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映画評論家町山智浩アメリカ日記

町山智浩の映画解説リストです。
現在約800本の映画が50音順に整理され、解説へのリンクが貼られています。
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ロフトプラスワンでタランティーノと公開飲み会(無修正)

2011-01-31 もう観ちゃった人のための『ソーシャル・ネットワーク』

ポッドキャスト「町山智浩のアメリカ映画特電」更新しました。

http://enterjam.com/?eid=1760#sequel

「もう観た人のための『ソーシャル・ネットワーク』」と題して、『ソーシャル・ネットワーク』についてエンディングまで含めて話しました。

ソーシャル・ネットワーク』って『グレート・ギャツビー』や『ビューティフル・マインド』にも似てますね。

ショーン・パーカー逮捕のくだりについて、ポッドキャストで話した後、もう一度観て確認したことがあるので、間違いの修正を含めて以下に追加修正します。(白文字です)

「最高責任者はオレだよ、ビッチ!」と書いた名刺を見つめるシーンのマークは複雑な表情で、それの意味するところは判別不能ですね。ポッドキャストでは僕は「ニヤっと笑う」とか「満足そう」とか言ったと思いますが、見直すと、決してそうではありません。では、この表情は何でしょう?

 遡って見直してみます。

 この映画では、パーカーを密告したのは、マークであることを暗示しています。

 まず、カードをブロックしたエドゥアルドにマークが電話して死に物狂いで「早く西海岸に来い!」と叫んだ後、ふとマークが振り向くと、パーカーが脳天気にバカ騒ぎしています。マークは、会社の存亡の危機だってのにパーカーは何遊んでやがるんだこの野郎といった表情でそれを見ます。マークの表情はわかりにくいですが、それは最高フラタニティのフェニックスの試験に通ったエデュアルドを見たマークの表情と似ています。

 エデュアルドをフェイスブックから追い出した後、マークはパーカーを「エデュアルドにあんなに酷くあたることはなかった」と責めますが、パーカーはフェイスブックの加入者が百万人を超えて浮かれるばかり。それを見ながら、マークはまた暗い表情を浮かべます。そして彼の視線は右に左に落ち着きなく揺れ動きます。彼は何かを迷っています。実は視線の先、彼の右手には黒い電話があります。

 迷った末にマークは何かを決意したように、何かの行動に出ますが、彼の体が動き始めた瞬間にカットは切れます。

 マークはパーカーに言われたとおりの名刺を作るが、それをなぜかパーカーに見せません。遊び人で役に立たないパーカーを切らないとならないと思っていたからでしょう。

 パーカーを逮捕する警察官が「パーティは終わりだ!」と叫ぶのが象徴的です。

 パーカーが警察から電話したとき、それを受けるマークはその電話を待っていたようです。電話の後、マークは深いため息をつきます。辛いけれど、しなければならない仕事をやり終えた後のように。

 そして例の名刺を見つめます。その表情は、頂点に上り詰めたことを自己確認しながらも、「自分に仕事を教えてくれた人を、切り捨ててしまった」という後悔も感じているのでしょう。名刺をわずかに握りつぶします。

 ラシンダ・ジョーンズ扮する弁護士は「パーカーを警察に通報したのはあなたじゃないの?」と疑い、マークは何も答えません。ラシンダは、観客の視点を代表し、観客に物語の見方をガイドするためのツールとして存在するので、彼女が疑うのは、「マークが密告した可能性もありますよ」という観客に対する示唆です。