効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

欧州で低価格化の進む洋上風力発電

世界で初めて政府の補助金を受けない洋上風力発電事業が動き出すという報道記事を見て驚嘆した。一般的に再生可能エネルギーでは、発電事業者が20年以上の長期にわたり政府に一定額で買い取ってもらい、事実上の補助金を受ける。洋上風力は多くの鋼材や海底送電網が必要なため、コスト削減が難しいとされてきた。ただ、洋上風力に最適な遠浅の海があるオランダ、デンマーク、ドイツなどで入札が始まり、事業者間の競争が激しくなっている。ドイツ政府が実施した入札において、デンマーク電力最大手のDONGエナジーが「0ユーロ」で落札したということだ。同社は自ら卸電力市場に電力を売っても収益が見込めると判断したのだ。これには洋上風力発電設備規模が急速に大型化していることがカギを握っている。現在の洋上風力は、発電タービン1基あたり8000キロワットが最大で、三菱重工業とヴェスタス(デンマーク)の洋上風力発電機の合弁会社などが手がける。現在でもジャンボジェット機並みの大きさだが、DONGは24年に1万3000〜1万5000キロワット級のタービンが登場するとみており、「発電量を増やすとともにタービンの数を減らすことができる」と確信して思い切った決断をしたようだ。もう一つなるほどと思ったことがある。日本では洋上風力発電には漁業権との対立が常に問題となるが、「欧州は洋上の石油・天然ガス開発の歴史が長く、エネルギー会社と漁業者は協調してきた」という同社の説明には、日本で必ず問題となるとされる壁が薄いのも貢献しているのだと納得した次第。日本で「ゼロ」入札価格とまでは行かないにしろ、電力の買取価格が普及を促進できるまでに下がる環境を整備して欲しいと思う。