軽速歩

軽速歩といえば、速歩リズムで立ち上がるとか
外方前肢が前に出たときに立ち上がるとかそれくらいしか教わらないし、それくらいでできたと思うことが多い


さて、軽速歩はなんのためにやるのだろうか?
簡単にまとめてしまえば、リラックスした状態で前進気勢を作る
そのために背中の負担を和らげ馬体を大きく使わせながら前に出す
準備運動における緩解運動/ルーズニングと呼ばれるもの


特に、乗り始めでまだ馬が十分にほぐれていない状態からガッツリ背に負担をかけてしまえば
その馬は背を反ってしまったり背を使うのをやめて先での動きにしてしまったりするだろう
これでは、馬術的にやらせたいパフォーマンスの運動にならない


というわけで、軽速歩で大切なこと
・背の負担を軽くする
・リラックスさせる
前進気勢を作る

下二つはあらゆる運動で大切な要件なので、こと軽速歩において特に大事なのは背の負担を軽くするという部分である

背に負担をかけさせないために

よくある失敗
・身体を起こせといわれて正反撞の時のように上体を垂直に起こして乗っている
 →軽い前傾姿勢が正しい姿勢です。
  馬の動きに合わせてまっすぐ持ち上げられる程度の前傾
  後躯の動きに自分の軸をあわせて、馬の動きに合わせて身体を持ち上げ、
  馬の動きを殺さず大きくしていくようにしましょう。


・動きに遅れたり、リズムに遅れて馬の背に落ちてしまっている
 →動きは馬にあわせます。
  無駄に勢いをつけて立ち上がっても座るのが遅れたり早くなったりします。
  馬に持ち上げられるのに合わせて、自分も動くようにしましょう。


・立って座っての行為だけを意識するあまり腰を鞍に勢い良くおろしてしまう
 →軽速歩においては、上記の通り背に負担を書けないように乗らなければならないため
  単に立ち上がって座るのではなく、座るときも柔らかく腰をおろさなければなりません
  そのため、膝を100−0のONOFFのような切り替えの使い方で曲げ伸ばしせず
  常にクッションとして作用するように柔らかく使いましょう。


・立ち上がる際に手綱を引いてしまったり固定してしまったりしてしまう
 →手綱は軽速歩以外でもそうですが、静定させておくもので固定させたり無意味に引っ張ったりしてはいけません。
  常歩速歩駈歩歩様に合わせた馬の首の動きに着いていくように自分の身体の動きと切り離して置いておく必要があります。
  手綱操作も、前進気勢の問題のみならず背中の動きにまでつながっていきます。


・座ったときにけってしまう。
 →座ったときにけろうとすれば、必然座るときの勢いも大きくなります。
  蹴って馬が動き出す前に座った勢いで止めてしまっては本末転倒です
  を使うべき正しいタイミングは立ち上がるときに内方になります。
  押し付けようとするのではなく、若干内包側の鐙に頼って立ち上がるだけで効くはずです。
  効かないようなら、馬とのコミュニケーションやタイミングなどの問題を見直した方がいいでしょう。

実際にやるべきこと

まずは、鐙だけで自分のバランスが整えられるようにしましょう。
このとき、膝を突っ張ったりしないようにして、軽く膝を曲げ馬の動きに合わせてバネのように軽く屈伸運動するのがポイント
慣れてくれば、動いている中でやると左右の動きの違いもわかるはずですので、これに合わせて左右交互に鐙を踏むようにしていきます
こうすることで、前進に力が使えるように馬の背を上下左右に大きく使わせることができ、自然に前に出るようにできます。
これができれば、軽速歩をやらなくても馬的には十二分に良いと言えますが、軽速歩の方が断然人の負担が少ないのです;;



軽速歩はPosting Trotといわれ・・・要するに郵便物を運ぶのに長距離移動のため人馬ともに楽な乗り方なわけです
でも、一度この感覚がわかれば軽速歩もこのバランスで行うことで、それ以前の軽速歩とは馬の仕上がりも違ってくる・・・はず