楽譜のあいまい性

Unknown2004-03-30

 さて今日紹介する作品は、サークル「うんちく商事」から「神楽舞」です。PCゲーム「雫」「痕」のピアノアレンジアルバムで、編曲担当はToyさんです。今回は楽譜も一緒だったので、主に楽譜について考察してみたいと思います。
 まず最初に1曲目ですが9小節目からメインメロディーが始まります。ここの伴奏(この部分のみ写譜してみました)なのですが、実際音源を聴く限り、このように弾いていません。もしこの楽譜の通りに弾かれるならば、2拍目以降は音を切らなければなりません。しかし、実際はずっと音を保ったままです。したがって、正しくは全部4分音符にすべきでしょう。少なくともこの楽譜から実際流れている音源は想像できません*1
 日記の関係上画像は1個のみのようなので、後はリストアップのみで突っ込んでみたいと思います

  • 曲終了後の無駄な空き小節は「意味」をもたせているのか?
  • 音符と臨時記号が重なっている。将来の課題かと思われる。
  • 調号が設定されていなく、すべて臨時記号で済ませている曲がある
  • 装飾音符が無い(でも実際は鳴っている)

 空き小節の意味といえば、リストのメフィストワルツ1番の最初の1小節が「全休符」である事例を思い出しますが、ここではこれと同じような意味あいを持たせているのかわかりません。残りの指摘事項は楽譜整形ソフトに問題があるかと思いますので、これはソフトの力で何とかなるかと思います。あと、臨時記号なのですが、「レ♯」と「ミ♭」は同じ音を指します。しかし、前後の音関係から「意味」がまったく異なりますので注意したいところです。例えば、「レ♯」→「レ」という進行をしたい場合、「ミ♭」→「レ」という風に記譜するのが普通です。まぁ、臨時記号を使う時は「どの音を変位させているのか」を注意する必要があるわけで…。
 次に音源面についてですが、まず特徴的なのは「終始音量が一定」であることです。もしかしたら編曲者の辞書にはp(ピアノ)が無いのではないかと疑いたくなるぐらい、強打な音質で統一されています。楽譜にはmp(メゾピアノ)の表記とかあるのですが、もともとのピアノ音源のせいなのでしょうか、どうも1音1音「ぶっ叩いている」感じがします。生演奏でこの音響を出そうと思ったら、意外と体力勝負になるかもしれません。そういう意味では体育会系アレンジなのかもしれません…。
 しかし、この手のアレンジで唯一メリットがあります。それは音量を下げてもBGMとして聴けることです。仮にダイナミクスレンジが広い曲で同じようなことをすると、弱音部分がほとんど聴こえなくなってしまいます。そういう意味ではBGMとして良い作品集になっているかと考えています。

*1:まだペダルマークがあれば救われたのですが、それも無いみたいです…。