Hatena::ブログ(Diary)

映画評論家町山智浩アメリカ日記


音声ファイルの有料ダウンロード「町山智浩の映画ムダ話」。
庵野秀明総監督『シン・ゴジラ』について。

告知やリクエストの受け付けはツイッターhttp://twitter.com/@info_tomomachiで。



映画秘宝連載中の「男の子映画道場」が単行本になりました。
「狼たちは天使の匂い 我が偏愛のアクション映画」です。


町山智浩の映画解説リストです。
現在約800本の映画が50音順に整理され、解説へのリンクが貼られています。
お探しの映画解説はたいていここで見つかると思います。


週刊文春の連載「言霊USA」はオンラインで読めます。

もうじき連載100回になるサイゾーのコラム『映画がわかるアメリカがわかる』はここで読めます。


町山智浩のWOWOW映画塾がスマホのアプリになりました!
iPhone版 Android版


町山智浩のWOWOW映画塾、YouTubeで観られます!

町山智浩の映画塾2(101〜200)

町山智浩の映画塾3(201〜)


集英社WEB連載「町山智浩の深読みシネガイド」



TBSラジオ『たまむすび』に毎週火曜日午後3時から出演中です。


過去のたまむすび

「キラ☆キラ」はYouTubeに残ってます

ポッドキャスト「町山智浩のアメリカ映画特電」は復活しました!
特電ポッドキャストVol.1〜67
Vol.68〜80
Vol.81〜95

ロフトプラスワンでタランティーノと公開飲み会(無修正)

2015-07-28 進撃の巨人』前編レファレンス

『激動の昭和史 沖縄決戦』

D

ジャン・ジャック・アノー『スターリングラード

D

アンジェイ・ワイダ『地下水道』57年

D

ポール・バーホーベン『スターシップ・トルーパーズ』

D

『橋』59年

D

シン・レッド・ライン

D

富野由悠季『小説版:機動戦士ガンダム』〈1〉

機動戦士ガンダム〈1〉 (角川文庫―スニーカー文庫)

機動戦士ガンダム〈1〉 (角川文庫―スニーカー文庫)

『炎628』

D

それでも夜は明ける

D

五社英雄『肉体の門』77年

D

工藤栄一十三人の刺客

D

石井輝夫『恐怖奇形人間

D

中川信夫『地獄』

D

ヒエロニムス・ボッシュ地獄絵図

D

『フランケンシュタイン対地底怪獣』

D

がんばれ!ベアーズ

D

『怒りの荒野』

D

ファイト・クラブ』99年

D

『劇場版 虫皇帝

D

スキータ・デイヴィス「この世の果てまで」

D

2015-07-26 樋口真嗣監督『進撃の巨人』を語る

D

TBSラジオ「セッション22」、「進撃の巨人 ATACK ON TITAN」の樋口真嗣監督×切通理作×倉敷保雄「今こそ語ろう、特撮の魅力!」

2015-07-21 町山智浩、実写版「進撃の巨人」を語る

f:id:TomoMachi:20150720115944j:image:w360:left

7月21日発売の映画秘宝9月号では、私、町山智浩が実写版『進撃の巨人』についてインタビューを受けています。

脚本に参加したいきさつ、原作から設定を変更した理由、脚本を作る過程などについて詳しく話しています。

また、同日午後3時からのTBSラジオたまむすびでも実写版『進撃の巨人』の原作からの変更のいきさつについて語ります。

D

映画秘宝 2015年 09 月号 [雑誌]

映画秘宝 2015年 09 月号 [雑誌]

2015-07-20 キネマ旬報で「進撃の巨人」特集

f:id:TomoMachi:20150719234850j:image:w360:left

キネマ旬報 2015年8月上旬号 No.1694

定価850円+税

【巻頭特集】

スクリーンを喰い尽くす新たな物語 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」

スペシャルグラビア 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」ラフコンテ

川窪慎太郎[『進撃の巨人』担当編集者] その世界が生まれるまで Text by くれい響

破格のヒットを導いた独特の世界観 Text by 氷川竜介

佐藤善宏[プロデューサー] 実写映画化への道程 Text by くれい響

樋口真嗣[監督] 受け継がれた「ゴジラ」の遺伝子 Text by 岡粼優子

尾上克郎[特撮監督] 新旧技術のハイブリット戦術 Text by 白石雅彦

西村喜廣[特殊造型プロデューサー] 巨人と立体機動の制作舞台裏 Text by 岡粼優子

作品評 怖さが躍るモーション・ピクチャー的饗宴 Text by 樋口尚文

2015-06-30 たまむすびで『テッド2』について

f:id:TomoMachi:20150630112712j:image:w360:left

TBSラジオ「たまむすび」で『テッド2』について話しました。

ついでに『マッドマックス 怒りのデスロード』や『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』、『ジュラシック・ワールド』、それに実写版『進撃の巨人』についても語ってます。

D

2014-09-07 「原作と違う!」と怒る人が多いけど

f:id:TomoMachi:20140907103115j:image:w360:left

音声ファイル有料ダウンロード「町山智浩の映画ムダ話」、今回は「映画と原作の関係について考えた」と題して、いろんな原作つき映画について話しています。

https://tomomachi.stores.jp/#!/items/540b9d6186b1885d1d000bf8

公開中の『ルパン3世』は「元のアニメと違う!」と怒っている人が多いが、『ホットロード』は原作にものすごく忠実だから、その点で文句を言うひとはいない。でも、文句どころか誰も何の反応もしない。論議も呼ばずにほとんどスルー。これはどういうことか。

映画にとって原作に忠実であることは作品の質や興行にとってどれほど重要なのか?

『ブレードランナー』は原作とまるで違うが、違う点こそがこの映画を傑作にした。

ということで、『羊たちの沈黙』『スターシップトルーパーズ』『博士の異常な愛情』『フォレスト・ガンプ』『ダイ・ハード』『ザ・ミスト』『シャイニング』『ドライヴ』『ブロークバック・マウンテン』『進撃の巨人』などの原作と映画化との関係についてしゃべり倒しました。55分で200円です。

クレジットカードがなくても、コンビニでバニラVISAカードを買えば使えます。http://vanilla-online.jp/

また、auウォレットでも買えるそうです。


町山智浩の映画ムダ話」購入確認メールが届かない場合、以下の原因が考えられます。迷惑メールに入っている。メールの設定でURL添付メールの受信を拒否している。ウェブメール等を拒否する設定にしている。メールアドレスが間違っている。確認してください。以上の場合、問い合わせに対する返信メールも届きません。

2011-04-20 進撃の巨人」の諌山創先生×町山智浩、対談!

映画秘宝6月号は木曜日発売です!

映画秘宝 2011年 06月号 [雑誌]

映画秘宝 2011年 06月号 [雑誌]

オイラ、町山智浩は、4つのページやってます。

USAレポートでは『ポール』。『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』のサイモン・ペッグとニック・フロストのコンビによるスピルバーグ・リスペクトの超感動作!

特集「観れば絶対元気が出る不屈の映画150」で、「ギャラクシー・クエスト」「ファイト・クラブ」「ロッキー」「遠い空の向こうに」「ルディ奇跡のウィニングラン」「愛しのローズマリー」「スター・ウォーズ」など10本くらい紹介

連載の「男の子映画道場」、今回は『ダーティ・エディ/狼のシンジケート』(原題『エディ・コイルの友達』)。ベン・アフレックが『ザ・タウン』で参考にしたボストンのアイリッシュ・ギャングを描いたフィルムノワール。先日亡くなったピーター・イエーツ監督の厳しい厳しい映画です。

そして「進撃の巨人」の諫山創先生と対談。

彼はブログで前から、オイラのことを書いてくれていたのでした。

http://blog.livedoor.jp/isayamahazime/archives/1137082.html

諫山 今回の話が来たときに、「町山さんは僕なんかに興味ないだろう」と思ったんですが。

町山 いやいや全然! 『別冊少年マガジン』は創刊号から読んでるんですよ。『進撃の巨人』、すごく売れてるみたいですね。

諫山 もう、おかげさまで。はい。

町山 他の取材でも聞かれてると思いますが、今回の地震は何か影響ありますか?

諫山 作品内容には影響はないと思います。

町山 地震そのものについてはどう感じました?

諫山 ブログにも書いたんですけど、一番大きかったのは原発問題で、「放射能が飛んでくる」とか「石油コンビナートから有害な物質が飛んでくる」とか、チェーンメールが出回りまして、姉と妹がパニくって、妹がガムテープでドアとか換気扇をふさいだりしてました。水にヨウ素が含まれてる話が出た時も、アシスタントさんがニュース聞いた瞬間「水買ってきていいですか?」って感じになって。そのたびに自分は、「何を大げさな事を言ってるんだろう」と思ってたんですけど、後になって基準値を越えた水道が他のところであったけど報告されなかったとか、テレビで報道されているのが全てとは限らないじゃないですか。自分は「壁なんて破られるわけないよ」とタカをくくってたひとりだなって感じましたね。

町山 連載始まったあたりで「100年間壁が破られなかったから、永遠に破られないような気がしてる人たち」が出てきますけど、あれなんかは地震の感覚に近いですよね。

諫山 そうですね。宮城沖はいつか起きると言われてたみたいですもんね。地震の直後にカメラを回してた親子が「これ宮城沖に違いない」って話したりしてましたね。

町山 『進撃の巨人』は「これだけ絶望的な状況を描くマンガは他にない」と言われましたが、今まさにそういうことが起こったんですよね。原発だってM9の地震なんか絶対ありえないって言ってたら起きたわけですよね。

諫山 そうですね。相手が人間じゃなくてもまったく無意味に殺されることってあるんですよね。あの日は家にいたんで、テレビでずっと見てたんです。同時にニコ動の実況をつけてたんですけど、画面が全部「アーーーーーーー」で埋まってて。高速道路が飲み込まれたりしてるのをみて、「これはもう何千何万の人が死ぬ」ってわかったときの鳥肌が……。

町山 この震災は作品に影響が出るでしょう?

諫山 そうですけど、いくら漫画の上に絶望を描いても「何がわかるんだ俺に?」っていう感じがあって。実際被災にもあってないし。当日は熱にうなされてテレビつけて寝てたんですけど、その時見た夢は、望月峯太郎さんの『ドラゴンヘッド』的な寂しさを感じましたね。明日がどうなるかわからない。「これでもう普通の生活には戻れないのかな?」って。「昔はよかったな」って思ってるのが寂しかったですね。

町山 この震災を現地やテレビで体験した子どもたちはこれから先もずっと不安で、世界はいつまでも安全じゃないっていう基本認識で育つんだろうな。

諫山 そうですね。ただ、あまり自分のとは繋げたくない思いがありますね。人生経験のない24載のガキが、こんな規模の大きな状況に繋がると思うと罪悪感を感じますね。

町山 24!? 若い!

諫山 努力をまったくしてない人が、努力してる人に比べて報われるっていうのは……悪役じゃないですか、僕。町山さんの『BECK』評を『タマフル』で聴いて、「自分は悪役だな」と。

町山 売れちゃったから? 「30過ぎても売れなくて」みたいな人に比べると?

諫山 はい。「辛くてゲロ吐いてる」とかいう話を聞くと、「俺ゲロ吐いてないな……」と。

町山 デビューのときに描いた漫画は『進撃の巨人』の原型ですか?

諫山 そうです。タイトルも同じで、2巻の「主人公が実は巨人でした」ってところまでを45ページに入れた感じでした。

町山 人間を襲ってた巨人が実は主人公だったの?

諫山 いえ、巨人の力を得たっていう「能力もの」ですね。それで主人公が死んで、後継者が頑張る姿で終わるっていう内容でした。巨人になる方法がわかった、みたいな。それで『進撃の巨人』は2巻で主人公が巨人になることに対する反発って言うか、人間が頑張って勝つんじゃないのかよ、才能オチの話かよっていう批判がネットに出たんです。例えば『寄生獣』の岩明均先生とか、『アイアムアヒーロー』の花沢健吾先生なら、人間が巨人に勝てると思うんですよ。でも自分は向いてないなって思います。計算とかできないんですよ。岩明先生の『ヒストリエ』とか凄いじゃないですか。あれ読んでめっちゃ恥ずかしくなりました。いろんな武器を作って勝てるじゃん!って。そこで僕はその方向でやっても人並み以上のものを作れる気がしなかったんです。それより中二的といいますか、感性でガーッとやるほうが向いてますね。

町山 知恵で巨人を倒す作戦を考えないんですか?

諫山 考えるんですけど、頭が霞かかったように深く考えられないんです。これは弱点を突いて闘うわけにはいかないっていう自分の判断を信じてます。

町山 連載始める段階で、結末のプランはあったんですか?

諫山 そうですね。「実は……」みたいな話なんで、そんな珍しくはないですけど……。

町山 言わなくていいです! ファンもまだ先を聞きたくないですよ(笑)。

◎敢えて「反マーケティング」路線を選んで

町山 子供の頃はどんな漫画を読んでました?

諫山 『おとぼけ課長』とか。

町山 なにそれ!? 知らない(笑)

諫山 植田まさしさんの漫画です。

町山 好きな作品や、好きな漫画は?

諫山 いっぱいあります。皆川亮二先生の『ARMS』とか、小学校の頃に『ワンピース』とか。それと同時に小学校に『はだしのゲン』があってトラウマになりました。

町山 『はだしのゲン』、『少年ジャンプ』で連載してたんですよ。『ハレンチ学園』目当てで読むと、『はだしのゲン』がついてくる。怖いけど、ゲンが痛快だから連載時も人気あったんだよね。

諫山 それから『ジョジョ』シリーズ。小学校当時は「『ジョジョ』を嫌うやつはわかってない」みたいな風潮がありましたね。中学の頃、「漫画ってこんな面白いのか!」と思ったのが『ARMS』ですね。中二病漫画の金字塔といいますか。

町山 漫画家になろうと思ったのは『ARMS』の影響?

諫山 きっかけは憶えてないんですけど、なんとなくクラスがみんな「もし漫画家になったら……」って、かなりの割合で中学あたりまで言ってたんですよ。漠然とその頃みんなが「漫画家になる」って思ってたんですよね。でも高校になるにつれ、ひとりふたりと減っていく。そこで自分はそれまで教科書の空欄に描いてたんですけど、本格的に落書きするようになりました。

町山 教科書の余白に(笑)。それでデザインスクールに進んだんですよね?

諫山 はい。漫画家になるって親に言えなくて、インダストリアル・デザインをやるって総合デザイン学科に行かせてもらったんですけど、すぐ漫画学科に転入しました。

町山 新人賞への応募作は何本くらい描いたんですか?

諫山 高校の頃に『ジャンプ』に投稿したのがひとつと、専門学校の時にふたつですね。そのうちのひとつが19歳のときに月刊マガジンのMGPって賞で佳作をとりまして、それが上京するきっかけです。それから新人賞取るまで2年ぐらいですかね。ネームやって描きなおしてって日々ですけど、周りの苦労と比べれば全然です。

町山 ラッキーすぎて申し訳ない気がするんですね(笑)。

諫山 そうですね。

町山 でも『進撃の巨人』は『別冊マガジン』創刊号で一番異質でしたよ。押見修造さんの『悪の華』と並んで、とにかく目立っていた。押見さん、諫山さん、あと『バニラスパイダー』以外ははっきり言ってどれも萌え系のアニメ絵のマンガばかりで似たような印象。でもこの3つはどこにもないマンガだった。これが売れるって、世の中の読者もわかってる人はいるんだね。

諫山 そのへんは予想できなかったです。頭が良いとそのへんを計算して成功例に基づくものとしてやると思うんですけど、ちょっと僕はバカなんでバカがゆえに描いている感じです。連載が決まったって話をもらったときも2分ぐらい「やった!」って気持ちだったんですけど、2分過ぎたら「俺ヤベぇぞ。商業的な漫画が描けるか? ヤバイぞ!」って思って、まず考えたのが「どんな卑怯な手を使っても連載を続ける」っていうことでした。誰もやっていないことをやろう、と。何かの二番煎じじゃとてもじゃないけど太刀打ちできない。

町山 それはマーケティングでマンガを描けないってことですね。でもマーケティングじゃオリジナルなものは絶対出てこないから。売れる要素だけを集めて、例えば主人公を萌えキャラにして、話はロールプレイングゲームにしてって感じで漫画を作るでしょ? なんとか商品化したい、儲けたい! って意向で作られる漫画が非常に多い。でもやっぱり本当の大ヒット作はそこからは出ない。「どんな卑怯な手でも使う」って言ったけど、たとえばどんな?(笑)

諫山 主人公が死ぬとか、1巻で人類が巨人に勝つシーンを絶対入れないとか、展開をバカみたいに急にするとか、キャラの彫り下げをやらないとかいっぱいあります。

町山 キャラの掘り下げをやらない、って?

諫山 魅力的なキャラクターを描くのに自信がなかったってことなんですが、すごい出来事が起きても感情移入できないっていう理屈です。それは早々に諦めましたね。仲間が死んだりするけど、そのキャラクターを掘り下げるのも1巻の間では無理だから、いっそ省きました。

町山 ファンタジーものって、普通は夢が叶う世界を作るでしょ?たとえば「魔法があったらいい」「動物が喋る」「人間が空を飛ぶ世界がいい」とか。自分の欲望が叶う世界を創造する。でも『進撃の巨人』は真逆で、不自由な世界を創造した。主人公たちの能力は限定されていて、最悪の状況から始まる。読者の欲望を刺激するのとは逆方向ですよね。

諫山 そうですね。まず巨人っていうモンスターを思いついたんですけど、それを最大限生かせる世界観を考えたんです。最初は舞台設定を現代の荒廃した世界にすると面白いと思ったんですけど、自分の画力と相談してみると、ちょっと現実世界を描写することは出来ないし、頭も良くないからファンタジーに逃げました。

町山 現代よりもテクノロジーや産業が退化した世界が舞台で、巨人が現れてどんどん文明が滅んでしまったように見える。

諫山 そうです。現代だと巨人に勝つ武器がある。だから創作上の「逃げ」ですね。

町山 テクノロジーを劣化させて、主人公たちにとって絶望的な状況にした。それだけでなく閉塞的な状況でもある。逃げ場もなく、閉じ込められている。普通イヤなものって想像しないですよね。ファンタジー漫画は特にそうですけど、この閉塞感には何か欲望があるんですか?

諫山 今まで言ってなかったんですけど……町山さんは今まで「ものを作るうえで元ネタがあったら言わないと失礼だ」って言ってたじゃないですか。『進撃の巨人』はゲームが参考になってるとは言ってたんですけど、タイトルまでは言わなかったんです。でも今日は嘘つけないので、元ネタを言います。追い込まれた人類って『マブラブ・オルタナティブ』ってエロゲーなんですよ。

町山 エロゲー!?

諫山 宇宙人に追い込まれた人類がロボットで闘う内容で、モンスターで「何メートル級」みたいな設定があって、これが実際の現代の世界でユーラシア大陸からどんどん占拠されていって、日本が最前線になるってものなんですけど、これが元ネタです。

町山 (分厚い設定本を見て)これ全部読まなきゃならないの!? (読んでみる)これのどこがエロゲーなんですか!? 

諫山 僕だけじゃなく、かなりヒットしたゲームなんです。18禁になったんです。グロ描写があるから。

町山 エロじゃなくて?

諫山 はい。ゲームの作り手に「殺される!」と思ったはじめての経験だったんです。パソコンの画面で、主人公視点で映像を見ながら進めていく形式のゲームなんですけど、主人公が初陣で失敗して、上官の美少女キャラに後ろから励ましてもらうんです。「私も最初は漏らした」って。で、振り返るとその上官が上あごから上をかじられてて、舌がべローンってなっていて。現実とゲームの境目が一瞬わからなくなって、「うわっ、壊される!」と思ってゲームを1回閉じたほどでした。それが本当に衝撃でしたね。なので『進撃の巨人』の元ネタはコレです(笑)。

町山 影響されたものを言っておくと、その作者と知り合いになれたりするからどんどん言ったほうが良いね。で、「これが俺の描きたい世界だ」って思ったわけ?

諫山 『ミスト』のラストとか、襲う側にいたいんです。オバケ屋敷の脅かす役のほうがやりたいんですね。

町山 主人公のエレンに自分は投影されてないんですか?

諫山 最初は投影されていなくて、物語を進めるためだけの記号的な「塀の外に行きたい」とか言ってるキャラクターでした。僕自身引きこもりだし、外なんか行きたくないんですけど(笑)。4巻の冒頭で、主人公の内的動機と自分のそれがやっと被さった感じです。外に行きたいんじゃなくて、自分をがんじがらめに抑圧するものと戦うんだっていう動機で、命賭けてでもやるっていう。それは自分の中にもあるかな? って。

町山 エレンは主人公にしてはかなり暗い性格ですね。

諫山 そうですね。夢とか希望とか単純なポジティブにはしたくなかったですね。

町山 巨人を倒すことにものすごい執着して、逃げる人を許せないし、孤立も恐れない。

諫山 自分が普段読むのは『シグルイ』とかだったんで、マイノリティの主人公が普通だったのかもしれませんね(笑)。

◎『男組』と『スターシップ・トゥルーパーズ』

町山 いまの漫画で絶望的な状況を描いた作品は珍しかった。そこに今回の地震、津波で、どうにもならないものが世の中にあることを皆がリアルに体験した。僕はネットを見ていて「試されてるなあ」と思ったんです。ある程度知られている文化人や評論家が、放射能が来るとか略奪が起こってるとか、水が危ないとか、東京から逃げ出すとか、ビビリ丸出しのツィートをしたり流言を拡散させたりしてた。40年以上生きててそんなに死ぬのが怖いのか? みっともないったらありゃしない。それはさておき、『進撃の巨人』は登場人物たちを徹底的に試すでしょう? 巨人を見て恐怖のあまり謝ってしまったり、逃げることばかり考える奴らが出てきたりして、巨人の出現によって人間の本性が暴かれる。それてまさに今の状況だなあと。『進撃の巨人』は『男組』以来ひさびさの「闘うことについての話」ですね。

諫山 『魁!男塾』ではないんですか?

町山 それはギャグ漫画(笑)。『男組』は、高校生が空手で革命を起こそうとする話(笑)ですけどセリフが超泣けるんです。「今、戦うことが大事なんだ。今、戦わない奴が後で戦うはずがない!」とかね。 

諫山 よくネットで、「昔の漫画はもっと過激なものがあった」と言われてたりするんですけど、本当にそうなんですね。

町山 『進撃の巨人』は昔の過激だった漫画を思い出させますね。それと、さっき元ネタであげられた『マブラブ・オルタナティブ』は『スターシップ・トゥルーパーズ』の影響を受けてると思いました。

諫山 それ、宇宙人に攻められる話ですか?

町山 気持ち悪い虫軍団に襲われる話です。原作はパワードスーツに乗って闘うんですよ。それが流れ流れていつの間にかガンダムになったんです。その映画版がゲロゲロでグチャグチャ(笑)。あれも絶望的状況なんだけれど、軍隊描写が凄いんです。だから『進撃の巨人』は『スターシップ・トゥルーパーズ』の影響を受けてるのかな?って思ったんですよ。

諫山 僕が「恥ずかしい」って思うのはそこなんです。詳しい人が見たら軍隊をよく知らないまま描いてるのがバレバレ。

町山 いや、よく出来てると思いました。まだ読まれていないなら原作は『宇宙の戦士』という題で出ているのでぜひ読んでください。『プライベート・ライアン』はご覧になりましたか?

諫山 はい。

町山 あの映画に出て来る気弱な兵士のアパムをどう思われますか?

諫山 もうちょっと頑張れよ!みたいな感想がありますけど、もどかしいって言うか。けれど自分なら行けないかなって。田舎で川に飛び込む度胸試しがあったんですけど、僕は行けない派でした(笑)。こんなの飛べても何も偉くない! みたいに思っていたんです。今となっては行けなかったことに後悔してて、あの時やってたらもっといい大人になってたんじゃないかと思います。

町山 でも、その時、行けてたらそのこと忘れてますよ。あの時自分を守ろうとしてしまった屈辱があるから、今度そういうことがあったら迷わず行くぞ!って。僕もそうですよ。子どもの頃闘えなかったことが原罪となって、「意地でも負けないぞ!」って心に誓う。『進撃の巨人』にはそういうヒリヒリした感じがある。みんな何の疑問もなく闘うんじゃなくて、本当は闘いたくない。無理やり闘志を起こして闘ってるじゃないですか。そのヒリヒリした感じが他の漫画にない良さですよ。

諫山 リア充じゃなくてよかった(笑)。

◎犬より意志の疎通ができない人間が怖い

町山 巨人の気持ち悪さは才能だと思いますよ。特に目の純粋無垢な感じ(笑)。

諫山 怖いモンスターを描こうとすると「怖いぞ!」っていう風に目が凶悪になったりしますよね。でもそれは怖い記号というか、わかりやすい怖さですよね。でもあどけなくすると何をやろうとしてるのかわからない。何を考えてるのかわからない。

町山 あれ、気持ち悪いよ! どうやって生まれたの?

諫山 巨人をどうやったら気持ち悪くなるのか、こうやったらいいんじゃないかっていうのがわかる気がして、そこにすがってたんです。僕の実体験からで、上京して池袋の深夜のネットカフェでバイトしてたんですけど、『池袋ウエストゲートパーク』みたいなチェケラッチョみたいな威勢のいい若い男性が酔っ払ってくるんですよ。「会員証ありますか?」って聞いてもまったく会話が通じなくて、コミュニケーションが取れない。そのときの恐怖っていうか、犬より意思の疎通がとれない人間のほうが怖いっていうのがありまして、その怖さですね。

町山 犬より意思の疎通ができない人間(笑)。『進撃の巨人』以外に描きたい漫画ってあります?

諫山 ロボットものですね。最近格闘技が好きになって、「これは一番高性能なロボットだな」って思ったんです。高校のとき考えてた話は、ロボットに脳みそだけが入れ替わって変身するみたいなサイボーグになるっていう話を考えたことがあります。

町山 生死を賭けた戦いじゃなくて、格闘技の試合で?

諫山 無理やり格闘技をせざる得ない状況に。そういう世界観ですね。

町山 『進撃の巨人』は人気がある限りは続けますよね?

諫山 いや、実はこうでした……っていうのを明かしたらすぐ終わるべきだと思いますね。

町山 ところで4巻の表紙はかっこいいですね。少年漫画らしい。でもこれまでの気持ち悪い表紙はあれでよく売れたよね(笑)。

諫山 そうですよね(笑)。でもそうすべきだと思いましたね。閉塞感みたいなのがあって、地震が起こるまではパンクロック気分で「ぶっ壊すんだ!」っていうのがあったんです。逆に町山さんに質問したいんですけど、神聖かまってちゃんってどう思います?

町山 好きですよ。YouTubeで聞いてます。「ロックンロールは鳴り止まないっ」とかテクニックじゃないよっていうところとかね。

諫山 神聖かまってちゃんのボーカルのの子は、実際精神に境界性人格障害があって、でもロックに出会って救われたんです。町山さんは神聖かまってちゃんから感じるものはありますか?

町山 原点回帰って周期的に出てくるんですよ。かつてロックの技術が高度化してフュージョンが出て来た時にパンクが出て来たように。技術が高度化するほどロックの本質から離れてしまうから、戻しをかけるんですね。

町山 ところで今彼女います?

諫山 いません。パソコンの画面から出てこないですね。

町山 好きなアイドルはいます? これって、漫画家の方に聞くと面白いんだよ。新井英樹さんに聞いたら「裕木奈江が好き」たしかに裕木奈江そっくりのキャラが作品に出てるんですよ。あと、花沢健吾さんは「蒼井優」とか。

諫山 最近見つけたのが『スーパーモーニング』のスポーツコーナーにちょろっと出るアナウンサーの唐橋ユミさんです。

町山 そんなピンポイント(笑)!

諫山 見たらきっと「あ」って思いますよ。この人が好きだってことは、こいつはボンクラだなって(笑)。

町山 好きな映画はありますか?

諫山 やっぱ最近だと『第九地区』とか。

町山 まさに『進撃の巨人』ですよね。主人公が怪物になっちゃう。

諫山 あと『クローバーフィールド』ですね。

町山 徹底的に蹂躙されるのが好きなんだ(笑)

諫山 怪物が出る前、自由の女神の頭が飛んできた後の雰囲気って言うんですかね、今回の震災でも感じたんですけど、道端のおっさんも、おばさんも、どこに行けば助かるかわからない、みんなここにいたら命が危険か安全かわからないっていう雰囲気が好きですね。それから『冷たい熱帯魚』も観ました。観終わった後でハァハァって息が……まさにジャパニーズ・ジョーカー(笑)。高橋ヨシキさんとか普段映画について書いてる人が映画を作るとすごいものが出来たってことは、町山さんが作ったらどうなるんだ? って思いました。

町山 僕は怖い映画は作れないですよ。怖がりだから。

諫山 町山さんは漫画家を目指してた頃は自分のタッチがなくて諦めたんですって?

町山 そうです。望月三起也が大好きで真似したりしてましたね。同人誌でアニパロばかり描いてました。

諫山 映画を観て「自分ならこうする」とか、ありますか?

町山 どんどん興味が変わっていきますね。歳取ってくるとアクションに興味なくなって、人間ドラマのほうに向いてくる。今一番興味あるのは夫婦を描いた映画。この年になってやっと男女の心の関係にやっと興味が出て来た。エレンがミカサの恋心に全然反応しないのは、どうしてですか? やはり恋愛経験の少なさのせいですか?

諫山 非常に希薄なことが透けて見えると思うんですが(笑)。それで救われたのが二瓶勉さんにお会いしたとき、「人間と石ころの違いがわからない」って言われたんですよ。「あぁ、俺は二瓶先生にはなれるかもしれない!」って希望でしたね。僕は人間らしさがすごい低い人間だと思うのでそのへんが不安だったんです。

町山 でも『進撃の巨人』では人間の痛みがよく描けてますよ。

諫山 嬉しいです。神様にそう言って貰えると(笑)。

町山 そんなんじゃねえよ!(笑)ともかく、『男組』はぜひ読んでいただきたい。あと、黒澤明の『七人の侍』は宿題だ!