効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

バイオエタノールの製造コスト

油成分を多量に含む藍藻類を大量に養殖して分解し、エタノールを製造して自動車や航空機の燃料に使う研究が各国で行われている。藍藻類が生長するときにCO2を吸収することから、それを燃料として燃やしてもカーボンニュートラルとして温暖化ガスであるCO2を大気中に増やすことはないとして、ガソリンなどに代替する生物由来の燃料を開発しようと言うことだ。東大発ベンチャーであるユーグレナ社がバスの燃料に使う実験をしていることは前に述べたことがあるが、問題は大量に培養してコストを下げることが大きな壁になっている。ところが、今日の新聞の記事が、京都大学の植田充美教授らは、自動車の燃料などに使うバイオエタノールを従来の約5分の1のコストで生産する新技術を開発したと報じているのを見て驚嘆した。これだけのコストダウンができれば、今の実験規模を大きく拡大すれば、実用化も無理ではないし、既存のガソリンスタンドなどをそのまま利用できるから、燃料電池自動車のようなインフラ問題はなくなる。遺伝子操作技術を利用し、糖をエタノールに変える酵母の耐熱性を大幅に向上させることでコストダウンができたということだ。糖を発酵させてエタノールを作ると高温になり、酵母の働きが悪くなる。通常は冷却してセ氏約30度に保つが、京大は培養温度を徐々に上げ、38度でも生き残った酵母のゲノム(全遺伝情報)を解読。特定の遺伝子に変異があると高温耐性になることを突きとめた。この遺伝子変異を人工的に起こした酵母を作ったところ、39度でも働きが落ちず、通常の酵母の2.5倍以上の速さでエタノールを生産できたということだから、大規模なタンクでこれが可能であれば、エタノールの量産は可能だろう。日本の開発した技術として誇れるものに育ててほしい。