2008-11-23 『ブラインドネス』パンフに原稿書きました

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昨日から公開の映画『ブラインドネス』に原稿書きました。

 最近、よく似たSF映画が三本次々に作られた。

 アルフォンソ・キュアロン監督の『トゥモロー・ワールド』では、人類に赤ん坊が生まれなくなる。M・ナイト・シャマラン監督の『ハプニング』では、人々が理由もなく自殺し始める。そしてフェルナンド・メイレレス監督の『ブラインドネス』では、人々の目が見えなくなる。

 SF(サイエンス・フィクション)と書いたが、この三本の映画では、異常現象の科学的な原因はまるで解明されない。理由もわからないまま世界はゆっくり破滅していく。原因や理由はどうでもいい、この破滅を通じてもっと大事なことを伝えたいんだ、と言わんばかりに。

 それはいったい何なのだろう。なぜ、フェルナンド・メイレレスはこの題材を選んだのだろう。

 メイレレスが今までにとった映画は三本とも破滅的な状況を描いている。しかも最初の二本は恐ろしいことに事実を基にしている。

 デビュー作『シティ・オブ・ゴッド』は、ブラジルのリオ・デジャネイロで、「神の街」と呼ばれる貧民街の少年たちの成長を追う。掘っ立て小屋がひしめくスラムはゴミだらけで半分砂埃に埋もれている。ガキどもは半ズボンにサンダルで遊んでいる頃から拳銃の撃ち方を、人の殺し方を覚える。そのギャングたちより凶悪なのが警察で、殺人略奪なんでもし放題。暴力だけが支配する「神の街」は、まるで核戦争で文明が滅んだ後の世界のようだ。

 二作目『ナイロビの蜂』の舞台となるアフリカでも、掘っ立て小屋に住む貧困層はまともな医療も受けられない。彼らにヨーロッパの医薬品会社は無料で薬を提供するが、決して慈善事業ではなく、新薬の副作用を調べる人体実験だった。この実験で死んだ犠牲者は人として埋葬されることすらなく「処理」される。ヨーロッパは今も貧しいアフリカの人々をモルモット並みに扱っているのだ。

 この二本に対して『ブラインドネス』は寓話的だ。どこともしれない国が舞台で登場人物にも役名がない。それでも描かれる状況の酷さは他の二本と共通している。視力を失った人々が家畜のように収容所に隔離される。その中では『シティ・オブ・ゴッド゙』と同じように銃を持った独裁者が君臨する。彼らは食糧を独占し、それを購う富を持たざる者たちを奴隷のように扱う。

 この弱肉強食の地獄に対して、主人公たちは無力で受身だ。

シティ・オブ・ゴッド』の主人公ブスカペはカメラが大好きなオタク少年。荒々しいギャングたちのなかで育ち、理不尽な暴力を目撃しながらも、度胸がないので傍観するしかない。ただカメラマンになって街を出る日を夢見ながら。

ナイロビの蜂』の主人公はケニア駐在のイギリス外務省職員ジャスティン(レイフ・ファインズ)。アフリカの貧しい現実を目の前にしても「僕ごときが何をしてもどうにもならない」と目を背けて趣味の園芸に没頭する。

ブラインドネス』の医師は収容所の中でも人間らしく生きようとするが、暴力による独裁に屈し、妻が犯されても何もできず、別の女性との情事に逃避する。

 これが現実だというのか。人間というものの。 

 国際視覚障害者連盟のマーク・マウラー会長は『ブラインドネス』を激しく非難した。「目が見えなくなった人々が何もできない存在として描かれています。卑しく、利己的に振る舞い、堕落していきます。この物語では目が見えないということが、人間の悪しき考えや行動のメタファーとして使われているのです」

 彼の言うとおり、『ブラインドネス』では視力を失った人々が理性を失ったように野獣化し、強欲になる。見えないというのに貴金属に狂喜する場面など「目開きは金に目がくらむ」と笑っていた座頭市に怒られそうな描写だ。

 だが、それだけではない。その地獄に、メイレレスはいつだって小さな希望の種を投げ込んでみせる。女性の姿をした希望を。

シティ・オブ・ゴッド』のブスカペのカメラマンへの夢を支えたのは大好きな美少女への恋心だった。写真への情熱はブスカペを犯罪の誘惑から救い、ついに彼はカメラを武器に暴力に立ち向かう。

ナイロビの蜂』のジャスティンは、貧困層のためにボランティアをしていた美しい妻(レイチェル・ワイズ)を突然殺されてしまう。そして妻の死の真相を探るうちに今まで見えなかったアフリカの現実に目を開き、製薬会社の犯罪と戦うことになる。

ブラインドネス』の医師は絶望の淵に落ちかけるが、妻(ジュリアン・ムーア)の愛で立ち直り、再び他の患者たちを救う意思を取り戻し、我が家に招く。

 医師の家で彼らは家族になる。白人、ラティーノ、黒人、そしてアジア人。その家は世界そのものだ。見えなくなったおかげで、人種の違う彼らがこんな風にひとつになることができた。見えなければ肌の色や美醜や見た目は気にならない。気になるのはもっと大事なことだ。

ブラインドネス』の市街地のシーンはメイレレスの故郷サンパウロで撮影された。サンパウロとは聖パウロという意味だ。教会で神父が聖パウロのエピソードを語っている。聖書によればパウロはもともと熱心なユダヤ教徒で、新興勢力であるキリスト教徒を弾圧していたが、ある日、強烈な光に打たれて視力を失い、キリストの声を聴いた。三日間、パウロは何も食べられずに苦しむが、キリストへの祈りで「目からウロコが落ちて」視力を取り戻し、以後、キリスト教の布教に命をかけた。この物語に『ブラインドネス』が大きな影響を受けているのは明らかだ。

 見えないほうが見えるものがある。正義(ジャスティス)の象徴であるローマ神話の女神ユースティスは人の罪を裁くとき、外見に惑わされないよう目隠しをしているではないか。

 メイレレスは撮影前、出演者たちに包帯で目隠しをして見知らぬ場所に置き去りにする実験を行ったという。目が見えないことの恐怖を体験するためだ。ところが彼らは誰かに突き飛ばされたり財布を取られたりはしなかった。必ず、通りがかりの人が親切に手を引いてくれて「行きたいところまでご一緒しましょう」と申し出たそうだ。 

 僕が『シティ・オブ・ゴッド』でいちばん好きなのは、ブスカペがとうとう自分もギャングになろうと決心してバスの運転手などを強盗しようとするのだが、襲おうとした人たちに次々に親切にされてしまって気が抜けて諦めるシーンだ。『ナイロビの蜂』ではケニアの道を歩くレイチェル・ワイズが地元の子供たちに囲まれるシーン。これは脚本になく、子どもたちもエキストラではなくて、そこいらの子たちがロケ中に勝手に集まってきたのを撮影しただけだそうだ。レイチェル・ワイズと子どもたちは朗らかに挨拶を交わす。

  「こんにちわ」

  「こんにちわ」

  「みんな元気?」

 優しさもまた人間の現実なのだ。

2008-11-22 『未来を写した子どもたち』本日公開!

『未来を写した子どもたち?』、今日から東京ではシネスイッチ銀座 03-3561-0707で公開中です。

 パンフには僕も原稿を書いていますので、是非、読んでやってください。

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その後は以下の劇場で順次公開されていきます。


北海道

(札幌) シアターキノ 011-231-9355 今冬

(苫小牧) シネマ・トーラス 0144-37-8182 今冬

東北

 宮城 仙台チネ・ラヴィータ 022-728-7866 12月20日

近畿

大阪 梅田ガーデンシネマ 06-6440-5977 12月27日

神戸 神戸アートビレッジセンター 078-512-5500 今冬

京都 京都みなみ会館 075-661-3993 12月27日

三重 伊勢進富座 0596-28-2875 今冬

中部

愛知 名古屋シネマテーク 052-733-3959 今冬

新潟 シネ・ウインド 025-243-5530 今冬

金沢 シネモンド 076-220-5007 今冬

九州

福岡 シネテリエ天神 092-781-5508 2009.1月3日

宮崎 宮崎キネマ館 0985-28-1162 2008.1月17日

熊本 デンキカン松竹1・2 096-352-2121 今冬

沖縄

沖縄 桜坂劇場


また、本日公開の『ブラインドネス』のパンフレットにも原稿を書いていますのでよろしく。

2008-11-21 電車の中で自分と同じ本を読んでる人と出会う確率。

オイラ、これだけ長い間生きていて、電車の中で自分と同じ本を読んでいる人と会ったことは一度もないんだけど……。

http://atomicdog.exblog.jp/9035673/


↑うれしいなあ! それだけ売れてるって思っていいのかな。


年明けに太田出版から「USAカニバケツ」の第2弾になる100コラム集が出ます。

タイトルは「キャプテン・アメリカはなぜ死んだのか/悪夢と夢の超大国」。


1月には集英社から新書が出ます。師と仰ぐ越智道雄先生との対談でアメリカの歴史と大統領についてです。


その後はやっぱり集英社から『Sportiva』に8年も連載してきたスポーツコラムが本になります。


あと、『アメリカ特電』の映画語りも本になります。これは廣済堂出版から。


もちろん『映画の見方がわかる本』の次集も09年中に出します。

最初は90年代暴力・犯罪映画篇です。


……がんばりまーす(小声)。


あと、オイラのポッドキャストは人前で聴くと恥ずかしいことになるかもしれませんのでご注意ください。

http://ameblo.jp/sptbika/entry-10167984273.html

2008-11-20 Podcast映画特電はアクションしないヴァン・ダム

TomoMachi2008-11-20

お待たせしました。

ポッドキャスト「町山智浩のアメリカ映画特電」、今日中に更新されます。

今回は、あのジャン=クロード・ヴァン・ダムが自分自身を演じた怪作『その男ヴァン・ダム』についてお話しします。

http://www.enterjam.com/tokuden.html


 ジャン=クロード・ヴァン・ダムはベルギー生まれの落ち目のアクションスター。

 48歳の肉体にムチ打って戦って見せても、ヴァンダフルな全盛期を知らない若手監督たちは何のリスペクトも払わない。

 ロクな仕事がない。出演依頼はくだらないカス映画ばかり。マネージャーもやる気がない。カムバックを賭けた新作もスティーヴン・セガールに取られてしまった。

 私生活では5回も結婚離婚を繰り返し、慰謝料やらコカイン中毒やらで金がない。

 娘の養育権をめぐって裁判で戦っているのだが、元妻側の弁護士は法廷にヴァン・ダムの映画を証拠として持ち込んで彼には親の資格がないと主張する。

「彼の出演作はどれも暴力と殺人の映画ばかりです。こんな男に子どもを育てることができると思いますか?」

 おまけにその裁判で雇った弁護士まで、弁護費用がもらえないなら降りると言いだした。

 ヴァン・ダムはあわてて銀行に飛び込んで、数万円だけ弁護士に送金しようとしたが、その銀行は強盗に襲われている最中だった……。

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2008-11-18 ストリート・キッドが「クイズ$ミリオネア」で全問正解?

TomoMachi2008-11-18

本日のTBSラジオ「ストリーム!」「コラムの花道」では、『スラムドッグ・ミリオネア』というインド・イギリス合作映画についてお話しします。

http://www.tbsradio.jp/st/2008/11/1118_2.html


スラムドッグとはスラムに暮らす最下層の人々のこと。

ミリオネアはみのもんたの「ファイナル・アンサー?」でおなじみ「クイズ・ミリオネア」だ。

「クイズ・ミリオネア」はもともとイギリスのTV番組で、世界数カ国で放送され、インドでも大人気。

その番組にスラムのストリート・チルドレン出身の孤児の青年ジャマールが出場し、がんがん勝ち進んで、あと一問で全問正解、賞金2千万ルピーを獲得する寸前で逮捕される。

「学校も行ってない貴様があんなに物知りなはずがない! カンニングしたに決まっている! 白状しろ!」人権無視のインド警察はジャマールを殴る蹴るの拷問、電気ショックまで使うがジャマールは「知ってたんだからしょうがない」の一点張り。

根負けした警官が尋ねる。「じゃあ、どうして何でも知っているのか説明しろ」。

ジャマールはインドの貧困をサバイバルするうちに生きるために文学や歴史やその他あらゆる知識を身につけた。その人生が語られていく……。

D

原作はインド人の外交官ヴィカス・スワラップの小説『ぼくと1ルピーの神様』。

監督は『トレイン・スポッティング』『28日後……』のダニー・ボイル。

純インド映画なら3時間を越える内容をイギリス風に2時間に圧縮しているので、一瞬も退屈させないジェットコースターになった。

日本の配給権を持っているのは20世紀FOXだが、ギャガが委託されて配給するそうです。

2008-11-16 こ、このオチは想像もつかなかった……

2008-11-15 「ヤング@ハート」のパンフに原稿書きました

現在、シネカノン有楽町、渋谷シネ・アミューズなどで公開中の映画『ヤング@ハート』のパンフレットに原稿を書いてますので、是非、読んでやってください。

ヤング@ハート』を観ていて、今から20年ほど昔、みうらじゅんさんとカラオケ・バーに行ったことを思い出した。

 生バンドがリクエストで演奏してくれる店だった。いいスーツを着た中年のビジネスマンがジョン・レノン・バージョンの「スタンド・バイ・ミー」を歌った。英語の発音が良くて歌も上手かった。ところが泥酔したみうらさんが「お前、ロックじゃねーよ!」と叫んでステージ上の彼につかみかかろうとしたのだ。僕らに羽交い絞めにされたまま、みうらさんは叫び続けていた。「ロックじゃねーよ!」と。

 何がロックで、何がロックじゃないのだろうか。

ヤング@ハート』でお年寄りたちが歌うロックは、ある意味「やらされている」にもかかわらず、なぜ、あんなにもロック・スピリットに溢れているのだろう。スタジアムをいっぱいにするメジャーなバンドよりもはるかにロックを感じるのは、なぜだろう。

 アメリカに住むようになってからも、アメリカ人たちと飲み屋でよくそんな話をする。

「いくらノイジーなギター弾いてもジャーニーはロックじゃない」

「スローなバラードでもジョン・レノンはいつもロックだな」

 そのうちに音楽以外の話になっていく。

「いちばんロックじゃない服装は?」

「ピンクのポロシャツに紺のスラックス」

バットマンはロックだけど、スーパーマンはロックじゃない」

「R2−D2はロックだけど、C3−POはロックじゃない」

「ステーキはロックだけど、サラダはロックじゃない」

「そうかなー」

「絶対にロックじゃないのは……名刺だな」

「言えてる! 名刺交換ってロックじゃないよな!」

 つまり、ロックとは単に音楽のジャンルじゃない「何か」なんだ。ロックンロールのキング、ことエルヴィス・プレスリーはかつてこう言ったそうだ。

「僕がやっているのは音楽じゃない。ロックンロールだ」

 これは「ロックンロールは音楽の部類に入らない低級なものだ」という自己卑下ではなくて、「自分がやっているのは音楽を超えた何かなのだ」という意味だと思いたい。

  その「何か」とはいったい何だろう。

  ロック雑誌の記者を主人公にした映画『あの頃、ペニーレインと』には、こんなセリフがある。

「ロックンロールとは何か、説明するのは難しい。誰もうまく説明できてないと思う。……ロックンロールとは生き方だ。考え方なんだ」

 ロックは生き方−−この考え方は僕のような、ロックが死ぬほど好きなのに音楽的才能がこれっぽちもない者を勇気づけてくれる。『あの頃、ペニーレインと』は監督のキャメロン・クロウが若い頃、ロック雑誌『ローリングストーン』の記者だった体験を元にした映画だ。実は僕も大学を出た後、ロック雑誌の編集者をしていた。『ペニーレイン』の主人公は先輩のロック評論家から「ロック・ミュージシャンはカッコいいが、それについて書くだけの僕らはカッコ悪いんだ。それを忘れるな」と釘を刺される。

 わかってるさ。誰よりもロックに憧れるから、誰よりもそんなことは知っている。でも、ロックが音楽ではなくて、生き方なら、僕にもできるはずだ。文章を書くことでも、野菜を作ることでも、学校の先生をすることでもロックできるはずだ。みうらさんに「ロックじゃない!」と言われたビジネスマンでも自分の職場でロックできるはずだ。

 じゃあ、ロックとはどんな生き方で、どんな考え方なんだ?

 映画『スクール・オブ・ロック』で小学校の臨時教員ジャック・ブラックが小学生にロックの精神を教えようとして、こう言う。

「ロックとはStick it to the Manなんだ」

 これは日本語にしにくい。Stick it to とは「突っ張る」こと。逆らい、反抗し、楯突くこと。The Manとは「権力者」を意味するが、具体的な誰かではなく支配的な体制や権威を象徴している。もちろん、そんなことを小学生に言ってもわかりゃしないからジャック・ブラックは苦労する。

 また、アメリカのテレビ討論会で「ヒップホップはロックか否か」が論議された時、ラッパーのアイスTはこのように答えていた。

「ヒップホップにもロックなものとそうでないものがある。個人的にはロックとは不満や苛立ち、怒りの音楽だと思う。3コードのロックンロールでも悩みのないラブソングなら、それはポップスだ」

 ロックンロールの原点は打ちひしがれた黒人たちの悲しみを歌ったブルースだ。それが50年代に若者たちの欲求不満を吸い取ってロックとして爆発した。「彼女が欲しい」「車が欲しい」「大人はわかってくれない」そんな思春期の心の叫びだったロックは、60年代に人種差別やベトナム戦争に対する社会的怒りへと成長した。ロックで世の中が変わる。そう信じられたロック黄金時代だ。はるか昔のことだが。

 では、『ヤング@ハート』のお年寄りたちの心の叫びとは何だろう。老いること、死ぬことだろう。若さと命が永遠でないこと。人生は二度ないこと。それをお年寄りたちは静かに受け入れているかのように見える。しかし、そんな悟りが本当に可能だろうか? 

 かの一休禅師は、正月に浮かれる町に杖の上に髑髏を掲げて現れて「門松は冥土の旅の一里塚、めでたくもありめでたくもなし」と歌い、老いと死は避けられないのだと人々を戒めた。ところが、そんな一休でも最期の言葉は「死にとうない」だったのだ。飲酒、肉食、女犯と浮世の快楽を味わい、あらゆる権威に楯突いて自由奔放に生きて88歳で大往生したくせに、彼は最後まで生きることをあきらめなかった。

 ヤング@ハートのお年寄りたちも、絶対に勝てない老いや死という運命に抗って「フォーエバー・ヤング」「ステイン・アライブ」と歌う。それは思春期の反抗や社会への怒りなど比べ物にならないほどラジカルでパンクだ。一休さんも現代に生きていたらきっとロックを歌っていただろう。

 それでも現実は非情だ。ヤング@ハートの老戦士たちは一人、また一人と倒れていく。病院でロックを歌い続けることで死を蹴散らしたボブさんもついに力尽きた。戦友ボブさんを失ったフレッドさんは、彼とデュエットするはずだったコールド・プレイの『フィックス・ユー』をソロで歌う。その歌詞はもともとラブソングだが、フレッドさんが歌えば、ボブさんら一足先に旅立った仲間たちへの鎮魂歌として天に響く。

  一生懸命頑張ったけど、力及ばなかった

  欲しいものをやっと手に入れたのに、必要なかった

  死ぬほど疲れているのに、眠れない

  何をやっても裏目に出る

  そして涙が君の頬を流れる

  かけがえのないものを失ってしまった

  誰かを愛しても報われなかった

  これ以上の不幸があるだろうか?

  でも、光が君に帰り道を示すだろう

  そして君の骨に命を吹き込むだろう

  僕が君を直してあげるよ

 フレッドさんは幼少期に大恐慌を経験し、二十歳になる頃は兵隊としてイタリアでナチと、フィリピンで日本軍と戦い、敗戦後の日本に進駐した。いくつもの死を見てきただろう。数え切れない友人を失っただろう。志半ばで倒れた人たちも多いだろう。彼らすべてへの思いが、その深く暖かい歌声に込められているようだ。シュッ、シュッという酸素補給機の音までがドラムのブラシ・ストロークのように聴こえて、この「フィクス・ユー」はオリジナルをはるかに超えた、まさに奇跡だ。

 僕ももうすぐ老人になる。その時は何を歌おうか。ああ、マキシマム・ザ・ホルモンの『ぶっ生き返す』がいいな。葬式の時もみんなに歌って欲しいな。

  脳味噌、常に震わせて

  荒々と運命に背く

  もういっそ、俺に生まれたなら

  君をぶっ生き返す

 


D

2008-11-10 ロサンジェルスをLAと呼ぶのは三浦和義のせい?

TomoMachi2008-11-10

http://www.shakaihakun.com/

より唐沢俊一の言葉を引用。

唐沢 実際、黒人もプエルトリコも、ハリウッドの持つオーラに吸い寄せられて、あそこに行けば“夢”が買えるかもしれない、という一億分の一くらいの可能性だけに望みをつないでやってくるんだな。

何が、「実際」だ!

ロサンジェルスに住むヒスパニックはメキシコ系だよ。

プエルトリコ系が住むのはニューヨーク。アメリカの地図、見たことないの?

アイルランドとスコットランドの違いもわからなかった唐沢俊一にプエルトリコとメキシコの違いがわかるはずないか。

これよりもヒドいのはコレ。↓

唐沢 しかし逆に言うと、向こうにとっては、それだけの大物だったってことだよね。今、ロサンザルス(原文ママ)の略称は「LA」ってことになっているけど、あれ、「ロス」っていう略称が“ロス疑惑”を髣髴させて悪いイメージを与えるってことで、観光局が新しく作った略称なんだってね。つまり、三浦和義ってのは、一国の大都市の略称まで変えさせるほどの超大物だったんだ(笑)。


……もう呆れて、言葉がなかなか出ない……。

「作った略称なんだってね」って、作るなよ!

ロサンジェルスは三浦騒ぎ(84年)よりもはるかに前からずっとLAだっての!

映画や歌のセリフにも大昔から「LA」って出て来るよ。

ドアーズの「LAウーマン」は71年のヒット曲だ。

もともとアメリカ人はロサンジェルスのことを「ロス」なんて呼ばないんだよ。

そもそもロサンジェルスが市として発足した時からずっとLAが略称なの。

LAPD(ロサンジェルス市警)って聞いたことないか?


……こんな男の妄言を出版し、物書きとして生活させてしまった編集者たちは社会的責任を取るべきじゃないの?

かくいうオイラもと学会の最初の単行本『トンデモ本の世界』を編集して、ベストセラーにしてしまった。

唐沢はその本には原稿を書いておらず、続編『〜の逆襲』に短い原稿を一本書いただけだが、その後、と学会の代表のような顔をして「トンデモ」を書名につけた本を乱発して生活していった。だから、このネズミ男がウソを撒き散らしている現状にオイラもちっとは責任を感じてるよ。

だから責任取って、ウソとパクリの自称雑学王を信じてしまった哀れな読者のために、その目を開こうとしてしてるわけよ。

まったく、ムジャヒディーンに武器を送ってタリバンを育てちゃって後悔しているアメリカみたいな気分だね。

2008-11-08 アフリカが国だと思っていたペイリンと朝日新聞

サンケイ新聞より

http://sankei.jp.msn.com/world/america/081107/amr0811071144018-n1.htm

米FOXテレビは6日、米大統領選で敗れた共和党マケイン上院議員の陣営関係者の話として、副大統領候補だったアラスカ州知事のサラ・ペイリン氏がアフリカを大陸ではなく国名だと思っていたと伝えた。

 マケイン陣営は「副大統領に不可欠な知識」の欠落に驚き、ペイリン氏の能力に強い懸念を抱いた。

実はブッシュも「アフリカという国」と失言してるんだ。

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また、ペイリンは、北米自由貿易協定(NAFTA)の加盟3カ国(米国、カナダ、メキシコ)を知らなかったというが、ブッシュもソーシャル・セキュリティ(アメリカの公的年金)を知らなかったんだ。二人はよく似てる。


で、このペイリンがアフリカを国だと思っていた件を朝日新聞はどう伝えるだろうか?

というのも、朝日新聞は「アフリカという国」と印刷しているからだ。

『コンゴ・ジャーニー』という本の書評である。

http://book.asahi.com/review/TKY200806170134.html

現代アフリカの混沌(こんとん)を描くために著者が選択した文体と構成は、読みにくいことこのうえない。(中略)その迷彩的文体こそが、アフリカという国をまるごとそのままに描く、最適の文体なのだということに気づかされる。

これを書いた唐沢俊一は

うっかり筆が滑ったんだろうが、その原因は、アフリカを十把ひとからげにし、それぞれの国の個別性を無視する植民地主義的な感覚を無自覚に持っているからだ。

「われわれ文明人」という記述、「アフリカとは混沌だ」という結論部からも書評者の差別意識が匂う。

彼は、おそらく、コンゴの「混沌」が白人による侵略によってもたらされた事実も知らないのだろう。というのも、この書評者はアイルランドが独立国だと知らなかったからだ。

http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20081005


「アフリカという国」なる言葉を通してしまった朝日新聞の校閲にも呆れるが、

「書評委員に不可欠な知識」の欠落した者を、ただ編集部の木元氏(オイラは『トンデモ本の世界』を編集した時に面識がある)の個人的な友人という理由だけで書評委員に採用し、しかも盗作が発覚した後も書評を続けさせた朝日新聞の無責任にはまったく恐れ入る。

2008-11-07 最近、こんな映画のパンフレットに原稿書きました

最近、こんな映画のパンフレットに原稿書きました。

ぜひ、読んでください。


『ヤング@ハート』

11月8日(土)シネカノン有楽町2丁目、渋谷シネ・アミューズ他にて全国ロードショー

http://avex-pix.co.jp/movies/youngatheart.php


『未来を写した子どもたち』

11月22日(土)シネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開.

http://www.mirai-kodomo.net/


『ブラインドネス』

11月22日(土)丸の内プラゼールほか全国ロードショー.

http://blindness.gyao.jp/


『リダクテッド/真実の価値』

現在公開中

http://www.cinemacafe.net/official/redacted/

2008-11-05 やっと夜が明けた

今朝は8年間の夜がやっと明けた気分だ

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「次の大統領は?」

「ぶらっくー!」

「彼の名前は?」

「おばーま!」

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2008-11-04 Finally!

f:id:TomoMachi:20081104214307j:image

2008-11-03 やれば、できる

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クリントン政権が対日貿易赤字是正のための圧力をかけたことが未だにトラウマになって、

「民主党が政権を取ったら日本にまた圧力をかけるぞ」と言い続けている連中がいるけど、いったい何のために?


クリントン政権が日本に圧力をかけたのは、米国内の生産業(特に自動車)を保護するためだった。

当時、日本はアメリカにとって最大の貿易赤字相手国だったからだ。

ところが現在、アメリカの貿易赤字相手国の第一位はダントツで中国なのだ。その額は2位以下とはケタ違いに大きい。

その次はカナダ、メキシコが続く。

日本は第4位である。すでに大きな脅威じゃない。

まず、圧力をかけるべきは中国なのだ。


ブッシュ政権が日本に圧力をかけなかったのは親日だからじゃない。

貿易赤字に関してブッシュは年金問題などと同様にほったらかしていただけだ。

ブッシュは中国に対して何もしなかった。

有害な物質が中国製品から発見されても、何もしなかった。

規制しろと騒いだのは民主党だった。

そしてオバマは対中貿易赤字を是正すると公約している。


その時、日本も標的になるだろうか?

日本は、アメリカの国債を世界一沢山買ってあげてるうえに、

アメリカ国内に自動車工場を持ち、アメリカ人を雇ってアメリカに貢献している。

なにしろ、アメリカでいちばん沢山売れている車はトヨタのカムリだけど、アメリカで作ってるんだよ!いっぽうGMやフォードやクライスラーは工場を人件費が安いメキシコや健保を国が負担してくれるカナダに移している。

だからトヨタ・カムリは本当はアメ車で、フォードやGMやクライスラーの車は今やアメ車ではなくなってきている。

民主党が保護主義を取るのは、工場などで働く労働者を支持基盤としているから、彼らを守るためだ。だったら守るべきはGMよりもカムリの工場ということになる。


かつてはアメリカ人の6人に一人は自動車産業に従事していると言われたが、今はフォードもGMもクライスラーも三社ともすぐにでも潰れそうだ。

もう今さら日本に圧力かけても遅すぎる。


だからむしろ日本には、今の調子でアメリカを支え続けて欲しいわけだ。いや、アメリカの自動車産業を救ってくれと頼んでくるだろう。


「ブッシュは親日」とか言ってた連中は、ブッシュが北朝鮮による拉致問題に結局何もしないまま、北朝鮮をテロ国家指定から外したことをどう思ってるのかな?

2008-11-02 アメリカへの祈り

大統領選挙を火曜日に控え、オバマ候補の応援歌を送ります。

日本語の歌詞字幕がついてます。

 歌うは元ユーリズミックスデイヴ・スチュワート

ゲストはフォレスト・ウィテカーウーピー・ゴールドバーグメイシー・グレイハービー・ハンコック、シンディ・ローパー、パメラ・アンダーソン、バリー・マニロウジョス・ストーンジョーン・バエズマーガレット・チョウセルジオ・メンデス他。

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「疲れ果てた、哀れな、肩を寄せ合う人々を私の元に送りなさい」

 という一節は自由の女神の台座に書いてある詞。

 書いたのはポルトガルから来たユダヤ系移民の娘エマ・ラザラス。

 自由の女神のあるエリス島には移民管理局があり、ロシア、東欧、イタリア、アイルランドなどから船に乗ってやって来た貧しい人々を誰よりも最初に迎えたのが、この自由の女神だった。

 彼らの多くは母国では貧農や小作人で、母国の文字すら読めない人が大半だった。

 エマ・ラザラスのように、差別や虐殺から逃れてきたユダヤ人も多かった。エリス島には移民たちの名前が刻まれており、その中にはスピルバーグ、スコセッシなどの祖父や曾祖父の名前もある。

 

 

 アメリカは、カウボーイハットをかぶって、パスポートを持たず、外国のことにまったく関心がなく、レストラン以外で非白人と会話することもなく、キリスト教以外は悪魔だと信じている「一元的な人々」が大勢いる国でもあるが、自由の女神の下に世界中から集まって来たさまざまな人たちの国でもある。 


 この歌には、「視野の広さは、立つ位置によって変わる(山に登れば遠くまで見える)」など、「山の頂」「立つ位置」という言葉が出てくるが、これは人種の平等を目指したマーティン・ルーサー・キング牧師が1968年4月3日に黒人への弾圧の激しいテネシー州メンフィスで行った演説を受けたものだ。

 この演説の翌日にキング牧師は暗殺された。


他の誰とも同じように私も長く生きたい。長生きにも意味がある。

しかし、私は今、それには関心がない。

私はただ神よりの使命を果たしたいだけだ。

神は私に、山の頂に上ることを許された。

私はそこから世界を見渡した。

そして約束の地を見たのだ。

皆がそこにたどり着くとき、私はいないかもしれない。

しかし、今夜、知って欲しいのだ。

私たちは皆、必ずやその地にたどり着くということを!


この歌の最初の歌詞「This is the time to finish what you started.And this is no time to dream(今こそ、あなたが始めたことを完成させる時です。もう夢見ている時ではありません)」のYou(あなた)とはキング牧師のこと。キング牧師は「人々が人種や民族ではなく、その人格によって評価される日が来ることを夢見ている」と演説したが、それを夢ではなく、現実にしようと歌っているのだ。


オバマ候補の演説より

私はケニアから来た黒人の父と、カンザスから来た白人の母の息子です。

私を育ててくれた母方の祖父は、大恐慌を生き抜き、パットン将軍の下でヨーロッパ戦線を戦いました。彼が戦場にいる間、祖母はリーヴェンワースの爆弾工場でアメリカのために働いていました。

私はアメリカの中でも最も優秀な大学で学業を修めましたが、世界でも最も貧しかった国の一つで少年時代を送りました。

私は奴隷の血と奴隷主の血を継ぐ女性と結婚し、私たちの血を二人の大事な娘に引き継ぎました。

私の兄弟は、姉妹は、姪や甥や、叔父や叔母は、あらゆる人種、あらゆる肌の色で、三つの大陸に住んでいます。

そして、私は、生きている限り決して忘れません。

私のような者が大統領候補になれるのは、アメリカだけだということを。