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Toshikun’s Diary

2013-04-13

各地で救急が崩壊しているが、その中に「旧人類」の問題も見え隠れ

最近は、有料サイトでないと新聞記事の全文にアクセス出来ないところばかりとなっており、この記事についても、なかなか全文をあたることができませんでしたが、ようやく見つけました。

救急救命医、1年間で10人退職 大阪近大付属病院

2013年4月10日 朝日新聞

 【阿久沢悦子】府南部の救急医療の要、近畿大学医学部付属病院(大阪狭山市)で、主に夜間や休日の診療を担う「救急総合診療センター」のER(救急救命室)専属医10人がこの1年間に相次いで退職し、事実上、不在となっている。最初に搬送者の増加や初期救急に対する考え方の違いなどで医師が半減し、残った医師も負担増となり退職した。後任確保のめどは立っておらず、病院は「当面は看護師が患者を症状によりふるいわけて、当直の専門科につなぐ体制をとる」としている。

 近大病院が「救急総合診療センター」を立ち上げたのは2012年1月。それまでは、重症患者をみる3次救急と、中等症の心筋梗塞(こうそく)や脳出血の搬送を受ける2次救急を担っていた。

 しかし、地域の開業医高齢化医師不足から、休日診療所が夜間や土曜の診療を相次いでやめ、大学病院に軽症患者が搬送されるケースが増加した。

 「救急総合診療センター」はそのニーズに応えるもの。13年12月には病院の敷地内に災害救急センターを開設予定で、1〜3次の救急をすべて担う計画という。

 救急総合診療センターでは当初、救急医11人がローテーションで当直し、診断や初期治療を行い、必要があれば内科、外科など27の専門診療科の当直医につないでいた。ところが、12年4月にかかりつけ患者の救急受付を始めたところ、自家用車や徒歩で来院する軽症患者が増え、患者数が月約50人増の250〜300人となった。

 同病院によると、ER医の中に、外科的な処置もするか、軽症患者を総合的に見るか、という路線の違いもあり、9月までに5人が退職した。その後は若手医師が月10回の当直を担うなどしたが、負担感が増し、主任教授以外は全員退職に至ったという。

 こうしたことから、病院側では84人の研修医が3人チームで当直を組み、初期診療を担おうとした。だが、カリキュラム救急当直を前提に作られていないことなどから、今年度は研修医の活用を当面、見合わせ、看護師によるふるいわけで対応することにした。

 近大病院がある南河内医療圏は、初期救急を担える医療機関が少なく、10年度の救急患者のうち、松原、富田林、河内長野大阪狭山、河南の5消防本部の19%、柏原、羽曳野藤井寺の消防本部の38%が堺市大阪市など圏域外への搬送だった。

 同病院の橋本克己事務部長代理は「大阪南部地域全体で後方支援体制を含めた病院間の連携を進め、救急患者の受け入れ体制をつくっていく必要がある」と話している。

この記事の中には「地雷」とも言えることがいくつも散りばめられています。

どうやら近畿大学北米ERを目指していたようですが、そのERの専属の医師数11名しかいなかったということ。これで24時間のERをローテーションでまわそうという事自体が詰んでいます

さらに路線の違い(おそらくこの1−3次を全て受けるということに反対した勢力がいたのではないかと・・・)で医師が半減というのが第一段階。そして、この際に、救急を「閉鎖」ではなく、「若手医師に10回の当直をさせた」ということ。すくなくとも北米ERを目指している病院のERが「当直」体制などということは絶対に有り得ません。これは完全に「夜勤」です。さらにこの「月10回」の当直をさせたなどという馬鹿げた事態を「負担感が増した」という「感」の話にしてしまっているところが「終わった」感があふれます。彼らの仕事を「負担感」という捉え方をしかできていないのが現実を見誤った第2段階。そして主任教授以外は全て退職して「センター」という名前の「クリニック」レベルの医師体制(医師一人ですから、開業医さんと同じだ・・・)へと突き進みます。

続いて「84人の研修医が3人チームで当直を組み、初期診療・・・」というさらに残念な第3段階。僕らの世代はいざしらず、今時研修医で救急の初期診療をさせるという時点でほとんどアウト。ヘタすると翌年の研修医が激減するとか、裁判沙汰になるとか、目先のことに目が眩んで結局もっと悲惨な出来事がやってくることは普通に考えていても明らか。おそらくそういういろんな問題から今年度は「研修医の活用」が取りやめになったんでしょうが、そんなちょっと考えたらわかることにも目が行かなかったという時点でなんというか・・・看護師によるトリアージもきっとトラブって次はER看護師の集団退職とならないことを切に願います。

なぜ、こういう悪循環に陥ったのかと考えていくと、「医師労働環境の改善」ということに無頓着な上層部が見え隠れします。それはおそらく僕らくらいから上の世代。医師は24時間拘束でいつでもオンコールが当たり前という発想の人間です。今の社会情勢のなか、そういう「昔の感覚」ではやっていけなくなっている(我々の世代も「燃え尽き」てきている)ということを現場にいない「管理者層」が現場の空気が読めていないのではないかと。この「旧人類」自身に今の医療崩壊の一端があるように感じる今日このごろでした。

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