効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

バイオミミクリー

バイオミミクリーという言葉がある。その意味は、生物が行っているいろいろなプロセスを真似(ミミック)て、新しい物質や新商品を作ったりするもので、Janine M. Benyusがこの言葉をタイトルにした著作を発表して定着したものだ。植物が光のエネルギーを使って栄養分を合成するのを真似しようと人間は永年力を注いできたが、最近いろいろな成功事例が出るようになっている。
東芝がこのバイオミミクリーと言えるプロセスを開発した。東芝の研究開発センターは太陽光のエネルギーを使って、二酸化炭素(CO2)と水からペットボトルなどに使う樹脂の原料を作る技術を開発したというもの。化学反応を促すため、炭素や水素、窒素などの有機物を組み合わせた分子触媒と呼ぶ特殊な物質を使った。火力発電所や工場などが出すCO2の有効活用につながるとみており、2020年代の実用化を目指す。実用化までの期間が以外に短いのに感心した。新技術を使うと、CO2 13グラムから9グラムのエチレングリコールを合成できる。500ミリリットルのペットボトルを作るのに必要な量だそうだ。合成した物質を燃やしたときのエネルギー量を投入した光エネルギーで割るエネルギーの変換効率を調べると、0.48%で、植物の中で光合成の効率が高いといわれるトウモロコシの約0.8%よりも劣るが、雑草の一種のスイッチグラスの0.2%程度よりも高い。効率は高いとみており、今後はもっと安価な材料を使う技術の開発を進めるということだ。この技術が実用化されれば、火力発電所の排ガス中にあるCO2を回収して、有用物質を製造できることになる。地球温暖化抑制に大きな貢献ができるだろう。