/機動戦士ガンダムAGE#14

今までのが何だったんだと思うほどの完成度の高さ。とくにユリンの描写は「フリットとはついこの前別れたばっかりなのに「やっと会えた」は不自然」という一点を除けばパーフェクト。その場面にしても、顔を上げたときの寂しげな笑顔が埋め合わせてくれる。

ユリン機が突き刺されたときには「宇宙で波がザパーン」とかやりかねないなと身構えていたけど、いやもう、リボンが飛ぶわ森の中で四季が流れて雪景色の暗転から炎に包まれて……で、かなりの名場面になってました。挿入歌も雰囲気に合っていたし。

今回はとにかく、脚本・演出・作画とどれも満足のいくレベルなんだけど、それだけに基本設定レベルからのチグハグ感が気になって仕方ない。

何故か敵味方で交信できて、一瞬を争うドッグファイトの最中でも口喧嘩を繰り広げる……というのは結構ナンセンスなんだけど、なんだかんだいっても「ガンダム」はそれが一番盛り上がるんだなと今回思い知らされた。

となるとそもそも、UEは宇宙怪獣ともMSともつかない謎の敵だという設定が、まるで意味がなかったよねという話になってしまう(苦笑)。

「UEとは、姿かたちは地球人と同じだが異星人である」という認識だったはずなのに、「デシルだって本当は戦いたくないはずだ!」とか「命のやり取りなんだ!」とか、やっぱり話がつながっていない(これに関しては過去の描写、台詞のほうが悪かったと思いますが)。

さっき誉めたユリンの死の場面にしても、意地悪く見れば「フリットと過ごした時間はそこまで濃密じゃないだろ」というツッコミどころがあって、こっちを幼馴染にするか、少なくとも数カ月という単位で一緒に過ごしてないとちょっと不自然。

第二世代は最初から基本設定が整理されていると良いのですが…。

あ、そうだ。一点だけ看過できないツッコミどころ。なんぼ海賊が流行りだからといって、接舷してもとい接岸して白兵戦というのはないだろー。海兵隊じゃあるまいに。そりゃまぁ艦砲戦だけでは制圧はできないけどさ。