「基本的に福井節はくすぶってるおっさんの涙腺に働きかける環境ホルモンなので」

「役者さんのエピソードとしては、どなたの話だったのかは忘れたのだけれど、母親が死んだと聞かされた時、咄嗟に鏡を探して「親が死んだと聞かされた人間の表情とはこうなのか」と確認した後で、役者とは業の深い生き物だと自嘲したっていうのが印象に残ってる。」

「女の子の健全な成長を劣化とか言うヤツは、獣医に「子猫のままで飼えませんかね?」とか聞くバカと同じで、救いようがない。」

もう少しある分は後日へ。

ネイサン・ローウェル『大航宙時代―星海への旅立ち―』(早川書房)860円+税
中原尚哉訳。
宇宙版『狼と香辛料』のようなものという感想をライトノベル系の某所で見掛けたのを切っ掛けに読み始め、天涯孤独になって星に居場所の無くなった少年の居場所探しが面白かった1冊。『狼と香辛料』に比べると女っ気が微々たるものかな、商船に乗ってはいるけれどフリーマーケットでの売買が始まったばかり。訳者あとがきを見ると、このシリーズは6冊まで出ているそうなので、行く行くは訳あり美女を引き連れて星の海を渡り歩くのかもしれない。成長物語というよりは、この1冊だけだと居場所探しの印象が強かった。
訳者あとがきで興味深かったのが、アメリカのオーディオブック市場の事情。
「オーディオブックというのは、本の内容を朗読したもの。」
「しかしアメリカには、健常者のオーディオブック市場がそれなりの規模で存在します。」
アメリカでオーディオブックが普及した理由は、やはり早くから車社会だったことが挙げられるでしょう。」
「もちろん運転中は音楽を聴いてもいいわけですが、日常的にロングドライブをしいられる職業の人々からは、こういう時間に好きな本の朗読を聞きたいという需要も出て来ます。」
「そして二〇〇〇年代なかばになると、既存の紙書籍の朗読版ではなく、オリジナル作品のオーディオブックを配信するビジネスがブームになります。そのなかで登場したのが本書の著者、ネイサン・ローウェルなのです。」
なるほどなるほど。

「いつもきちんとしてる人に、どうやったらそんなに毎日きちんとした状態が続くのかと聞いたら「マイルールを作って、それをひたすら守る。続かないルールはルール自体に何か問題があるので、都度見直す。」と言ってて勉強になった。」

大航宙時代: 星海への旅立ち (ハヤカワ文庫 SF ロ 9-1)

大航宙時代: 星海への旅立ち (ハヤカワ文庫 SF ロ 9-1)