効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

高温超伝導送電線の実用化

日本の電線メーカーが高温超伝導送電線をほぼ実用化している。住友電工は中国に直流を送る高温超伝導電線を4万メートル納入したそうだ。この距離のものが一本使われるわけではない。発表によると、年末には中国河南省にあるアルミ工場内に高温超電導直流電力ケーブルが敷設され、工場変電所内の整流器とアルミニウム電解炉を結ぶブスバー(電気用導体)用途として使用される計画だ。これは実証試験ではなく実際の現場で使われるものだということに注目する必要がある。日本ではやっと東京電力のある変電所で来年の11月から交流を効率良く流すための試験に数百メートル設置されているだけ。住友電工は米国東部の電力会社の注文で実証試験の後実使用段階に入っている。日本でなぜ効率が極めて高くなるこのシステムを早く実用化しないのだろうか。
大規模ビルやデータセンターなどは大きな電力を消費するために、変電所から高い電圧で受電する。またこのようなビルについて、電力供給を直流で行うための標準化も進みつつあって、直流供給のアプリケーションが増えるだろう。大電力を供給するのには高圧で供給しても電流が大きいために損失が大きくなる。変電所から、抵抗が殆どゼロになる高温超伝導線を使って供給すれば、送電損失を大きく減らすことができる。液体窒素で冷やす必要があるために、冷却用に電力を使うが、それを考慮しても効率は大きくなる。問題はコストだろう。聞くところではコストはどんどん下がりつつあるという。日本でこの使用市場が増えれば量産効果も出てコストは一層下がるだろう。日本の電力事業はなぜその採用に躊躇しているのだろうか。世界の潮流に取り残されてしまう。米国にはアメリカン・セミコンダクター社が技術を持っていて、いま盛んにいわれているスマートグリッドへの応用に参画している。日本の電力会社はスマートグリッドの必要性を緊急度の高いものとして扱っていないが、送配電効率を上げることに投資することはすべきだろう。コストがまだ高いとよく聞くが、投資を回収できるためにはどれほどコストが下がらなくてはならないのだろうか。その種の数字をあまり見かけないのだが、誰か教えてくれないだろうか。