乱鴉の島/有栖川有栖
- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/06/21
- メディア: 単行本
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登場人物が全員顔を見せ、孤島と化すまでの展開はなかなか面白い。辺鄙な島に集まった人々が何かをやろうとしている、という設定も興味津々だ。いかにも怪しげ、という雰囲気が的確に描かれ、興趣を高めている。
しかし、真相が私には効力を発揮しなかった。デビュー以来、有栖川有栖は動機にあまり注力して来なかった*1が、『乱鴉の島』は良くも悪くもその一例となるのではないか。また、登場人物が島に集まった理由の伏線が少ないことは、更に大きな問題であると考える。プロローグでの強い煽りに対し、ミステリ的な手当てが貧弱なのだ。殺人事件自体のロジックは、全盛期にこそ及ばないが、それなりにまとまっているので、実に勿体ない。