これ。

 ライトノベルってなによ、という話をしだすと必ず収拾がつかなくなるのはもはや識者(って誰だよ)の中では常識であって、ゆえに発端になった企画中の「ライトノベル」の用法について云々するつもりは今更ない。そうではなくて、自分が一番面白いなあと思ったのは、「ライトノベル」という言葉がついにこういう文脈で使われるようになったのだなあ、ということ。

 なにが言いたいかというと、たとえば発端の企画中の「○○を題材としたライトノベルを募集します」という一文だけど、これ、「ライトノベル」を「SF」とか「ミステリ」に変えてみたら多分そんなに違和感がないんじゃなかろうか。つまり上の文は、「ライトノベル」というのが「SF」「ミステリ」に比肩しうる小説の一ジャンルとして認知されるようになった、というひとつの実例と言えるのではなかろうかと。多分前述の一文を書いた人間は「ライトノベル」という言葉にまつわる定義論争など知らず、単純に「アニメやマンガっぽい小説」くらいの意味合いで「ライトノベル」という言葉を使ったのだと思う。けれどそんな、何気ない軽いノリで使われているからこそ、先の一文は、「ライトノベル」という言葉はもはや「『アニメやマンガっぽい小説』の総称」として広く使われうるのだ――その妥当性はともかくとして――という、これ以上ないほどの証になっているのだと自分には思える。ライトノベルという言葉が生まれて20年、その言葉についての世間の認識がまた少し変わったなあ、というのを実感して興味深く思った次第。