2009-01-29
■[史料]「関東新制条々」18−追加法356

ここから367条までは「過差禁制」つまり御家人に倹約を命じた条文。公家新制においても重要な規定でもあったが、360条から363条までには百姓臨時役を禁止する条文があり、その点においては「撫民法」と考えることが出来る。佐々木文昭氏の『中世公武新制の研究』(吉川弘文館、2008年)においては「公家新制を基礎としつつも、幕府内及び関係者・御家人の実情に合わせた詳細な規定となっている」とされている。佐々木氏のいう「詳細な規定」をしばらくみていく。
本文。
一 御儲事
御引出物以下、各可存略儀。
読み下し。
一 御儲の事
御引出物以下、おのおの略儀を存ずべし。
贈り物は簡素にしろ、というだけの条文。
何てことはない条文だが、贈与はしばしば便宜供与の舞台ともなる。後世の話になるが、足利直義は八朔のお贈り物の習慣を嫌い、一切受け取らなかった、という。八朔の贈り物は今のお中元の元祖だが、その辺はかなり頑固だったようだ。これは358に出てくる話。
■[史料]「関東新制条々」19−追加法357

過差禁制の条文の二つ目。
本文。
一 衝重彫牙象外居并檜折敷事
酒宴之時、一切可停止之。
読み下し。
一 衝重彫牙象外居ならびに檜の折敷の事
酒宴の時、一切これを停止すべし。
酒宴の時の過差禁制。
衝重(ついがさね)とは食物をのせる膳の一種で、盆の一種である折敷に脚を付けたもの。「脚には、猪(いのしし)の目形にかたどった眼象(げんじょう)という格狭間(こうざま)を透かしている。眼象を三方にあけてあるのを三方、四方あるのを四方、ないのを供饗(くぎょう)といった。」(Yahoo!百科事典)ということで、三方などを連想すればいいようだ。外居(ほかい、行器)とは「食物を入れて運んだり、旅行のときの必需品を収める器」(Yahoo!百科事典)。問題は「衝重」と「外居」との間にある「彫牙象」で「彫象」は象牙のことなので、象牙を使ったらだめだったのか、あるいは「彫牙象」が「眼象」のことなのか、わからない。「折敷」は盆で折敷に桧を使うことが禁止されている、ということのようだ。



