効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

メタネーション

メガソーラーが普及すると、晴れた日に電力需要以上に発電することがある。これは送電系統の安定性維持に問題となるため、余剰電力で水を電気分解して水素を作るプロセスの開発が進展している。問題は大量の水素が出来たときに、現地で利用できない時には遠隔地まで送らなければならないということだ。それに代わって、水素を炭素と化合させてメタンを作ることができれば、メタンは都市ガスの主要成分であるためパイプラインで送る、あるいは、LNGにして輸送することができる。この方式でメタンを作るのはメタネーションと言はれる。このメタンを燃料にするとCO2が排出されるのが問題だが、火力発電から排出されるCO2から炭素を除去する技術も開発されつつあり、これまでは回収した炭素を地下に埋設する方式が考えられていた。それに代わって、この炭素を水素と化合してメタンにして燃料に使うと、Cが循環するためにカーボンニュートラルとなる。
環境ビジネスに力を入れる日立造船カーボンニュートラル・メタンの商用化に取り組んでいる。今年6月にはメガワット級の水素発生装置を開発しており、水の電気分解によって毎時200立方メートルの水素をつくれる。これを「メガワット級」と呼ぶのは、メガワット(1000キロワット)級のメガソーラーやウィンドファームで発生する余剰電力を水素に変えられるからだ。メタン合成装置の開発にも取り組んでいる。新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)の支援を受けて、毎時12.5立方メートルのメタンを合成できる実験プラントを作製し、同社柏工場(千葉県柏市)で試験を重ねている。12.5立方メートルは平均的な家庭約10軒分の都市ガス使用量にあたる。メタン合成は7月に閣議決定したエネルギー基本計画で「電力システムの脱炭素化」の一手法として言及されている。メタネーションは欧州で進んでいるが、日立造船がどれほどキャッチアップするかが見ものである。